40 / 71
第21話 本当のこと(2) ※
しおりを挟む
グレアムは深い息を吐きながら、一筋の涙を流す。
「サギト……」
グレアムはサギトの額に、そっとキスをした。恐る恐る。
サギトの顔が朱に染まる。
恥ずかしそうにうつむくサギトを見つめ、グレアムはぐっと下唇を噛む。
いきなり片手でサギトの腰をぐっとひきつけた。
「!?」
グレアムは苦しげにサギトを見つめ、吐露するように言う。
「愛してる……。どうしようもないくらい、お前のこと愛してる」
咄嗟すぎて反応できないサギトの頭を、もう片方の手で支え、サギトの唇に食らいつく。
そして舌が入り込んだ。いきなりのディープキス。無防備だったサギトの舌はあっさりと絡めとられる。グレアムの舌がサギトの味覚を侵した。
生まれて初めてのディープキスに、サギトの脳がじんじんと痺れた。口の中で二つの舌が絡まり合って一つになっている。それだけで腰が砕けそうだった。
腹のあたりに、グレアムの固いものがあたった。
グレアムの欲望の塊。それがサギトを求めていた。
グレアムが唇を離し、サギトを見る。余裕をなくした切なげな瞳で。
サギトは腹に当たるグレアムの固いものに、つい、視線を彷徨わせてしまった。
グレアムがハッとする。我に返ったように、慌ててサギトから離れた。
「っ、すまない!最低だ俺は、獣だ。こんな状況でお前のこと抱きたくなってるなんて」
赤面するサギトに、グレアムは焦った様子で、
「だ、大丈夫だ、襲ったりしないから!」
だが彼の猛りはおさまることなく、騎士服の白いズボンはテントを張ったままだ。
グレアムは髪をかき上げ、傷ついたような顔で目を伏せた。
「ごめん。本当にごめん、気にしないでくれ」
「っ……」
「クソッ、何考えてるんだ俺は、獣だ!お前を十年苦しめた俺に、お前を愛する資格なんてないのに」
恥じ入り、自分を責めるグレアム。
サギトの心臓が、ずくりと締め上げられた。
「抱いて……いい……」
グレアムが目を丸くした。
「え……?」
サギトは真っ赤になっている顔の下半分を手で隠す。
「に、二度も言わせるな。……抱いていい」
「い、意味は分かっているのか?」
まさかの質問にサギトはちょっとムッとする。
「分かってる」
いくら夢精を知らなかったサギトだって。
「抱くというのはつまり」
「分かってるって」
グレアムは口をぱくぱくさせている。サギトは照れ隠しに視線を横に流しながら言う。
「……もう謝罪はいいから、十年の、お前の『想い』が知りたいんだ。お前の獣を……見せてくれ」
その獣に食い尽くされたい。
この胸に巣食ってきた真っ黒い闇を。
グレアムは雷撃でも受けたように固まって、サギトを凝視する。
つと、サギトを抱き上げた。そのまま寝具へと連れて行く。
サギトはほこりを被ったマットの上に投げ出された。
グレアムが、息を荒くしてサギトにのしかかる。
「愛して……いいのか」
サギトは一つ、まばたきをする。
「聞くな」
食らいつくように、唇を重ねられた。
「愛してる、サギト愛してる」
グレアムは唇を押しつける合間に愛を吐露しながら、もどかしい様子でサギトの服のボタンを外していく。
サギトはあっという間に己の全てを晒してしまう。
グレアムは熱い息をはき、裸のサギトを穴の空くほど見つめた。
感嘆の息をもらす。
「綺麗だ……」
サギトは顔から火を噴きそうだった。男らしさの欠片もない、細く情けない身体なのに。
「触れて……いいのか?」
だから、聞くな。と思いながらサギトはうなずく。
グレアムの指先が、サギトの首筋から下へとそっとたどっていく。大事な骨董でも扱うかのように。
「本当にいいのか、こんな綺麗な体、俺に……」
サギトは頭がどうにかなってしまいそうだった。俺の体なんか、何故ほめる。
グレアムは息を整えるように深く呼吸しながら、サギトに触れた。
片方の手で腹に円を描き、片方の手で胸を撫でた。片方の手は太ももを上下し、片方の手はわき腹をさする。
肌で感じるグレアムの手に、サギトは思わず声を漏らす。
「んっ……」
サギトの声に、グレアムがぐっと唾を飲み込んだ。
