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番外編 キスとぬくもり 安藤課長編
6 目に見えるもの 安藤課長編
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煌びやかな美男美女が壇上に立ち並び、一様にカメラへとにこやかな笑みを浮かべる。
カシャカシャとシャッター音が連写され眩い光が点滅する。
「本日は制作発表にお集まりいただきー」
キー局アナウンサーが晴れやかな笑顔で挨拶するとスペシャルドラマの内容を読み上げ、出演者達に順番にコメントを促していく。
「今回は今までとはイメージが異なりー。」
「大人の恋愛を演じることでー。」
出演者がそれぞれがコメントをする中、より一層シャッター音が響き渡ったのは、
「主人公を演じることになりましたKAIです。」
そう今話題のこの人。
パリコレのランウェイでハイブランドの服を難なく着こなし歩いていた彼は、美男美女の出演者の中においても目を引く。本日の衣装は黒のスーツ。一見変哲も無いスーツだが、彼が纏うと長い手足からなるすらっとした身体と小さっ!!と思わず二度見するような顔のサイズに憂いを帯びた瞳が印象深く、海外の雑誌から飛び出てきたように見えてしまう。
「今回は死人ではなく生きている人間という事で生き生きとした自分を見せたいと思います。」
一見お高くとまっていそうな外見とは異なり、親近感を持たせるトークで場内に笑いが広がるが、記者からは鋭い質問が飛び交う。
「今回はバーでの撮影が多いとか?プライベートでも最近行かれましたよね。」
「普段はお一人で?それともどなたか決まられた方と?」
ざわめき立つ記者達に司会のアナウンサーはストップをかけるがヒートアップする記者達を制止はできないようだ。苦笑いする共演者達と焦る番組関係者、これは早々に会見打ち切りか?な雰囲気になった時、
「申し訳ありません。」
テノールの美声が場内に響いた。
しんと静まりかえる場で深々と頭を下げているのは、先ほどまでにこやかに話していたKAI。
場が静まり返ったのを待ち、彼はそっと頭を上げると、
「この度はプライベートな事で番組関係者の皆様、共演者の方々、応援してくれるファンの皆様に心配とご迷惑をおかけした事を申し訳なく思っています。」
場内に目を配らせ、神妙な面持ちで謝罪している姿は24の青年としてはまずまずの謝罪に見えた。
が、、
「あの女性はどういったお知り合いですか?」
懲りない記者のを境にまた場内は荒れ始める。
「あの写真についてコメントを!」
「やはりあの夜は・・「申し訳ありません。彼女についてお教えできる事は一切ありません。」
下世話な質問に被せてKAIがやや声を張って発言する。
「ただ言えることは、彼女は僕にとってとても・・。」
それまで堂々とマイク片手に正面を見ていたKAIが下に目線を落として言葉に詰まる。
場内に緊張感が漂い、また記者が質問を繰り出すか!?なタイミングで、
「得難い存在・・です。」
「っ!」
そう真面目に答え、少し照れ臭そうに口元を引き締めた表情にお茶の間のみならず、場内の女子のハートに矢が刺さる。
な、なになになに!!その顔反則!
純情か!?あの顔で!?
本気っか!!
いやーん、その話、もっと詳しく!と誰しもが思ったタイミングで、
「プライベートな話はもういいでしょう?これ以上は野暮ですよ。若者の恋愛、大いに結構。このドラマも大人の恋愛がテーマです。ぜひ楽しんでいただきたい。」
ドラマの監督が場内を諌めつつ、ちゃっかり番宣をして笑いを取った。
安藤課長視点
仕事帰りになぜこんな広いリビングで、しかもやたら大型のテレビで録画されたワイドショーを見なければならんのだ。
「どうです?うちのやつ。」
にっこり清潔感が売りですとでも言いたげな短髪黒髪の爽やかな笑みを浮かべる男。
「どうですって・・。」
ツッコミどころが満載過ぎて、どこから言うべきか・・。
昨日の今日で、仕事終わりにこの男から「お迎えに上がります。」との連絡が入り、ただ今超高層マンションに連れて来られた。
で、KAIの謝罪の録画鑑賞。
自分とのたった一夜の事で、年下の男は世間様に頭を下げている。
それを見て、どんな感想を抱けって言うんだ。
はぁっとため息をつくと、
「・・あまり嬉しそうじゃありませんね?」
私をこの部屋まで強引に連れてきた男は、意地悪げにクスクスと笑う。
ほんっとに、こいつ腹黒そう。。
「お、、マネージャーさん、仕事帰りに無理やりこんなとこ連れてかれて、説明もなくこんな動画見せられて、感想なんてあるわけないじゃないですかっ!」
なんだかとっても座りごごち良さそうな広いソファにふんぞり返って睨みつける。
「ふふ。面白い。KAIにああ言われても全く動じないとは、頭の弱い方では無いようで安心しました。」
・・帰ってもいいわよね?
失礼にもほどがあるでしょ。
「用が済んだなら帰ります。私、明日も会社あるんで。」
こうゆう奴の相手などまともにしてたら相手の思うツボ。
とっとと逃げるが勝ちでしょ?
