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第22話 罪と罰(3)
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緑色の煙の中から、木彫りの人形が現れた。身の丈二メートルはあるだろう。
四角い帽子に赤い外套、まん丸の目に口ひげを生やしたふざけた顔。手に大鉈を持っている。
人形は騎士たちの真ん中に、大鉈を振り下ろした。洞窟内に土ぼこりがもうもうと舞う。グレアムの声掛けが一歩遅ければ、大きな犠牲が出ていただろう。
ノエルが剣を降りぬき、飛び掛る。一太刀でその人形を両断した。分断されてもかたかたと動く人形に、グレアムが炎弾を浴びせ焼失させる。
どこからともなく、しわがれた老人の声が洞窟内に反響した。
『なりませぬなあ、サギト様。裏切りはなりませぬ』
それはサギトにグレアムの殺しを依頼した、ムジャヒールの妖術使いの声だった。
『魔王の末裔たるお方がランバルトごとき小国の手駒になると?笑止千万でございます。サギト様は我が皇帝陛下の右腕となるべきお方。この老体に鞭打ってでも、帝国に連れ帰らせていただきます』
そして洞窟のあちこちから、緑色の煙が立ち上った。煙の中から、先ほどとそっくりの、でもちょっとづつ顔つきの違う大人形が続々と出現した。それぞれが、斧や剣や棍棒などを手にしている。
人形たちはサギトめがけて一斉に飛び掛ってきた。サギトは咄嗟に自分の周囲に防護球を展開した。防護球が振り下ろされた武器をはじきかえした。
サギトは周囲に闇を呼び出す。闇はドーナツのようにサギトを取り巻いた。闇の中から、黒い蝶が無数に出現した。
蝶たちが鱗粉をばらまく。鱗粉に触れた人形たちが、一瞬で腐って崩れ落ちた。
騎士たちが息を呑んだ。
「な、なんて魔術だ……」
だが騎士たちの背後から、また緑色の煙がたなびいた。ぞくぞくと人形が召還され、騎士たちにも襲いかかる。
グレアムがふっと笑いながらどやしつける。
「ほら働けお前ら、まだいるぞ!新入りに感心してる場合か!?」
騎士たちは、はっとしたように、大人形たちに向かっていった。怯むことなく。さすが歴戦のグレアム護国騎士団といったところか。
グレアムとノエルの手から、炎弾が乱れ打たれ、あちこちで人形が燃え上がった。
サギトにもまだまだ人形が襲い掛かってきた。サギトは防御球と使い魔の「腐死蝶」でやり過ごしながら、考える。
妖術使いはどこにいるのか。先程の妖術使いの声質は本体のものではなかった。本体はおそらくムジャヒール帝国にいる。
生霊だ、と思った。どこかに妖術使いの生霊がいる。そいつが人形を操作しているのだ。
「ぐあああっ」
騎士の一人が肩から鮮血を流して倒れた。
「くそっ、何体出てくるんだこいつらは!」
既に数十体の人形を火炎魔術で消し炭にしているグレアムが苛立ちの色を見せた。
グレアムは術者が魔力切れするまで全部の人形を倒すつもりなのだろうか。
いつもそうやって力押しでやってきたのか?
こいつにはそれが可能なのだろうが、随分と効率の悪い戦い方だ、とサギトは思った。
サギトは左手の人差し指に力をいれた。かぎ爪が伸びてくる。その一本のかぎ爪で右の手のひらに傷をつけた。血が滲み出す。サギトは血に呪をこめて、ふうと息をはく。
サギトの手のひらから、赤いしゃぼん玉が大量に、洞窟の中に放出された。
「な、なんだ!?」
騎士たちが突然現れた謎のしゃぼん玉に狼狽している。
「サギト、これは……!」
「隠されたものをあぶり出す術だ」
しゃぼんが当たってはじけたところ、赤い線が出現した。人形達から伸びる糸。見えない糸が、赤く色づく。
全ての人形たちの糸が、洞窟の高い天井に向かって伸びていた。
そこにいるコウモリに。
サギトは天井のコウモリを指差した。
「あいつだ」
グレアムはおお、と感心したように目を見開くと、サギトにウィンクする。
「ありがとな、さすがだぜお前!」
言ってグレアムは手の中に黒い球体を作った。コウモリに向かって放り投げる。コウモリがバタバタと飛翔して球体を交わした。
『気づかれましたかぁ』
羽を広げこちらに晒されたコウモリの顔は、人面だった。長いあごひげを生やした、例の妖術使い。
『どうかお考え直し下さいサギト様。ランバルトのごとき野蛮国ではなくムジャヒール帝国こそがサギト様の……』
その顔面に今度こそ、グレアムの黒い球体は直撃した。
人面コウモリは影となって霧散する。
人形達が一斉に停止した。そしてその全てが、緑の煙と共に消え去った。
敵のいきなりの全消失に、騎士たちは虚をつかれたような顔をしていた。
だが、一瞬後。
うおおおおお、とどよめく歓声が洞窟内に響き渡った。
グレアムが自慢げに言う。
「お前らサギトに感謝しろ、サギトが術者を見つけてくれた!」
騎士たちが沸き立った。
「すごすぎるぞこの魔道は!」
「さすが団長が探し続けていた男だ!」
