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番外編 キスとぬくもり 安藤課長編
9 甘い記憶 後半 安藤課長編
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遠くでジューッ、パチパチと焼ける音と漂ってくるいい匂い。
カチャカチャと食器を置く音。
歩く足音。
眠りから浮上し始めた身体が朝の気配を感じる。
寝心地のいいベッドからまだ起きたくないと本能が訴えるが、今日は平日だったと目を開けると・・。
「・・。」
高い天井には木製の空調ファンがふわりふわりと回り、既に明るい光が窓から差し込んでいる。10畳は余裕でありそうな白い部屋に置かれたセミダブルのベッドで大の字で寝ていた自分の頭は、一瞬ここがどこかと焦りを感じた。
・・そ、そうだ。
ここはかわい子ちゃんのお家だった。
「んっー!」
起き上がってうーんと天井に向かって手を伸ばすと、いくらか頭がスッキリし周りをキョロキョロと眺める。
シェードカーテンの窓辺には観葉植物。
白いクローゼットの中には、百貨店などに置かれるブランド物の服や下着が溢れているのは昨夜確認済み。なんならバッグやストッキング、ハンカチに至るまできめ細やかな品揃え。そしてそのクローゼットの隣には大きな鏡台が置かれ、そこにも化粧品達がお好きなものを、とでも言うように並べられている。
・・モデルってのは、もうかりまっか?
ついそんな下世話な感想を持つのは、一庶民としては当然だろう。
イメージの為に協力を頼んだ人には機嫌を損ねられたら大変とばかりに、最大のもてなしをと事務所側が用意したたんだろうな。
イメージ命な芸能人様は大変なのね・・とどこか呆れてしまう。
こんなにしてくれなくても、自分の役割ぐらいこなせるんだけどなとため息が出る。
期間限定とはいえ人様のお家に住むなど・・、まあそんな繊細な神経は持ち合わせてはおらず、熟睡しちゃったけど。
時計を見れば午前6時。
この高層マンションから会社まではきっと30分もかからない。
スーツを着るには早過ぎる為、色々取り揃え過ぎな服達から緩めのTシャツワンピに着替え、すっぴんでも派手さが否めない顔に手抜きメークを施し部屋を出る。
そこで私を待っていたのは・・。
「あ、お、おはよう。沙織さん。」
若干どもりながらも、爽やかな笑顔を浮かべるイケメンモデル。
黙っていると憂いを帯びた瞳は、笑うと人懐っこいような印象を与え、ちょっと恥ずかしそうな表情がなんとも・・かわいい。
これ、演技なのかしら??
それとも、天然?
モデルだけど演技もするんだったわよね?とつい少しばかり歪んだ物の見方をしてしまう。
だって、大人だもの。
たとえそうだとしても、それを楽しめるぐらいでなければこのご時世やっていけないでしょ?
そんな事を思っていると、
「ちょうど出来たところなんです。朝、食べられます?食欲なかったらサラダとかフルーツだけでもどうですか?」
白Tシャツが似合う爽やかさで、どうぞよかったらと指し示すテーブルの上には綺麗に切りそろえられた果物や温野菜、チキンサラダとスクランブルエッグ、野菜スープなどが所狭しとと並ぶ。
「・・え、これ、かわ・・KAIが?」
その量の多さと彩りの良さに驚いて聞くと、
「はい。結構料理は得意なんです。」
嬉しそうに笑うKAIに、最近の若い子は器用なのね、、と思いかけて、うちの二課のキラキラワンコはどうだったかと思うが、、どうやらそれは人それぞれだという思いに至った。
「どれも美味しそう。一緒に頂いてもいいの?」
割と食べる方の私としては、朝からご飯が用意されているのはかなり嬉しい。そう思いにっこり笑いかけると、
「も、もちろんです!」
ニコニコと嬉しそうにお皿を用意し始めるKAI。
・・うーん。
