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第2章 荒廃した異世界
第38話:巨神王ダイダラス!!
しおりを挟む「ここなら水が使いたい放題だな」
迫り来る巨大な触腕に、ツバサは新たな攻撃方法を試みる。
過大能力【偉大なる大自然の太母】で海の水に働きかけ、巨大な水柱をいくつも起こすと、そこから圧縮した水流を白刃のように噴出させる。
その圧縮水流には、尖らせた極小の石を大量に混ぜ込んでおいた。
ウォータジェット──もしくはウォーターカッターだ。
ダイヤモンドも切断する超高圧の水流が迸る。
その水流は3本の触腕を断ち、裂け目の奥で触手の王は悲鳴を上げていた。痛覚があるのか怒っているのか、残りの触腕をワナワナと震わせている。
「やるねーツバサさん、それじゃあアタシも……」
ミロは神剣を頭上に掲げ、再び【大君】を使った。
だが、今回は一味違う。
「ミロスセイバー、オーバーロードッ!」
神剣から極大の烈光が迸るが、いつもの破壊光線のような斬撃とはならず、何十mも伸びた光の柱となって維持される。
その有り様はまさに──特大のビームサーベル。
「効き目長持ちモード!」
ミロは長大なビームサーベルを振るい、ツバサの攻撃に動じていた4本の触腕を易々と斬り落とし、返す刀でもう2本の触腕も叩き斬った。
そして、特大ビームサーベルはまだ消えずに維持されている。
「……やった! このやり方ならちょっとは保つ!」
「よしよし、よく編み出したな」
アホはアホなりにちゃんと成長していた。
おもいっきり抱き締めて撫で回してやりたいところだが、戦闘の最中にそんな悠長な真似はできない。後の楽しみに取っておこう。
「まずはそれを使いこなせ。ビームーサーベルの効果時間を覚えておくんだ。限界が来たらすぐ俺の補給を受けられるようにしとけよ」
「OK、そしたらキスの時間だね!」
大声で言うな、とツバサは眼を閉じて赤面する。
ツバサは全身を帯電させて轟雷を解き放ち、忍び寄っていた触腕を焼き潰す。
過大能力で強化した攻撃なら、あの巨大な触腕でさえ敵ではない。
しかし、敵も然る者──。
「ツバサさん、見て! やっつけた触腕が……ッ!?」
「そりゃ再生能力ぐらい持ってるか」
斬られた触腕も焼かれた触腕も、見る間に肉を膨らませて復元していく。それだけではない。斬り落とした触腕は地上である変化を遂げた。
斬られた触腕から、何十もの触手が生まれたのだ。
傷付いた箇所から滴り落ちた体液からも、沸き立つように生まれてくる。
「だぁーっ! 全滅させたのにまた増えたーッ!?」
「単性生殖? いや、細胞分裂……プラナリアみたいなものか?」
現実世界にも似た増え方をする生物がいる。
だが、この触手の王は──もっとおぞましい別の何かだ。
新たに生まれた触手たちは、先ほどの軍勢と同じように隠れ里へと向かう。ミロが憤慨する以上に、ツバサも苛立ちを覚えてしまう。
「無事でいてくれよ……俺たちが帰るまで!」
ツバサはミロを乗せたまま、触手の王へと詰めていく。
「ミロ、あのデカい眼を叩くぞ!」
「どー見たって弱点だもんね! ラジャーッ!!」
