16 / 28
第16話
しおりを挟む
「ただいまー。あれ、お客さん? 」
妹の声が聞こえて来た。
その声を聞いて慌てて俺は飛び起きた。騎上さんも一瞬で我に返り、何事も無かったかの様にベッドの縁に座るという早業をなして見せた。ブレザーのボタンもきっちり留められている。
別にいきなり部屋のドアが開かれる事も無いのだろうけど、俺達は少し距離を空けベッドの縁に座っているという不自然な恰好で待機していた。
すると部屋に近付く足音が聞こえ、俺の部屋のドアがノックされた。
「お兄、帰ってる? 」
ちゃんとドアをノックする辺りしっかり教育された良い妹だ。
「あー。お帰り。今、クラスメイトが遊びに来てるから」
我ながら自然に返事出来たのではないだろうか?
分からないけど、心臓はバクバクしてる。別に悪い事はしてないけれども。
してないよね?
「そっかー。私コンビニ行って来るけど、何か要る? 」
「あ、アイスとか? 」
なんだよアイスって。
「はーい」
そしてパタパタとした足音が遠ざかり、玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
「あ、あの、水上君。私、今日は帰ろうかな」
その騎上さんの提案を俺は受け入れ、駅の近くまで送って行く事にした。
少しだけ足早に部屋を出て、誰も居ない事を確認しつつ玄関へと向かう。
コンビニとは逆方向なのが救いか。
いや、別に彼女が出来たって言えば良いだけなんだろうけど。
焦りながら靴を履き、騎上さんも靴を履いたのを確認する。
玄関を出て、そのまま駅へと。
少し歩いて、気が緩んだのか二人共笑いがこぼれて来た。
「焦って出てきちゃったね」
「私も、何かごめんなさい」
きっと、気が動転して。なんて言葉はこんな時に使うのだろう。なんて考えてた。
「ねぇ、水上君」
「ん?どうしたの?忘れ物でもした」
「違うの、その……」
「うん? 」
騎上さんが歩く速度を少し落として、右手を差し出して、
「手、繋いで欲しいな……」
そんな提案を恥ずかしそうに言った。
妹の声が聞こえて来た。
その声を聞いて慌てて俺は飛び起きた。騎上さんも一瞬で我に返り、何事も無かったかの様にベッドの縁に座るという早業をなして見せた。ブレザーのボタンもきっちり留められている。
別にいきなり部屋のドアが開かれる事も無いのだろうけど、俺達は少し距離を空けベッドの縁に座っているという不自然な恰好で待機していた。
すると部屋に近付く足音が聞こえ、俺の部屋のドアがノックされた。
「お兄、帰ってる? 」
ちゃんとドアをノックする辺りしっかり教育された良い妹だ。
「あー。お帰り。今、クラスメイトが遊びに来てるから」
我ながら自然に返事出来たのではないだろうか?
分からないけど、心臓はバクバクしてる。別に悪い事はしてないけれども。
してないよね?
「そっかー。私コンビニ行って来るけど、何か要る? 」
「あ、アイスとか? 」
なんだよアイスって。
「はーい」
そしてパタパタとした足音が遠ざかり、玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
「あ、あの、水上君。私、今日は帰ろうかな」
その騎上さんの提案を俺は受け入れ、駅の近くまで送って行く事にした。
少しだけ足早に部屋を出て、誰も居ない事を確認しつつ玄関へと向かう。
コンビニとは逆方向なのが救いか。
いや、別に彼女が出来たって言えば良いだけなんだろうけど。
焦りながら靴を履き、騎上さんも靴を履いたのを確認する。
玄関を出て、そのまま駅へと。
少し歩いて、気が緩んだのか二人共笑いがこぼれて来た。
「焦って出てきちゃったね」
「私も、何かごめんなさい」
きっと、気が動転して。なんて言葉はこんな時に使うのだろう。なんて考えてた。
「ねぇ、水上君」
「ん?どうしたの?忘れ物でもした」
「違うの、その……」
「うん? 」
騎上さんが歩く速度を少し落として、右手を差し出して、
「手、繋いで欲しいな……」
そんな提案を恥ずかしそうに言った。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる