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<合鍵>
合鍵
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目を覚ますとベッドの中には悠歩一人だった。
あれ?月曜日だったけ?
自分の部屋のベッドよりもはるかに大きなサイズで郷の部屋だと気付く。
いつもなら感じる体温がなく、広いベッドは少し寒いくらいだ。
昨夜、エッチの最中で考え事してしまい途中でやめてしまったり、一緒に住もうと言ってくれたのに断ったり・・・
嫌われてしまったのかもしれない。
今までなら、そんなことを言われたら何も考えず飛び上がって喜んだと思う。
でも今は、この場所を失いたくなくて考えすぎて空回りしてしまう。
断ってしまってから不安になり、それからなかなか寝付けなかった。
郷さんは出掛けてしまったんだろうか。日曜日も忙しい郷さんだけど、今までなにも言わずに出掛けることはなかった。
やっぱり・・・
悠歩がベッドの上で呆然としていると、眼鏡はしていないがグラントの時のように黒髪を後ろに流し、動きによってうっすらと柄が見えるシャドーチェックのスーツを身に纏った郷が悠歩のもとに来てベッドに腰かける。
「おはよう悠歩」
いつもと変わらない郷の態度に泣きそうになる。
「昨日のこと怒ってないの?」
「昨日?」
「その・・・出来なかったり、断ったり・・・」
一瞬、郷の表情が険しくなる。
あまり見ることの無い表情に悠歩は萎縮していると、郷は「はぁ」と、一つ息を吐く
「昨夜のことで私が腹をたてる要素は何も無いでしょう。むしろ、唐突に一緒に住もうと言ったのは先走りすぎましたし、セックスは昨夜も言いましたが、あくまでも二人の気持ちとコンディションの問題で片方だけの気持ちでするものじゃない」
「むしろ、そんなことに腹をたてるような人間だと思われていることに、少しカチンときました。」
郷は悠歩の泣きそうな顔を覗き込むと、その頬を優しく撫でた
「すみません」
「いひゃん」
唐突に郷に強く乳首をつままれ固まってしまった
え?何?
「悠歩が意味もなく私に謝ったら、ペナルティとして乳首をつねります」
「が、この様子だと、罰になって無いようですね」
そういうと、笑いながらキスを落とす
確かに、少し痛いけど気持ちがいいほうが勝っていたかも
「ごめ・・・」
また謝りそうになって、あわてて口を押さえる。
郷はそんな姿の悠歩がいとおしく感じるが、もっと感情をぶつけてくれたらいいのにとも思う。
「今日は打ち合わせがあって、もう出掛けないといけない。」
「悠歩はどうします?ゆっくりしてもらってもいいですし、夕方には戻るので夕食を一緒にできたら嬉しいですが」
「いていいの?」
「当たり前じゃないですか。むしろ、そうしてくれるとわたしも嬉しいし、仕事の頑張りがいがあります」
悠歩はみるみるうちに全身が赤く染まっていく。
郷は「それから」と言ってサイドテーブルの引き出しを開けて一枚のカードを取り出すと、悠歩に手渡した。
「え?これ」
「ようやく出来てきました。部屋の鍵です」
「これがあれば、自由に部屋に入れますから、何時でも来てください」
「夜中に寝込みを襲ってもいいんですか」
「夜這いは大歓迎ですよ」
そう言ってから悠歩の耳元で「足腰たたなくなるくらい返り討ちにしてあげます」
ニッコリと微笑む郷
「冗談になってないけど」
「冗談じゃ無いですから」
二人で顔を見合わせて笑ってから軽く唇を重ねて郷は出掛けて行った。
ベッドの上でカードキーを眺めながらゴロゴロと転がる。
合鍵とか渡されたの初めてなんだよな~。
こんなに嬉しいんだ!一緒に暮らすのはフラれた時が怖いけど合鍵をもらうくらいなら大丈夫だよね。
後で買い物をして、夕飯は何かすごいものを作って郷さんを待とう。
なんとなく新妻みたいだとニヤニヤが止まらなかった。
あれ?月曜日だったけ?