KAIの後ろ姿を眺めつつ、なんだか甲斐甲斐し過ぎて逆に怪しさを感じるのは私が汚れた大人だからかしら。
「ん、これ美味しい。・・んー、このドレッシングも凄く美味しい!」
用意された朝食を食べ始めると、手をつけるものはどれも私好みだった。
「・・いい食べっぷりですね。って、あ、女性に言う事じゃない?えーっと、気持ちのいい?あ、いや、えっと・・」
私の食べっぷりをぽかんと見ていたKAIが失言に焦っている姿はなんだか微笑ましくて、つい笑ってしまう。
「ふふ、いいのよ。私、見た目と違ってよく食べるのよ。あ、引いた?」
モデルの子達はあんまり食べなさそうだもんね。
「えっ!いやいや!ご飯を美味しそうに食べる人は素敵ですっ・・、サラダ、いります?」
ガタガタと立ち上がっていそいそとサラダを盛ってくるKAIに、「ありがとう」と言いつつ、この子のコレは通常運転なのかしらとの見方が強まるが、いや、モデルの世界だって色々あるのにコレが素って事は・・。
そんな訝しんだ目線でKAIを見やると、サラダを取り分ける手先を見入ってしまう。
モデル体型に見合った大きな手は、切りそろえられた爪と長い指、そして筋張った甲。
なんとも清潔感溢れるエロさを感じてしまう。
あの手は、焦らすようにそっと触れてくるのを知っている。
頭の中ではあの夜の記憶が蘇るが、対面して座るKAIにはそんな事をおくびにも出さずににこにこと朝食を頬張る。
決して経験人数が少ないとは言えないが、思われているほどには多くはないはずの私の経験から言っても、あの夜は・・中々忘れられない夜だった。
身体を欲のままに合わせた時、身体の熱とは反比例とまではいかなくとも心はどこか上がりきらない温度を保つのが常だった。それが分かっていても、肌を合わせたい日があるわけで。
あの夜もそんな日だった。
それなのに・・。
口付けを避ければ傷ついたような顔をし、私の全身を撫でる手は官能を呼ぶ艶かしさよりも肌の感触を楽しみ、温度を分け与えるような焦ったいものだった。
肝心なところは中々触れてはもらえず、KAIの興奮した吐息と焦れた手に苛立ちを感じた頃、待ちかねた刺激に身体が跳ねると嬉しそうに愛撫を続け、乱れる私を見つめる瞳が余計に身体を熱くした。
気持ちイイけど、なんか狙い通りに喘がされて嫌だと思った時、我慢できずに脚をKAIに絡めて、反り返った硬いモノを腰を押し付けて迎え入れた。KAIの身体に見合った長く硬いモノは、ドクドクと脈を打っているのが分かるほどに熱く、私のかかとがKAIの臀部を押さえつけると、ずるりとぬかるんだそこへめり込んでいく。
「・・くっ。」
「んんんあっ。」
堪えた吐息と震える喘ぎにぞくりと毛穴が逆立つような感覚。
ちょっと、い、痛い。でも、、気持ちイイ。
久しぶりの行為とモノの大きさにつながる部分は悲鳴を上げたが、なんとなくそれを知られたくなくて無理やり奥までねじ込んだ。
「待てないの?」
そう掠れた声で言ったKAIの顔は、眉を寄せ目を凝らすような快感を堪える色気にあふれていた。
その顔にどきりと胸が高鳴った。
なんだか可愛らしげで、どこか意地悪な少年のような子が官能を感じ喰いしばるように打ち震える姿は、あまりにも綺麗で、あまりにも・・そそられた。
その頬を染める熱は私が与えてるんだと思うとぼっと身体の芯が熱を持ち、より身体を絡みつかせKAIを迎え入れると、我慢できないとばかりに激しい抽送に圧倒される。
「あ、、はっ、、ん、、。」
激し過ぎて、喘ぎ声さえ出せずにただただ苦しい呼吸とともに声が漏れていく。
その間も私の片手は強くKAIに繋がれる。
「どうされたい?気持ちイイトコ教えろよ。」
射殺さんばかりに強い瞳が突き刺さる。
その瞳にきゅうっと子宮が鳴いたのが分かった。
健康的なあっさりとした野菜スープを飲みながら、思い出すには濃厚すぎる一夜の記憶。
ズズッと飲み終えると、「おかわりいります?」
小首を傾げ微笑むKAIは、大変可愛らしい。
