23 / 27
第13話 魔女の夫 ①
しおりを挟む
有珠斗はほほを引きつらせながら尋ねる。
「僕の夫、僕が女性に、どういう意味でしょう……?」
バフォメットはくい、と黒眼鏡を上げた。
「魔女は本来、その名の通り、女性です。魔女は妊娠しても娘しか宿さない。魔女の魔力は母から娘へと継承されてきました。そして魔女の心臓は長女へ。心臓を受け継ぐ長女が魔女として最も強い力を持ち、次女以下の魔女たちが長女を支える。それが魔女の本来の形です」
「でも僕は魔女ではなく魔男なんでしょう?あなた方も」
「魔男とは非常にイレギュラーな存在なのです。マルキリア大帝国時代、ザンドギアス大王の魔女狩りから逃れる最後の手段として、我らが始祖ワルプルギスは、胎内の子の性別を男に変える術を施しました。大魔女ワルプルギスだからこそなし得た奇跡の御業です。そうして生まれたのが長男ファウストと次男メフィストフェレス。最初の魔男です」
「お腹の中の娘を息子に作り変えた……」
「いかにも。男が魔女とは誰も思いません。男であるが故に、我ら魔男の一族は魔女狩りを逃れ、魔女絶滅の後も生き残り、ひそかに魔女の血脈を現代まで繋げることができました」
「魔女狩りから逃れるために男になった……」
「しかし魔力はその本質からして、陰のもの……女が持つべきものなのです。邪神の眷属となり果てた神子どもは例外として、男が魔女の心臓の能力を行使するためには、魂を陰化……女性化させねばなりません。陰化して初めて、聖統魔男は真のファウストとなる」
「魂を女性化?」
「はい。陰化した最初の魔男、初代ファウスト、紅の瞳のファウストは、母ワルプルギスに匹敵、いやそれをも凌駕する力を持っていたと伝えられています。なお初代以来メフィストフェレスの子孫が、聖統魔男の夫役を担ってきました。百年以上前、あなたの祖先八代目ファウストが誰にも告げず異世界に旅立つまで」
「百年以上前のファウスト……そうだ思い出した、我が家の家系図!明治時代に不破家の婿養子となった外国人の先祖がいます。ドイツ出身の貿易商人と名乗っていたそうですが、名前はファウストだった。我が家にいわゆるハーフ顔が生まれるのはその先祖のせいと言われていましたが、そうかそれが……!……ってそれよりも!」
不破家の家系図に記されていたファウストの名、というのは非常に興味深い気づきではあったが、今はそれどころではなかった。
有珠斗は意を決して、聞かねばならぬことを聞く。
「だから女性化って具体的にどういう意味ですか!?僕に女装でもしろってんですか?」
ヴィネが笑う。
「女装で陰化できるなら夫役いらねえだろ?」
「じゃあ一体どういう……」
するとヴィネはなぜか、有珠斗をてっぺんから足先まで眺めた。そして、
「……アリだな」
「何がです!?」
ヴィネは有珠斗のあごをつまんで持ち上げる。男らしいくせにセクシーな褐色イケメンが、じっと有珠斗を見つめた。
「うん、俺、全然いけるわ。顔はすげえ可愛いし肩も首も腰も女子みたいに細いし、初心そうでアホそうで、そのくせ実は度胸据わってるところがいい。こんな面白い女、他にいねえだろうな」
言いながらどんどん、そのセクシー顔を近づけてくる。大きな手はあごから有珠斗の首筋へと移り、くすぐるように撫でつける。
「え……、あの……」
「……なあ、俺にしねえか?」
ものすごいセクシーボイスを耳元に注がれうっかり失神しかかり、有珠斗は慌ててヴィネの手から逃れた。イケメン恐るべし。
「し、質問に答えてから話を進めて下さい!あと僕は別に細くはないです、日本男児として平均的な体形ですしアホでもありません!この間の全国模試だって全教科全国順位十位以内で……」
「ちょっと待ってヴィネ、君みたいな筋肉男に処女を奪われるなんて、ノンケの男の子にはトラウマものだよ!」
「処女を奪われるとは!?」
ぎょっとすることを言ったのはラミアである。あと「ノンケ」とはどういう意味なのか。日本語に変換されない異世界用語か。
ラミアはヴィネを押しのけて有珠斗にずいと近づくと、あやすような手つきで有珠斗の髪をなでる。