両腕がサギトの体をきつく搔き抱いた。荒い息を吐きながら、サギトの首筋に舌を這わせた。手で乱暴にサギトの胸を撫で回すと、そこにある突起をつまむ。突然の妙な刺激にサギトの体はピクリとする。
舌が肌の上を這い回りながら下にたどっていく。鎖骨から胸に、そこにある突起に。
「んっ、ぁっ」
サギトは身を震わせた。グレアムは胸の桃色の先端を強く舐めあげた。幾度も幾度も、肉食獣が獲物を舐めるように。
グレアムにこんな貪るように求められている事実に、サギトの魂が揺さぶられる。
(お前は俺に、これ程の獣欲を抱えていたのか)
(俺はお前に、これ程、欲されていたのか)
グレアムはサギトの下半身に手を伸ばした。既に立ち上がってるサギトの分身をきゅっと握る。
体をずり下げると、グレアムは薄い茂みへと顔を沈めた。その屹立に唇を落とす。
「えっ、ちょっ!」
まさかのことにサギトは上体を持ち上げてしまった。
グレアムはサギトの分身を愛しそうに見つめている。
「成長したな……。十年前も本当はしゃぶりたかった」
突然のそんなカミングアウトにどう反応したらいいのやら。
グレアムはぱくりと咥え込んだ。
「っ!」
サギトの分身を、生まれて初めての感触が包み込む。そのぬめりと温もり。なんて感触だろう。
「だ、だめっ、あっ」
座った状態のサギトの股間に食らいつくグレアム。その口の中でむくむくと、サギトの性器は大きく張り詰めていく。
ペニスでグレアムの口内を感じている、そんな状態が信じられなかった。
先端を咥えこみ、先走りに濡れる小さな穴を吸われた。
「んく、あっ、あ」
口をすぼめ、全体を搾り取られる。サギトの竿は脈打ち高く硬く屹立する。
「やっ、あぁぁっ」
たまらずサギトはグレアムの頭をかきまぜた。
反り返るそれを、グレアムの口が上下する。くわえ込む唇が、蠢く舌が、たまらない刺激を巧妙に与えてくる。
まるでサギトの好きなところを、全部知っているような動き。
そうだこの男は、サギトよりもサギトを知っている。
「サギト……」
グレアムはサギトの額に、そっとキスをした。恐る恐る。
サギトの顔が朱に染まる。
恥ずかしそうにうつむくサギトを見つめ、グレアムはぐっと下唇を噛む。
いきなり片手でサギトの腰をぐっとひきつけた。
「!?」
グレアムは苦しげにサギトを見つめ、吐露するように言う。
「愛してる……。どうしようもないくらい、お前のこと愛してる」
咄嗟すぎて反応できないサギトの頭を、もう片方の手で支え、サギトの唇に食らいつく。
そして舌が入り込んだ。いきなりのディープキス。無防備だったサギトの舌はあっさりと絡めとられる。グレアムの舌がサギトの味覚を侵した。
生まれて初めてのディープキスに、サギトの脳がじんじんと痺れた。口の中で二つの舌が絡まり合って一つになっている。それだけで腰が砕けそうだった。
腹のあたりに、グレアムの固いものがあたった。
グレアムの欲望の塊。それがサギトを求めていた。
グレアムが唇を離し、サギトを見る。余裕をなくした切なげな瞳で。
サギトは腹に当たるグレアムの固いものに、つい、視線を彷徨わせてしまった。
グレアムがハッとする。我に返ったように、慌ててサギトから離れた。
「っ、すまない!最低だ俺は、獣だ。こんな状況でお前のこと抱きたくなってるなんて」
赤面するサギトに、グレアムは焦った様子で、
「だ、大丈夫だ、襲ったりしないから!」
だが彼の猛りはおさまることなく、騎士服の白いズボンはテントを張ったままだ。
グレアムは髪をかき上げ、傷ついたような顔で目を伏せた。
「ごめん。本当にごめん、気にしないでくれ」
「っ……」
「クソッ、何考えてるんだ俺は、獣だ!お前を十年苦しめた俺に、お前を愛する資格なんてないのに」
恥じ入り、自分を責めるグレアム。
サギトの心臓が、ずくりと締め上げられた。
「抱いて……いい……」
グレアムが目を丸くした。
「え……?」
サギトは真っ赤になっている顔の下半分を手で隠す。
「に、二度も言わせるな。……抱いていい」
「い、意味は分かっているのか?」
まさかの質問にサギトはちょっとムッとする。
「分かってる」
いくら夢精を知らなかったサギトだって。
「抱くというのはつまり」
「分かってるって」
グレアムは口をぱくぱくさせている。サギトは照れ隠しに視線を横に流しながら言う。