・・新妻か。
嫁なのか?コレが通常運転ならある意味おそろしい子。
まあ、でも・・。
「もうお腹いっぱいだから大丈夫。でもね?」
おかわりは?と差し出された手に自分の指を絡め、KAIの掌を親指でそっとなぞりあげると、
手がびくんと震え、まつげの長い瞳が堪える様に細められる。
そんな素直な反応につい笑いながら、
「嬉しいけど、毎朝は大変でしょ?そんなに無理しなくても大丈夫よ。」
と安心させる様に言うと、
「おれが、したいんですっ。」
少しばかり不機嫌そうにKAIは言う。
「そう?じゃあ・・甘えちゃおうかしら。美味しそうだし?」
隠しきれない笑みは、深読みされても面白いと思うから。
「おれはっ、沙織さん、、と食べたい。」
握る指先が深く絡められると、熱を孕んだ瞳が真っ直ぐ射抜く。
きゅんと子宮が鳴いた。
「そう・・。一緒にね?」
乾いた唇を少しばかり開けた時・・。
デンデンデー、デッデー、デッデー♪
鬼が再来した。
「ふふ。時間じゃない?」
「そう、、ですね。」
物言いたげなKAIがするっと手を抜き、立ち上がると、
「今日、俺遅いんですけど・・。」
その先を言い渋ったKAIに、
「じゃあ、先に寝とくわ。」
そう告げると、
「はい!」
「・・。」
嬉しそうに微笑んだKAIはリビングを出て行こうと歩き出す。
「いってらっしゃい。」
座ったままひらひらと手を振ると、堪える様に口元を引き締めたKAIが
「い、いってきます!」とどもりながら出て行った。
・・ふふ。
あの顔、なんだかそそられる。
あれが演技なら・・暴いてみたいと思う。なんだか楽しくなりそう、とニンマリ優雅な朝の時間を堪能した。
カチャカチャと食器を置く音。
歩く足音。
眠りから浮上し始めた身体が朝の気配を感じる。
寝心地のいいベッドからまだ起きたくないと本能が訴えるが、今日は平日だったと目を開けると・・。
「・・。」
高い天井には木製の空調ファンがふわりふわりと回り、既に明るい光が窓から差し込んでいる。10畳は余裕でありそうな白い部屋に置かれたセミダブルのベッドで大の字で寝ていた自分の頭は、一瞬ここがどこかと焦りを感じた。
・・そ、そうだ。
ここはかわい子ちゃんのお家だった。
「んっー!」
起き上がってうーんと天井に向かって手を伸ばすと、いくらか頭がスッキリし周りをキョロキョロと眺める。
シェードカーテンの窓辺には観葉植物。
白いクローゼットの中には、百貨店などに置かれるブランド物の服や下着が溢れているのは昨夜確認済み。なんならバッグやストッキング、ハンカチに至るまできめ細やかな品揃え。そしてそのクローゼットの隣には大きな鏡台が置かれ、そこにも化粧品達がお好きなものを、とでも言うように並べられている。
・・モデルってのは、もうかりまっか?
ついそんな下世話な感想を持つのは、一庶民としては当然だろう。
イメージの為に協力を頼んだ人には機嫌を損ねられたら大変とばかりに、最大のもてなしをと事務所側が用意したたんだろうな。
イメージ命な芸能人様は大変なのね・・とどこか呆れてしまう。
こんなにしてくれなくても、自分の役割ぐらいこなせるんだけどなとため息が出る。
期間限定とはいえ人様のお家に住むなど・・、まあそんな繊細な神経は持ち合わせてはおらず、熟睡しちゃったけど。
時計を見れば午前6時。
この高層マンションから会社まではきっと30分もかからない。
スーツを着るには早過ぎる為、色々取り揃え過ぎな服達から緩めのTシャツワンピに着替え、すっぴんでも派手さが否めない顔に手抜きメークを施し部屋を出る。
そこで私を待っていたのは・・。
「あ、お、おはよう。沙織さん。」
若干どもりながらも、爽やかな笑顔を浮かべるイケメンモデル。
黙っていると憂いを帯びた瞳は、笑うと人懐っこいような印象を与え、ちょっと恥ずかしそうな表情がなんとも・・かわいい。
これ、演技なのかしら??
それとも、天然?
モデルだけど演技もするんだったわよね?とつい少しばかり歪んだ物の見方をしてしまう。
だって、大人だもの。
たとえそうだとしても、それを楽しめるぐらいでなければこのご時世やっていけないでしょ?
そんな事を思っていると、
「ちょうど出来たところなんです。朝、食べられます?食欲なかったらサラダとかフルーツだけでもどうですか?」
白Tシャツが似合う爽やかさで、どうぞよかったらと指し示すテーブルの上には綺麗に切りそろえられた果物や温野菜、チキンサラダとスクランブルエッグ、野菜スープなどが所狭しとと並ぶ。
「・・え、これ、かわ・・KAIが?」
その量の多さと彩りの良さに驚いて聞くと、
「はい。結構料理は得意なんです。」
嬉しそうに笑うKAIに、最近の若い子は器用なのね、、と思いかけて、うちの二課のキラキラワンコはどうだったかと思うが、、どうやらそれは人それぞれだという思いに至った。
「どれも美味しそう。一緒に頂いてもいいの?」
割と食べる方の私としては、朝からご飯が用意されているのはかなり嬉しい。そう思いにっこり笑いかけると、
「も、もちろんです!」
ニコニコと嬉しそうにお皿を用意し始めるKAI。
・・うーん。
KAIの後ろ姿を眺めつつ、なんだか甲斐甲斐し過ぎて逆に怪しさを感じるのは私が汚れた大人だからかしら。
「ん、これ美味しい。・・んー、このドレッシングも凄く美味しい!」
用意された朝食を食べ始めると、手をつけるものはどれも私好みだった。
「・・いい食べっぷりですね。って、あ、女性に言う事じゃない?えーっと、気持ちのいい?あ、いや、えっと・・」
私の食べっぷりをぽかんと見ていたKAIが失言に焦っている姿はなんだか微笑ましくて、つい笑ってしまう。
「ふふ、いいのよ。私、見た目と違ってよく食べるのよ。あ、引いた?」
モデルの子達はあんまり食べなさそうだもんね。
「えっ!いやいや!ご飯を美味しそうに食べる人は素敵ですっ・・、サラダ、いります?」
ガタガタと立ち上がっていそいそとサラダを盛ってくるKAIに、「ありがとう」と言いつつ、この子のコレは通常運転なのかしらとの見方が強まるが、いや、モデルの世界だって色々あるのにコレが素って事は・・。
そんな訝しんだ目線でKAIを見やると、サラダを取り分ける手先を見入ってしまう。
モデル体型に見合った大きな手は、切りそろえられた爪と長い指、そして筋張った甲。
なんとも清潔感溢れるエロさを感じてしまう。
あの手は、焦らすようにそっと触れてくるのを知っている。
頭の中ではあの夜の記憶が蘇るが、対面して座るKAIにはそんな事をおくびにも出さずににこにこと朝食を頬張る。
決して経験人数が少ないとは言えないが、思われているほどには多くはないはずの私の経験から言っても、あの夜は・・中々忘れられない夜だった。
身体を欲のままに合わせた時、身体の熱とは反比例とまではいかなくとも心はどこか上がりきらない温度を保つのが常だった。それが分かっていても、肌を合わせたい日があるわけで。
あの夜もそんな日だった。
それなのに・・。
口付けを避ければ傷ついたような顔をし、私の全身を撫でる手は官能を呼ぶ艶かしさよりも肌の感触を楽しみ、温度を分け与えるような焦ったいものだった。
肝心なところは中々触れてはもらえず、KAIの興奮した吐息と焦れた手に苛立ちを感じた頃、待ちかねた刺激に身体が跳ねると嬉しそうに愛撫を続け、乱れる私を見つめる瞳が余計に身体を熱くした。
