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第75話 トラエスト城来襲(1) 舞踏会の広間
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広大な王宮の一角、ある廊下の床の上に、緑色に光る円が出現したのを、誰も見ていなかった。
誰もいないひっそりした廊下で、それは緑の円の中から這い上がってきた。
それはのっそりとした足取りで廊下を歩んだ。
その口から、シューシューという呼吸音と共に、しゃがれ声が漏れる。
「レリエル……オ前ノセイデ……醜イ……醜イ……奇形羽エエエ……」
※※※
いくつものシャンデリアが天井に輝く、絢爛な飾り壁の広間は、今宵行われる舞踏会準備のため、多くのメイドたちが掃除中だった。
壁際の隅に設置されている、ピラミッド型のオブジェが青く発光していることに気づくメイドは、なかなかいなかった。
何しろ、忙しかったので。
天使感知器は死霊傀儡が近づけば近づくほど強く光り、最接近すると点滅する。
ようやく一人のメイドがそれに気づいたのは、ピラミッドが点滅し始めた時だった。
「ちょ、ちょっとあれ……。ねえあれ、やばいんじゃない?光ってるわよね?」
「え?」
「ほらあの、化け物が近づくと光るってやつ……」
ギイ、と音を立てて両開きのドアが開けられた。
シューシューと息を吐きながら、それが立っていた。
ずるり、ずるり、と足を引きずるように入ってくる。
赤い目玉がうつろに人々を見回した。
メイドたちの金切り声が上がった。
「て、て、天使……!」
「きゃああーー!」
「いやあああっ!」
「助けてえーーーー!」
集団がパニックに陥りかかった刹那、バン、と大きな音を立てて、反対側の扉が開いた。
宮廷魔術師長、ヒルデが立っていた。ヒルデが叫ぶ。
「こっちの扉から逃げろ!」
メイドたちはハッとしてヒルデの方を見た。
メイドたちの集団は、一斉にヒルデのいる扉になだれ込んだ。
大勢が部屋からはけていく中、ヒルデはその異様な死霊傀儡を見つめ、じっとりと脂汗が滲み出てくるのを感じた。
「なんだ……こいつは……!」
※※※
ペンダントの青い光が強まる方向を目指し走っていたアレスとレリエルは、ある場所で足を止めた。
すぐ上の階で空気が淀んでいるのが分かった。明らかにそこに、異様な悪気が存在している。
「上にいるな。階段に行こう!」
二人は階段を目指して突っ走った。見えてきた階段の方から、怒涛の勢いでメイドたちが駆けてきた。
「きゃああああ!」
「天使よーーー!」
「天使が、天使が城に!」
半狂乱で廊下を走り去っていくメイドたちの言葉に、アレスは耳を疑った。問い掛ける目でレリエルを見た。だがレリエルは首を横に振る。
「ありえない!天使は神域外に来れない、絶対に天使のわけがない!」
「行けば分かるか……!」
二人はメイドたちと逆行して進み、階段を駆け上った。
上階に着くと天使感知器ペンダントが青く点滅し始め、怨念めいた悪気がありありと感じられた。
悪気を目指し二人は走り、舞踏会の広間前にたどり着いた。
舞踏会の広間前には、締め切った扉に両手をかざすヒルデがいた。床に足を踏ん張り、その体は震えている。
「ヒルデっ!?」
「来たか……」
ゆっくりとこちらを振り向いたヒルデは青ざめ、大量の汗をかいていた。
「奴は中にいる……。俺が今、呪縛魔法で動きを封じている……が、もう限界だ、解くぞ……」
「あ、ああ!すまんヒルデっ!!」
ヒルデはがくりと膝を落とし、床にくずおれた。
瞬間、バリバリっと音を立てて、扉に内側から何かが突き刺された。アレスとレリエルはびくっとする。
見れば真っ黒な鉄の杭が、絢爛な金装飾を施された白い扉を突き破って飛び出していた。
中から死霊傀儡が飛び出てくるのかと警戒したが、あとは沈黙。
動きがないことを確認したアレスは、一呼吸置いてから扉の取っ手に手をかけた。
その背中に、ヒルデが忠告をする。
「気をつけろ……。確かに死霊傀儡だが、天使の形状をしている……」
アレスは無言でうなずいた。
扉を開け、レリエルと二人、突入する。
後ろ手に扉を閉めるアレスの目の前。
