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幾久しく幸せな日々
エピローグ となりにはいつも
しおりを挟む2課視点
大雪が降った早朝、冴木課長より2課の面々にメールが届いた。
差出人:冴木課長
宛先:山城〉
宮本〉
佐々木〉
谷口〉
本日の出勤について
昨日の大雪で交通機関は麻痺していると思う。
その為、2課はフレックス出社を課長命令とする。
和田部長へは連絡済み。
皆、道中細心の注意で出社するように。
佐々木さんと谷口さんは特に気をつけてください。
以上。
追伸
加藤さんも本人の意思によりフレックス出社予定。
色々聞きたい事もあるだろうが、今日はそっとしてやってくれ。
後、みんなありがとう。
冴木
11:00 オフィスにて
「ありがとうってことは上手くいったって事かしらね。」
ちょっと納得いかない顔の美魔女谷口。
「そうね。きっと二人の愛は、より絆を深めたのよっ!
・・あのリボン使ったのかしら・・。
あらっ!私ったらはしたないっ!」
きゃっと言わんばかりに顔を手で覆いつつ、好奇心は隠せない乙女な佐々木女史。
「まあ、気になりますよね。
・・課長、どこ縛られちゃったんだろ。・・羨ましい・・。」
本音がダダ漏れ、忠犬宮本。愛しの飼い主に相談すれば、多分願いは叶うはず・・?
「宮本、それ加藤さんに言ったらダメなやつ。
気をつけろよ?」
ちょっとみんなの頭が朝からピンクでも、動じない冷静沈着男子山城。
その心のうちは・・、するのは無理だが、可愛く想うあの子になら・・どうしてもって言うなら、されてみるのもやぶさかではない?いや、やっぱり理性が邪魔をする・・予想通りな真面目男子。
バタンッ。そこに、幸せオーラみなぎる冴木課長と、ちょっとふらつきながらも腰に支えは不要とばかりに少しだけ距離をとった加藤さんが出社。
なんだかちょっとデジャヴである。
でも・・、
二人に流れる甘い雰囲気は、クリスマスの時と違い浮き足立ったものではなく、互いの想いを再確認しあった確かな愛を感じるものへ変貌していた。
どうやら、課長の暴走はまたしても加藤さんの頑張りで終着し、恋愛初心者な課長はレベルアップをしたようだ。
「おはよう、みんな今朝は大丈夫だったか?
体調が優れないものは早めに言ってくれ。
インフルエンザも流行しているし、ムリは禁物だ。
・・昨日はありがとう。
先に帰社させてもらって助かった。
皆には感謝している、だからこそなんだが・・。
加藤さんと結婚する運びとなった。
まだ、両家には挨拶はしていないが決定事項なので、よろしく。」
満面の笑みでのご報告。
今回ばかりは、加藤さんも恥ずかしげにぺこりと頭を下げた。
「おめでとう~!!いやーん、嬉しい!すごく嬉しい!」
「まじおめでとうございます!!いいすっね。結婚!俺もしたい!」
興奮する二人。一名、自分の欲求を吐露している。
「加藤さんがいいなら・・ね。いつでも相談乗るわよ?」
今日の笑みは女神様。
しかしいつ、美魔女のスキルが発揮されるかは分からない。
「無事当て馬になれてよかったです。
早く身を固めた方が課長が心身ともに落ち着くと思いますので、加藤さんには感謝しかありません。」
自分が目指す上司からあらぬ嫉妬を受け、当て馬感を感じていた山城、これ以上のとばっちりは御免という事だ。
「指輪は?これから?楽しみねぇ。」
乙女の佐々木女史としては気になるところ。
「そうですね、これからですが・・。」
そう言いつつ、昨日のスーツのままでも格好良さは変わらない冴木課長は華の左手を優しく下からすくい上げると、自身の親指のはらで華の薬指の付け根をさりげなく上下に擦り上げると、
「ここには、結婚指輪とセットになった婚約指輪をしてもらおうかと・・。」
冴木課長が甘く蕩けちゃいそうに見つめるのは、真っ赤な顔の加藤さん。
「っ!!は、はい、そーですね!」
手を引き抜こうとするが、がっちり掴まれ・・撤退は無理なようだ。
「気が変わらないうちに、結婚までの最短距離を狙ってるわね・・。」
さすが美魔女。恋するハイスペックイケメンの狙いが分かったようだ。
恋するハイスペックイケメンは、しっかり加藤さんの逃げ道を塞いで、
やっぱり・・なんて言わせる隙は作らない。
赤くなった加藤さんを甘く見つめたまま冴木課長はその麗しい顔に加藤さんの手を近づけると、
ちゅっと加藤さんの指先にキスをした。
え?
