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第6話
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待ちに待った放課後です。えぇ、気が気では無いのです。
カバンに荷物を詰め、騎上さんの様子を伺う。
その騎上さんはというと、女友達とお話をしている様だった。
こういう時って俺から話しかけた方が良いのかな。いやでも、それだと待ちきれない子みたいで何かやだな……待ちきれないけど。
とりあえず様子を見るって事で、俺はスマホを弄り、無心になる事にした。
興味も無いニュースサイト開いて、記事のタイトルだけ流し見をして読んだ気になる。
まぁ、正直何も頭には入って来ない。
そうこうしている内に、他の生徒達は教室から出て行き、残ってるのは俺と騎上さんだけとなった。
まだ……なのか?はっ!まさか、実はさっきのは俺の気のせいだったとか。
だとしたら相当恥ずかしい。「何期待して待ってんの?」ってなるヤツじゃん。あー。
俺は自分の両腕を腕枕にして机に突っ伏した。
その時、
「あ、あの、水上君。起きてる?」
ついにその時が来ました!
勢い良く顔を……上げると、待ってました感が出てしまうので、あくまで自然に自然に。
「ん、起きてるよ。うん。それで……」
「うん……その……ここだと誰か来たら困るから……一緒に来て欲しいんだけど……」
んおーーー!なんだ!まさかいきなりエロイ事に発展するんですか?!いや、それなら確かにここではまずいな。っていうか、一旦落ち着こう。鼓動がヤバイ。
「あ、うん。分かった。何処に行くの?」
そうして連れて来られたのは、騎上さんの所属している文芸部の部室だった。
教室を半分に区切った位の広さの部屋で、壁には本棚が置いてある。そこには歴代の部員が集めたのであろう俺の知らない本が並んでいた。本に直接日の光が当たらない様、窓には白いカーテンが掛かっている。
部屋の中央には、長机とパイプ椅子が並んでいて、俺はその椅子に座らされた。
気まずい……。騎上さんと密室に二人きり。今日は文芸部の活動日では無いらしく、他の部員は誰も居ないし誰も来ない。
騎上さんは内側から施錠して、俺の横のパイプ椅子に腰かけた。
ギィ……。
パイプ椅子の軋む音が部屋に響く。それ以外は何も聞こえない。
いや、俺の心臓の音が聞こえているかも知れない。さっきから早鐘の様だ。
「あのね、水上君」
騎上さんが意を決した様に口を開いた。
俺は緊張のあまり、騎上さんの方を向く事が出来ず、長机と睨めっこしている。
「信じて貰えないかもなんだけど……ね。……私……水上君の事が……その……好きです」
好きです……好きです……好きです……。
騎上さんの告白を脳内で何度再生した事だろう。夢なのか?はははっ、夢なら泣いちゃう。
「ごめんね、突然。困っちゃうよね……」
困りません!寧ろ大歓迎です!
いや、しかし。これは間違いなくあのアプリの影響だと思うんだよ。好感度80だと、どこまで俺の事が好きなのか……ついつい試してみようと思ってしまった。
このまま騎上さんとお付き合いして、ハッピーエンド!それで俺は満足!
でも、気になっちゃうじゃん。もともと在り得なかった状況なんだし。
だから、少し意地悪をしてしまった自分を責める事は出来ない。それに後で思い返してみたら「あの時の俺マジナイス!」ってなる訳で。
「騎上さん。俺、嬉しいよ」
騎上さんの方に向き直り、彼女の目を見てそう言った。
「え、それじゃあっ」
きっと次の言葉は「付き合って下さい」だと思う。でもそれじゃ駄目なんだ。
騎上さんが話す前に俺はこう言った。
「騎上さん。俺、信じられないんだ。騎上さんみたいな可愛い子が、寄りにもよって俺なんかを好きになってくれるって事がさ」
「え……ホントに好きだよ?!」
騎上さんは少し焦った様な、少し悲しいそうな表情で俺を見ている。
「俺もね、騎上さんの事、好き……だけど、やっぱり信じられないんだ。どっきりなのかなって思ってる」
「そんな!私、そんな事しないよぉっ」
騎上さんが泣きそうな顔になってしまった。
そんな顔も可愛い……。
「分かってる。騎上さんがそんな事する人じゃないって。でもさ……」
俺はもったいぶって会話を引き延ばす。
「じゃあ、どうしたら信じてくれるの?」
そう、この言葉を待っていた。
「どうしたら……か。うーんそうだな。騎上さんは、俺の事どれくらい好きなの?」
「え、どれくらいって言われても分かんないよ……」
瞳に涙を溜めながら必死に考えているみたいだ。
「じゃあさ。もし、今俺にパンツ見せてって言われたら……どうする?」
カバンに荷物を詰め、騎上さんの様子を伺う。
その騎上さんはというと、女友達とお話をしている様だった。
こういう時って俺から話しかけた方が良いのかな。いやでも、それだと待ちきれない子みたいで何かやだな……待ちきれないけど。
とりあえず様子を見るって事で、俺はスマホを弄り、無心になる事にした。
興味も無いニュースサイト開いて、記事のタイトルだけ流し見をして読んだ気になる。
まぁ、正直何も頭には入って来ない。
そうこうしている内に、他の生徒達は教室から出て行き、残ってるのは俺と騎上さんだけとなった。
まだ……なのか?はっ!まさか、実はさっきのは俺の気のせいだったとか。
だとしたら相当恥ずかしい。「何期待して待ってんの?」ってなるヤツじゃん。あー。
俺は自分の両腕を腕枕にして机に突っ伏した。
その時、
「あ、あの、水上君。起きてる?」
ついにその時が来ました!
勢い良く顔を……上げると、待ってました感が出てしまうので、あくまで自然に自然に。
「ん、起きてるよ。うん。それで……」
「うん……その……ここだと誰か来たら困るから……一緒に来て欲しいんだけど……」
んおーーー!なんだ!まさかいきなりエロイ事に発展するんですか?!いや、それなら確かにここではまずいな。っていうか、一旦落ち着こう。鼓動がヤバイ。
「あ、うん。分かった。何処に行くの?」
そうして連れて来られたのは、騎上さんの所属している文芸部の部室だった。
教室を半分に区切った位の広さの部屋で、壁には本棚が置いてある。そこには歴代の部員が集めたのであろう俺の知らない本が並んでいた。本に直接日の光が当たらない様、窓には白いカーテンが掛かっている。
部屋の中央には、長机とパイプ椅子が並んでいて、俺はその椅子に座らされた。
気まずい……。騎上さんと密室に二人きり。今日は文芸部の活動日では無いらしく、他の部員は誰も居ないし誰も来ない。
騎上さんは内側から施錠して、俺の横のパイプ椅子に腰かけた。
ギィ……。
パイプ椅子の軋む音が部屋に響く。それ以外は何も聞こえない。
いや、俺の心臓の音が聞こえているかも知れない。さっきから早鐘の様だ。
「あのね、水上君」
騎上さんが意を決した様に口を開いた。
俺は緊張のあまり、騎上さんの方を向く事が出来ず、長机と睨めっこしている。
「信じて貰えないかもなんだけど……ね。……私……水上君の事が……その……好きです」
好きです……好きです……好きです……。
騎上さんの告白を脳内で何度再生した事だろう。夢なのか?はははっ、夢なら泣いちゃう。
「ごめんね、突然。困っちゃうよね……」
困りません!寧ろ大歓迎です!
いや、しかし。これは間違いなくあのアプリの影響だと思うんだよ。好感度80だと、どこまで俺の事が好きなのか……ついつい試してみようと思ってしまった。
このまま騎上さんとお付き合いして、ハッピーエンド!それで俺は満足!
でも、気になっちゃうじゃん。もともと在り得なかった状況なんだし。
だから、少し意地悪をしてしまった自分を責める事は出来ない。それに後で思い返してみたら「あの時の俺マジナイス!」ってなる訳で。
「騎上さん。俺、嬉しいよ」
騎上さんの方に向き直り、彼女の目を見てそう言った。
「え、それじゃあっ」
きっと次の言葉は「付き合って下さい」だと思う。でもそれじゃ駄目なんだ。
騎上さんが話す前に俺はこう言った。
「騎上さん。俺、信じられないんだ。騎上さんみたいな可愛い子が、寄りにもよって俺なんかを好きになってくれるって事がさ」
「え……ホントに好きだよ?!」
騎上さんは少し焦った様な、少し悲しいそうな表情で俺を見ている。
「俺もね、騎上さんの事、好き……だけど、やっぱり信じられないんだ。どっきりなのかなって思ってる」
「そんな!私、そんな事しないよぉっ」
騎上さんが泣きそうな顔になってしまった。
そんな顔も可愛い……。
「分かってる。騎上さんがそんな事する人じゃないって。でもさ……」
俺はもったいぶって会話を引き延ばす。
「じゃあ、どうしたら信じてくれるの?」
そう、この言葉を待っていた。
「どうしたら……か。うーんそうだな。騎上さんは、俺の事どれくらい好きなの?」
「え、どれくらいって言われても分かんないよ……」
瞳に涙を溜めながら必死に考えているみたいだ。
「じゃあさ。もし、今俺にパンツ見せてって言われたら……どうする?」
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