「我らはとてつもない味方を得たぞ!」
えっ、とサギトは困惑する。まさかそんな反応が来るとは思わなかった。
グレアムがサギトの肩に腕を回した。
「だろう、すごいだろ、こいつ!こいつがいれば妖術使いも怖くない!」
ノエルがふっと微笑みながら言った。
「触れただけで腐らせるえぐい蝶々もなかなかでしたよ」
グレアムが悪党のような笑みを浮かべてサギトに耳打ちする。
「言っておくが俺たちは、ムジャヒール軍すら泣いて逃げ出す、世界一の殺戮集団を自負してんだ。暗殺稼業なんて目じゃないくらいの血まみれの日々が待ってるから、覚悟しておけよ」
サギトは苦笑する。その日々は一体、罪をつぐなうことになるのだろうか。まあいい、深くは考えるまい。
「上等だ。きっちり仕事せてもらおう」
「よしじゃあ、王都に帰還だ。王に要求全部飲ませてやるぞ。俺とサギトに守られたいなら、守るに値する国になれと言ってやる!」
グレアムの大層な物言いに、騎士たちは陶酔するような歓声を上げた。
皆の中心にいる英雄としてのグレアムを、サギトは何故か、誇らしく思った。
サギトはこれからの日々に思いを巡らし、胸に手を当てた。
(俺が人々を救う、か)
なぜか目頭が熱くなり、自分で自分に驚いた。もしかして自分はずっと、誰かを救うような仕事がしたかったのか。
サギトはなぜ、薬屋になりたいと思ったのだったか。
――魔人の力で誰かを救えればいい
もうずっと昔に、漠然と、そのように考えたような気がした。
すっかり忘れていたそんな青い感情が、サギトの胸を熱くさせた。
サギトの心の底で、熾火のようにくすぶっていた、小さな願い。
それはサギト自身すら知らない場所で、消えることなく確かにずっと、存在し続けた願いだった。
-----------------------------------------------------------------------
エンディングまであと2話!
・サギトが薬屋になりたいと思った理由振り返り:
第8話 回想/魔力を与える(1)
→「それに薬屋ならば、おぞましい魔人の力を誰かを救うために役立てることができる。
疎ましい魔力でも人の命を救えれば、サギトの何かが満たされるような気がした」
四角い帽子に赤い外套、まん丸の目に口ひげを生やしたふざけた顔。手に大鉈を持っている。
人形は騎士たちの真ん中に、大鉈を振り下ろした。洞窟内に土ぼこりがもうもうと舞う。グレアムの声掛けが一歩遅ければ、大きな犠牲が出ていただろう。
ノエルが剣を降りぬき、飛び掛る。一太刀でその人形を両断した。分断されてもかたかたと動く人形に、グレアムが炎弾を浴びせ焼失させる。
どこからともなく、しわがれた老人の声が洞窟内に反響した。
『なりませぬなあ、サギト様。裏切りはなりませぬ』
それはサギトにグレアムの殺しを依頼した、ムジャヒールの妖術使いの声だった。
『魔王の末裔たるお方がランバルトごとき小国の手駒になると?笑止千万でございます。サギト様は我が皇帝陛下の右腕となるべきお方。この老体に鞭打ってでも、帝国に連れ帰らせていただきます』
そして洞窟のあちこちから、緑色の煙が立ち上った。煙の中から、先ほどとそっくりの、でもちょっとづつ顔つきの違う大人形が続々と出現した。それぞれが、斧や剣や棍棒などを手にしている。
人形たちはサギトめがけて一斉に飛び掛ってきた。サギトは咄嗟に自分の周囲に防護球を展開した。防護球が振り下ろされた武器をはじきかえした。
サギトは周囲に闇を呼び出す。闇はドーナツのようにサギトを取り巻いた。闇の中から、黒い蝶が無数に出現した。
蝶たちが鱗粉をばらまく。鱗粉に触れた人形たちが、一瞬で腐って崩れ落ちた。
騎士たちが息を呑んだ。
「な、なんて魔術だ……」
だが騎士たちの背後から、また緑色の煙がたなびいた。ぞくぞくと人形が召還され、騎士たちにも襲いかかる。
グレアムがふっと笑いながらどやしつける。
「ほら働けお前ら、まだいるぞ!新入りに感心してる場合か!?」
騎士たちは、はっとしたように、大人形たちに向かっていった。怯むことなく。さすが歴戦のグレアム護国騎士団といったところか。
グレアムとノエルの手から、炎弾が乱れ打たれ、あちこちで人形が燃え上がった。
サギトにもまだまだ人形が襲い掛かってきた。サギトは防御球と使い魔の「腐死蝶」でやり過ごしながら、考える。
妖術使いはどこにいるのか。先程の妖術使いの声質は本体のものではなかった。本体はおそらくムジャヒール帝国にいる。
生霊だ、と思った。どこかに妖術使いの生霊がいる。そいつが人形を操作しているのだ。
「ぐあああっ」
騎士の一人が肩から鮮血を流して倒れた。
「くそっ、何体出てくるんだこいつらは!」
既に数十体の人形を火炎魔術で消し炭にしているグレアムが苛立ちの色を見せた。
グレアムは術者が魔力切れするまで全部の人形を倒すつもりなのだろうか。
いつもそうやって力押しでやってきたのか?
