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第69話 革命 (3)
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新王ジルソン、王の母ミランダス王太后、王の祖父オッド・カニエル宰相の三人は、王宮のテラスで朝の茶菓子を嗜んでいた。
「そろそろ浮浪者達の全員拿捕と反王家狩りも終わる頃かな。建国五百年記念日の本日、<粛清の日>をもってついに王都は安息を取り戻す」
顔の左半分に仮面をつけ火傷痕を隠すジルソンが、茶を口に含みながら言った。
ミランダスは賞賛のまなざしで微笑んだ。
「よく決断して下さいました。騎士団の活躍で地方の反乱奴隷も大人しくなりましたし、やっと王国は安泰ですわね」
一方、オッドはやや思案げな表情を浮かべている。
「しかし最大の危険分子のハイラドが、集めていた廃棄奴隷ごと消えたままなのが気になるところだ」
ジルソンは嘲笑を浮かべた。
「ハイラドは実は狂った邪教徒で、いかがわしい儀式に使う生贄用に奴隷を集めていたと噂されておりますよ。船に詰め込んでどこかに連れ去るのを見た者がいるとか。高僧などと崇められてとんだ偽善者でしたね」
「ふむ、そういう事ならば廃棄奴隷を少し片付けてくれたハイラドに感謝せねばならぬか。リチェルとアルキバも海外逃亡の可能性が濃厚のようだな」
リチェルとアルキバの名前が出て、ジルソンは突然、果物ナイフをテーブルに突き立てた。
大きな音が鳴り、ミランダスもオッドもびくりとする。
二人は互いに目配せをしながら、精神の不安定な若き王をうかがった。
ジルソンは声を震わせながら言う。
「ええ……。あの二人だけは何度殺しても飽き足らないと言うのに!」
オッドは孫をなだめる口調になる。
「ま、まあリチェルなんぞどこかで既にのたれ死んでおるだろう……」
その時、血相を変えた兵がやってきた。
「失礼いたします国王陛下、火急のお知らせがあります!」
「どうした」
「ドミニク憲兵隊長が奴隷と自由民たちに惨殺されました!」
信じがたい知らせに、三人は目を見開く。ジルソンはいきり立った。
「ふざけるな、ドミニクが死んだ?どういうことだ、しかも自由民だと!?」
「ドミニク隊長は廃棄奴隷に刺された後、街の自由民たちからも暴行を受けて殺されたとのことです。帯刀した奴隷たちが憲兵たちを殺し、自由民まで奴隷に乗じて暴れております。王都はもはや暴徒反乱の様相であります!」
「それくらいさっさと鎮圧しろ!」
「恐れながら陛下、憲兵達が現在、大変苦戦しております。反乱の中心として戦っているのは廃棄奴隷ではなく、廃棄奴隷に扮した剣闘士のようなのです」
「剣闘士……だと……?」
「はい。街中にとてつもない数の剣闘士たちがあふれ、憲兵隊ではとても鎮圧できません!」
ジルソンの表情が凍りつく。
何かに気づいた顔をして、テーブルにどんと手をつき立ち上がる。
「アルキバ……っ、いや、リチェルだ!リチェルは海外逃亡などしてない!」
そこにまた別の兵士が、息を切らしてテラスへと駆け入ってきた。
「暴徒の集団が、王宮の城門前に押し寄せています!大変な数です!」
ジルソンは歯を食いしばって喚く。
「おのれリチェル!騎士団を出せ、暴徒全て皆殺しにしろ!」
◇ ◇ ◇
「そろそろ浮浪者達の全員拿捕と反王家狩りも終わる頃かな。建国五百年記念日の本日、<粛清の日>をもってついに王都は安息を取り戻す」
顔の左半分に仮面をつけ火傷痕を隠すジルソンが、茶を口に含みながら言った。
ミランダスは賞賛のまなざしで微笑んだ。
「よく決断して下さいました。騎士団の活躍で地方の反乱奴隷も大人しくなりましたし、やっと王国は安泰ですわね」
一方、オッドはやや思案げな表情を浮かべている。
「しかし最大の危険分子のハイラドが、集めていた廃棄奴隷ごと消えたままなのが気になるところだ」
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「ハイラドは実は狂った邪教徒で、いかがわしい儀式に使う生贄用に奴隷を集めていたと噂されておりますよ。船に詰め込んでどこかに連れ去るのを見た者がいるとか。高僧などと崇められてとんだ偽善者でしたね」
「ふむ、そういう事ならば廃棄奴隷を少し片付けてくれたハイラドに感謝せねばならぬか。リチェルとアルキバも海外逃亡の可能性が濃厚のようだな」
リチェルとアルキバの名前が出て、ジルソンは突然、果物ナイフをテーブルに突き立てた。
大きな音が鳴り、ミランダスもオッドもびくりとする。
二人は互いに目配せをしながら、精神の不安定な若き王をうかがった。
ジルソンは声を震わせながら言う。
「ええ……。あの二人だけは何度殺しても飽き足らないと言うのに!」
オッドは孫をなだめる口調になる。
「ま、まあリチェルなんぞどこかで既にのたれ死んでおるだろう……」
その時、血相を変えた兵がやってきた。
「失礼いたします国王陛下、火急のお知らせがあります!」
「どうした」
「ドミニク憲兵隊長が奴隷と自由民たちに惨殺されました!」
信じがたい知らせに、三人は目を見開く。ジルソンはいきり立った。
「ふざけるな、ドミニクが死んだ?どういうことだ、しかも自由民だと!?」
「ドミニク隊長は廃棄奴隷に刺された後、街の自由民たちからも暴行を受けて殺されたとのことです。帯刀した奴隷たちが憲兵たちを殺し、自由民まで奴隷に乗じて暴れております。王都はもはや暴徒反乱の様相であります!」
「それくらいさっさと鎮圧しろ!」
「恐れながら陛下、憲兵達が現在、大変苦戦しております。反乱の中心として戦っているのは廃棄奴隷ではなく、廃棄奴隷に扮した剣闘士のようなのです」
「剣闘士……だと……?」
「はい。街中にとてつもない数の剣闘士たちがあふれ、憲兵隊ではとても鎮圧できません!」
ジルソンの表情が凍りつく。
何かに気づいた顔をして、テーブルにどんと手をつき立ち上がる。
「アルキバ……っ、いや、リチェルだ!リチェルは海外逃亡などしてない!」
そこにまた別の兵士が、息を切らしてテラスへと駆け入ってきた。
「暴徒の集団が、王宮の城門前に押し寄せています!大変な数です!」
ジルソンは歯を食いしばって喚く。
「おのれリチェル!騎士団を出せ、暴徒全て皆殺しにしろ!」
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