透き通る青緑の瞳を、優しげに細めた。
妖精か天使か精霊か。性別というか種族をも超越している美人に、子供のように頭をなでなでされている。
「僕にしたらいい。僕の見た目なら君も安心できるはず。怖いことは何もないからね、全部僕にゆだねて」
ラミアはなぜか、超いい匂いがした。花のような果実のような。ラミアの綺麗な指が、有珠斗の唇をなぞる。甘い香りに包まれて、甘い声が囁く。
「僕が君を、女の子にしてあげる」
あまりの甘さにうっかり酩酊しかかり、有珠斗は慌てて後ずさる。なんとか正気を保った。美人恐るべし。
「で、ですからまず質問に答えて下さい!ほんとになんの話してるんですか!?」
「分かってないなラミア!」
バフォメットがそう言いながらなぜか、黒眼鏡をしゅっと外す。
隠されていたのは、やや落ちくぼんだ青灰色の瞳。よくよく見れば、なんと。
(い、意外にイケメン!イケオジってやつか!)
いぶし銀の深みがあり、往年のハリウッドスターのようにかっこいいではないか。
渋いロマンスグレーのイケオジは、暑そうにシャツの第一ボタンを外す。むしろ涼しいくらいの室温だが。
自然な仕草で有珠斗の手を取り、紳士らしい笑みを浮かべた。
「生息子の固い蕾を優しく花開かせるのに重要なのは、見た目よりも技だ。お前たちは若すぎて事をせいてしまうだろう。私だ、私に任せなさい若人よ。私以上の手練れはいないよ。痛みも不快感もなく楽園の扉を開いてあげよう」
「つぼみ?らくえん?」
有珠斗はきょとんとする。見た目は紳士だが、言ってる言葉の意味はさっぱり分からなかった。
バラ園か何かの話だろうか。園芸が趣味なのだろうか。
兄弟たちは一様に、ゴキブリでも見たような顔をした。
「はあ?ジジイが何言ってやがる!なんでてめえが選択肢に入ってるんだよ!」
「信じられない、汚らわしい!」
ヴィネがのけぞり、ラミアが吐き気をおさえるように口元に手をやる。
ビュレトと一緒にケルベロスの体をクッションにして退屈そうに寝そべっていたオライも非難する。
「そうだよ、キャンディがかわいそうじゃん!」
ついでにビュレトも「あうー」と怒った声を出した。
バフォメットがオライをびしっと指さす。
「オライ、まだいた!子供が口をはさむんじゃありません、ちょっと向こうに行ってなさい!」
「子供の前でこんな話始めたのそっちでしょー。ビュレトも『重婚は犯罪』って言ってるよ」
「ビュレト君、賢すぎないですか!?そんな難しい言葉を!?」
「とにかく俺にしとけって、ウスト」
「僕に決まってるでしょ、公明正大、すこぶる客観的に考えて僕だ」
「だ、だからどうか何の話をしているのか教えてくださ……」
わけがわからなすぎてウストの目に涙がにじんだ時。
喧噪のカオスを、長兄が一喝する。
「貴様らいい加減にしろ!そんな話は後でいい!」
サマエルの迫力のある声が馬車内に響き渡り、しん、と静まる。
有珠斗は、ほっと息をつく。
困っている有珠斗を見かねて、サマエルが助け舟を出してくれたような気がした。
いや違うかもしれないけれど。サマエルは単にうるさいと思っただけかもしれないけれど。
でも有珠斗は、サマエルに救われた心地だった。
静まった馬車内で、バフォメットが黒眼鏡をかけ直す。
そしてぼそりとつぶやいた。
「チェリーボウイは黙ってなさい」
「僕の夫、僕が女性に、どういう意味でしょう……?」
バフォメットはくい、と黒眼鏡を上げた。
「魔女は本来、その名の通り、女性です。魔女は妊娠しても娘しか宿さない。魔女の魔力は母から娘へと継承されてきました。そして魔女の心臓は長女へ。心臓を受け継ぐ長女が魔女として最も強い力を持ち、次女以下の魔女たちが長女を支える。それが魔女の本来の形です」
「でも僕は魔女ではなく魔男なんでしょう?あなた方も」
「魔男とは非常にイレギュラーな存在なのです。マルキリア大帝国時代、ザンドギアス大王の魔女狩りから逃れる最後の手段として、我らが始祖ワルプルギスは、胎内の子の性別を男に変える術を施しました。大魔女ワルプルギスだからこそなし得た奇跡の御業です。そうして生まれたのが長男ファウストと次男メフィストフェレス。最初の魔男です」