こいつにはそれが可能なのだろうが、随分と効率の悪い戦い方だ、とサギトは思った。
サギトは左手の人差し指に力をいれた。かぎ爪が伸びてくる。その一本のかぎ爪で右の手のひらに傷をつけた。血が滲み出す。サギトは血に呪をこめて、ふうと息をはく。
サギトの手のひらから、赤いしゃぼん玉が大量に、洞窟の中に放出された。
「な、なんだ!?」
騎士たちが突然現れた謎のしゃぼん玉に狼狽している。
「サギト、これは……!」
「隠されたものをあぶり出す術だ」
しゃぼんが当たってはじけたところ、赤い線が出現した。人形達から伸びる糸。見えない糸が、赤く色づく。
全ての人形たちの糸が、洞窟の高い天井に向かって伸びていた。
そこにいるコウモリに。
サギトは天井のコウモリを指差した。
「あいつだ」
グレアムはおお、と感心したように目を見開くと、サギトにウィンクする。
「ありがとな、さすがだぜお前!」
言ってグレアムは手の中に黒い球体を作った。コウモリに向かって放り投げる。コウモリがバタバタと飛翔して球体を交わした。
『気づかれましたかぁ』
羽を広げこちらに晒されたコウモリの顔は、人面だった。長いあごひげを生やした、例の妖術使い。
『どうかお考え直し下さいサギト様。ランバルトのごとき野蛮国ではなくムジャヒール帝国こそがサギト様の……』
その顔面に今度こそ、グレアムの黒い球体は直撃した。
人面コウモリは影となって霧散する。
人形達が一斉に停止した。そしてその全てが、緑の煙と共に消え去った。
敵のいきなりの全消失に、騎士たちは虚をつかれたような顔をしていた。
だが、一瞬後。
うおおおおお、とどよめく歓声が洞窟内に響き渡った。
グレアムが自慢げに言う。
「お前らサギトに感謝しろ、サギトが術者を見つけてくれた!」
騎士たちが沸き立った。
「すごすぎるぞこの魔道は!」
「さすが団長が探し続けていた男だ!」
「我らはとてつもない味方を得たぞ!」
えっ、とサギトは困惑する。まさかそんな反応が来るとは思わなかった。
グレアムがサギトの肩に腕を回した。
「だろう、すごいだろ、こいつ!こいつがいれば妖術使いも怖くない!」
ノエルがふっと微笑みながら言った。
「触れただけで腐らせるえぐい蝶々もなかなかでしたよ」
グレアムが悪党のような笑みを浮かべてサギトに耳打ちする。
「言っておくが俺たちは、ムジャヒール軍すら泣いて逃げ出す、世界一の殺戮集団を自負してんだ。暗殺稼業なんて目じゃないくらいの血まみれの日々が待ってるから、覚悟しておけよ」
サギトは苦笑する。その日々は一体、罪をつぐなうことになるのだろうか。まあいい、深くは考えるまい。
「上等だ。きっちり仕事せてもらおう」
「よしじゃあ、王都に帰還だ。王に要求全部飲ませてやるぞ。俺とサギトに守られたいなら、守るに値する国になれと言ってやる!」
グレアムの大層な物言いに、騎士たちは陶酔するような歓声を上げた。
皆の中心にいる英雄としてのグレアムを、サギトは何故か、誇らしく思った。
サギトはこれからの日々に思いを巡らし、胸に手を当てた。
(俺が人々を救う、か)
なぜか目頭が熱くなり、自分で自分に驚いた。もしかして自分はずっと、誰かを救うような仕事がしたかったのか。
サギトはなぜ、薬屋になりたいと思ったのだったか。
――魔人の力で誰かを救えればいい
もうずっと昔に、漠然と、そのように考えたような気がした。
すっかり忘れていたそんな青い感情が、サギトの胸を熱くさせた。
サギトの心の底で、熾火のようにくすぶっていた、小さな願い。
それはサギト自身すら知らない場所で、消えることなく確かにずっと、存在し続けた願いだった。
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第8話 回想/魔力を与える(1)
→「それに薬屋ならば、おぞましい魔人の力を誰かを救うために役立てることができる。
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