追憶のアイデア

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【未完】さくらばな

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 三月十四日。
 先週の日曜日までは確かに咲いていた桜も、僕ら聖陽高校七八期生の卒業式を目前に散ってしまった。だから、というわけでもないけど、きっと今頃には終わっている卒業式に僕は出席しなかった。僕はいつもより少し遅く起きて、台所で昼ご飯の支度をしていた。
 普段なら母さんがやってくれるのだけど、今日はなんだか料理がしたい気分だったから、母さんには「自分でやる」と言った。父さんと母さんは静かに頷いてくれた。
 もとよりあの学校には大した思い入れもない。友人もいない僕のような奴が卒業式を欠席したところで、きっと誰の迷惑にもならないだろう。
『学校行事はサボっちゃダメだって! んもー、一文は相変わらず冷めてるなあ。どうしても行かないんなら、明日の朝は私が迎えに行っちゃうぞー』
彼女なら、そう言ってくれたのだろうか。きっと言ってくれるんだろう。いつものニヤついた表情で、マルカワのフーセンガムでも膨らませながら。
そんな想像をしながら中華麺の袋をあけて沸騰した鍋の中に入れてやる。コポコポという小気味いい音が聞こえて、思わずにやけてしまった。
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