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第2章 【異世界召喚】冒険者
第31話 先輩冒険者 訓練①
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「はい、毎度ー。また宜しくな」
とりあえず必要そうな物として、リュックと、動きやすそうな服装を揃えて、まぁ使うか分からない短剣を購入した訳で……。
正直リュックとか要らないんだけど、流石に手ぶらだと怪しすぎるからね。
「結構出費が嵩むな。早く依頼受けないとヤバイぞ」
焦りから、知らず知らずのうちに独り言ちながら「銀のかまど亭」へと帰って来た。
これじゃあ、その日暮らしのアルバイトみたいじゃないか。いやまぁ、実際そうなのか。あ、でも、まだ収入無いからニートじゃん。
先に宿代を払って置いて良かったよ。ホントに。食事と寝床の心配が無いってのは大きい。主に精神的に。
だけど、それでも早いところ安定した収入を得ないとな。
少し早めに夜食を食べ、明日の訓練とやらに備えて寝るとしよう。
「っと、その前に……」
自分のステータスを確認してみたんだが。
「あれ?俺ってLV64だったっけ?んー」
確か最後に確認した時は、LV61位だったと思うんだけどな。まぁ、考えても仕方ない。大した問題じゃないか。
チュートリアルが終わったから、これからのLV上げは、戦闘と訓練メインになるんだっけ?
「明日また確認すれば良いか」
冒険者の先輩とやらの訓練で、どの位LVが上がるのか楽しみではあるしな。
やばそうな人じゃなきゃいいなぁ。なんて思いながら、早めに就寝した。
☆☆☆☆☆
いくつも夢を見ていた気がする。
やたらとリアルな夢だったんだよな。
何か、可愛い子とセックスする夢だった。
何回もその子の膣内に射精して、愛おしくて仕方なくて……。
「……あぁ。夢か……」
のそっとベッドから起き上がり、時計を捜す。
「……」
いつもは目覚ましの音で起きてたから、ついつい癖でね。
で、意識が徐々に覚醒していって。
「夢だけど、夢じゃなかった……」
何を言っているんだ。俺は。
全部が夢落ちで、目覚めたら自宅のベッドなんて。そんなことは無く、宿屋のベッドだった訳で。
「異世界かぁ。改めて考えると、ありえんよな」
とは言え、夢落ちで現実復帰も叶わぬ今、出来る事をやるしかない。
「って、今何時くらいだ?」
この世界にも時計はあるが、中々高価な物で、勿論俺の部屋には置いていない。
「はぁ…とりあえず、1階に行ってみるか」
一人で居ると、誰に言うでも無く独り言が増えるのはなんでだろか。
とか考えながら、1階の空いているテーブルに座り、おばさんに朝食をお願いした。
「もう昼だからね。昼食だね」
そう言って、俺の昼食を用意してくれる様だ。そうか、もう昼時なんだな。約束の時間には間に合いそうだ。
初日から寝坊で遅刻とか、後で何を言われるか分からないもんな。
いつもよりテーブルが埋まってるのは昼時だからか。っという事は、ここに居る人も冒険者だろうな。きっと。全員じゃないだろうけども。
冒険者じゃない人は、普段何してるんだろうな。とか考えていると、
「はいよ、これは朝食べてない分のサービスにしておいてやるよ」
おばさんが俺の分の食事を持って来たくれた。それと昼食の他に、果実水をサービスしてくれた。
「あ、すみません。有難うございますっ」
何だろ、朝食の分損してるはずだけど、得した気分になるよね。しかも美味しいし。
「さて。行きますか」
昼食を済ませ、ギルドに向かう。昼過ぎって言われてるから、丁度良い時間かな?
とりあえずリンダさんに聞けばいいかな?
昨日はこんなに人は居なかったけど、ちらほらとギルドに出入りしている人が居るな。
ウエスタン扉を開き、ギルドの中に入るとリンダさんと目が合った。
リンダさんは昨日みたいに立ち上がり、俺に手を振ってくれる。
若干の気恥ずかしさもあったが、俺も遠慮がちに手を振り返す。
「あれがリンダの推薦したヤツか?いかにも駆け出しって感じじゃねーか」
「ほんとだな。何でリンダちゃん俺を推薦してくれなくてあんな奴を」
「お前は顔が駄目なんじゃね?」
「はぁ?ふざけてんのか?!」
「いや、俺に切れてる場合じゃないだろ?」
「そうだったな、くそがっ」
何か感じの悪い冒険者達が、俺の事見て何か話してるよ。
いやぁ、いい感じに注目されてますやん。めっちゃ聞こえてるし……。
これ異世界のテンプレなんじゃないんすか??