~~~~~~~~~~~~
ミロスセイバーの乱舞が触腕を乱切りにしていく。
圧縮水流の刃、稲妻を織り交ぜた竜巻、怪獣王に見劣りしない熱線……ツバサが発する大自然の猛威も触腕を潰していった。
ツバサとミロの過大能力による攻勢に、触手の王は防戦一方だ。
しかし、防戦に徹するがゆえに守りが堅く、ツバサたちも攻めきれない。
何度目かの攻防の末、ツバサはようやく理解した。
こいつ──俺よりも慎重派だ。
触手の王の魂胆に気付いたツバサは一端距離を置きたかったのだが、熱が上がっているミロは突っ込もうとしていた。
「おりゃああああああああああああああああああああああーっ!」
「待て、ミロ待て! ストーップ! ハウスッ!」
手を伸ばしても届かなかったので、ツバサは【万能にして全能なる玉体】の能力で自分の髪を伸ばしてミロを捕まえた。
手や足では止まらないと思ったので、首根っこを引っ捕まえた。
絞首刑に見えないでもないが気のせいだ。
「ちょ、ツバサさんチョークチョーク!」
首はヤバイ!? とミロは首に巻きついたツバサの髪を掴む。
「おまえは腕を掴んだくらいじゃ止まらんだろ!」
いいから戻れ、と髪を手繰って引っ張り戻す。
戻ってきたミロを右腕で抱き留め、その耳元に問い掛ける。触手の王に聞こえるのか? こちらの言語を解するか? そこまではわからない。
だが、念のため小声で囁いた。
「おい、あいつの触腕が何本かわかるか?」
「どう見たって27本じゃん! それが何なのよさ!?」
よく数えている。だが、このことに気付いてはいない。
「その内、俺たちと戦っているのは20本だけだ」
「…………え?」
残りの7本は──常に本体の近くで控えている。
「20本の触腕を一時的に倒して本体に辿り着いたとしても、その7本が全力で本体を守るはずだ。その隙に20本が再生して、本体に近付いた俺たちの背後を取る……後はアホでもわかるな?」
「えーっと、挟み撃ち?」
そういうことだ、という代わりにツバサは頷いた。
「しかも、あの7本は──見せている保険だ」
本当の保険、“奥の手”は裂け目の向こう側だろう。
ツバサたちが不用意に近付いたら、それで仕留める腹積もりだ。
「バケモノの親玉と侮るところだったぜ」
思い返してみれば、最初に戦った触手もなかなか知恵を働かせていた。その親玉ともなれば、人間以上の知性体だとしてもおかしくはない。
見掛けによらず、石橋を叩いて渡るような慎重派だ。
「バケモノだってのに……親近感が湧くな」
「ツバサさんなんて石橋を鉄筋製に作り替えないと渡らないもんね」
そう褒めるな、とツバサは苦笑する。
「しかし……こうなると迂闊に踏み込めんぞ」
触手の王の“奥の手”は予想できなくもないが、その読みだけで飛び込むのは無謀すぎる。せめて、27本の触腕を無効化したいところだ。
「威力偵察も果たしたし、ここはひとまず撤退……」
「そうもいかないみたいだよー?」
口調とは裏腹に、ミロの声は深刻だった。
神剣が指し示すのは触手の王。その全貌を捉えきれない巨体が前へと迫り出してきており、空間の裂け目を乗り越えようとしていた。
違う──裂け目をこじ開けている!?
