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[番外編] 最後の仕事(19)※
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目を覚ますと、体は湯ではなく布団に包まれていた。
もう見慣れた、グレアムの寝室。
「お目覚めか、王子様」
声に振り向けばグレアムが、面白そうにサギトを見つめている。サギトの隣に身を横たえ、肘で頭を支えながら。
サギトは慌てて上体を起こした。シンプルだが清潔な部屋着を着せられている。
「俺、寝たのか!?」
「すごい可愛かったぞ、お風呂で寝ちゃうサギトは。赤ちゃんみたいで!」
「うっ……。どのくらい寝てたんだ」
「四時間くらいかな。もう午後のティータイムだ」
「そんなに……」
「昨日徹夜だったからな、疲れがたまってたよな。俺もちょっと寝たよ」
一体いつ寝てしまったのか。サギトは自分の記憶をたどる。髪を洗われるところまでは、はっきりと覚えているのだが。
髪を洗われて、その後は。
「も、もしかして、寝ている間に俺の体、洗ってくれたのか?この服を着せてくれたのも、お前か?」
グレアムはちょっと気まずそうな顔をする。
「あ、ええと、……うん、そうだ。すまん」
「い、いや謝るな。その……ありがとう。おぼろげにしか覚えてないが、お前に洗われるのはとても……気持ちよかった。なんだか幸せな気持ちになった……」
サギトはそう言って、恥ずかしそうにうつむく。
グレアムの返事はなかった。
しばらく沈黙が続き、なぜ黙ってるんだろう、と思ってサギトはグレアムの方を見る。
彼は眉間にしわを寄せて怖い顔をしていた。
「もう、無理だ……。限界だ……。俺は十分に耐えた……」
「は?なにを……」
グレアムが文字通り襲いかかって来た。
抱きしめられ、噛みつくように首筋を吸われた。太もものあたりに硬いものがぐりぐりと押し付けられる。
「わわっ、ちょっと待て、昼間だぞ!」
「サギトが二十四時間エロいのが悪い!」
「エロいのはお前だっ」
グレアムはサギトの身につける部屋着を剥ぐように脱がせる。着せたり脱がせたり、忙しい男だ。自らも服を脱ぎ捨てると、ベッド脇に常備している小瓶をもぎ取り、蓋を開けてその中のクリームを指になすりつけた。
仰向けに寝かせたサギトの足を押し開き、双丘の狭間を指で撫でる。
「ふ、あ……っ」
いきなりあられもない格好をさせられて焦るサギトを、グレアムはすがるような目で見る。
「ダメか……?」
(この体勢で聞くな!)
サギトは、グレアムの下半身ですくと立ち上がるご立派なものをちらりと見て、すぐに目をそらした。
頬を朱に染めて、ボソリと言う。
「もういい。す、好きにしろ……」
サギトの仕事に徹夜で付き合ってくれた上に、居眠りした自分の世話までしてくれた。
昼間から不埒なことをするくらい、許さねば。
もう見慣れた、グレアムの寝室。
「お目覚めか、王子様」
声に振り向けばグレアムが、面白そうにサギトを見つめている。サギトの隣に身を横たえ、肘で頭を支えながら。
サギトは慌てて上体を起こした。シンプルだが清潔な部屋着を着せられている。
「俺、寝たのか!?」
「すごい可愛かったぞ、お風呂で寝ちゃうサギトは。赤ちゃんみたいで!」
「うっ……。どのくらい寝てたんだ」
「四時間くらいかな。もう午後のティータイムだ」
「そんなに……」
「昨日徹夜だったからな、疲れがたまってたよな。俺もちょっと寝たよ」
一体いつ寝てしまったのか。サギトは自分の記憶をたどる。髪を洗われるところまでは、はっきりと覚えているのだが。
髪を洗われて、その後は。
「も、もしかして、寝ている間に俺の体、洗ってくれたのか?この服を着せてくれたのも、お前か?」
グレアムはちょっと気まずそうな顔をする。
「あ、ええと、……うん、そうだ。すまん」
「い、いや謝るな。その……ありがとう。おぼろげにしか覚えてないが、お前に洗われるのはとても……気持ちよかった。なんだか幸せな気持ちになった……」
サギトはそう言って、恥ずかしそうにうつむく。
グレアムの返事はなかった。
しばらく沈黙が続き、なぜ黙ってるんだろう、と思ってサギトはグレアムの方を見る。
彼は眉間にしわを寄せて怖い顔をしていた。
「もう、無理だ……。限界だ……。俺は十分に耐えた……」
「は?なにを……」
グレアムが文字通り襲いかかって来た。
抱きしめられ、噛みつくように首筋を吸われた。太もものあたりに硬いものがぐりぐりと押し付けられる。
「わわっ、ちょっと待て、昼間だぞ!」
「サギトが二十四時間エロいのが悪い!」
「エロいのはお前だっ」
グレアムはサギトの身につける部屋着を剥ぐように脱がせる。着せたり脱がせたり、忙しい男だ。自らも服を脱ぎ捨てると、ベッド脇に常備している小瓶をもぎ取り、蓋を開けてその中のクリームを指になすりつけた。
仰向けに寝かせたサギトの足を押し開き、双丘の狭間を指で撫でる。
「ふ、あ……っ」
いきなりあられもない格好をさせられて焦るサギトを、グレアムはすがるような目で見る。
「ダメか……?」
(この体勢で聞くな!)
サギトは、グレアムの下半身ですくと立ち上がるご立派なものをちらりと見て、すぐに目をそらした。
頬を朱に染めて、ボソリと言う。
「もういい。す、好きにしろ……」
サギトの仕事に徹夜で付き合ってくれた上に、居眠りした自分の世話までしてくれた。
昼間から不埒なことをするくらい、許さねば。
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↓第9回BL小説大賞奨励賞いただけました
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