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41話 幻惑の森(4)

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 柔らかい、羽毛のような感触の場所に僕は落ちた。
 白い繊毛に覆われた、ベッドの上みたいなところ。
 周囲は白い半透明の壁に覆われていて、出口は無い。今度はこの部屋に閉じ込められたのか。
 
 天井を見上げた。僕が落下してきた穴が見える。
 
 僕の見ている目の前で、僕の落ちてきた穴の隣に、もうひとつ穴があいた。
 えっ?と思ったら、そこからレンが落ちて来た。

 レンだ!

 ぼふっ、と仰向けに落ちたレンに、僕は抱きついた。
 レンも服が溶けおちてほとんど裸の状態。

 僕はそのたくましい胸に顔をうずめて涙を流す。

「レン~~~~!僕どうしよう、変な青い触手におちんちんをレイプされたの中出しされたの!花に中出しされたんだうわああああああああん」

 レンは僕の頭を撫でながら、

「お、落ち着けって……」

「もう駄目だ僕、これから僕の体どうなるの?怖いよ、うわああああああっ」

「大丈夫、そこまでやばいもんじゃない。俺もケツに中出しされたから、赤い触手に。今、お前の体の中に入ってるのはこの花の精細胞で、俺の中に入ってるのが卵細胞だ。あと媚薬な」

「……ん?は?」

 僕は身を起こして、レンの顔を見下ろした。レンは参った、というように頭をかきながら、

「思い出したよ、この花。大型生物媒花だ。大型生物に受粉の手伝いさせる花。しかもすげえ強引なやり方で」

「え?え?」

 理解できない僕にレンは言った。

「つまり俺達はミツバチなんだよ。花粉くっつけたミツバチ。で、受粉の手伝いを完遂したら、この部屋から出られる」

「受粉の手伝い?」

「ヨウはおしべで、俺がめしべ」

「僕がおし……べ?」

 その時突然、急速に下半身に血流が集まっていく感覚がした。
 僕は勃起していた。

 そしてごくりと、僕の下に横たわるレンを見つめてしまう。
 レンは頬を染めて、気まずそうに僕の猛りから目をそらした。

 なんだこの感覚。

 僕いま、すごく。
 すごく。

 ……レンを犯したい気持ち。

 そうか、そういうことか、と理解した。
 僕とレンが今からセックスをしたら、僕達の体内に注がれたものが結合して、花の受精が成されるんだ。

 だから僕達は今から、セックスをしなきゃいけないんだ。

 レンがぼそりと呟いた。

「はあ、俺がめしべかよ……。逆だったら……」

 僕はずきり、と胸に痛みを感じてしまう。

「レンは僕に入れられるの、嫌なの……?」
 
 レンは焦った顔をする。

「ば、馬鹿、なに泣きそうな顔してんだよっ」 

「だ、だって!僕は今すごくレンとしたいよっ。レンで童貞卒業したい!僕の処女も童貞も、全部レンに捧げたいんだ!僕、一生レン以外の人とセックスなんてしないもん、全部レンとだけしたいっ」

「うっ……」

 レンが顔を赤らめて僕を見つめる。
 手の甲を額にあてて、照れくさそうに微笑んだ。

「嫌なわけないだろ。言っただろ、俺、お前に攻められるの好きだって。ただちょっと……恥ずかしいだけ。俺だって今、むちゃくちゃ火照ってんだぜ?」

 その照れた顔がすごく素敵で、僕の胸はトクンと鳴った。

 僕達はしばらく、見つめあう。
 僕が上で、彼が下。

 うるさいくらいに心臓が高鳴っていた。
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