気持ちイイけど、なんか狙い通りに喘がされて嫌だと思った時、我慢できずに脚をKAIに絡めて、反り返った硬いモノを腰を押し付けて迎え入れた。KAIの身体に見合った長く硬いモノは、ドクドクと脈を打っているのが分かるほどに熱く、私のかかとがKAIの臀部を押さえつけると、ずるりとぬかるんだそこへめり込んでいく。
「・・くっ。」
「んんんあっ。」
堪えた吐息と震える喘ぎにぞくりと毛穴が逆立つような感覚。
ちょっと、い、痛い。でも、、気持ちイイ。
久しぶりの行為とモノの大きさにつながる部分は悲鳴を上げたが、なんとなくそれを知られたくなくて無理やり奥までねじ込んだ。
「待てないの?」
そう掠れた声で言ったKAIの顔は、眉を寄せ目を凝らすような快感を堪える色気にあふれていた。
その顔にどきりと胸が高鳴った。
なんだか可愛らしげで、どこか意地悪な少年のような子が官能を感じ喰いしばるように打ち震える姿は、あまりにも綺麗で、あまりにも・・そそられた。
その頬を染める熱は私が与えてるんだと思うとぼっと身体の芯が熱を持ち、より身体を絡みつかせKAIを迎え入れると、我慢できないとばかりに激しい抽送に圧倒される。
「あ、、はっ、、ん、、。」
激し過ぎて、喘ぎ声さえ出せずにただただ苦しい呼吸とともに声が漏れていく。
その間も私の片手は強くKAIに繋がれる。
「どうされたい?気持ちイイトコ教えろよ。」
射殺さんばかりに強い瞳が突き刺さる。
その瞳にきゅうっと子宮が鳴いたのが分かった。
健康的なあっさりとした野菜スープを飲みながら、思い出すには濃厚すぎる一夜の記憶。
ズズッと飲み終えると、「おかわりいります?」
小首を傾げ微笑むKAIは、大変可愛らしい。
・・新妻か。
嫁なのか?コレが通常運転ならある意味おそろしい子。
まあ、でも・・。
「もうお腹いっぱいだから大丈夫。でもね?」
おかわりは?と差し出された手に自分の指を絡め、KAIの掌を親指でそっとなぞりあげると、
手がびくんと震え、まつげの長い瞳が堪える様に細められる。
そんな素直な反応につい笑いながら、
「嬉しいけど、毎朝は大変でしょ?そんなに無理しなくても大丈夫よ。」
と安心させる様に言うと、
「おれが、したいんですっ。」
少しばかり不機嫌そうにKAIは言う。
「そう?じゃあ・・甘えちゃおうかしら。美味しそうだし?」
隠しきれない笑みは、深読みされても面白いと思うから。
「おれはっ、沙織さん、、と食べたい。」
握る指先が深く絡められると、熱を孕んだ瞳が真っ直ぐ射抜く。
きゅんと子宮が鳴いた。
「そう・・。一緒にね?」
乾いた唇を少しばかり開けた時・・。
デンデンデー、デッデー、デッデー♪
鬼が再来した。
「ふふ。時間じゃない?」
「そう、、ですね。」
物言いたげなKAIがするっと手を抜き、立ち上がると、
「今日、俺遅いんですけど・・。」
その先を言い渋ったKAIに、
「じゃあ、先に寝とくわ。」
そう告げると、
「はい!」
「・・。」
嬉しそうに微笑んだKAIはリビングを出て行こうと歩き出す。
「いってらっしゃい。」
座ったままひらひらと手を振ると、堪える様に口元を引き締めたKAIが
「い、いってきます!」とどもりながら出て行った。
・・ふふ。
あの顔、なんだかそそられる。
あれが演技なら・・暴いてみたいと思う。なんだか楽しくなりそう、とニンマリ優雅な朝の時間を堪能した。
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