そう思い立ち上がった私に、ずいっと距離を詰めてきた鬼マネは信じられない宣告する。
「社長よりあなたを完全に守るとの指示が出ておりますゆえ、お返しすることは出来かねます。」
「は?」
全く意味わかんないと目を見開いた私に、満面の笑みを浮かべる鬼マネ。
「本日よりこちらで生活していただきます。」
「はぁぁぁぁっ!!!?」
高層マンションの一室に私の絶叫がこだました。。
カシャカシャとシャッター音が連写され眩い光が点滅する。
「本日は制作発表にお集まりいただきー」
キー局アナウンサーが晴れやかな笑顔で挨拶するとスペシャルドラマの内容を読み上げ、出演者達に順番にコメントを促していく。
「今回は今までとはイメージが異なりー。」
「大人の恋愛を演じることでー。」
出演者がそれぞれがコメントをする中、より一層シャッター音が響き渡ったのは、
「主人公を演じることになりましたKAIです。」
そう今話題のこの人。
パリコレのランウェイでハイブランドの服を難なく着こなし歩いていた彼は、美男美女の出演者の中においても目を引く。本日の衣装は黒のスーツ。一見変哲も無いスーツだが、彼が纏うと長い手足からなるすらっとした身体と小さっ!!と思わず二度見するような顔のサイズに憂いを帯びた瞳が印象深く、海外の雑誌から飛び出てきたように見えてしまう。
「今回は死人ではなく生きている人間という事で生き生きとした自分を見せたいと思います。」
一見お高くとまっていそうな外見とは異なり、親近感を持たせるトークで場内に笑いが広がるが、記者からは鋭い質問が飛び交う。
「今回はバーでの撮影が多いとか?プライベートでも最近行かれましたよね。」
「普段はお一人で?それともどなたか決まられた方と?」
ざわめき立つ記者達に司会のアナウンサーはストップをかけるがヒートアップする記者達を制止はできないようだ。苦笑いする共演者達と焦る番組関係者、これは早々に会見打ち切りか?な雰囲気になった時、
「申し訳ありません。」
テノールの美声が場内に響いた。
しんと静まりかえる場で深々と頭を下げているのは、先ほどまでにこやかに話していたKAI。
場が静まり返ったのを待ち、彼はそっと頭を上げると、
「この度はプライベートな事で番組関係者の皆様、共演者の方々、応援してくれるファンの皆様に心配とご迷惑をおかけした事を申し訳なく思っています。」
場内に目を配らせ、神妙な面持ちで謝罪している姿は24の青年としてはまずまずの謝罪に見えた。
が、、
「あの女性はどういったお知り合いですか?」
懲りない記者のを境にまた場内は荒れ始める。
「あの写真についてコメントを!」
「やはりあの夜は・・「申し訳ありません。彼女についてお教えできる事は一切ありません。」
下世話な質問に被せてKAIがやや声を張って発言する。
「ただ言えることは、彼女は僕にとってとても・・。」
それまで堂々とマイク片手に正面を見ていたKAIが下に目線を落として言葉に詰まる。
場内に緊張感が漂い、また記者が質問を繰り出すか!?なタイミングで、
「得難い存在・・です。」
「っ!」
そう真面目に答え、少し照れ臭そうに口元を引き締めた表情にお茶の間のみならず、場内の女子のハートに矢が刺さる。
な、なになになに!!その顔反則!
純情か!?あの顔で!?
本気っか!!
いやーん、その話、もっと詳しく!と誰しもが思ったタイミングで、
「プライベートな話はもういいでしょう?これ以上は野暮ですよ。若者の恋愛、大いに結構。このドラマも大人の恋愛がテーマです。ぜひ楽しんでいただきたい。」
ドラマの監督が場内を諌めつつ、ちゃっかり番宣をして笑いを取った。
安藤課長視点
仕事帰りになぜこんな広いリビングで、しかもやたら大型のテレビで録画されたワイドショーを見なければならんのだ。
「どうです?うちのやつ。」
にっこり清潔感が売りですとでも言いたげな短髪黒髪の爽やかな笑みを浮かべる男。
「どうですって・・。」
ツッコミどころが満載過ぎて、どこから言うべきか・・。
昨日の今日で、仕事終わりにこの男から「お迎えに上がります。」との連絡が入り、ただ今超高層マンションに連れて来られた。
で、KAIの謝罪の録画鑑賞。
自分とのたった一夜の事で、年下の男は世間様に頭を下げている。
それを見て、どんな感想を抱けって言うんだ。
はぁっとため息をつくと、
「・・あまり嬉しそうじゃありませんね?」
私をこの部屋まで強引に連れてきた男は、意地悪げにクスクスと笑う。
ほんっとに、こいつ腹黒そう。。
「お、、マネージャーさん、仕事帰りに無理やりこんなとこ連れてかれて、説明もなくこんな動画見せられて、感想なんてあるわけないじゃないですかっ!」
なんだかとっても座りごごち良さそうな広いソファにふんぞり返って睨みつける。
「ふふ。面白い。KAIにああ言われても全く動じないとは、頭の弱い方では無いようで安心しました。」
・・帰ってもいいわよね?
失礼にもほどがあるでしょ。
「用が済んだなら帰ります。私、明日も会社あるんで。」
こうゆう奴の相手などまともにしてたら相手の思うツボ。
とっとと逃げるが勝ちでしょ?
そう思い立ち上がった私に、ずいっと距離を詰めてきた鬼マネは信じられない宣告する。
「社長よりあなたを完全に守るとの指示が出ておりますゆえ、お返しすることは出来かねます。」
「は?」
全く意味わかんないと目を見開いた私に、満面の笑みを浮かべる鬼マネ。
「本日よりこちらで生活していただきます。」
「はぁぁぁぁっ!!!?」
高層マンションの一室に私の絶叫がこだました。。
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