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初恋は香りとともに
運命 後半
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冴木課長(ユウマさん)視点
待ち合わせに30分以上早くついた俺は、昨日から時計が進む速さが遅く感じてしょうがない。
時計はいつも通りなんだろうけど、そこは気分の問題だ。
食事をおごるとは言ったが、こんなチャンスをただの食事だけで終わらせる気はない。だから、ちょっと強引に約束した。彼女はしっかりしているのに、「急なこと」に弱いようだ。相手のウィークポイントはしっかりと抑えなければ獲物は逃げてしまうからねと、時間つぶしに入ったカフェで1人ほくそ笑む。彼女に考える間を与えない、そんな攻略法を涼しい顔で考えていたら、今度はあっという間に15分前になっていた。
急いでカフェを出て、彼女が出てくるだろう改札口前で待つ。出てくる彼女を見つけようかと思ったが、それじゃいかにも待ってましたって感じでかっこ悪い。少し視線を外し、街中のイルミネーションを見つめる。彼女が今日のこの日、デートに来たってことは少しは期待していいのだろうか?
他の誘いはなかったのか、断ってくれたのか。他の誰かなんて考えると、胸糞悪い。
彼女の気持ちを待ちたいけど、その間に誰かに横から盗られたら、目も当てられないし、後悔なんて生易しい言葉じゃ片付けられない。
そんな思考に囚われていたら、小さな声で俺を呼ぶ彼女の声。
そちらに顔を向けると、なぜか涙目でちょっと顔を赤らめた彼女が恥ずかしそうに立っていた。
その表情、やばいから。
俺をここで狼男に変身させる気か?
誘っているなら是非寝ぐらに持ち帰るぞ。
そんな邪な願望を「かわいい」という一言に変える。そう、可愛いから美味しく持ち帰りたいっていう本音をちょっと省略したんだ。逃げられると困るから。
そして、水族館に歩きながら彼女の服装を見ると、コートで中がわからないが、どうやらワンピース?かスカートを着ていて、彼女の俺を悩ます曲線を描いていた。足元のファーもなんだかあったかそうでかわいい。
早く、コートを脱がしたい、許されるならその下も、、、おっと、今はここまでだな。
クリスマス気分を味わおうと水族館は混雑していた。手を繋ごうかと思って彼女を見るとクラゲに見とれていた。クラゲ、好きなのか?まあ、綺麗かな。でも、この混雑じゃ彼女の身長だと見づらいだろうな。。。
抱っこしたら、彼女怒る。。かな。怒られるのも俺的にはご褒美だけど、嫌われるのは避けなければ。
今度は空いてる時に来ようと、ちゃっかり次回の約束を取り付ける俺って、すごく必死。
当初の目的のイルカショーが始まると、彼女は俺のことなど忘れてしまった様に楽しんでいた。これは、俺にとって新鮮だった。
以前はデートに誘われて行くと、たいがい女はベットリと俺にひっつき、横にいる俺を見せびらかして自己満足する様なタイプが多かった。隣にいて、興味が俺ではないものに向き、一緒に楽しんでくれるって事がこんなに嬉しいんだと初めて知った。やっぱり、どうにか彼女を捕まえたい。。
そんな事を思っているうちに、ショーは終わり皆どんどんと出て行く。今通路に行っても歩けず待つだけだろうと彼女とショーの感想を言い合っていた。流れて行く人の列から
「華。」声がかけられた。
またかよ、今度は誰だと視線を向けると、スーツにIDカードの様なものをぶら下げた男性が一人。
スタッフ?彼女は知り合いがここにいるとは言ってなかったが。。
そう思い彼女を見ると、すごく驚き、傷ついた顔をしていた。
。。こいつか。彼女を傷つけたバカ野郎は。
彼女は何も言わないのに、相手の男はどんどんと近づき、話しかける。
「華、ずっと話がしたかったんだ。」
男は自分も傷ついたみたいな顔して懇願する。
何言ってんだこいつ。彼女を傷つけておいて、話したい?何を?
「、、藤木さんと話す事など何もありません。」冷たい彼女の声。
「分かってる。分かってるよ。今日じゃなくてもいい。家の近くに行ってもいいから少しだけでも話させてくれないか。」
切羽詰まった男は食い下がる。家の近くって迷惑でしかないだろう。
しかし、別日に彼女がこいつと会うなんて想像しただけでも嫌だ。
もし、彼女がほだされてしまったら?やっぱり好きだと思ったら?結婚を考えた男は彼女にとって大きな存在だ、きっと俺なんかより。ここで、彼女が「じゃあ、課長。今日はこの人と話さなきゃいけないんで、ここでさよならでいいですか」なんて言われたら、この2人どうなるか分からない。
俺は苦渋の選択をした。
「華、話しておいで。30分ぐらいなら、さっきあったバーで待ってられる。こんな混んでる水族館では出来ない話もあるだろ?」
となりに座る彼女の手を優しく包み込みながら甘く微笑み話す。
本当は行って欲しくない。
2人きりになどさせたくない。
俺の知らない彼女を隅々まで知り尽くし、結婚に同意させた奴を目の前にして、ドロドロとした嫉妬の炎が上がり、視線に殺意を込めて男を睨みつける。
彼女を深く傷つけた奴が30分という短時間で彼女を絆させることは出来ない事に俺は賭けたんだ。
後日や電話など許せるわけない。
家まで、というなら彼女をうちに囲ったっていい。今更、過去の残像に彼女を取られるわけにいかないんだ。
俺は、2人を見送った。姿が見えなくなった時、
「くそっ!」
悪態をつき、髪を乱暴にかき上げる。
きっと俺は今、彼女に見せられない嫉妬にかられた醜い男の顔をしている。
待ち合わせに30分以上早くついた俺は、昨日から時計が進む速さが遅く感じてしょうがない。
時計はいつも通りなんだろうけど、そこは気分の問題だ。
食事をおごるとは言ったが、こんなチャンスをただの食事だけで終わらせる気はない。だから、ちょっと強引に約束した。彼女はしっかりしているのに、「急なこと」に弱いようだ。相手のウィークポイントはしっかりと抑えなければ獲物は逃げてしまうからねと、時間つぶしに入ったカフェで1人ほくそ笑む。彼女に考える間を与えない、そんな攻略法を涼しい顔で考えていたら、今度はあっという間に15分前になっていた。
急いでカフェを出て、彼女が出てくるだろう改札口前で待つ。出てくる彼女を見つけようかと思ったが、それじゃいかにも待ってましたって感じでかっこ悪い。少し視線を外し、街中のイルミネーションを見つめる。彼女が今日のこの日、デートに来たってことは少しは期待していいのだろうか?