さっきの感じの悪い冒険者が俺の方に歩いて来る。
「おい、お前」
来たー!どうする?!とりあえずぶっ飛ばせばいいのか?!
「何でしょうか」
ここは冷静にいこう。先に手を出すのは駄目だな。
「お前、あんま調子に乗んなよ?リンダちゃんが推薦したからって……」
その冒険者がリンダさんの名前を出して、
「リンダがどうしたって?」
俺の後ろから声が聞こえて来た。
振り返ると、輝くような金の髪の毛を後ろに流し、片目を瞑った男の人が立っていた。
180cmはあるか。俺より背が高く、がっちりした体格だった。
「な、なんであんたがこ、ここに居るんだよっ」
さっきの感じの悪い冒険者が狼狽えている。と言うか、明らかに怯えている。
「んあぁ?決まってるだろ。これから此奴を鍛えるんだよ。文句あんのか?」
そう言いながら俺を親指で指さす。
「え、俺?まじっすか」
あ、この人かぁ。冒険者ってより、戦士って感じなんですけど?
「おう、まじだ」
「あー、そうなんですね。お手柔らかにお願いしますね…」
「あぁ。それはお前次第だな。じゃ、先に行って準備しとくからよ。早く来いよ」
そう言うと先に何処かに行ってしまった。
感じの悪かった冒険者の方に向き直ると、
「お前……死ぬなよ」
そんな不吉なセリフと憐みの表情を残して、じゃあな。と言わんばかりに片手を上げて去って行った。
いやいや、待て待て。テンプレどこ行った?
って、死ぬの?え、訓練だよね?
と、とりあえず、リンダさんの所まで行くか……。
「こんにちはっ!アオイ様!」
めっちゃ笑顔なリンダさん。「ねぇ、俺死ぬの?大丈夫だよね?」なんて聞けるわけも無く、今日のスケジュールについて話した。
「この後、訓練所にご案内しますね。それが終わりましたら……どうしましょう。簡単な依頼とか受けてみますか?」
有難い!少しでも収入を得たいところだ!
「是非お願いします!」
「はい、では私の方で良さそうな依頼を選んでおきますね!」
リンダさんのヤル気が凄いな。余り期待しないでおくれよ?
まぁ、しかし、本人がそれで良いなら俺がとやかく言う事ではないしな。
「では、ご案内しますねっ」
リンダさんの後について行くと、地下に続く階段だった。
結構な深さを下りた所で、大きいホールの様な空間に出た。
「ここ地下ですよね?随分広いですね」
そうなのだ。地下室みたいな場所を想像していたんだけど、どちらかと言うと地下街って感じ。
高さもそこそこあって、圧迫感は皆無だった。
「そうですね。私も何でこんなに広いのかは知らないんですけど、奥ももっと広いみたいですよ?あ、こっちです」
リンダさんの案内の元、幾つかの通路を通り、ひと際大きい扉を開け、中に入った。
「おう、おせーよ。びびって逃げたのかと思ったぜ」
あ、さっきの人だ。逃げる訳ないじゃないですかー。やだなー。
「改めて、暫くの間、宜しくお願いします」
「はいよ。まぁ俺は報酬貰ってるからなんでも良いんだけどな」
「では、アオイ様。私は先に戻ってますので……また後でお会いしましょう」
リンダさんは小さく手を振りながら言うと、受付に戻って行ったようだ。
「そういや、俺の名前は……そうだな。レオニードとでも呼んでくれ」
「あ、はい。アオイです、宜しくお願いします」
お互い自己紹介したところで、
「じゃあ早速だけど、お前武器使えんのか?」
「いや、どうなんでしょう。剣?は少し使える気はしますけど」
高校の授業で、剣道を少しやった事がある程度だから、剣が使えるとは言えないんだけど。
「そっか。それじゃあこれ使ってくれ」
渡されたのは、木剣だった。両刃の剣をイメージして作られている。
長さは、ロングソートと呼ばれる物と同じ長さらしい。結構重い。
「俺の剣を目掛けて打ち込んでみてくれ」
レオニードさんが、頭上に木剣を地面と水平に構えた。この刀身目掛けて打ち込めって事らしい。
「はい、いきますっ」
構えも何もあったもんじゃないけど、面を打つ感じで木剣を振り下ろした。
カンっ
「……本気でやって良いぞ?」
いや、結構力入れて振ったんですけど??