「……もう謝罪はいいから、十年の、お前の『想い』が知りたいんだ。お前の獣を……見せてくれ」
その獣に食い尽くされたい。
この胸に巣食ってきた真っ黒い闇を。
グレアムは雷撃でも受けたように固まって、サギトを凝視する。
つと、サギトを抱き上げた。そのまま寝具へと連れて行く。
サギトはほこりを被ったマットの上に投げ出された。
グレアムが、息を荒くしてサギトにのしかかる。
「愛して……いいのか」
サギトは一つ、まばたきをする。
「聞くな」
食らいつくように、唇を重ねられた。
「愛してる、サギト愛してる」
グレアムは唇を押しつける合間に愛を吐露しながら、もどかしい様子でサギトの服のボタンを外していく。
サギトはあっという間に己の全てを晒してしまう。
グレアムは熱い息をはき、裸のサギトを穴の空くほど見つめた。
感嘆の息をもらす。
「綺麗だ……」
サギトは顔から火を噴きそうだった。男らしさの欠片もない、細く情けない身体なのに。
「触れて……いいのか?」
だから、聞くな。と思いながらサギトはうなずく。
グレアムの指先が、サギトの首筋から下へとそっとたどっていく。大事な骨董でも扱うかのように。
「本当にいいのか、こんな綺麗な体、俺に……」
サギトは頭がどうにかなってしまいそうだった。俺の体なんか、何故ほめる。
グレアムは息を整えるように深く呼吸しながら、サギトに触れた。
片方の手で腹に円を描き、片方の手で胸を撫でた。片方の手は太ももを上下し、片方の手はわき腹をさする。
肌で感じるグレアムの手に、サギトは思わず声を漏らす。
「んっ……」
サギトの声に、グレアムがぐっと唾を飲み込んだ。
両腕がサギトの体をきつく搔き抱いた。荒い息を吐きながら、サギトの首筋に舌を這わせた。手で乱暴にサギトの胸を撫で回すと、そこにある突起をつまむ。突然の妙な刺激にサギトの体はピクリとする。
舌が肌の上を這い回りながら下にたどっていく。鎖骨から胸に、そこにある突起に。
「んっ、ぁっ」
サギトは身を震わせた。グレアムは胸の桃色の先端を強く舐めあげた。幾度も幾度も、肉食獣が獲物を舐めるように。
グレアムにこんな貪るように求められている事実に、サギトの魂が揺さぶられる。
(お前は俺に、これ程の獣欲を抱えていたのか)
(俺はお前に、これ程、欲されていたのか)
グレアムはサギトの下半身に手を伸ばした。既に立ち上がってるサギトの分身をきゅっと握る。
体をずり下げると、グレアムは薄い茂みへと顔を沈めた。その屹立に唇を落とす。
「えっ、ちょっ!」
まさかのことにサギトは上体を持ち上げてしまった。
グレアムはサギトの分身を愛しそうに見つめている。
「成長したな……。十年前も本当はしゃぶりたかった」
突然のそんなカミングアウトにどう反応したらいいのやら。
グレアムはぱくりと咥え込んだ。
「っ!」
サギトの分身を、生まれて初めての感触が包み込む。そのぬめりと温もり。なんて感触だろう。
「だ、だめっ、あっ」
座った状態のサギトの股間に食らいつくグレアム。その口の中でむくむくと、サギトの性器は大きく張り詰めていく。
ペニスでグレアムの口内を感じている、そんな状態が信じられなかった。
先端を咥えこみ、先走りに濡れる小さな穴を吸われた。
「んく、あっ、あ」
口をすぼめ、全体を搾り取られる。サギトの竿は脈打ち高く硬く屹立する。
「やっ、あぁぁっ」
たまらずサギトはグレアムの頭をかきまぜた。
反り返るそれを、グレアムの口が上下する。くわえ込む唇が、蠢く舌が、たまらない刺激を巧妙に与えてくる。
まるでサギトの好きなところを、全部知っているような動き。
そうだこの男は、サギトよりもサギトを知っている。
17
↓第9回BL小説大賞奨励賞いただけました
忘れられた王子は剣闘士奴隷に愛を乞う
忘れられた王子は剣闘士奴隷に愛を乞う
お気に入りに追加
1,226
あなたにおすすめの小説

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。




騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる