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幾久しく幸せな日々
美魔女の指導 2課視点
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時間は遡り、華が社内を出る前の出来事 あらすじ含む
2課視点 社内にて
木曜日 16時過ぎ
心あらずの華は度重なるミスをしてしまい、午前発送の書類を発送し忘れてしまう。
取引先へは幸い電車で40分ほどの距離。今から直接届けに行けばさして問題がなさそうだというところから話は始まります。
「加藤さん、今日は取引先に書類を届けたらもう帰社しても問題ないですよ?」
そう言うのは、当て馬感を感じる山城。
なんとなく、自分の失態から引き起こされたこの事態に少しばかり胸を痛めているようだ。
「すみません。ご心配をおかけして返しようがないんですが、でも・・やっぱり今日は仕事があまり進んでいないので、戻ってきます。」
せっかく帰ったらと言われても、自身の責任感がそれを許せず戻ると言う華。
しかしながら、化粧で誤魔化してはいるものの目元は腫れぼったくぼんやりとしていて、一日中華らしくないミスを繰り返しているので誰が見ても今日は帰ったら?という状況だ。
「加藤さん。帰りなさい、って言ってるの。」
ため息をつきつつ、しょうがない子と華を見ているのは美魔女谷口。
言葉だけ聞くと、使い物にならない奴などとっとと帰れと言っているようだが、決して表情は突き放したものではなく慈愛に溢れたもの。
体力、精神力共にベストでなければ、さっさと帰って明日に備えた方が効率的だと考える美魔女は、華にはこうして命令しなければ帰らないと華のキャラクターを見極めた上での助言。
さすが美魔女、人の動かし方に長けている。
ごにょごにょ言っていた華も結局はこのまま帰社するとなった際、美魔女が華にあるものを渡す。
「今日は、あの出来損ないは終電だと思うから出番はないと思うの。
でも、明日とか、土曜には二人で話す必要があるでしょ?
出来損ないが話を聞かないようなら、お仕置きが必要だと思うのよね。
だから、使ってみて?」
そう妖艶な笑みで華に渡したものこそ、シルバーのキラキラと輝く小さな袋から出てきたえんじ色のサテンのリボン。
袋を覗き込んだ華は、「?」の表情だ。
「出来損ないって課長のことですか?お、お仕置きですか?・・たしかにちょっと喧嘩したみたいになってますけど、そこまでは・・。」
お仕置き・・その言葉を聞き、キラリと目を見開いたのは佐々木女史。
ええ!?お、お仕置き!?
美桜さん、いきなり上級者向けなのね?こんな真面目っ子加藤さんにそんな事できるのかしら?そして、その小さなキラキラした袋には一体何が入っているのかしら・・。
文子、大興奮である。
「どうせ、人の話をろくに聞かずに突っ走ってるんでしょ?男の嫉妬ほど手のつけられないものはないわ。
でもね、ちゃんと信頼関係を作れなかった二人に原因があるの。
だから、自分の気持ちをしっかり伝えて?全部ね。恥ずかしいとか嫌われちゃうとか遠慮しないの。
あの出来損ないは加藤さんを溺愛してるのはみんな知ってるのよ?自信を持って。」
慈愛溢れる優しい笑みを浮かべた美魔女は、なんとも神々しい。
ここに女神降臨。
そんな女神に華はぽっとほおを赤らめる。美しさに見惚れるのに男女の差などないのだよ。
「まあ、私は加藤さんの相手が課長でいいのかって思っちゃうんだけど。よく考えた方がいいわ。」
今度は冷たい笑みで、室内の温度を下げる美魔女。女神は天界へ帰ったようだ。
「・・ありがとうございます。ご心配おかけして・・すみません。
私、・・ちゃんと話してみます。話して、お互いに信頼できるように頑張ります!」
華に朗らかな笑みが浮かび、2課一同ほっと胸をなでおろした。
しかし、気になることが一つ。
「あの、この布?リボンは一体何に使うんですか?」
華は袋からちょっとその艶めくリボンを取り出した。
皆がその手元に注目しているとは思っていない。
「そうね、好きに使ってくれたらいいんだけど。
あ、課長に使うのよ?自分にはしちゃダメ。それご褒美だから。
長さは2メートルはないの。」
そう言った美魔女は、その綺麗なネイルが施された人差し指と親指で華のおとがいをつまむと、
「想像して?リボン、いわゆる紐って何に使うものかしら?」
その美麗な顔を少し近づけ目を細めて聞かれると、ドキドキしてしまう。
「えぇ?ひ、ひもですか?ええっと、結ぶ?縛る?・・し、縛る!?」
衝撃的な正解に部内はしんと静まりかえる。
しかし、興奮が隠せないのは宮本と佐々木女史。
横目でチラリとリボンを確認する山城。・・もしかして興味ある?
「そう、どこに使うかは加藤さんに任せるわ?
まあ、最終手段と思って、持っておいて。
頑張ってね。」
そう、にっこりと言われると受け取らないわけにはいかず、華はリボンをカバンにしまった。
2課視点 社内にて
木曜日 16時過ぎ
心あらずの華は度重なるミスをしてしまい、午前発送の書類を発送し忘れてしまう。
取引先へは幸い電車で40分ほどの距離。今から直接届けに行けばさして問題がなさそうだというところから話は始まります。
「加藤さん、今日は取引先に書類を届けたらもう帰社しても問題ないですよ?」
そう言うのは、当て馬感を感じる山城。
なんとなく、自分の失態から引き起こされたこの事態に少しばかり胸を痛めているようだ。
「すみません。ご心配をおかけして返しようがないんですが、でも・・やっぱり今日は仕事があまり進んでいないので、戻ってきます。」
せっかく帰ったらと言われても、自身の責任感がそれを許せず戻ると言う華。
しかしながら、化粧で誤魔化してはいるものの目元は腫れぼったくぼんやりとしていて、一日中華らしくないミスを繰り返しているので誰が見ても今日は帰ったら?という状況だ。
「加藤さん。帰りなさい、って言ってるの。」
ため息をつきつつ、しょうがない子と華を見ているのは美魔女谷口。
言葉だけ聞くと、使い物にならない奴などとっとと帰れと言っているようだが、決して表情は突き放したものではなく慈愛に溢れたもの。
体力、精神力共にベストでなければ、さっさと帰って明日に備えた方が効率的だと考える美魔女は、華にはこうして命令しなければ帰らないと華のキャラクターを見極めた上での助言。
さすが美魔女、人の動かし方に長けている。
ごにょごにょ言っていた華も結局はこのまま帰社するとなった際、美魔女が華にあるものを渡す。
「今日は、あの出来損ないは終電だと思うから出番はないと思うの。
でも、明日とか、土曜には二人で話す必要があるでしょ?
出来損ないが話を聞かないようなら、お仕置きが必要だと思うのよね。
だから、使ってみて?」
そう妖艶な笑みで華に渡したものこそ、シルバーのキラキラと輝く小さな袋から出てきたえんじ色のサテンのリボン。
袋を覗き込んだ華は、「?」の表情だ。
「出来損ないって課長のことですか?お、お仕置きですか?・・たしかにちょっと喧嘩したみたいになってますけど、そこまでは・・。」
お仕置き・・その言葉を聞き、キラリと目を見開いたのは佐々木女史。
ええ!?お、お仕置き!?
美桜さん、いきなり上級者向けなのね?こんな真面目っ子加藤さんにそんな事できるのかしら?そして、その小さなキラキラした袋には一体何が入っているのかしら・・。
文子、大興奮である。
「どうせ、人の話をろくに聞かずに突っ走ってるんでしょ?男の嫉妬ほど手のつけられないものはないわ。
でもね、ちゃんと信頼関係を作れなかった二人に原因があるの。
だから、自分の気持ちをしっかり伝えて?全部ね。恥ずかしいとか嫌われちゃうとか遠慮しないの。
あの出来損ないは加藤さんを溺愛してるのはみんな知ってるのよ?自信を持って。」
慈愛溢れる優しい笑みを浮かべた美魔女は、なんとも神々しい。
ここに女神降臨。
そんな女神に華はぽっとほおを赤らめる。美しさに見惚れるのに男女の差などないのだよ。
「まあ、私は加藤さんの相手が課長でいいのかって思っちゃうんだけど。よく考えた方がいいわ。」
今度は冷たい笑みで、室内の温度を下げる美魔女。女神は天界へ帰ったようだ。
「・・ありがとうございます。ご心配おかけして・・すみません。
私、・・ちゃんと話してみます。話して、お互いに信頼できるように頑張ります!」
華に朗らかな笑みが浮かび、2課一同ほっと胸をなでおろした。
しかし、気になることが一つ。
「あの、この布?リボンは一体何に使うんですか?」
華は袋からちょっとその艶めくリボンを取り出した。
皆がその手元に注目しているとは思っていない。
「そうね、好きに使ってくれたらいいんだけど。
あ、課長に使うのよ?自分にはしちゃダメ。それご褒美だから。
長さは2メートルはないの。」
そう言った美魔女は、その綺麗なネイルが施された人差し指と親指で華のおとがいをつまむと、
「想像して?リボン、いわゆる紐って何に使うものかしら?」
その美麗な顔を少し近づけ目を細めて聞かれると、ドキドキしてしまう。
「えぇ?ひ、ひもですか?ええっと、結ぶ?縛る?・・し、縛る!?」
衝撃的な正解に部内はしんと静まりかえる。
しかし、興奮が隠せないのは宮本と佐々木女史。
横目でチラリとリボンを確認する山城。・・もしかして興味ある?
「そう、どこに使うかは加藤さんに任せるわ?
まあ、最終手段と思って、持っておいて。
頑張ってね。」
そう、にっこりと言われると受け取らないわけにはいかず、華はリボンをカバンにしまった。
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