キス?
指先にキスしやがりましたよ、この課長・・。
これは2課の総意。
「さて、お仕事しましょう。今日はどうせ物流止まってるわよね。」
「そうですね、相手先も分かってはいますが、優先順位の高い契約から先に流していく必要がありますね。個々に連絡しましょうか?」
すっかりお仕事モードな山城と美魔女。
「なんと、リアルでイケメンのおててにチュを見てしまったわっ!!」
「いいな。社内恋愛・・。お姉さんに会いたい・・。」
心の声が聞こえちゃってる佐々木女史と宮本。
「みんなの前ではやめてください!」
泣きそうに恥ずかしがる加藤さん。
やっと、自分の手を取り返しプンプンしているが、
「じゃあ、二人だけの時ね?」
「っ!!」
耳元に甘い声で囁かれると色々反応しちゃう恋する乙女のようだ。
そうそう、甘いのは二人の時だけにしましょうね。
結婚へと歩みだした二人、結婚は一つのゴール?
いやいや、それはどうだろう。
結婚は通過点にしか過ぎない。
一人で歩いていた道を二人で歩む事を決めた通過点。
となりを歩く愛しい人の手を互いに離さない努力が必要な長い道のり。
思っていたより苦労が多い?
そうかもしれない。
でも、思っていたより些細な幸せが溢れている毎日かもしれない。
二人に幾久しく幸せな日々を
お読みいただきありがとうございます。
近日中に、両家それぞれに挨拶しに行くエピソード、
結婚式、その間のらぶいちゃあると思います。
雪、大変でしたね。皆様もお気をつけてご自愛下さい。
大雪が降った早朝、冴木課長より2課の面々にメールが届いた。
差出人:冴木課長
宛先:山城〉
宮本〉
佐々木〉
谷口〉
本日の出勤について
昨日の大雪で交通機関は麻痺していると思う。
その為、2課はフレックス出社を課長命令とする。
和田部長へは連絡済み。
皆、道中細心の注意で出社するように。
佐々木さんと谷口さんは特に気をつけてください。
以上。
追伸
加藤さんも本人の意思によりフレックス出社予定。
色々聞きたい事もあるだろうが、今日はそっとしてやってくれ。
後、みんなありがとう。
冴木
11:00 オフィスにて
「ありがとうってことは上手くいったって事かしらね。」
ちょっと納得いかない顔の美魔女谷口。
「そうね。きっと二人の愛は、より絆を深めたのよっ!
・・あのリボン使ったのかしら・・。
あらっ!私ったらはしたないっ!」
きゃっと言わんばかりに顔を手で覆いつつ、好奇心は隠せない乙女な佐々木女史。
「まあ、気になりますよね。
・・課長、どこ縛られちゃったんだろ。・・羨ましい・・。」
本音がダダ漏れ、忠犬宮本。愛しの飼い主に相談すれば、多分願いは叶うはず・・?
「宮本、それ加藤さんに言ったらダメなやつ。
気をつけろよ?」
ちょっとみんなの頭が朝からピンクでも、動じない冷静沈着男子山城。
その心のうちは・・、するのは無理だが、可愛く想うあの子になら・・どうしてもって言うなら、されてみるのもやぶさかではない?いや、やっぱり理性が邪魔をする・・予想通りな真面目男子。
バタンッ。そこに、幸せオーラみなぎる冴木課長と、ちょっとふらつきながらも腰に支えは不要とばかりに少しだけ距離をとった加藤さんが出社。
なんだかちょっとデジャヴである。
でも・・、
二人に流れる甘い雰囲気は、クリスマスの時と違い浮き足立ったものではなく、互いの想いを再確認しあった確かな愛を感じるものへ変貌していた。
どうやら、課長の暴走はまたしても加藤さんの頑張りで終着し、恋愛初心者な課長はレベルアップをしたようだ。
「おはよう、みんな今朝は大丈夫だったか?