「あ、じゃあ、もう一回行きますね」
もう一度、レオニードさんの面を打つ感じで、木剣を振った。今度はさっきよりも力を入れて。
カンっ
「……成程な」
そしてその後、胴に向けてだったり足元にだったり、木剣を振るう位置を変えて打ち込んだ。
レオニードさんは、一歩も動かなかったな。
「はぁはぁはぁ……」
ちゃんとした?運動は久々だったから、少し息が上がってしまった。
「お前、力はあるみたいだけど、スタミナ無ぇな。走り込んだ方が良いぞ。後、実践的な剣の動かし方をした方がいいな。よし、じゃあ次」
そう言って次に出て来たのは、木斧だった。で、次は木槍…弓…棍棒…皮鞭…鎌…短剣…杖…。
「いや……はぁはぁ……流石に疲れましたよ……はぁ……」
次々に得物を代えて、軽いレクチャーを受けた。アドバイスも多少貰いながら。
「アオイ、お前すげぇな」
「え、何がですか?」
「初めてって言ってただろ?武器使うの」
あれ、何か褒められてる?
「そうですね、何かと戦った事とか無いですからね……」
現代において、格闘技でもやってれば違うんだろうけど。
「そうか、そうだよな。しかし恐ろしいな」
「恐ろしい……ですか?」
どうしよう、めっちゃ才能発揮しちゃったかな。
「あぁ、どれも恐ろしく才能が無いな」
真顔でそう言われた。
「は?」
「いや、普通ならどれかしらピンと来るもんなんだが……。無いな」
おぅ。いや、言い訳するとどれもこれも馴染み何て無いからね??
「ま、これから暫く鍛えてやるから、その間に使えそうな武器を使えば良いか。あ、お前体術派か?」
「体術って言っても……」
格闘技の動画とか好きで見てたけど、とりあえず思い出しながら真似して動いてみるか。
なんとなくボクシングみたいに構える。
「あ、ちょっとやってみます?こんな感じですかね」
左ジャブからの右ストレート。スイッチして、右ジャブから右フック。自分の身体じゃないみたいに早い動きだ。
「まぁ、魔物には効かなそうだけどな。対人には良さそうだな。後はなんかあるか?俺に向けて打ってこい」
「えーっと、じゃあいきます」
右のローキック。は、普通によけられて、そのまま右ストレートリードを繰り出す。レオニードさんの掌で受け止められた。
「おぉ、スゲエな。何か伸びた感じがしたなっ。もっとこいっ」
なんだこの戦闘狂は……。
そこからは、只のスパーリングみたいになっていた。
「成程ね。中々面白かったぞ。で、これ誰に習ったんだ?」
「え、ユーチューブです」
「あ?ゆーちゅぶ?誰だそれ」
「あ、いえ、人ではなくって、その人がやっている動きを見て、それ真似しただけなんですよ」
ただ単に、動画で見たやつをやってみたら、思っているよりも体が動いただけなんだけどさ。ただ言えるのは、絶対LVのお陰で動きが良くなってる。って事か。
とはいえ、実際に習ってる訳では無いから、これ以上の上達は無理。技術も何も知らない訳だし。
「そっか。見て覚えた訳か。つまり、その動きが出来る本人が居るって事だろ?今度会わせてくれよ」
いやー、それはちょっと難しいかなー。俺だって会った事ないし。
「ま、まぁ、機会があれば…ですかね?」
「よし、じゃあ次は魔法か。魔法は使えるんだろ?」
「あ、いえ……。使った事ないんですよね……魔石もどうやって使うのか分からないんですよ」
「はぁ?どうやって今まで生きて来たんだ?魔石使えないと、便所の水も流せないだろうよ」
そう、仰る通りで、城に居た時はアリアが後で流してくれてたしな……。今は、小の方は流さないで出て来ていたり。
「最悪だな……。そりゃマナー違反だわ」
マナーって。こっちでも通じるの?いやそれより、めっちゃ白い目で見られてます。いや、だってねぇ?使い方分からないんだもん。
「魔石に魔力込めるのは、物心つくまえに出来る様になってるからな。改めて教えるとなると……。はぁ、仕方無えな。とりあえずそこに座れや」
いや、何か申し訳ない。言われた通り座る。
レオニードさんは何処からか、銀色の筒みたいな物を持って来た。
とりあえず必要そうな物として、リュックと、動きやすそうな服装を揃えて、まぁ使うか分からない短剣を購入した訳で……。
正直リュックとか要らないんだけど、流石に手ぶらだと怪しすぎるからね。
「結構出費が嵩むな。早く依頼受けないとヤバイぞ」
焦りから、知らず知らずのうちに独り言ちながら「銀のかまど亭」へと帰って来た。
これじゃあ、その日暮らしのアルバイトみたいじゃないか。いやまぁ、実際そうなのか。あ、でも、まだ収入無いからニートじゃん。
先に宿代を払って置いて良かったよ。ホントに。食事と寝床の心配が無いってのは大きい。主に精神的に。
だけど、それでも早いところ安定した収入を得ないとな。
少し早めに夜食を食べ、明日の訓練とやらに備えて寝るとしよう。
「っと、その前に……」
自分のステータスを確認してみたんだが。
「あれ?俺ってLV64だったっけ?んー」
確か最後に確認した時は、LV61位だったと思うんだけどな。まぁ、考えても仕方ない。大した問題じゃないか。
チュートリアルが終わったから、これからのLV上げは、戦闘と訓練メインになるんだっけ?
