執着系上司の初恋

月夜(つきよ)

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初恋は香りとともに

食わせものの集い

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金曜の夜、銀座の小さな隠れ家のようなバーに集うのは、お互い多忙な為なかなか一緒に飲むことの出来ないおやじ3人。若い頃から続く集まりも、互いの役職が上がる程なかなか難しくなるが、オヤジが3人がん首そろえて、定期的に会いたいなんて気持ち悪いだろう。まあ、しないけどね。
今日は、面白いネタがあったから、きっと2人も聞きたくてウズウズしてるに違いない。。くくっ。笑いがこみ上げる。
「鈴木さん、なんだか今日はいい事あったんですか?」
話しかけてきたのは、この店のオーナー。この人とも古い付き合いだ。

「ごめん、ごめん。親父が一人でニヤついてたら気持ち悪いよな。それに、今日は無理矢理カウンター3人分の席リザーブさせちゃって悪いね。お詫びに今日は時間いっぱいまで日本酒浴びるほど飲むから。」

この店は、オーナーの出す美味しい料理と日本酒が絶品の隠れ家。座席もカウンター10席しかないが、酒と料理を楽しむ為座席はゆったりとして、椅子もこだわりの一脚。店内には、オーナーこだわりの物がごろごろと置いてあり、何十万もする物がさりげなく置いてあるから酔っ払って壊したら、高い飲み代になるだろう。人気店となってしまった今では本来なら予約もできないところ、今日は三人の予定が久々に空いていて、何より美味しいネタを仕入れたから、旧知のマスターにワガママをお願いしていた。

「長い付き合いなんですから、野暮な事言わんでいいですよ。三人お揃いでなんて久しぶりですよね。」
オーナーと話していたら、オヤジ二人組が仲良くやって来た。
「オーナー久しぶり。今日は浴びるほど飲むからな。」わははと豪快に笑いながら話すのは、化学系メーカー営業本部長和田。
「相変わらず声が大きいよねー。皆さん、すいませんねー。マスターご無沙汰。今日はありがと。」まったく、360度方向に気が回る、同じく化学系メーカー人事部長川上。
揃いも揃って、食わせ者だ。まあ、人のことは言えないがな。

それぞれお気に入りの日本酒をオーナーこだわりのグラスで煽る。ツマミは、絶品料理とあの憎めないイケメン部下だ。

「で、なんであの美人ちゃんをわざわざ冴木の下につけたわけ?まあ、面白いの見せてもらったから当たりは当たりなんだろうけどさ。」

「美人ちゃん?お前ああゆうのが好みだっけ?大分落ち着いたな。ああ、歳か。」とククッと笑う和田
「和田は、加藤ちゃんのフル装備見た事ないからねー。」としょうがないよと酒を片手にヒラヒラ手を振る川上
「「フル装備?」」
あ、かぶった。気持ち悪いな。同時に話すの遠慮しろよ。
「加藤ちゃんさ、お客さんに会うときだけメイクも服装もいい女風になっちゃうんだよ。広報でもそうでさ。仕事は真面目だし、普段が相手に不快にさせる様な訳でも無いから、言いようがないんだよね。」と川上
「そりゃ、もったいねえよ。女盛りだろう?」と和田。
おいおい、セクハラ発言じゃないのかそれは。
そうか、彼女はなんだか色々抱えてそうだな。
「それじゃ、あのイケメンも、一筋縄じゃ彼女を確保できないかもな。」と俺が言うと、二人のオヤジがあからさまにやらしい笑みを浮かべた。
やめろよ、鳥肌立つだろ。
「なんだよそれ、何面白そうなネタかくしてんだよ」
「あれ、そっち?」そっちってどっちだよ?
川上の言葉はたまによく分からない。360度の男には専用用語があるらしい。
勿体つけるもんでもないので、
「美人ちゃんにウチのやつが嫌味言ったら、イケメン冴木が顔色変えちゃって、やべえと思ったわけよ。そしたら、美人ちゃん、キレーッな笑顔でウチのに意趣返ししてさ、あ、意趣返しってのは、冴木がイケメンで仕事もできるけど、ついていくのに必死で見とれる余裕がないのが残念っつたわけ。そしたら、冴木のやつ照れちゃって、赤面するは、言葉に詰まって黙っちゃうわ、、爆笑モノだったんだよ。」
本日一番のネタ投入。

「まじかよっ!あのスカした奴が赤面だと?、、なんだよ!俺も見たかったっ!いじりたかったっ!」
言うと思った和田よ。可愛がりすぎると嫌われるぞ。

「へー!あの冴木君がね。。。。やっぱり面白い事になりそうだなぁ。」と川上。やっぱり?って何?と思ったけど、深くは聞くまい。こいつは、色々と隠し玉があるからな。

「オフィスラブってエロいな。ラブまで行くのか、あの二人。」和田、いいオヤジがラブラブ言うな。

「そういえば、お前。。。」

銀座の夜は更けていく。。。



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