体調が優れないものは早めに言ってくれ。
インフルエンザも流行しているし、ムリは禁物だ。
・・昨日はありがとう。
先に帰社させてもらって助かった。
皆には感謝している、だからこそなんだが・・。
加藤さんと結婚する運びとなった。
まだ、両家には挨拶はしていないが決定事項なので、よろしく。」
満面の笑みでのご報告。
今回ばかりは、加藤さんも恥ずかしげにぺこりと頭を下げた。
「おめでとう~!!いやーん、嬉しい!すごく嬉しい!」
「まじおめでとうございます!!いいすっね。結婚!俺もしたい!」
興奮する二人。一名、自分の欲求を吐露している。
「加藤さんがいいなら・・ね。いつでも相談乗るわよ?」
今日の笑みは女神様。
しかしいつ、美魔女のスキルが発揮されるかは分からない。
「無事当て馬になれてよかったです。
早く身を固めた方が課長が心身ともに落ち着くと思いますので、加藤さんには感謝しかありません。」
自分が目指す上司からあらぬ嫉妬を受け、当て馬感を感じていた山城、これ以上のとばっちりは御免という事だ。
「指輪は?これから?楽しみねぇ。」
乙女の佐々木女史としては気になるところ。
「そうですね、これからですが・・。」
そう言いつつ、昨日のスーツのままでも格好良さは変わらない冴木課長は華の左手を優しく下からすくい上げると、自身の親指のはらで華の薬指の付け根をさりげなく上下に擦り上げると、
「ここには、結婚指輪とセットになった婚約指輪をしてもらおうかと・・。」
冴木課長が甘く蕩けちゃいそうに見つめるのは、真っ赤な顔の加藤さん。
「っ!!は、はい、そーですね!」
手を引き抜こうとするが、がっちり掴まれ・・撤退は無理なようだ。
「気が変わらないうちに、結婚までの最短距離を狙ってるわね・・。」
さすが美魔女。恋するハイスペックイケメンの狙いが分かったようだ。
恋するハイスペックイケメンは、しっかり加藤さんの逃げ道を塞いで、
やっぱり・・なんて言わせる隙は作らない。
赤くなった加藤さんを甘く見つめたまま冴木課長はその麗しい顔に加藤さんの手を近づけると、
ちゅっと加藤さんの指先にキスをした。
え?
キス?
指先にキスしやがりましたよ、この課長・・。
これは2課の総意。
「さて、お仕事しましょう。今日はどうせ物流止まってるわよね。」
「そうですね、相手先も分かってはいますが、優先順位の高い契約から先に流していく必要がありますね。個々に連絡しましょうか?」
すっかりお仕事モードな山城と美魔女。
「なんと、リアルでイケメンのおててにチュを見てしまったわっ!!」
「いいな。社内恋愛・・。お姉さんに会いたい・・。」
心の声が聞こえちゃってる佐々木女史と宮本。
「みんなの前ではやめてください!」
泣きそうに恥ずかしがる加藤さん。
やっと、自分の手を取り返しプンプンしているが、
「じゃあ、二人だけの時ね?」
「っ!!」
耳元に甘い声で囁かれると色々反応しちゃう恋する乙女のようだ。
そうそう、甘いのは二人の時だけにしましょうね。
結婚へと歩みだした二人、結婚は一つのゴール?
いやいや、それはどうだろう。
結婚は通過点にしか過ぎない。
一人で歩いていた道を二人で歩む事を決めた通過点。
となりを歩く愛しい人の手を互いに離さない努力が必要な長い道のり。
思っていたより苦労が多い?
そうかもしれない。
でも、思っていたより些細な幸せが溢れている毎日かもしれない。
二人に幾久しく幸せな日々を
お読みいただきありがとうございます。
近日中に、両家それぞれに挨拶しに行くエピソード、
結婚式、その間のらぶいちゃあると思います。
雪、大変でしたね。皆様もお気をつけてご自愛下さい。
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