自分の部屋のベッドよりもはるかに大きなサイズで郷の部屋だと気付く。
いつもなら感じる体温がなく、広いベッドは少し寒いくらいだ。
昨夜、エッチの最中で考え事してしまい途中でやめてしまったり、一緒に住もうと言ってくれたのに断ったり・・・
嫌われてしまったのかもしれない。
今までなら、そんなことを言われたら何も考えず飛び上がって喜んだと思う。
でも今は、この場所を失いたくなくて考えすぎて空回りしてしまう。
断ってしまってから不安になり、それからなかなか寝付けなかった。
郷さんは出掛けてしまったんだろうか。日曜日も忙しい郷さんだけど、今までなにも言わずに出掛けることはなかった。
やっぱり・・・
悠歩がベッドの上で呆然としていると、眼鏡はしていないがグラントの時のように黒髪を後ろに流し、動きによってうっすらと柄が見えるシャドーチェックのスーツを身に纏った郷が悠歩のもとに来てベッドに腰かける。
「おはよう悠歩」
いつもと変わらない郷の態度に泣きそうになる。
「昨日のこと怒ってないの?」
「昨日?」
「その・・・出来なかったり、断ったり・・・」
一瞬、郷の表情が険しくなる。
あまり見ることの無い表情に悠歩は萎縮していると、郷は「はぁ」と、一つ息を吐く
「昨夜のことで私が腹をたてる要素は何も無いでしょう。むしろ、唐突に一緒に住もうと言ったのは先走りすぎましたし、セックスは昨夜も言いましたが、あくまでも二人の気持ちとコンディションの問題で片方だけの気持ちでするものじゃない」
「むしろ、そんなことに腹をたてるような人間だと思われていることに、少しカチンときました。」
郷は悠歩の泣きそうな顔を覗き込むと、その頬を優しく撫でた
「すみません」
「いひゃん」
唐突に郷に強く乳首をつままれ固まってしまった
え?何?
「悠歩が意味もなく私に謝ったら、ペナルティとして乳首をつねります」
「が、この様子だと、罰になって無いようですね」
そういうと、笑いながらキスを落とす
確かに、少し痛いけど気持ちがいいほうが勝っていたかも
「ごめ・・・」
また謝りそうになって、あわてて口を押さえる。
郷はそんな姿の悠歩がいとおしく感じるが、もっと感情をぶつけてくれたらいいのにとも思う。
「今日は打ち合わせがあって、もう出掛けないといけない。」
「悠歩はどうします?ゆっくりしてもらってもいいですし、夕方には戻るので夕食を一緒にできたら嬉しいですが」
「いていいの?」
「当たり前じゃないですか。むしろ、そうしてくれるとわたしも嬉しいし、仕事の頑張りがいがあります」
悠歩はみるみるうちに全身が赤く染まっていく。
郷は「それから」と言ってサイドテーブルの引き出しを開けて一枚のカードを取り出すと、悠歩に手渡した。
「え?これ」
「ようやく出来てきました。部屋の鍵です」
「これがあれば、自由に部屋に入れますから、何時でも来てください」
「夜中に寝込みを襲ってもいいんですか」
「夜這いは大歓迎ですよ」
そう言ってから悠歩の耳元で「足腰たたなくなるくらい返り討ちにしてあげます」
ニッコリと微笑む郷
「冗談になってないけど」
「冗談じゃ無いですから」
二人で顔を見合わせて笑ってから軽く唇を重ねて郷は出掛けて行った。
ベッドの上でカードキーを眺めながらゴロゴロと転がる。
合鍵とか渡されたの初めてなんだよな~。
こんなに嬉しいんだ!一緒に暮らすのはフラれた時が怖いけど合鍵をもらうくらいなら大丈夫だよね。
後で買い物をして、夕飯は何かすごいものを作って郷さんを待とう。
なんとなく新妻みたいだとニヤニヤが止まらなかった。
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