想世のハトホル~オカン系男子は異世界でオカン系女神になりました~

曽我部浩人

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第3章 彼方に消えしは幽冥街

第53話:龍宝石~悪夢再び?

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 龍宝石ドラゴンティア──ドラゴンの脳内でのみ精製される宝玉。

 アルマゲドンでは究極の超レアアイテムとして珍重され、それだけに秘めたる力も素晴らしいものがある。しかし、龍宝石自体に大した力はない。

 これは謂わば──究極のブースターツール。

 魔力、霊力、神力、気力、妖力……そういったエネルギーを蓄電器のように溜め込んで、尚かつ自家発電機能を備えた充電器まで兼ねる。

 注がれた力を龍宝石は限界まで増幅する。その力を使われても時間経過により自然回復し、更に力を注げば急速回復させることも可能。

 尽きることなくエネルギーを発生させる永久機関とまではいかないが、出力の調整さえ間違えなければ、半永久的に使うことも夢ではない。1%でもエネルギーが残っていれば、独りでに充填してくれるのだから。

 使用者の力と合わせることで、出力を倍増させることさえできる。

 自身の力を注ぎ込んだ龍宝石をもう1人の自分、あるいは補助電源のように使うことで二倍以上の力を引き出す。本来の意味での増幅器ブースターとするのだ。

 この龍宝玉──使い方は様々だ。

 龍宝玉を組み込んだ武器を用いることで、自分の力+龍宝玉の力によって何倍もの威力を出せるうえ、長時間の戦闘でもエネルギー切れを起こさなくなる。

 プレイヤーの多くはこうした使い方を好む。

 他には、拠点設備などに組み込まれる。

 ツバサたちの暮らす拠点(我が家)で使われている電気、水道、ガスといったエネルギー源は、すべて龍宝石によってまかなわれていた。

 または兵器の動力炉にも使われる。

 ダインのサイボーグ体を動かす動力源もまた龍宝石であり、ダイダラスは特大の龍宝石をいくつも使うことで、あれだけの大出力を発揮できるのだ。

   ~~~~~~~~~~~~

 ミロの新しい神剣──ウィングセイバー。

 頼まれたツバサが過大能力【偉大なるグランド・大自然ネイチャの太母ー・マザー】の力を注ぎ込むと、その剣身を飾る装飾は鮮やかな赤に染まっていた。

「フフフ~ン♪ ツバサさんの剣~♪ ツバサさんの愛が詰まった、アタシだけを守ってくれる剣~♪ 母なる大自然の力が宿った無敵の剣~♪」

 猫族の村──ツバサたちの拠点前の開けたところ。

 ウィングセイバーを夕日にかざして、ミロは上機嫌だった。

 右手には自分の分身とも言える青いミロスセイバーを握り、左手には最愛の人の力を宿した赤いウィングセイバーを掲げていた。

 2振りの剣をチン♪ といい音色が鳴るように重ね合わせる。

 二刀流の構えから鮮やかな手並みで2本の神剣を振るう。

 ちょっとした剣舞のようだ。

 ミロスセイバーが風を切る軌跡に淡い燐光が舞い、ウィングセイバーが空を凪ぐと稲妻が飛び、火花が散り、旋風が起こる。

「うん、ジョーデキ上出来! これなら……」

 ミロが悦に入ってるところ、マリナとフミカが帰ってきた。

「ただいまです、結界の基礎石の強化終わりましたー」

 空から降りてくるマリナとフミカ。

「おー、2人ともおかえり~」

 それはミロは剣を持ったままの手を振って迎える。

「あれ、ミロさんだけですか? センセイとダインさんは?」
「ダイちゃんはどうせ【不滅要塞】フォートレスでしょ?」

 そう言いながら、フミカの両眼は彼の姿を探すのに余念がない。

「そだよ。ダインは要塞でまだ“あれ”造ってる。今日は徹夜だっていうから、フミカちゃんは後で夜食でも持ってってあげるといいよ~♪」

「その手があったッスね……ラジャー!」

 この2人もだんだん息が合ってきた。似てきたと言うべきか?

 一方、マリナはキョトキョトと姿の見えない母親を探す。

「じゃあセンセイも要塞ですか?」

 ミロは2本の神剣を器用にキュルキュルと回して答える。

「さっきまではねー、ダインと一緒に要塞でなんか話してたよ。でも、ちょっと前に出掛けてった。『俺も仕込んでくる』とか言ってね」

 それより見て見て! とミロはウィングセイバーを見せびらかした。

「これ、ツバサさんのパワーが宿った神剣! その名も──」

 ズドォォォォォォォォォン!! と大爆音が鳴り響いた。

 その場の全員が言葉を失うほど驚き、1日の仕事を終えて家に帰ろうとしていたケット・シーたちも騒然となる。空も大地も激震する大爆発が起きたのだから、それも仕方ないことだろう。

 しかも震動は継続中──震度5レベルの地響きが続いている。

 おまけに、更なる異変まで起きていた。

 ケット・シーたちの大空洞がある岩山の向こう側。そこに天地を貫く巨大な光の柱が立ち上っていた。その光は真っ赤に染まっている。

 血の色のような赤、溶岩が滾るような赤、太陽が燃えるような赤──。

 真紅しんく烈光れっこうが天を穿うがつようにほとばしっているのだ。

「「「なんだあれーーーッ!?」」」

 振り向いたミロたちが驚愕していると、光の柱も震動もすぐに消えた。

 呆然としていれば、岩山の向こう側から誰かが飛んでくる。

「ただいま──ん、どうした、おまえら?」

 呆けた顔をして、とツバサが何食わぬ顔で降りてきた。

「ツ、ツバサさん! 今の何!? あのズドォン! って光はツバサさんがなんかやったんでしょ!? なにあのスゴイやつ!?」

 ミロがみんなを代表して、ありったけの驚きをぶつけてくる。

「あれか……気にするな」

 ツバサは涼しい顔で素知らぬふりをした。

 平静を装ったが、どうしても気まずさが滲んでしまう。

「「「いや、気になるよ!?」」」

 どれだけ質問攻めされようと、ツバサは詳しい説明をしなかった。まだ試運転なので披露できるものではない。

 これが使いこなせれば、ツバサはもう一段階強くなれる。

 どんな脅威が迫ろうとも、ミロを初めとした子供たちを必ず守り抜けるようになれるはずだ。ただし、おいそれとは発動させられない。

 発動したら最後──その場にいる者をみなごろしにする。

 破壊衝動に突き動かされるまま、目に見えるものすべてを滅ぼしかねない。

 北欧神話で語られるベルセルクに似ている。意識のすべてを殺意で塗り潰し、敵味方の区別なく殺戮に興じるキリングマシーンになってしまうのだ。

 まだまだ調整が必要だし、制御できるよう研ぎ澄まさなければならない。

 鍛錬のやり甲斐がありそうなことだ。

「……光の柱なら本当に気にしなくていいぞ。【大自然の偉大なる太母】でこの辺り一帯の地脈をしっかり固定してきただけだ。これで四季が巡るようになれば、自然もちゃんと循環するようになる」

 これでいちいち管理しなくても済むし、ツバサに万が一があっても自然が枯れることはなくなる。地脈も着実に拡がっていくはずだ。

「俺も俺なりに準備しているんだよ……さて、夕飯の支度でもするか」

 コキコキと首を鳴らして、ツバサは台所へ向かった。

    ~~~~~~~~~~~~

 その夜遅く──ツバサの部屋。

「……で、何だよ。改まって話があるっていうのは?」

 ツバサはいつもの寝間着姿でベッドの上に座っていた。しかし、警戒心を最大限に働かせて、彼女から身を守るように身構えていた。

 前回のあれは夢──悪夢だったはずだ。

 シチュエーションが似ているせいか、どうしても臆病になってしまう。

 男の自分が情けない。愛している彼女を恐れるなど……。

 まさか、ミロに女として・・・・犯される・・・・のを脅える日が来るなんて!

 また最悪なことに、ミロの格好が悪夢とほぼ一致していた。

 バカTシャツに書かれた“エロラノベ大王”、その文字を見るだけで悪夢を思い出して震え上がる。しかし、下はあの短パンじゃない。

 ショーツしかはいてない──そこからはみ出る男性器もない。

 それに前回とは違って、彼女も自前の枕を小脇に抱えていた。その2点だけを安心材料にして、どうにか心を落ち着かせる。

「枕を持ってきた……ってことは、一緒に寝たいって意思表示か?」
「イッエース♪ でも、添い寝するだけじゃないデース!」



 率直に言います──エッチなことしたいです!



 いきなり土下座でストレートにお願いしてきた。

 ツバサは引きつった笑みで絶句する。

「率直に言います──エッチなことしたいです!」
「繰り返さんでいい! 大事なことでも何でもないんだから!」

「いーじゃん、2人でイチャイチャしよーよぉ!」

 ミロは枕を見せつけて迫ってくる。枕の表には“YES”と書かれており、裏返しても“バッチコイ!”だ。裏表の意味がない。

「お、おまえ……クロコの心配してんじゃないのか!?」

 明後日の朝には救出に向かうというのに!

「そのために今日明日は準備を整え、十分休息を取って英気を養わなければいけないというのに……エッチなことがしたいだと!?」

「うん、なんかムラムラするの!」

 ミロは鼻息も荒く、エッチなことをしたい理由を力説する。

「メイドさんを助けに行けば、また壮絶バトルやら面倒くさいことがいっぱい起こるの確定でしょ? そうなったらイチャイチャする機会も減っちゃうし、本番のエロいこともやってる暇なんてなくなるのは必定!」