化け物に変わり果てた、イヴァルトがいた。
「ひっ……!」
レリエルが口を覆って小さな悲鳴を上げた。
アレスもごくりと喉を鳴らす。
「天使の……イヴァルトの死霊傀儡だと!?」
そう言うことか、とアレスは理解した。
人間の材料がなくなったから、天使を殺して死霊傀儡としたのだ。イヴァルトが選ばれたのは罰、見せしめか。
おぞましい姿だった。
いままでの死霊傀儡は影のような汚泥のような、人ならざる姿だった。しかし今目の前にいる死霊傀儡は、生きていた頃のイヴァルトの姿かたちをはっきりと反映させ、目だけが赤々と傀儡らしく輝いていた。
それがかえって、不気味だった。
背中に大きく広げた薄羽。肩まで伸ばした銀髪。
しかし肌は醜い火傷の痕に覆われていた。顔も手も足も赤く変色し、皮膚がめくれ爛れている。
そして一番おどろおどろしいのは、体中に刺さる幾本もの杭。
腕を、脚を、腹を、胸を、首を、頭を。あちこちを、先端の鋭い黒い杭が貫通していた。
先ほど扉に投げつけられたのは、この杭だろう。
「れ……り……」
イヴァルトは自らの首を貫通している杭をつかみ、ひっぱった。
ぐいぐいとひっぱり、すぽんと抜けたその杭を、槍のように掲げる。
「オ前ノセイデ……オ前サエイナケレバ……。醜イ醜イ、矮小羽エエエエエエ!オ前ガ憎イ憎イ憎イ!醜悪醜悪シュウウウウウウアアアアアアア」
「イ、イヴァ……ルト、さま……!」
レリエルは恐怖に顔をゆがめる。その身体はがくがく震えていた。
死霊傀儡のイヴァルトは、杭を構えてレリエルに向かって突進してきた。
「れーりーえエエるウウウウ!醜イ醜イ、シネシネシネシネ、れりエるアアアアアアアアア!!!!」
「う、あぁ……!」
怯えきって身動きできないレリエルの前に、アレスが踊り出る。
杭を剣で受け止めた。
イヴァルトは杭を、突きの要領で振るってきた。すさまじい速さだった。だかアレスは全てを見切り、剣で受ける。
金属と金属のぶつかる音が広間に響いた。
ジリジリとイヴァルトが下がり始めた。アレスの方が相手を押していく。
「レリエル、レリエルって!俺のことも忘れんなよ、鬼畜上官さんよっ!」
突きの一撃を弾いた。イヴァルトが体勢を崩した。
アレスはその腹に剣を切りつけた。
が、その剣はイヴァルトの体に触れることはなかった。宙を切るような、すかっという感覚。
「霊体化かっ……!」
アレスの頭上から、杭が振り下ろされた。アレスは床を転がってよけた。
「死霊傀儡のくせに霊体化できるのか!なんで杭は霊体化してないんだよ、身につけている物は自己同一化されて肉体と一緒に霊体化されるってヒルデが言ってたぞ!」
イヴァルトは赤い目を光らせる。
「霊体化ハ、自在ニ好キナ部位ヲ解除デキル。ソンナコトモ知ラナイノカ人間?ソレニ、霊体化防御ダケデハ、ナイゾ?」
イヴァルトは手を突き出し、ドン、と念を放った。
アレスの体に激痛が走った。同時に頭の中でパリン、と何かが砕け散る音。
久々に聴いた、自らの魂構成子が割れる音である。
「くっ……。なるほど、魂攻撃もできるわけか!」
以前戦った時はイヴァルトは一発でアレスの魂構成子を破壊することはできなかったはずだ。
つまりこの死霊傀儡は、生前より強くなっている。
ぐずぐずしては、いられない。アレスの瞳には既に、セフィロトの樹の図形が浮かんでいた。
「じゃあ、おかえしだ!大破魂、連撃!」
イヴァルトの傀儡魂に次々と攻撃を浴びせた。
その十の赤い光の玉に、透明な球体を間髪入れず浴びせ続けた。
一気に仕留めねば、と思った。一個も残さず、一気に片をつけねば、と。
またあの「魂自壊」とやらをやられたら、おしまいだからだ。自らの魂構成子一つを再生不能レベルに完全崩壊させることで莫大なエネルギーを生み出すという。半径数キロ範囲にあるもの全てが灰燼と化す、とレリエルは言っていた。
王宮の真ん中で、あんな技をやられたら……。
絶対に阻止しなければならない。
イヴァルトは、自分の魂構成子をどんどん破壊されながら、狂ったような笑い声をあげた。
「アア、強イナ人間、ドンドン壊セ!マルデ痛ミヲ感ジナイゾオオオオオオ」
不気味なほど、余裕な態度。
イヴァルトが狂ってしまった故なのか、あるいは策があるのか?
と、アレスが真意をはかりかねて眉をひそめた、その時。
イヴァルトの右肩に刺さっている杭が、突然飛び出して来た。
杭が自動発射するとは予想していなかったアレスは、回避の動きが一歩、遅れた。
「っ……!くはっ!」
アレスの左肩に、杭がつき刺さった。ぐさりと貫通する。よろめきながら後ずさりした。
「アレスーーーっ!!」
イヴァルトに恐怖し身をすくませていたレリエルが、悲鳴をあげた。
※※※
誰もいないひっそりした廊下で、それは緑の円の中から這い上がってきた。
それはのっそりとした足取りで廊下を歩んだ。
その口から、シューシューという呼吸音と共に、しゃがれ声が漏れる。
「レリエル……オ前ノセイデ……醜イ……醜イ……奇形羽エエエ……」
※※※
いくつものシャンデリアが天井に輝く、絢爛な飾り壁の広間は、今宵行われる舞踏会準備のため、多くのメイドたちが掃除中だった。
壁際の隅に設置されている、ピラミッド型のオブジェが青く発光していることに気づくメイドは、なかなかいなかった。
何しろ、忙しかったので。
天使感知器は死霊傀儡が近づけば近づくほど強く光り、最接近すると点滅する。
ようやく一人のメイドがそれに気づいたのは、ピラミッドが点滅し始めた時だった。
「ちょ、ちょっとあれ……。ねえあれ、やばいんじゃない?光ってるわよね?」
「え?」
「ほらあの、化け物が近づくと光るってやつ……」
ギイ、と音を立てて両開きのドアが開けられた。
シューシューと息を吐きながら、それが立っていた。
ずるり、ずるり、と足を引きずるように入ってくる。
赤い目玉がうつろに人々を見回した。
メイドたちの金切り声が上がった。
「て、て、天使……!」
「きゃああーー!」
「いやあああっ!」
「助けてえーーーー!」
集団がパニックに陥りかかった刹那、バン、と大きな音を立てて、反対側の扉が開いた。
宮廷魔術師長、ヒルデが立っていた。ヒルデが叫ぶ。
「こっちの扉から逃げろ!」
メイドたちはハッとしてヒルデの方を見た。
メイドたちの集団は、一斉にヒルデのいる扉になだれ込んだ。
大勢が部屋からはけていく中、ヒルデはその異様な死霊傀儡を見つめ、じっとりと脂汗が滲み出てくるのを感じた。
「なんだ……こいつは……!」
※※※
ペンダントの青い光が強まる方向を目指し走っていたアレスとレリエルは、ある場所で足を止めた。
すぐ上の階で空気が淀んでいるのが分かった。明らかにそこに、異様な悪気が存在している。
「上にいるな。階段に行こう!」
二人は階段を目指して突っ走った。見えてきた階段の方から、怒涛の勢いでメイドたちが駆けてきた。
「きゃああああ!」
「天使よーーー!」
「天使が、天使が城に!」
半狂乱で廊下を走り去っていくメイドたちの言葉に、アレスは耳を疑った。問い掛ける目でレリエルを見た。だがレリエルは首を横に振る。
「ありえない!天使は神域外に来れない、絶対に天使のわけがない!」
「行けば分かるか……!」
二人はメイドたちと逆行して進み、階段を駆け上った。
上階に着くと天使感知器ペンダントが青く点滅し始め、怨念めいた悪気がありありと感じられた。
悪気を目指し二人は走り、舞踏会の広間前にたどり着いた。
舞踏会の広間前には、締め切った扉に両手をかざすヒルデがいた。床に足を踏ん張り、その体は震えている。
「ヒルデっ!?」
「来たか……」
ゆっくりとこちらを振り向いたヒルデは青ざめ、大量の汗をかいていた。
「奴は中にいる……。俺が今、呪縛魔法で動きを封じている……が、もう限界だ、解くぞ……」
「あ、ああ!すまんヒルデっ!!」
ヒルデはがくりと膝を落とし、床にくずおれた。
瞬間、バリバリっと音を立てて、扉に内側から何かが突き刺された。アレスとレリエルはびくっとする。
見れば真っ黒な鉄の杭が、絢爛な金装飾を施された白い扉を突き破って飛び出していた。
中から死霊傀儡が飛び出てくるのかと警戒したが、あとは沈黙。
動きがないことを確認したアレスは、一呼吸置いてから扉の取っ手に手をかけた。
その背中に、ヒルデが忠告をする。
「気をつけろ……。確かに死霊傀儡だが、天使の形状をしている……」
アレスは無言でうなずいた。
扉を開け、レリエルと二人、突入する。
後ろ手に扉を閉めるアレスの目の前。
化け物に変わり果てた、イヴァルトがいた。
「ひっ……!」
レリエルが口を覆って小さな悲鳴を上げた。
アレスもごくりと喉を鳴らす。
「天使の……イヴァルトの死霊傀儡だと!?」
そう言うことか、とアレスは理解した。