他の誘いはなかったのか、断ってくれたのか。他の誰かなんて考えると、胸糞悪い。
彼女の気持ちを待ちたいけど、その間に誰かに横から盗られたら、目も当てられないし、後悔なんて生易しい言葉じゃ片付けられない。
そんな思考に囚われていたら、小さな声で俺を呼ぶ彼女の声。
そちらに顔を向けると、なぜか涙目でちょっと顔を赤らめた彼女が恥ずかしそうに立っていた。
その表情、やばいから。
俺をここで狼男に変身させる気か?
誘っているなら是非寝ぐらに持ち帰るぞ。
そんな邪な願望を「かわいい」という一言に変える。そう、可愛いから美味しく持ち帰りたいっていう本音をちょっと省略したんだ。逃げられると困るから。
そして、水族館に歩きながら彼女の服装を見ると、コートで中がわからないが、どうやらワンピース?かスカートを着ていて、彼女の俺を悩ます曲線を描いていた。足元のファーもなんだかあったかそうでかわいい。
早く、コートを脱がしたい、許されるならその下も、、、おっと、今はここまでだな。
クリスマス気分を味わおうと水族館は混雑していた。手を繋ごうかと思って彼女を見るとクラゲに見とれていた。クラゲ、好きなのか?まあ、綺麗かな。でも、この混雑じゃ彼女の身長だと見づらいだろうな。。。
抱っこしたら、彼女怒る。。かな。怒られるのも俺的にはご褒美だけど、嫌われるのは避けなければ。
今度は空いてる時に来ようと、ちゃっかり次回の約束を取り付ける俺って、すごく必死。
当初の目的のイルカショーが始まると、彼女は俺のことなど忘れてしまった様に楽しんでいた。これは、俺にとって新鮮だった。
以前はデートに誘われて行くと、たいがい女はベットリと俺にひっつき、横にいる俺を見せびらかして自己満足する様なタイプが多かった。隣にいて、興味が俺ではないものに向き、一緒に楽しんでくれるって事がこんなに嬉しいんだと初めて知った。やっぱり、どうにか彼女を捕まえたい。。
そんな事を思っているうちに、ショーは終わり皆どんどんと出て行く。今通路に行っても歩けず待つだけだろうと彼女とショーの感想を言い合っていた。流れて行く人の列から
「華。」声がかけられた。
またかよ、今度は誰だと視線を向けると、スーツにIDカードの様なものをぶら下げた男性が一人。
スタッフ?彼女は知り合いがここにいるとは言ってなかったが。。
そう思い彼女を見ると、すごく驚き、傷ついた顔をしていた。
。。こいつか。彼女を傷つけたバカ野郎は。
彼女は何も言わないのに、相手の男はどんどんと近づき、話しかける。
「華、ずっと話がしたかったんだ。」
男は自分も傷ついたみたいな顔して懇願する。
何言ってんだこいつ。彼女を傷つけておいて、話したい?何を?
「、、藤木さんと話す事など何もありません。」冷たい彼女の声。
「分かってる。分かってるよ。今日じゃなくてもいい。家の近くに行ってもいいから少しだけでも話させてくれないか。」
切羽詰まった男は食い下がる。家の近くって迷惑でしかないだろう。
しかし、別日に彼女がこいつと会うなんて想像しただけでも嫌だ。
もし、彼女がほだされてしまったら?やっぱり好きだと思ったら?結婚を考えた男は彼女にとって大きな存在だ、きっと俺なんかより。ここで、彼女が「じゃあ、課長。今日はこの人と話さなきゃいけないんで、ここでさよならでいいですか」なんて言われたら、この2人どうなるか分からない。
俺は苦渋の選択をした。
「華、話しておいで。30分ぐらいなら、さっきあったバーで待ってられる。こんな混んでる水族館では出来ない話もあるだろ?」
となりに座る彼女の手を優しく包み込みながら甘く微笑み話す。
本当は行って欲しくない。
2人きりになどさせたくない。
俺の知らない彼女を隅々まで知り尽くし、結婚に同意させた奴を目の前にして、ドロドロとした嫉妬の炎が上がり、視線に殺意を込めて男を睨みつける。
彼女を深く傷つけた奴が30分という短時間で彼女を絆させることは出来ない事に俺は賭けたんだ。
後日や電話など許せるわけない。
家まで、というなら彼女をうちに囲ったっていい。今更、過去の残像に彼女を取られるわけにいかないんだ。
俺は、2人を見送った。姿が見えなくなった時、
「くそっ!」
悪態をつき、髪を乱暴にかき上げる。
きっと俺は今、彼女に見せられない嫉妬にかられた醜い男の顔をしている。
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