 だ、か、ら~♪ とミロはベッドに乗ってくる。

「まだ余裕のある今晩! 精魂尽き果てるまでヤッておきたいです!」
「それは男が言うべき台詞だッ!?」

 気圧けおされるようにツバサは後退あとずさった。

 逃げれば逃げるほど、ミロは面白そうに距離を詰めてくる。

異世界こっちに来てから全然イチャイチャしてないじゃーん! 現実にいた頃は毎日毎晩2人でエロマンガみたいにただれた日々を送ってたじゃーん!」

「ひ、人聞き悪いこと言うな!」

 精々3日に5回くらいだったはずだ。いや、2日に3回…………。

 やっぱり毎日のように愛し合ってたのか?

 2人暮らしだったから歯止めが効かなかったのが最大の原因だ。

 それはさておき──ツバサはまだまだ後退あとずる。

 しかし、そこはもう枕元。背中には枕元に接した壁際が当たった。

 追い詰められた。ミロは獲物を追い立てた獣のように微笑む。

「イ、イチャイチャって……お、俺は嫌だぞ! この身体で……どうやれっていうんだよ? 無理だろ、できっこないってば! 今は俺……女の身体なんだぞ!? いつもみたいに愛し合うたって……その、無理だろ!?」

 動揺しているせいか、うまく言葉が出てこない。

 一方、ミロは絶好調で親指を立てる。

「ダイジョーブ! 女の子同士ならそれはそれでもーっと楽しいから!」

 言うと思った──期待を裏切らないアホ娘だ。

「お、俺に百合でレズをやれ……と、言うのか?」

 ツバサは冷や汗を垂らして固唾を呑む。 

 興味がない──なんて言おうものなら、地獄で舌を抜かれるはずだ。

 ミロと愛し合うのは日課も同然、ご無沙汰なのでやりたい。

 女の子同士の愛し合い方にも興味は尽きない。

 だが、主導権はミロに掌握される。

 男の頃はツバサがリードしていたが、今では全身性感帯みたいな爆乳美女の肉体に変わり果てている。おまけにこの身体になって3ヶ月も経っていない。

 女性として15年以上も先輩のミロに敵うわけなかった。

 事実──いつぞや(※第31話)はあっさり負けている。

 ミロにオモチャにされるのは目に見えているし、男の自尊心プライドがズタボロにされること請け合いだ。なので、ツバサはいつまでも踏ん切れずにいた。

「ツバサさんも興味あるでしょ? オンナノコ同士の気持ちいいことにさ……」

 くりっとした瞳で上目遣いに覗き込んでくる。

 可愛い──このまま女としてミロにメチャクチャにされたい!

 そう叫んでいる自分も心のどこかにいるのだが……。

「や……やっぱりダメだ! そういうのは…………何か違う!」

 ツバサは頑なに拒んだ。

 女顔というコンプレックスの裏返しで培われてきた「俺は男だ!」という自意識が、女性の身体で快楽に溺れるという行為に拒絶反応を起こす。

 もはや意地っ張りでしかないのだが──。

 ミロもツバサの頑固に呆れたのか、冷めた表情でため息をひとつ。

 しかし、すぐに名案でも閃いたのか瞳を輝かせる。

「じゃあさ、ツバサさん──アタシと勝負しない?」

「……勝負?」

 これからツバサさんには──男らしい格好をしてもらいます。
 
 誰から見てもれっきとした男の子に見えればツバサさんの勝ち。

 どう見ても女の子にしか見えなけれアタシの勝ち。

「ツバサさんが勝ったら残念! 大人しく添い寝だけにしといてあげるね。アタシが勝ったら大勝利! アタシの用意した極上ファッションに着替えてもらって、今日こそアタシの手で女の子の快感を味わい、男の子なのに百合百合でレズレズという未知のゾーンを存分に堪能していただきます!」

 どう、受ける? とミロは眼をすがめて挑発してくる。

 もう勝ったと思っているのか、エロ親父みたいないやらしい顔で両手をワキワキと動かしている。何をするつもりなのかあからさまだ。

 これにはツバサもカチーン! と来た。

 侮られている、このアホに──なんだか無性に腹が立った。

「……いいだろう、やってやる」

 ツバサはベッドから降りると立ち上がった。

「そう来なくっちゃ! じゃ、衣装を用意するねー♪」

 ミロは両手をパン、と合わせる。それを左右に開くとデータ化された男性向け衣装が何百枚と展開された。アキやフミカと同じ特権技能だ。

「こんなこともあろうかと、フミカちゃんに教わったんだー」

 ちょっとばかしSPソウルポイント食われたけど、とミロは舌を出す。

「……せっかく貯めたSP無駄遣いするなよ」

 こんな馬鹿げた勝負の最中だが、説教めいた小言は言っておく。



 こうして──ツバサの男を賭けた勝負が始まった。


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