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しおりを挟む「ああ…何という事…お背中まで……」
男は服を脱がせようと、力の入らない俺の身体をうつ伏せにした瞬間、声を震わせた。背中にも傷があるから、それを見てしまったのだろう。
「ここは深いですね…何をされたのですか?」
服を脱がせ、背中の傷に愛おしそうにキスをしながら男が尋ねてくる。もう昔の事だし言ってもいいか。
その傷はなんだっけ。あ、SM好きなおっさんに鞭で叩かれたんだっけ。
「それは…SM好きな方に鞭で何度も叩かれたんです」
「叩かれただけでこんなになりますか?」
「だから、血が出るまでっていうか」
「……」
男は黙ってしまった。こういう話に慣れてはいないようだ。
「あ、すみません。これからって時にこんな話はしない方が良かったですね」
「いえ…大丈夫です。その、この傷をつけた方のお名前は分かりますか?」
「さあ…昔の話ですし、お客様は沢山いましたから…覚えてません」
「そうですか」
男は悔しそうに拳を握っている。俺の事が本当に好きみたいだし、許せないんだろう。その気持ちはありがたいけど、いつまでも昔の話をするつもりはなかった。
「まあ、もう昔の事ですから。続き、しないんですか?」
「…します」
「それでいいんです。誰がやったかなんて忘れてください」
俺が身体を反転させて男の肩に手をかけると、男はごくりと息を飲んだ。うーん、本当にいい身体だな。これで前世とか言わなくてまともな見た目で、俺も女だったら、自分から抱かれてもいいって思ってたかも。
そう思ったら不思議と我慢できなくなってきて、自分のペニスが固くなるのを感じた。珍しい。娼館にいた時でもこんな事なかったのに。
向こうから来ないならこっちが行くしかない。なかなか進もうとしない男に焦れた俺は、身体を起こして男を見つめた。
「ルディ様?」
男が名前を呼んできたが、無視して男の胸に触れた。それだけで男はビクッとなり、硬直している。
俺は気にせず男の胸に唇を寄せ、ちゅっ…と音を立ててみた。
「この傷はどうしたんですか?」
ベロリとその傷を舐め、ついでに乳首も触りながら質問してみる。もちろん目線は男を見たまま。
すると、男は苦しげな声で答えてきた。
「そ、それは、若い頃に鍛錬の最中にできた傷で…、……っ、」
「どこで?」
「山で…足を踏み外して、崖から落ちました」
「それは…ずいぶんと危ない鍛錬ですね」
「若い頃っ、は、強くなるために、なんでも…やりました」
「ふーん…。だからこんなにたくましいんだ?」
「はい、いつも鍛えてますから」
どのくらい強いのかは知らないが、自分でその強さに自信はあるらしい。強さの基準言われても分からないから聞かないけど。
「じゃあ、こっちも期待していいって事ですか?」
「うっ……」
俺が男のズボン越しにペニスを撫でると、途端に男が呻いた。まさか触られると思っていなかったらしい。
男のペニスはすでに膨らんでいて、その布越しでも分かるくらいに大きかった。慣らしたとはいえ、大丈夫かな。鍛えてる奴は大抵体力馬鹿だから、入れてから出すまで時間がかかる可能性がある。それだけは避けたい。ここで一日寝てるなんて事にはなりたくないし。
ま、全部受け止めないで最初は口にするか。
俺は男の身体をゆっくりと押し倒し、その上に馬乗りになった。
「ル、ルディ様、何を……!」
「んー、あなたのモノが思っていたより大きくて、ちょっと…全部受け止める自信ないから、最初は口でしますね」
男のズボンに手をかけ、チャックを下ろして下着をずらすと、中身の詰まった固いものが飛び出してきた。
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