「お腹の中の娘を息子に作り変えた……」
「いかにも。男が魔女とは誰も思いません。男であるが故に、我ら魔男の一族は魔女狩りを逃れ、魔女絶滅の後も生き残り、ひそかに魔女の血脈を現代まで繋げることができました」
「魔女狩りから逃れるために男になった……」
「しかし魔力はその本質からして、陰のもの……女が持つべきものなのです。邪神の眷属となり果てた神子どもは例外として、男が魔女の心臓の能力を行使するためには、魂を陰化……女性化させねばなりません。陰化して初めて、聖統魔男は真のファウストとなる」
「魂を女性化?」
「はい。陰化した最初の魔男、初代ファウスト、紅の瞳のファウストは、母ワルプルギスに匹敵、いやそれをも凌駕する力を持っていたと伝えられています。なお初代以来メフィストフェレスの子孫が、聖統魔男の夫役を担ってきました。百年以上前、あなたの祖先八代目ファウストが誰にも告げず異世界に旅立つまで」
「百年以上前のファウスト……そうだ思い出した、我が家の家系図!明治時代に不破家の婿養子となった外国人の先祖がいます。ドイツ出身の貿易商人と名乗っていたそうですが、名前はファウストだった。我が家にいわゆるハーフ顔が生まれるのはその先祖のせいと言われていましたが、そうかそれが……!……ってそれよりも!」
不破家の家系図に記されていたファウストの名、というのは非常に興味深い気づきではあったが、今はそれどころではなかった。
有珠斗は意を決して、聞かねばならぬことを聞く。
「だから女性化って具体的にどういう意味ですか!?僕に女装でもしろってんですか?」
ヴィネが笑う。
「女装で陰化できるなら夫役いらねえだろ?」
「じゃあ一体どういう……」
するとヴィネはなぜか、有珠斗をてっぺんから足先まで眺めた。そして、
「……アリだな」
「何がです!?」
ヴィネは有珠斗のあごをつまんで持ち上げる。男らしいくせにセクシーな褐色イケメンが、じっと有珠斗を見つめた。
「うん、俺、全然いけるわ。顔はすげえ可愛いし肩も首も腰も女子みたいに細いし、初心そうでアホそうで、そのくせ実は度胸据わってるところがいい。こんな面白い女、他にいねえだろうな」
言いながらどんどん、そのセクシー顔を近づけてくる。大きな手はあごから有珠斗の首筋へと移り、くすぐるように撫でつける。
「え……、あの……」
「……なあ、俺にしねえか?」
ものすごいセクシーボイスを耳元に注がれうっかり失神しかかり、有珠斗は慌ててヴィネの手から逃れた。イケメン恐るべし。
「し、質問に答えてから話を進めて下さい!あと僕は別に細くはないです、日本男児として平均的な体形ですしアホでもありません!この間の全国模試だって全教科全国順位十位以内で……」
「ちょっと待ってヴィネ、君みたいな筋肉男に処女を奪われるなんて、ノンケの男の子にはトラウマものだよ!」
「処女を奪われるとは!?」
ぎょっとすることを言ったのはラミアである。あと「ノンケ」とはどういう意味なのか。日本語に変換されない異世界用語か。
ラミアはヴィネを押しのけて有珠斗にずいと近づくと、あやすような手つきで有珠斗の髪をなでる。
透き通る青緑の瞳を、優しげに細めた。
妖精か天使か精霊か。性別というか種族をも超越している美人に、子供のように頭をなでなでされている。
「僕にしたらいい。僕の見た目なら君も安心できるはず。怖いことは何もないからね、全部僕にゆだねて」
ラミアはなぜか、超いい匂いがした。花のような果実のような。ラミアの綺麗な指が、有珠斗の唇をなぞる。甘い香りに包まれて、甘い声が囁く。
「僕が君を、女の子にしてあげる」
あまりの甘さにうっかり酩酊しかかり、有珠斗は慌てて後ずさる。なんとか正気を保った。美人恐るべし。
「で、ですからまず質問に答えて下さい!ほんとになんの話してるんですか!?」
「分かってないなラミア!」
バフォメットがそう言いながらなぜか、黒眼鏡をしゅっと外す。
隠されていたのは、やや落ちくぼんだ青灰色の瞳。よくよく見れば、なんと。
(い、意外にイケメン!イケオジってやつか!)
いぶし銀の深みがあり、往年のハリウッドスターのようにかっこいいではないか。
渋いロマンスグレーのイケオジは、暑そうにシャツの第一ボタンを外す。むしろ涼しいくらいの室温だが。
自然な仕草で有珠斗の手を取り、紳士らしい笑みを浮かべた。
「生息子の固い蕾を優しく花開かせるのに重要なのは、見た目よりも技だ。お前たちは若すぎて事をせいてしまうだろう。私だ、私に任せなさい若人よ。私以上の手練れはいないよ。痛みも不快感もなく楽園の扉を開いてあげよう」
「つぼみ?らくえん?」
有珠斗はきょとんとする。見た目は紳士だが、言ってる言葉の意味はさっぱり分からなかった。
バラ園か何かの話だろうか。園芸が趣味なのだろうか。
兄弟たちは一様に、ゴキブリでも見たような顔をした。
「はあ?ジジイが何言ってやがる!なんでてめえが選択肢に入ってるんだよ!」
「信じられない、汚らわしい!」
ヴィネがのけぞり、ラミアが吐き気をおさえるように口元に手をやる。
ビュレトと一緒にケルベロスの体をクッションにして退屈そうに寝そべっていたオライも非難する。
「そうだよ、キャンディがかわいそうじゃん!」
ついでにビュレトも「あうー」と怒った声を出した。
バフォメットがオライをびしっと指さす。
「オライ、まだいた!子供が口をはさむんじゃありません、ちょっと向こうに行ってなさい!」
「子供の前でこんな話始めたのそっちでしょー。ビュレトも『重婚は犯罪』って言ってるよ」
「ビュレト君、賢すぎないですか!?そんな難しい言葉を!?」
「とにかく俺にしとけって、ウスト」
「僕に決まってるでしょ、公明正大、すこぶる客観的に考えて僕だ」
「だ、だからどうか何の話をしているのか教えてくださ……」
わけがわからなすぎてウストの目に涙がにじんだ時。
喧噪のカオスを、長兄が一喝する。
「貴様らいい加減にしろ!そんな話は後でいい!」
サマエルの迫力のある声が馬車内に響き渡り、しん、と静まる。
有珠斗は、ほっと息をつく。
困っている有珠斗を見かねて、サマエルが助け舟を出してくれたような気がした。
いや違うかもしれないけれど。サマエルは単にうるさいと思っただけかもしれないけれど。
でも有珠斗は、サマエルに救われた心地だった。
静まった馬車内で、バフォメットが黒眼鏡をかけ直す。
そしてぼそりとつぶやいた。
「チェリーボウイは黙ってなさい」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
俺は魔法使いの息子らしい。
高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。
ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。
「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」
と、親友の父から衝撃の告白。
なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。
母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。
「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」
と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。
でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。
同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。
「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」
「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」
腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡
※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる