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一章

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それは今から1週間前の話






「今日は待ちに待った席替えをするぞー!」



前々から予定していた席替え

新学期入ってからもう6ヶ月経つのに
未だに席は名簿順

ようやく先生が席替えの許可をだしてくれて
みんな新しい場所が何処になるのか
わいわい騒いでいる



「叶、また近くがいいね!」


「そうだね!次は咲和ちゃんと隣同士がいいな」



私の名前は時守 叶(ときもり かな)

高校2年生、ごく普通の女の子です



「今は前後だもんねー
あたしも隣同士がいいな!」



この子は私の幼なじみ
幼稚園からずっと一緒の
幸坂 咲和(こうさか さわ)



「次はこの列、くじ引きに来ーい」


「やっとか!」 「どこになるか楽しみ!」

「窓側がいいなー」 「後ろだったら神」


「あたし達も引きに行こ!」


「うん!」



順々にくじを引いて
黒板に書かれてある番号と見合わせて
自分がどこなのか探す



「あらら……残念
隣同士とはいかなかったねー」


「でもまた前後だよ!よろしくね」



よかった!また咲和ちゃんと一緒

次は隣が男の子か



机と椅子をもって決まった場所に
それぞれ移動する

私は窓側の4列目

私のクラスは奇数なため
窓側の5列目は1人になる

そこが咲和ちゃん



「よしっ!みんな移動したな
じゃあ今日からこの席で授業やるぞ」



今日の1限は化学だったね

私の担任は化学の教科担当教師
HRの終わりの号令すらなく

化学の授業にはいる



「ごめん、ちょっといい?」


「うん?」



隣の席から男の子がごめん!って
手を顔の前におきながら

小さな声で話す



確か、彼は芽蕗くん

芽蕗 千尋(めぶき ちひろ)くんだっけ?



関わりないから苗字しか覚えてなくて
あやふやだけど多分合ってると思う



「どうしたの?」


「化学の教科書、家に忘れてきたみたい
ごめん!一緒に見てもいい?」


「全然いいよ、教科書真ん中に置くね!」


「ありがと、助かる」



芽蕗くんはそう言うと
鞄からメガネを取り出して
黒板の文字をノートに写す



芽蕗くん、眼鏡かけてるんだ……

体育の時とかたまに見かける休憩時間とかは
かけてるとこ見た事ないから
授業の時だけなのかな?



芽蕗くんはイケメンさんより

私、彼のことは
運動がものすごく抜群なことしか
知らないけど………

かっこよくて真面目で人気者なんだよね

よく周りの女の子達が噂してるのを耳にする



私もノートに文字を写しながら
時々窓の外を見たり

後ろにいる咲和ちゃんと
問題時あったりして

化学、数学、世界史と
その日の授業を終わらせた



放課後になって



「気を付けて帰れよー
寄り道するやつ、遅くまで残ってんなよ!」



先生から秒で終わるHRを聞いて
鞄に教科書類を片付けていく



「時守さん」


「芽蕗くん、なに?」


「今日化学のときほんと助かった
ありがとう」



また明日と彼は私に手を振る



「また何かあったらいつでも言って!
また明日ね!バイバイ」



私も彼に手を振り返す

席替えをしたばかりだけど
今日1日で新しい友達と呼べる
親しい人が出来たことに嬉しさを感じる

クラスでは静かよりにいる私は
目立つタイプではなく

どちらかというと教室の端の端のすみっこに
ひっそりといるような感じ

中々みんなと仲良くなれなくて
仲良くなれたのは咲和ちゃんくらい

それも咲和ちゃんから
私に話しかけてくれたから仲良くなれたこと



咲和ちゃん以外、しかも男の子と
仲良くなれたのは1歩前進かも!と
自分の中で思う



「叶!今日これから暇?」


「うん、何も無いよ!」


「久々駅前でご飯食べて帰ろ!」



新学期入って、私たちの乗る電車の
駅前に出来たカフェ

私達は最近、そこで外食して帰るのに
ハマっている

そのカフェででる料理が美味しすぎて

学校のみんなのたまり場
その1になっている



「新しくでた苺の盛り合わせタルト特大サイズ!
あれ食べてみたくて!」


「咲和ちゃん苺大好きだもんね!
いいよ、行こ!」



私は母に[咲和ちゃんとご飯食べて帰る]と
打ち、メッセージを送って

咲和ちゃんと一緒にカフェに行った


















「ん~~っ!!!美味しすぎる!!
苺てんこ盛り巨大タルト!」


「咲和ちゃん、タルトの名前変わってる‪(笑)」



苺の盛り合わせタルト(特大)を食べながら
お互いの趣味の話だったり
他愛のない話をしながら、電車を待つ



「そういえば、この前すすめてくれたゲーム!
あれ、めちゃめちゃ面白いね」



私はかなりのゲーム好き

得意下手関係なく色んなゲームをする
ゲーム自体が好きだから

そんな私が最近ハマっている
『ヒヤシンスの花言葉』って
名前の乙女ゲーム



ストーリーが幅広く
攻略対象がみんな絶妙に良いキャラしてて

好感度も上げやすく楽しみやすい



なんでも、そこにでてくるヒロインが
まぁ、可愛い!

ゲームのパッケージ名に書かれている通り
ヒロインの名前はヒヤシンス

淡い桃色の髪色にふわふわとした雰囲気
まさにお姫様って感じの女の子



ヒロインが可愛すぎて
ヒロイン攻略したい!ってたまになる(笑)



乙女ゲームだから悪役ももちろんいるけど
今回悪役は王家の王女様

ヒロインと同い年だけど
博学で真面目な未来の後継者

悪役要素0の悪役令嬢
マリーゴールド



マリーゴールドもまぁ、美人さん!

ヒロインとは違って、
自分の意思でなんでもこなす
キリッとした姿がかっこいい



このゲーム、ヒヤシンスの花言葉いがいにも
このマリーゴールドが主人公のゲームも
出しててもうハマりまくり



「でしょ!咲和ちゃんもそのうち
攻略対象より、ヒロインと悪役のほうが
好きになっていくよー」


「あたし、このマグノリアが好きかな
今作は脇役だけど」


「マグノリアも美人だよね!
ヒロインの親友でお姉さん系」



ゲームの話をしだしたらとまらない

語り尽くしていたらあっという間に
電車がくる数分前

 

「ありがとうございましたー」



「美味しかった!」


「抹茶のクッキーも初めて食べたけど
美味しかったよ!」



電車にのり、その中でもゲームや
漫画の話をして

家まで2人でぶらぶらと帰る



私達は幼なじみ、私の家の目の前に
咲和ちゃんの家がある

登下校はずっと一緒



「楽しかった!叶、また明日ね!」


「またカフェ行こーね!」



家に着いたのは7時前くらい

そろそろ親が心配するから
話の続きはスマホから!って
それぞれ家に帰宅した

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