魔道暗殺者と救国の騎士

空月 瞭明

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第7話 回想/最悪の朝(3) ※

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 向き合う形で、グレアムの手がサギトの性器に触れた。サギトの心臓が甘く跳ねた。
 大きめの手で全体をキュッと包み込み、先端の皮のあたりをクリクリといじられた。

「ふわっ」

 サギトは突然の快感に思わず声をあげた。この世にこんな感覚があるなんて知らなかった。サギトはたまらず背中を反らせた。グレアムがまた喉をごくりとさせた。

「なにっ、これっ。ふあぁ……っ」

 グレアムの手の中でサギトのそれは大きく膨らむ。皮が完全に剥かれてサギトの中身がむき出しになる。そのままゆっくりとしごかれた。

 腰のあたりから全身に突き抜けるとてつもない気持ちよさ。初めての快感にサギトは恐怖すら感じた。

「あっ、はっ、はぁっ」

 サギトは思わず、両手をグレアムの両肩に乗せた。すがりつくように。

「ま、待って、怖い。俺、怖い」

 サギトは目に涙をためてグレアムを見上げた。真剣な顔でサギトをしごいてくれていたグレアムの手が止まる。止まったら止まったで、サギトは解消されない謎のうずきに身をよじった。
 グレアムは迷うように視線を揺らしてから、

「わかった、じゃあ俺が腰を支えててやる。こっちに来い」

 こっちに来い、の意味を理解するのに若干の時間がかかった。
 サギトは大きくうなずいた。立ち上がって、股を開いて座るグレアムの右膝の上に、またがるように座った。サギトの左の外ももに、固く勃ち上がるグレアムのものがゴツリと触れた。
 後ろから、グレアムの左腕がサギトの腰に回された。サギトはグレアムの体温にすっぽり包まれた。
 グレアムが聞く。

「どうだ?」

「……安心する」

「そうか」

 グレアムが嬉しそうな声音で囁いた。右手がサギトの性器をまた包み込む。その手にサギトはとろけそうになった。すでに敏感になっているそこは、触れられただけで鋭利な快楽をサギトに与えた。

「ん、ぁっ」

 思わず息を漏らす。グレアムの手が甘やかに動いた。

「ふあっ。あぁ、はあぁ、んっ……っ」

 サギトは快感に追い立てられた。背中で感じるグレアムのぬくもりがありがたかった。これだけしっかりいだかれていれば、未知の体験にも耐えられるだろうか。
 首筋にグレアムの熱い息がかかる。グレアムが手の動きを速めた。サギトの腰がくねる。絶頂の萌芽。

「はあ、ふわあぁぁっ。やっ、怖い、やっぱり、怖いっ……」

 サギトは右手を後ろに回して、右肩のあたりにあるグレアムの頭を掴み、左手はグレアムのたくましい脚をぐっと握った。
 今まで経験したことのない何かに、サギトの脳が犯されていく。

「……こっち向け」

「えっ」

 サギトは言われた通り、顔を右肩にいるグレアムのほうに向けた。

 唇に、グレアムの唇が触れた。

 胸が震えた。その唇は柔らかくて優しくて、サギトの不安の全てをほぐしてくれた。
 サギトが大人しくなると、屹立するそれに絡まる手は動きを速めた。
 サギトは唇に触れるグレアムの感触を頼みに、未知なる絶頂へと上りつめていった。

「あぁっ……はあっ……」

 感覚の限界を超えて、目の前が真っ白になる。サギトは排尿感のようなものを感じておののいた。

「ぁあっ、んんっ……っど、どうしよう、出るっ……!」

「出せ」

 短く言われて、サギトは白濁する液を股間から解き放った。初めての絶頂感と共に。グレアムの手をどろどろに汚しながら、それは大量に出た。

「はあっ……はあっ……」

 全てを吐きつくしたサギトは、荒い息をしながら、ぐったりとグレアムの胸にもたれかかった。とてつもない経験をしてしまったと思った。グレアムの手をサギトので汚してしまったことが恥ずかしかった。

「ごめん、俺もいいか」

 グレアムはサギトを右腕で抱え直し、左手で自分のものをしごき出した。
 サギトは抜け殻のような頭をグレアムの胸にぴったりとつけ、グレアムの猛る中心をぼうっと見つめた。必死に上下するグレアムの手。
 しばらくぼんやり見ていたサギトは、やがてほとんど無意識に、本能みたいに、グレアムのそれに手を伸ばした。

「っ……」

 グレアムが息を飲んだ。掴んでいた手を離す。入れ替わりにサギトの右手が、グレアムのそれをキュッと握った。
 熱かった。それはサギトの手の中でぐっと硬さを増した。
 サギトはグレアムの手つきを思い出しながら、グレアムにやってもらったように、動かしてみる。
 固い芯の周りの薄皮がよれるように動く感覚が、なんだか不思議だった。自分のも、ちゃんと触ればこうなっているのだろうか。

「サ、サギト……っ」

 吐息交じりにサギトを呼ぶ声が、耳をくすぐる。サギトは恍惚とした気分で、グレアムの大切なものを手で愛撫し続けた。グレアムの息が上がり、サギトを両手で抱きすくめた。

 その手が悩ましげにサギトの体をさする。
 快感に耐えるように、グレアムはサギトを撫で回した。
 サギトの髪をくしゃりと握り、サギトの鎖骨をさすり、胸から腹をなんども撫で付け。同時にサギトの耳や首筋に唇を押し付ける。

「可愛い……」

 妙なことを言われてサギトの胸がキュッと締め付けられる。

「お前は……すごく……綺麗で可愛い……」

 サギトは火照りに溶かされそうな心地で、グレアムのペニスを手でしごき続けた。

「も、だめっ、いく……っ」

 どくどくと脈打ちながら、グレアムの精が吹き出した。木々に届き幹を汚すほどの大噴射。グレアムのは勢いもサギトよりすごい。
 サギトの手で達してくれたことが、とても嬉しかった。サギトの手も、グレアムのでどろどろに汚れてしまった。

 互いに精を吐き出しあった二人は、目を見合わせて照れ笑いをすると、草地にごろんと転がった。
 森の木に縁取られた青空がとても綺麗だった。

 サギトは一気に大人になったような、爽快な気分だった。
 これが「抜く」か、と思った。朝は最低な気分だったのに、今こんな心地になっているなんて。とんでもない日だ。

「ありがとうグレアム、やり方を教えてくれて。次は自分でできそうな気がする」

「……そうか」

「うん。俺はお前に甘えてばかりだな、ごめんな。自分が情けないよ」

「そんな、俺は全然……。な、また一緒に抜かないか?」

「え?」

「その、お前が嫌じゃなければ、だけど」

「嫌じゃないよ、最高の体験だった。俺もまたお前としたいって思ってた。でもそれじゃ、俺はいつまでもお前を煩わせてしまうから」

「いやいやいや!全然そんなことないっ!」

「そ、そうか?うん、なら、またしよう」

「よし!」

 裸のまま、グレアムは宙に向かってぐっと拳を握りしめた。そしてくしゃみをする。
 サギトもぶるりと身を震わせた。

「服着るか」

「そうだね」

 二人は吹き出しあって、服を着た。
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忘れられた王子は剣闘士奴隷に愛を乞う
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