人間の材料がなくなったから、天使を殺して死霊傀儡としたのだ。イヴァルトが選ばれたのは罰、見せしめか。
おぞましい姿だった。
いままでの死霊傀儡は影のような汚泥のような、人ならざる姿だった。しかし今目の前にいる死霊傀儡は、生きていた頃のイヴァルトの姿かたちをはっきりと反映させ、目だけが赤々と傀儡らしく輝いていた。
それがかえって、不気味だった。
背中に大きく広げた薄羽。肩まで伸ばした銀髪。
しかし肌は醜い火傷の痕に覆われていた。顔も手も足も赤く変色し、皮膚がめくれ爛れている。
そして一番おどろおどろしいのは、体中に刺さる幾本もの杭。
腕を、脚を、腹を、胸を、首を、頭を。あちこちを、先端の鋭い黒い杭が貫通していた。
先ほど扉に投げつけられたのは、この杭だろう。
「れ……り……」
イヴァルトは自らの首を貫通している杭をつかみ、ひっぱった。
ぐいぐいとひっぱり、すぽんと抜けたその杭を、槍のように掲げる。
「オ前ノセイデ……オ前サエイナケレバ……。醜イ醜イ、矮小羽エエエエエエ!オ前ガ憎イ憎イ憎イ!醜悪醜悪シュウウウウウウアアアアアアア」
「イ、イヴァ……ルト、さま……!」
レリエルは恐怖に顔をゆがめる。その身体はがくがく震えていた。
死霊傀儡のイヴァルトは、杭を構えてレリエルに向かって突進してきた。
「れーりーえエエるウウウウ!醜イ醜イ、シネシネシネシネ、れりエるアアアアアアアアア!!!!」
「う、あぁ……!」
怯えきって身動きできないレリエルの前に、アレスが踊り出る。
杭を剣で受け止めた。
イヴァルトは杭を、突きの要領で振るってきた。すさまじい速さだった。だかアレスは全てを見切り、剣で受ける。
金属と金属のぶつかる音が広間に響いた。
ジリジリとイヴァルトが下がり始めた。アレスの方が相手を押していく。
「レリエル、レリエルって!俺のことも忘れんなよ、鬼畜上官さんよっ!」
突きの一撃を弾いた。イヴァルトが体勢を崩した。
アレスはその腹に剣を切りつけた。
が、その剣はイヴァルトの体に触れることはなかった。宙を切るような、すかっという感覚。
「霊体化かっ……!」
アレスの頭上から、杭が振り下ろされた。アレスは床を転がってよけた。
「死霊傀儡のくせに霊体化できるのか!なんで杭は霊体化してないんだよ、身につけている物は自己同一化されて肉体と一緒に霊体化されるってヒルデが言ってたぞ!」
イヴァルトは赤い目を光らせる。
「霊体化ハ、自在ニ好キナ部位ヲ解除デキル。ソンナコトモ知ラナイノカ人間?ソレニ、霊体化防御ダケデハ、ナイゾ?」
イヴァルトは手を突き出し、ドン、と念を放った。
アレスの体に激痛が走った。同時に頭の中でパリン、と何かが砕け散る音。
久々に聴いた、自らの魂構成子が割れる音である。
「くっ……。なるほど、魂攻撃もできるわけか!」
以前戦った時はイヴァルトは一発でアレスの魂構成子を破壊することはできなかったはずだ。
つまりこの死霊傀儡は、生前より強くなっている。
ぐずぐずしては、いられない。アレスの瞳には既に、セフィロトの樹の図形が浮かんでいた。
「じゃあ、おかえしだ!大破魂、連撃!」
イヴァルトの傀儡魂に次々と攻撃を浴びせた。
その十の赤い光の玉に、透明な球体を間髪入れず浴びせ続けた。
一気に仕留めねば、と思った。一個も残さず、一気に片をつけねば、と。
またあの「魂自壊」とやらをやられたら、おしまいだからだ。自らの魂構成子一つを再生不能レベルに完全崩壊させることで莫大なエネルギーを生み出すという。半径数キロ範囲にあるもの全てが灰燼と化す、とレリエルは言っていた。
王宮の真ん中で、あんな技をやられたら……。
絶対に阻止しなければならない。
イヴァルトは、自分の魂構成子をどんどん破壊されながら、狂ったような笑い声をあげた。
「アア、強イナ人間、ドンドン壊セ!マルデ痛ミヲ感ジナイゾオオオオオオ」
不気味なほど、余裕な態度。
イヴァルトが狂ってしまった故なのか、あるいは策があるのか?
と、アレスが真意をはかりかねて眉をひそめた、その時。
イヴァルトの右肩に刺さっている杭が、突然飛び出して来た。
杭が自動発射するとは予想していなかったアレスは、回避の動きが一歩、遅れた。
「っ……!くはっ!」
アレスの左肩に、杭がつき刺さった。ぐさりと貫通する。よろめきながら後ずさりした。
「アレスーーーっ!!」
イヴァルトに恐怖し身をすくませていたレリエルが、悲鳴をあげた。
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