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<現実>
現実
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カードキーを大切に財布に仕舞うと部屋の掃除を始める。
シーツを変えてベッドメイキングをしていると足元をロボット掃除機が掠めていく。
きちんと障害物をよけてツツツと動いていく姿が可愛くて、ベッドの上でいつまでも見ていられる。自分の部屋では障害物だらけで動かすことが出来ないが、ここなら広いし部屋もいくつかあるから、ごうちゃんもお掃除が楽しそうだ。
ごうちゃんというのは、勝手に名付けてひっそりと呼んでいたりする。
「ごうちゃんおはよう」
ロボット掃除機に挨拶をしてからキッチンに向かい、トーストとコーヒーだけの簡単な朝食をとる。
何時もなら郷さんと一緒に食べるのに、一人で空回りして貴重な時間を潰してしまった。
もっと自分に自信があれば、郷さんに甘えたりとかできるのに。一人で食べる食事は味気ない。
キッチンの掃除をして、ごうちゃんがやってくる姿を見ながら、開けたことのない部屋の前に行く。
いくらなんでも、部屋を勝手に覗くのはよくないよな・・・と、思いつつ誘惑には勝てずゆっくりとドアを開ける。
使っていない部屋ってここだったんだ。
自分のワンルームの部屋が丸々入るくらいの部屋には、何一つおかれることなくがらんとした空間になっていた。
「ここに・・・」
本当は一緒に暮らしたい。
365日郷さんを感じたい、でも郷さんの気持ちがずっと続くわけじゃない。
明日とか、明後日とかに本当は好きな人がいるとか言われたら、部屋を出ていけとか言われたら、行くところもなく途方にくれてしまう。
郷さんを好きすぎて、マイナスな感情しか持てなくて、なんかお笑い芸人の”何とか草薙”みたいだ。
「買い物に行ってこよう」
言葉に出してから玄関に向かった。
お肉コーナーで肉を物色しながらメニューを考える。
レバニラとか目的がバレバレだし・・・
豚のしょうが焼きとかいいかも!
恋人というか、奥さんみたいだ・・・
自分で言っておいてなんだか、恥ずかしい。
今朝渡されたカードキーをスキャンする。
ドアを開けると違和感を感じた。
出掛けるときにはなかった
シャンパンゴールドのハイヒールが無造作に脱ぎ捨てられている。
廊下の先から「ごう」と言いながら
艶やかな長い黒髪の女性が歩いてくる
郷さんと並んだら、きっとすごくお似合いで誰もが振り返るほどの美人だった。
「誰?ごうの知り合い?」
「いえ、間違えました」
そう言うとカードキーをシューズボックスの上に置くと部屋を出た。
シーツを変えてベッドメイキングをしていると足元をロボット掃除機が掠めていく。
きちんと障害物をよけてツツツと動いていく姿が可愛くて、ベッドの上でいつまでも見ていられる。自分の部屋では障害物だらけで動かすことが出来ないが、ここなら広いし部屋もいくつかあるから、ごうちゃんもお掃除が楽しそうだ。
ごうちゃんというのは、勝手に名付けてひっそりと呼んでいたりする。
「ごうちゃんおはよう」
ロボット掃除機に挨拶をしてからキッチンに向かい、トーストとコーヒーだけの簡単な朝食をとる。
何時もなら郷さんと一緒に食べるのに、一人で空回りして貴重な時間を潰してしまった。
もっと自分に自信があれば、郷さんに甘えたりとかできるのに。一人で食べる食事は味気ない。
キッチンの掃除をして、ごうちゃんがやってくる姿を見ながら、開けたことのない部屋の前に行く。
いくらなんでも、部屋を勝手に覗くのはよくないよな・・・と、思いつつ誘惑には勝てずゆっくりとドアを開ける。
使っていない部屋ってここだったんだ。
自分のワンルームの部屋が丸々入るくらいの部屋には、何一つおかれることなくがらんとした空間になっていた。
「ここに・・・」
本当は一緒に暮らしたい。
365日郷さんを感じたい、でも郷さんの気持ちがずっと続くわけじゃない。
明日とか、明後日とかに本当は好きな人がいるとか言われたら、部屋を出ていけとか言われたら、行くところもなく途方にくれてしまう。
郷さんを好きすぎて、マイナスな感情しか持てなくて、なんかお笑い芸人の”何とか草薙”みたいだ。
「買い物に行ってこよう」
言葉に出してから玄関に向かった。
お肉コーナーで肉を物色しながらメニューを考える。
レバニラとか目的がバレバレだし・・・
豚のしょうが焼きとかいいかも!
恋人というか、奥さんみたいだ・・・
自分で言っておいてなんだか、恥ずかしい。
今朝渡されたカードキーをスキャンする。
ドアを開けると違和感を感じた。
出掛けるときにはなかった
シャンパンゴールドのハイヒールが無造作に脱ぎ捨てられている。
廊下の先から「ごう」と言いながら
艶やかな長い黒髪の女性が歩いてくる
郷さんと並んだら、きっとすごくお似合いで誰もが振り返るほどの美人だった。
「誰?ごうの知り合い?」
「いえ、間違えました」
そう言うとカードキーをシューズボックスの上に置くと部屋を出た。
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