黒の騎士と銀の少年

マメ

文字の大きさ
上 下
6 / 12

6 *

しおりを挟む


「ああ…何という事…お背中まで……」

 男は服を脱がせようと、力の入らない俺の身体をうつ伏せにした瞬間、声を震わせた。背中にも傷があるから、それを見てしまったのだろう。

「ここは深いですね…何をされたのですか?」

 服を脱がせ、背中の傷に愛おしそうにキスをしながら男が尋ねてくる。もう昔の事だし言ってもいいか。

 その傷はなんだっけ。あ、SM好きなおっさんに鞭で叩かれたんだっけ。

「それは…SM好きな方に鞭で何度も叩かれたんです」

「叩かれただけでこんなになりますか?」

「だから、血が出るまでっていうか」

「……」

 男は黙ってしまった。こういう話に慣れてはいないようだ。

「あ、すみません。これからって時にこんな話はしない方が良かったですね」

「いえ…大丈夫です。その、この傷をつけた方のお名前は分かりますか?」

「さあ…昔の話ですし、お客様は沢山いましたから…覚えてません」

「そうですか」

 男は悔しそうに拳を握っている。俺の事が本当に好きみたいだし、許せないんだろう。その気持ちはありがたいけど、いつまでも昔の話をするつもりはなかった。

「まあ、もう昔の事ですから。続き、しないんですか?」

「…します」

「それでいいんです。誰がやったかなんて忘れてください」

 俺が身体を反転させて男の肩に手をかけると、男はごくりと息を飲んだ。うーん、本当にいい身体だな。これで前世とか言わなくてまともな見た目で、俺も女だったら、自分から抱かれてもいいって思ってたかも。

 そう思ったら不思議と我慢できなくなってきて、自分のペニスが固くなるのを感じた。珍しい。娼館にいた時でもこんな事なかったのに。

 向こうから来ないならこっちが行くしかない。なかなか進もうとしない男に焦れた俺は、身体を起こして男を見つめた。

「ルディ様?」

 男が名前を呼んできたが、無視して男の胸に触れた。それだけで男はビクッとなり、硬直している。

 俺は気にせず男の胸に唇を寄せ、ちゅっ…と音を立ててみた。

「この傷はどうしたんですか?」

 ベロリとその傷を舐め、ついでに乳首も触りながら質問してみる。もちろん目線は男を見たまま。

 すると、男は苦しげな声で答えてきた。

「そ、それは、若い頃に鍛錬の最中にできた傷で…、……っ、」

「どこで?」

「山で…足を踏み外して、崖から落ちました」

「それは…ずいぶんと危ない鍛錬ですね」

「若い頃っ、は、強くなるために、なんでも…やりました」

「ふーん…。だからこんなにたくましいんだ?」

「はい、いつも鍛えてますから」

 どのくらい強いのかは知らないが、自分でその強さに自信はあるらしい。強さの基準言われても分からないから聞かないけど。

「じゃあ、こっちも期待していいって事ですか?」

「うっ……」

 俺が男のズボン越しにペニスを撫でると、途端に男が呻いた。まさか触られると思っていなかったらしい。

 男のペニスはすでに膨らんでいて、その布越しでも分かるくらいに大きかった。慣らしたとはいえ、大丈夫かな。鍛えてる奴は大抵体力馬鹿だから、入れてから出すまで時間がかかる可能性がある。それだけは避けたい。ここで一日寝てるなんて事にはなりたくないし。

 ま、全部受け止めないで最初は口にするか。

 俺は男の身体をゆっくりと押し倒し、その上に馬乗りになった。

「ル、ルディ様、何を……!」

「んー、あなたのモノが思っていたより大きくて、ちょっと…全部受け止める自信ないから、最初は口でしますね」

 男のズボンに手をかけ、チャックを下ろして下着をずらすと、中身の詰まった固いものが飛び出してきた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

忘れられない君の香

秋月真鳥
BL
 バルテル侯爵家の後継者アレクシスは、オメガなのに成人男性の平均身長より頭一つ大きくて筋骨隆々としてごつくて厳つくてでかい。  両親は政略結婚で、アレクシスは愛というものを信じていない。  母が亡くなり、父が借金を作って出奔した後、アレクシスは借金を返すために大金持ちのハインケス子爵家の三男、ヴォルフラムと契約結婚をする。  アレクシスには十一年前に一度だけ出会った初恋の少女がいたのだが、ヴォルフラムは初恋の少女と同じ香りを漂わせていて、契約、政略結婚なのにアレクシスに誠実に優しくしてくる。  最初は頑なだったアレクシスもヴォルフラムの優しさに心溶かされて……。  政略結婚から始まるオメガバース。  受けがでかくてごついです! ※ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも掲載しています。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

使用人の俺を坊ちゃんが構う理由

真魚
BL
【貴族令息×力を失った魔術師】  かつて類い稀な魔術の才能を持っていたセシルは、魔物との戦いに負け、魔力と片足の自由を失ってしまった。伯爵家の下働きとして置いてもらいながら雑用すらまともにできず、日々飢え、昔の面影も無いほど惨めな姿となっていたセシルの唯一の癒しは、むかし弟のように可愛がっていた伯爵家次男のジェフリーの成長していく姿を時折目にすることだった。  こんなみすぼらしい自分のことなど、完全に忘れてしまっているだろうと思っていたのに、ある夜、ジェフリーからその世話係に仕事を変えさせられ…… ※ムーンライトノベルズにも掲載しています

もう遅いなんて言わせない

木葉茶々
BL
受けのことを蔑ろにしすぎて受けに出ていかれてから存在の大きさに気づき攻めが奮闘する話

花に願う

BL
「三年に一度だけ、手に入れると絶対に恋が叶う花が出現する」という話を聞いた。僕はその花を手に入れたいと思ってしまった。もうすぐ卒業を控え、その前にこの恋を叶えたかったのだ。奔走しながらいよいよその日がやってきた。花は手に入るのか?無自覚受が恋に一生懸命になるお話です。■学園コメディー■なんちゃってファンタジー■家格のない貴族風 クリストファー・ランドルフ ジェラルド・エヴァーツ ★夏芽玉様企画参加作品2023 #恋が叶う花BL

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

パン屋の僕の勘違い【完】

おはぎ
BL
パン屋を営むミランは、毎朝、騎士団のためのパンを取りに来る副団長に恋心を抱いていた。だが、自分が空いてにされるはずないと、その気持ちに蓋をする日々。仲良くなった騎士のキトラと祭りに行くことになり、楽しみに出掛けた先で……。

武器屋さんが拾ったのは、曰くつきの少年でした

マメ
BL
武器屋を営んでいるエンソラは、ある日、武器を作るための素材を集めに洞窟に向かったが、 そこで魔物に襲われている少年を助ける事になる。少年は怪我をしていて、さらに帰る場所がないと訴える彼を見放す事ができず、エンソラは彼を怪我が治るまでという理由をつけ、連れて帰る事になる。 だが、知人の医師に診てもらうと、少年はこの国では珍しい竜族の少年という事が判明して……。 ※小説になろう(ムーンライトノベルス)にも掲載している作品です。 獣人×竜族の少年

処理中です...