魔道暗殺者と救国の騎士

空月 瞭明

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第7話 回想/最悪の朝(2) ※

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「落ち着いて出来そうなとこつったら、やっぱここだよなあ」

 サギト達は午後の自由時間に、いつもの読書場所に来ていた。森の奥の小さな草地。

「誰もいないところじゃないと出来ないのか?」

「そりゃそうだ。それに汚したらまずい所だとやりにくいし、外がちょうどいいんじゃないかな」

「何をするんだ?」

「ようするにさー、体の中にあの白いドロドロが溜まっちゃうんだよ。抜いて出さないと、寝てるときに出ちゃうことがあるんだ。今朝のお前みたいに」

「ふむ。夜尿をしないために就寝前に排尿をしておくような感じか?」

「……うん、多分……」

「違うのか!?」

「い、いやそれでいいんじゃね!?」

「分かってきた。あの白いのを起きてる時に出せばいいんだな。でもあんなの出たことない、どうしたら出るんだ?」

「とりあえずやってみよう。俺も人に教えたこととかないけど、一緒にやれば分かりやすいかな?」

 とグレアムはサギトを上から下まで眺めて、なぜか急に視線をそらした。

「どうした?」

「い、いや、悪い、緊張してきた。他のダチだったら気楽に教えられそうなんだけど、相手がお前だとなんかちょっと……」

「……」

 他の友達には教えられるけど、サギトだと嫌?
 サギトはその時、傷ついた顔をしたのだろう、グレアムが焦りだした。

「うわ、なんでそんな顔するんだ!?」

「べ、別に……。いいよ、嫌なら無理して教えてくれなくても」

「何すねてんだよ」

「すねてなんかない、お前が嫌なんだろ俺に教えるのが」

「あーもう!わかった、教えるってば!……ぬ、脱げ!」

「……え」

 サギトは目をぱちくりさせた。

「だから、出すんだよ白いのっ。また服を汚すわけにいかないだろ、もう全部脱いどけ」

「な、なるほど」

 だがいきなり脱げと言われても。
 サギトは上のシャツの裾に手をかけながらうつむいてしまった。
 これは確かに、緊張する。毎日風呂で裸は見せ合っているわけだが、風呂じゃない場所で脱ぐというのは、やはり違和感がある。

「い、一緒にやるってことはお前も脱ぐんだろ?俺ばっかり脱ぐのはずるい」

 サギトが上目遣いで見やると、グレアムはうっ、とうろたえたが、 

「わ、分かったよ俺も脱ぐよっ」

 言って、上下をばばっと脱ぎ捨てた。恥ずかしいのか、くるりとサギトに背を向けたが。

 いい体だった。しっかりと筋肉のつきはじめたしなやかな体。足が長くて、小さな尻が上を向いていて、宗教画に出てくる裸体の青年のような。
 その肉体としての美しさにうらやましさを感じながら、サギトは自らの貧弱な体をさらす。

「脱いだ……けど」

 グレアムの背中に声をかけた。グレアムがサギトを肩越しにチラと見て、すぐに目を伏せた。目を伏せながら体ごと振り向いて、

「あ、うん。じゃ、やろう。えっと、座ろうか」

「分かっ……」

 言いかけてサギトはグレアムの股間を凝視してしまった。大きくち上がっていた。グレアムは赤くなる。

「仕方ないだろ、だからお前が相手だとシャレになんないんだよっ」

「俺のせいなのか?」

 グレアムは裸のサギトをチラと見ては目をそらし、

「だってお前はその……すごく……」

「……」

 サギトはすごく、なんだと言うのだ。グレアムは困った顔をして、

「だからいちいち悲しそうな顔すんなって!やるぞ!」

「う、うん」

 サギトはグレアムのよく分からない態度への不安と不満を、心の奥に追いやった。こんなに一生懸命、教えてくれようとしているのだから。

 グレアムは腹をくくったような顔をして柔らかい草地に座った。右足はあぐらのように曲げて、左足は立膝で。

 グレアムは既に勃ち上がっている自身を右手でつかんだ。
 サギトは草地に両膝をついて身を乗り出し、じっと観察した。

「うっ……」

 グレアムはサギトの視線にたじろいだが、意を決したように、しごき始めた。

 もう立派な大人のペニス。屹立したそれはすごく卑猥な形をしていた。ペニスとはこんな艶かしいものだったのかと、サギトは目をそらせずにいた。

 その熱そうな幹に、指を丸めて上下に動かす。グレアムの恥じらう顔が、妙に色気があった。
 顔をそむけて、荒い呼吸をする。とても恥ずかしそうに。一糸まとわず、アメジストのペンダントだけぶら下げた肉体は、うっすらと汗ばんでいく。

 サギトは経験したことのない火照りを感じた。
 気づけばサギト自身も勃ち上がりはじめていた。あっ、と小さな声を漏らしてサギトは自分のを見た。
 グレアムのに比べると小ぶりでなまっちろくて恥ずかしい。半分皮もかぶっている。

 サギトは膝を崩して、グレアムのように草に尻をつけて座った。
 グレアムが、んぐと喉を鳴らした。

 サギトも真似して自身を手で握ってみたが、よく分からない。
 サギトは助けを求める目でグレアムを見た。

「ええと、手で、それで、どうすれば……」

「だからその、手でいじってると、気持ちよくなるだろ?」

 サギトは手を不器用に動かして見た。気持ちがいいとは思えなかった。

「うーん……」

「そうじゃなくてもっと、あー」

 グレアムはもどかしそうにサギトのモノに手を伸ばした。
 だがピタと止まる。そしてためらいがちに、

「……いいか?」

「う……。うん」

 サギトはうなずいた。
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