触手の王が迫り出すごとに空間の割れ目が大きくなっていき、もうそろそろ裂け目ではなく楕円形の穴になりつつあった。
「なっ……そんなパワーがあるなら、なんで今までやらなかった!?」
思うんだけどね、というミロの頬に汗が一滴。
「触手の王にとって──アタシらが魅力的すぎたんじゃない?」
「なんだそれ? どういう意味……あッ!?」
ミロの言わんとする真意を、ツバサは否応にも理解してしまった。
あの触手たちはこの世界のエネルギーを搾取している。その王ともなれば何を況んや、殊更に渇望しているに違いない。
そんな餓えた王の前に現れた──極上の獲物が2人。
ツバサもミロも、過大能力でエネルギーを使いまくった。
そんな高エネルギー体が目の前にいたら……。
「……がっついたバケモノ親父の前で、デリシャスな美人たちが踊り出したら、無理やり空間をぶち破ってでもこっちに来たがるでしょうよ」
「俺たちがあいつを刺激したのか……ッ!」
裂け目へ居座っているのに乗り越えてこないから、“あいつはこの裂け目は超えられない”と勝手に思い込んでいた。
しくじった! ツバサは頭を掻き毟って自らの浅慮を詰る。
狼狽えかけるツバサに対して、ミロは落ち着いていた。
ツバサの背から降りて隣に浮き、片手をツバサの首にスルリと伸ばすと、こちらの顔を引き寄せつつ自分の顔を近付け、唇を重ねてくる。
ここに来るまでの間、活力付与のために口付けを繰り返してきた。
だが──こんなにちゃんとしたキスは久し振りだ。
ゆっくり唇を離したミロの瞳は、仄かに黄金色の光を帯びている。
「でも……大丈夫だよ」
アタシたちは勝てる──そんな気がするの。
何の根拠もないミロの言葉は、異様なほど頼もしく耳朶を打つ。
彼女の瞳の光が強まるのに呼応して、その手に握る神剣もまた見たことのない黄金色の光を放つようになっていた。
──あの光は覚えている。
老騎士がミロに“何かを”託した時に見たのと同じものだ。
そして、老騎士の言葉が不意に脳裏を過ぎる。
『いずれ、わかりましょう……“これ”は……そういうものです』
「不確定要素に頼るのは心許ないが……」
ツバサは大きく嘆息すると、気を取り直してミロに尋ねた。
「ミロ、おまえの直感はなんて囁いている?」
「このまま戦う! そんでアイツをこの場で抑え込む!」
それでイケる! とミロは神剣を振りかぶった。
「信じるぞ……おまえの勘を!」
ツバサは再びミロを背に乗せると、全身から稲妻を放って触腕を牽制し、触手の王が裂け目を乗り越えにくいように広範囲攻撃を続けた。
ミロも神剣から特大ビームサーベルを伸ばし、触腕を斬り払う。
空間を跨いだ攻防は、もうじき1時間を迎えようとしていた。
~~~~~~~~~~~~
その頃──ケット・シーの隠れ里。
斬られた触腕から生まれた触手たちの軍勢が迫っていた。
マリナは岩山に十重二十重に結界を張り巡らせた上で、隠れ里の入口である洞窟は大型の盾型防壁で蓋をすることで、触手たちの侵入を防いでいる。
「でも……まさか、こんな手を使ってくるなんて!?」
触手たちは結界に触れると──自爆した。
自爆した瞬間、その爆発力で結界に穴が開くのを利用して、触手たちはそこをすり抜けてくる。何重もの結界をくぐり抜けて盾型防壁まで辿り着くと、今度は数十匹が一点に群がって、集団自爆してきたのだ。
結界より頑丈な盾型防壁でも、そこまでされれば壊される。
触手たちはそこを狙って侵入して来るのだ。
「そがいなこと、わしらの目の黒いうちは……ッ!」
「許しゃしないッスよ!」
最終ラインを越えてきた触手は、ダインとフミカが退治してくれた。
ダインは指からのマシンガン連射や体中から小型ミサイルを発射して触手を倒し、フミカは開けられた穴をすかさず結界で塞いでくれた。
「ありがとうです、ダインさん、フミカさん!」
「いいきに、礼を言うんはわしらぜよ」
「そうッスよ。マリナちゃんがいなけりゃ、ウチらで防げたかどうか……」
この3人なら持ち堪えられる──マリナはそう確信した。
「でも、センセイたちは……」
そろそろ1時間になるというのに、ツバサたちは戻ってこない。
1時間もかけるつもりはない──ツバサはそう言っていた。
なのに2人が戻ってくる気配はなく、触手の攻撃は激しさを増すばかり。
何かあったんじゃ……マリナは心配になる。
「くぁあーっ! 不甲斐ないぜよ! わしも戦えりゃ……ッ!」
突然、ダインが悔しそうに吠えた。
「過大能力なんぞどうでもええッ! せめて“あれ”さえあれば……!」
その悔しさの意味を知るフミカはある名前を口にした
「ああ……“ダインローラー”ッスね」
あれがあれば形勢逆転かも、とフミカまでため息をつく。
「ダイン、ローラー?」
オウム返しするマリナに、フミカがそっと教えてくれた。
「ダイちゃんの追加武装ッス」
ダインのような機械系種族は、アニメの巨大ロボットみたいに変形合体する技能があるらしく、そのための追加武装を作ることもできるそうだ。
ダインローラーは、ダイン自ら製作したものだという。
「なくしちゃったんですか?」
「なくしたというか、どっか行っちゃったというか……」
ダインローラーが完成したのは、つい先日のこと。
ツバサがどこでも拠点を召喚できるように、ダインもダインローラーを召喚できるか試験しようとしたところ、あの運営からのアナウンスである。
異世界転移したダインとフミカ。しかし──。
「ダインローラーは呼べど叫べど来てくれなかったんスよ……」
「きっとあっちに置いてけぼりなんじゃ、ドチクショォォォーーーッ!」
ダインは魂の叫びを上げ、噴水みたいな涙を噴き上げて号泣した。
「ダイン、ローラー……ってどんなのですか?」
なんとなく引っ掛かったマリナは、どちらとでもなく聞いてみた。
答えてくれたのはフミカだった。
「大きなトレーラーというかトラックというか、頑丈そうな装甲で覆われてて、ピカピカでメタリックな……要するにでっかい車ッス」
そこまで聞いたマリナはピンと来た。
『“探している”……? “自分を”……“呼んでいる”……?』
その人の元へ行きたい、もう一度走りたい。
「ダインさん! もう一度呼んで上げてください!」
マリナが似合わない大声を出したので、ダインは意表を突かれていた。
「ど、どがいしたんじゃマリナ嬢ちゃん?」
「ダインローラーさんを呼んで上げてください! もう一度、早く!」
あの子は探していたんです──ダインさんのことを!
「この世界のどこかで走ってます! ダインさんを探して……」
いくらダインが呼んでも召喚に応じることができなかったのは、きっと壊れていたからだ。でも、それはマリナが直してあげた。
今なら──召喚に応じてくれる。
「呼んであげてください! あの子は……待ってるんです!」
ダインさんが呼んでくれるのを! とマリナは叫ぶ。
ダインはゴクリと固唾を呑み、機械化した拳を固く握りしめる。
意を決すると、ありったけの希望を込めて叫んだ。
「──ダインロォォォーーーラァァァーーーッッッ!!」
~~~~~~~~~~~~
触手の王は本当に慎重派だった。
こちらの攻撃手段を把握するためだったのか、ツバサとミロの猛攻撃を触腕という我が身を以て体験し続けると、ついに打って出てきた。
「ッ! ツバサさん、触手大魔王が……ッ!」
「……お勉強は終わったってことか」
触手の王は身体の芯が震えるほどの咆哮を上げると、本腰を入れて空間の裂け目をこじ開けてきた。もう目玉がほぼこちら側にはみ出ている。
ツバサの自然現象による攻撃、ミロの神剣による特大斬撃。
おまえたちの手数はわかった──20本の触腕だけで防げる。
触手の王はそう判断したのだろう。
ツバサたちに本体を致命傷へ追い込むほど破壊力のある“奥の手”がないと判断したのか、ようやく重い腰を上げたのだ。
20本しか使わなかった触腕も、27本全部で振るっていた。
動くと決めたら大胆に──こいつ、攻め時を心得ている。
今か!? ツバサは躊躇した。
ツバサが触手の王を「あの裂け目は乗り越えられない」と誤認したように、触手の王はツバサに「奥の手がない」と思い込んで一転攻勢に打って出た。
その思い込みこそが──ツバサの用意した誤誘導だ。
こちらにも逆転の切り札がある。
切り札でデッキを組んで決闘できるくらいの用意はあるのだ。
その1枚を切るのは今か!?
ツバサが躊躇するわずか数瞬──。
何もしていないのに、触手の王の眼球が大爆発を起こした。
思いも寄らぬ不意打ちに触手の王も悲鳴を上げ、ほんの少しだが裂け目の奥へと引っ込んでしまった。慎重ゆえに臆病でもあるようだ。
「なっ、アタシら何もしてないよね!?」
「今の音は……まさか砲撃? この世界で!?」
後方から長距離砲で砲弾を撃った爆音がしたのは確かだ。
それも戦艦クラスの砲撃だった。
地平線の向こう──土煙を上げて何かがやってくる。
それは触手の軍勢を轢き殺し、巨大な砲塔からの射撃で吹き飛ばし、様々な銃火器の掃射で撃ち払い、こちらに向かって爆進してくる。
「アニキィィィィィィーッ! ミロ嬢ちゃぁぁぁぁぁぁーん!」
助太刀に来たぜよーッ! とダインが大声を張り上げる。
彼はその足下に巨大車両を駆っていた。
──分厚い装甲で鎧われた巨大トレーラーだ。
全長は20mを楽に超えており、その雄々しい装甲と武骨なデザインは戦車運搬車のようで、戦闘用車両なのが一目でわかる。
現に車両のあちこちから砲塔や重火器が火を噴いていた。
あのゴテゴテした感じ、まるで──。
「何あれスゴい! 巨大ロボットとかに変形しそう!」
ミロが幼稚な感想を口にした瞬間──それは現実となった。
「フォームアップ、ダインローダーッ!」
ツバサたちの真下まで来たトレーラーは、ダインの掛け声で急停止する。そしてウィリーする形で車両の前方を持ち上げると変形を始めた。
巨木のような2本の脚で立ち上がり、一対の鉄腕を左右へと伸ばす。車両の各部に配置されていた武装も、肩や両腕や両足へと移動していく。
巨大人型ロボットになりつつあるが、まだ頭部らしきものがない。
すると、ダインがロボットの胸部へ吸い込まれていく。
「──魂魄接続!!」
ダインがロボットに組み込まれると、胸部にエンブレム型の装甲が装着され、ようやく頭部が飛び出してアンテナなどの装飾が整う。
完全変形を果たした巨大ロボットは、全身から雷鳴のエフェクトを発して各部から蒸気を噴き出すと、歌舞伎の見得にも見たポージングを取った。
「巨神王──ダイダラス! 降・臨! ぜよッ!!」
飛行機能も備えているのか、ダイダラスはツバサたちの背後を守るように上昇してくる。それを見てミロはキャッキャッと大はしゃぎだ。
ミロ、ロボットアニメとか特撮も大好きだからなぁ……。
ツバサも中学生の頃なら喜べたが、さすがに卒業してしまった。
「変形に時間取りすぎだし、その隙に攻め放題だよな」とか、現実主義者的な観点でツッコんでしまい、もう子供の気持ちでは楽しめない。
しかし、オカンになっても男の子──童心は擽られた。
「待たせたぜよアニキにミロ嬢ちゃん! こいでわしも戦えるがじゃ!」
ロボの両眼を点滅させながら、ダインがスピーカー越しに喋る。
「ダイン、それが君の過大能力か?」
「うんにゃ、こいつぁわしの追加武装じゃ。過大能力じゃないぜよ」
けどな──ダイダラスの機体が重低音を奏で始める。
キャノン砲、ミサイルランチャー、ビーム砲、バルカン砲……。
全身に装備したロボット風兵器が照準を調整していた。
狙うは言うまでもなく──触手の王。
「こいつぁわしの自慢の一品……過大能力にも劣りゃせんぜよッ!」
ダイダラスからの一斉掃射。
触手の王は新手の出現に触腕の全てを使ってダイダラスの攻撃を防ぐが、20本では足らず、ついには保険の7本まで盾にして本体を守る。
ダイダラスの砲撃は──27本の触腕をまとめて撃ち破った。
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