「明日また確認すれば良いか」
冒険者の先輩とやらの訓練で、どの位LVが上がるのか楽しみではあるしな。
やばそうな人じゃなきゃいいなぁ。なんて思いながら、早めに就寝した。
☆☆☆☆☆
いくつも夢を見ていた気がする。
やたらとリアルな夢だったんだよな。
何か、可愛い子とセックスする夢だった。
何回もその子の膣内に射精して、愛おしくて仕方なくて……。
「……あぁ。夢か……」
のそっとベッドから起き上がり、時計を捜す。
「……」
いつもは目覚ましの音で起きてたから、ついつい癖でね。
で、意識が徐々に覚醒していって。
「夢だけど、夢じゃなかった……」
何を言っているんだ。俺は。
全部が夢落ちで、目覚めたら自宅のベッドなんて。そんなことは無く、宿屋のベッドだった訳で。
「異世界かぁ。改めて考えると、ありえんよな」
とは言え、夢落ちで現実復帰も叶わぬ今、出来る事をやるしかない。
「って、今何時くらいだ?」
この世界にも時計はあるが、中々高価な物で、勿論俺の部屋には置いていない。
「はぁ…とりあえず、1階に行ってみるか」
一人で居ると、誰に言うでも無く独り言が増えるのはなんでだろか。
とか考えながら、1階の空いているテーブルに座り、おばさんに朝食をお願いした。
「もう昼だからね。昼食だね」
そう言って、俺の昼食を用意してくれる様だ。そうか、もう昼時なんだな。約束の時間には間に合いそうだ。
初日から寝坊で遅刻とか、後で何を言われるか分からないもんな。
いつもよりテーブルが埋まってるのは昼時だからか。っという事は、ここに居る人も冒険者だろうな。きっと。全員じゃないだろうけども。
冒険者じゃない人は、普段何してるんだろうな。とか考えていると、
「はいよ、これは朝食べてない分のサービスにしておいてやるよ」
おばさんが俺の分の食事を持って来たくれた。それと昼食の他に、果実水をサービスしてくれた。
「あ、すみません。有難うございますっ」
何だろ、朝食の分損してるはずだけど、得した気分になるよね。しかも美味しいし。
「さて。行きますか」
昼食を済ませ、ギルドに向かう。昼過ぎって言われてるから、丁度良い時間かな?
とりあえずリンダさんに聞けばいいかな?
昨日はこんなに人は居なかったけど、ちらほらとギルドに出入りしている人が居るな。
ウエスタン扉を開き、ギルドの中に入るとリンダさんと目が合った。
リンダさんは昨日みたいに立ち上がり、俺に手を振ってくれる。
若干の気恥ずかしさもあったが、俺も遠慮がちに手を振り返す。
「あれがリンダの推薦したヤツか?いかにも駆け出しって感じじゃねーか」
「ほんとだな。何でリンダちゃん俺を推薦してくれなくてあんな奴を」
「お前は顔が駄目なんじゃね?」
「はぁ?ふざけてんのか?!」
「いや、俺に切れてる場合じゃないだろ?」
「そうだったな、くそがっ」
何か感じの悪い冒険者達が、俺の事見て何か話してるよ。
いやぁ、いい感じに注目されてますやん。めっちゃ聞こえてるし……。
これ異世界のテンプレなんじゃないんすか??
さっきの感じの悪い冒険者が俺の方に歩いて来る。
「おい、お前」
来たー!どうする?!とりあえずぶっ飛ばせばいいのか?!
「何でしょうか」
ここは冷静にいこう。先に手を出すのは駄目だな。
「お前、あんま調子に乗んなよ?リンダちゃんが推薦したからって……」
その冒険者がリンダさんの名前を出して、
「リンダがどうしたって?」
俺の後ろから声が聞こえて来た。
振り返ると、輝くような金の髪の毛を後ろに流し、片目を瞑った男の人が立っていた。
180cmはあるか。俺より背が高く、がっちりした体格だった。
「な、なんであんたがこ、ここに居るんだよっ」
さっきの感じの悪い冒険者が狼狽えている。と言うか、明らかに怯えている。
「んあぁ?決まってるだろ。これから此奴を鍛えるんだよ。文句あんのか?」
そう言いながら俺を親指で指さす。
「え、俺?まじっすか」
あ、この人かぁ。冒険者ってより、戦士って感じなんですけど?
「おう、まじだ」
「あー、そうなんですね。お手柔らかにお願いしますね…」
「あぁ。それはお前次第だな。じゃ、先に行って準備しとくからよ。早く来いよ」
そう言うと先に何処かに行ってしまった。
感じの悪かった冒険者の方に向き直ると、
「お前……死ぬなよ」
そんな不吉なセリフと憐みの表情を残して、じゃあな。と言わんばかりに片手を上げて去って行った。
いやいや、待て待て。テンプレどこ行った?
って、死ぬの?え、訓練だよね?
と、とりあえず、リンダさんの所まで行くか……。
「こんにちはっ!アオイ様!」
めっちゃ笑顔なリンダさん。「ねぇ、俺死ぬの?大丈夫だよね?」なんて聞けるわけも無く、今日のスケジュールについて話した。
「この後、訓練所にご案内しますね。それが終わりましたら……どうしましょう。簡単な依頼とか受けてみますか?」
有難い!少しでも収入を得たいところだ!
「是非お願いします!」
「はい、では私の方で良さそうな依頼を選んでおきますね!」
リンダさんのヤル気が凄いな。余り期待しないでおくれよ?
まぁ、しかし、本人がそれで良いなら俺がとやかく言う事ではないしな。
「では、ご案内しますねっ」
リンダさんの後について行くと、地下に続く階段だった。
結構な深さを下りた所で、大きいホールの様な空間に出た。
「ここ地下ですよね?随分広いですね」
そうなのだ。地下室みたいな場所を想像していたんだけど、どちらかと言うと地下街って感じ。
高さもそこそこあって、圧迫感は皆無だった。
「そうですね。私も何でこんなに広いのかは知らないんですけど、奥ももっと広いみたいですよ?あ、こっちです」
リンダさんの案内の元、幾つかの通路を通り、ひと際大きい扉を開け、中に入った。
「おう、おせーよ。びびって逃げたのかと思ったぜ」
あ、さっきの人だ。逃げる訳ないじゃないですかー。やだなー。
「改めて、暫くの間、宜しくお願いします」
「はいよ。まぁ俺は報酬貰ってるからなんでも良いんだけどな」
「では、アオイ様。私は先に戻ってますので……また後でお会いしましょう」
リンダさんは小さく手を振りながら言うと、受付に戻って行ったようだ。
「そういや、俺の名前は……そうだな。レオニードとでも呼んでくれ」
「あ、はい。アオイです、宜しくお願いします」
お互い自己紹介したところで、
「じゃあ早速だけど、お前武器使えんのか?」
「いや、どうなんでしょう。剣?は少し使える気はしますけど」
高校の授業で、剣道を少しやった事がある程度だから、剣が使えるとは言えないんだけど。
「そっか。それじゃあこれ使ってくれ」
渡されたのは、木剣だった。両刃の剣をイメージして作られている。
長さは、ロングソートと呼ばれる物と同じ長さらしい。結構重い。
「俺の剣を目掛けて打ち込んでみてくれ」
レオニードさんが、頭上に木剣を地面と水平に構えた。この刀身目掛けて打ち込めって事らしい。
「はい、いきますっ」
構えも何もあったもんじゃないけど、面を打つ感じで木剣を振り下ろした。
カンっ
「……本気でやって良いぞ?」
いや、結構力入れて振ったんですけど??
「あ、じゃあ、もう一回行きますね」
もう一度、レオニードさんの面を打つ感じで、木剣を振った。今度はさっきよりも力を入れて。
カンっ
「……成程な」
そしてその後、胴に向けてだったり足元にだったり、木剣を振るう位置を変えて打ち込んだ。
レオニードさんは、一歩も動かなかったな。
「はぁはぁはぁ……」
ちゃんとした?運動は久々だったから、少し息が上がってしまった。
「お前、力はあるみたいだけど、スタミナ無ぇな。走り込んだ方が良いぞ。後、実践的な剣の動かし方をした方がいいな。よし、じゃあ次」
そう言って次に出て来たのは、木斧だった。で、次は木槍…弓…棍棒…皮鞭…鎌…短剣…杖…。
「いや……はぁはぁ……流石に疲れましたよ……はぁ……」
次々に得物を代えて、軽いレクチャーを受けた。アドバイスも多少貰いながら。
「アオイ、お前すげぇな」
「え、何がですか?」
「初めてって言ってただろ?武器使うの」
あれ、何か褒められてる?
「そうですね、何かと戦った事とか無いですからね……」
現代において、格闘技でもやってれば違うんだろうけど。
「そうか、そうだよな。しかし恐ろしいな」
「恐ろしい……ですか?」
どうしよう、めっちゃ才能発揮しちゃったかな。
「あぁ、どれも恐ろしく才能が無いな」
真顔でそう言われた。
「は?」
「いや、普通ならどれかしらピンと来るもんなんだが……。無いな」
おぅ。いや、言い訳するとどれもこれも馴染み何て無いからね??
「ま、これから暫く鍛えてやるから、その間に使えそうな武器を使えば良いか。あ、お前体術派か?」
「体術って言っても……」
格闘技の動画とか好きで見てたけど、とりあえず思い出しながら真似して動いてみるか。
なんとなくボクシングみたいに構える。
「あ、ちょっとやってみます?こんな感じですかね」
左ジャブからの右ストレート。スイッチして、右ジャブから右フック。自分の身体じゃないみたいに早い動きだ。
「まぁ、魔物には効かなそうだけどな。対人には良さそうだな。後はなんかあるか?俺に向けて打ってこい」
「えーっと、じゃあいきます」
右のローキック。は、普通によけられて、そのまま右ストレートリードを繰り出す。レオニードさんの掌で受け止められた。
「おぉ、スゲエな。何か伸びた感じがしたなっ。もっとこいっ」
なんだこの戦闘狂は……。
そこからは、只のスパーリングみたいになっていた。
「成程ね。中々面白かったぞ。で、これ誰に習ったんだ?」
「え、ユーチューブです」
「あ?ゆーちゅぶ?誰だそれ」
「あ、いえ、人ではなくって、その人がやっている動きを見て、それ真似しただけなんですよ」
ただ単に、動画で見たやつをやってみたら、思っているよりも体が動いただけなんだけどさ。ただ言えるのは、絶対LVのお陰で動きが良くなってる。って事か。
とはいえ、実際に習ってる訳では無いから、これ以上の上達は無理。技術も何も知らない訳だし。
「そっか。見て覚えた訳か。つまり、その動きが出来る本人が居るって事だろ?今度会わせてくれよ」
いやー、それはちょっと難しいかなー。俺だって会った事ないし。
「ま、まぁ、機会があれば…ですかね?」
「よし、じゃあ次は魔法か。魔法は使えるんだろ?」
「あ、いえ……。使った事ないんですよね……魔石もどうやって使うのか分からないんですよ」
「はぁ?どうやって今まで生きて来たんだ?魔石使えないと、便所の水も流せないだろうよ」
そう、仰る通りで、城に居た時はアリアが後で流してくれてたしな……。今は、小の方は流さないで出て来ていたり。
「最悪だな……。そりゃマナー違反だわ」
マナーって。こっちでも通じるの?いやそれより、めっちゃ白い目で見られてます。いや、だってねぇ?使い方分からないんだもん。
「魔石に魔力込めるのは、物心つくまえに出来る様になってるからな。改めて教えるとなると……。はぁ、仕方無えな。とりあえずそこに座れや」
いや、何か申し訳ない。言われた通り座る。
レオニードさんは何処からか、銀色の筒みたいな物を持って来た。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
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