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47話 決壊ショー(1)
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キツネ目の男は僕たちを、表通りから外れた建物に案内した。
「ショーは下の階なんです」
言いながら僕らを地下への階段へと導く。急な階段を降りると、扉の脇にテーブルがあって女性と用心棒らしい大男がいる。女性が僕らに会釈をしながら手を差し出してきた。
「お一人様、五万ブランになります」
たかっ!
思わずのけぞった。
僕もこの異世界の相場感覚はなんとなくわかってきている、五万ブランはだいぶ高いよ!
はあ、夜遊びってのはお金がかかるんだなあ。大人ってすごい。
「れ、レン、そんなお金……」
レンは舌打ちをして、ニコニコしているキツネ目の男に一瞥をくれて、懐から十万ブランを金貨で受付に差し出す。
あるんだ!
ポンと即金を出せちゃうレンすごい。
ハンターで結構溜め込んでるのかな?
そんなことを考えながら男に開けられた扉の中に入ると、思ったよりずっと大きな空間が広がっていた。
地下型の円形劇場、といった感じ。
中央に丸いステージがある。ぐるりと取り囲む階段状の座席が、ステージを見下ろしている。
すごい人いきれだった。席はもう満席に見えた。
男たちが興奮した様子で、ショーの始まりを今か今かと待っている。
ステージ上には大きな四角いものがあり、すっぽりと黒い布で覆われていた。
僕はステージを指差した。
「あの中にストリップのお姉さんでも隠れてるの?」
キツネ目の男は含み笑いを浮かべて、
「まあ、そのような感じです。さあ席にご案内します」
座席と座席の間の狭い通路を、男について歩いた。ほとんど円を半周したくらいのところ、一番後ろの席が二つ、空いていた。
男はそれを指差した。
「さあ、あちらにどうぞ」
レンが男を睨みつける。
「このどうでもいい見世物が終わったら、本当に情報をよこすんだろうな?」
「ええ、もちろん。そうだ申し遅れました、わたくしの名前はモンテスです。一階の受付嬢にモンテスを呼べとおっしゃってくださればすぐ出てきますので。では失礼いたします、存分にショーをお楽しみください」
モンテスは一礼をすると、踵を返して去って行った。
僕らは気乗りがしないながらも、モンテスに示された空席に座った。
するとちょうど、会場の照明が落とされた。
会場がどよめく。
そうか、今からショーが始まるんだ。
ステージにスポットライトが当てられた。
ステージの下の床、最下部の座席と座席の間の扉から、真っ白なローブを着た、仮面の男が登場した。
観客から拍手と歓声と口笛が上がる。
白い顔面に、目元部分に逆さの三日型のスリットが二つ空いた仮面。
虚ろで不気味な、笑顔の仮面だ。
仮面男は床からステージ上への階段を上る。
ステージの上から両腕を掲げて、男のよく通る声が響いた。
「お集まりのみなさま、大変長らくお待たせいたしました!半年に一度のお楽しみ、背徳の街ラガド一番の目玉!これを見ずしてラガドは語れない!<転生者決壊>をとくとご覧いれ下さい!」
割れるような大歓声が、会場中に轟いた。
転生者決壊?
初めて聞く言葉に首を傾げ、僕は隣に座るレンを見た。
レンは明らかに動揺していた。
「ど、どうしたの?転生者決壊ってなに?」
レンの喉がごくりと鳴らされる。
「転生者を『飢餓』状態のままにして、極限まで体内の転生者液を溜め続けると……『決壊』って現象を引き起こして、そのまま転生者は廃人になっちまうんだ……」
「えっ……」
そ、それってつまり、どういうこと?
と僕が聞こうとしたら、突然ドラムロールの音がなり始めた。
仮面男の朗々とした声が、地下空間にこだまする。
「本日ぶっ壊れちゃうのはーーーーーーー、ジョアン君!はい、ご開帳ーーーー!!」
ステージ中央の箱に被せられた黒い布が、ばらりと降ろされた。
布の下から、黒い鉄格子の檻が出現した。
「ショーは下の階なんです」
言いながら僕らを地下への階段へと導く。急な階段を降りると、扉の脇にテーブルがあって女性と用心棒らしい大男がいる。女性が僕らに会釈をしながら手を差し出してきた。
「お一人様、五万ブランになります」
たかっ!
思わずのけぞった。
僕もこの異世界の相場感覚はなんとなくわかってきている、五万ブランはだいぶ高いよ!
はあ、夜遊びってのはお金がかかるんだなあ。大人ってすごい。
「れ、レン、そんなお金……」
レンは舌打ちをして、ニコニコしているキツネ目の男に一瞥をくれて、懐から十万ブランを金貨で受付に差し出す。
あるんだ!
ポンと即金を出せちゃうレンすごい。
ハンターで結構溜め込んでるのかな?
そんなことを考えながら男に開けられた扉の中に入ると、思ったよりずっと大きな空間が広がっていた。
地下型の円形劇場、といった感じ。
中央に丸いステージがある。ぐるりと取り囲む階段状の座席が、ステージを見下ろしている。
すごい人いきれだった。席はもう満席に見えた。
男たちが興奮した様子で、ショーの始まりを今か今かと待っている。
ステージ上には大きな四角いものがあり、すっぽりと黒い布で覆われていた。
僕はステージを指差した。
「あの中にストリップのお姉さんでも隠れてるの?」
キツネ目の男は含み笑いを浮かべて、
「まあ、そのような感じです。さあ席にご案内します」
座席と座席の間の狭い通路を、男について歩いた。ほとんど円を半周したくらいのところ、一番後ろの席が二つ、空いていた。
男はそれを指差した。
「さあ、あちらにどうぞ」
レンが男を睨みつける。
「このどうでもいい見世物が終わったら、本当に情報をよこすんだろうな?」
「ええ、もちろん。そうだ申し遅れました、わたくしの名前はモンテスです。一階の受付嬢にモンテスを呼べとおっしゃってくださればすぐ出てきますので。では失礼いたします、存分にショーをお楽しみください」
モンテスは一礼をすると、踵を返して去って行った。
僕らは気乗りがしないながらも、モンテスに示された空席に座った。
するとちょうど、会場の照明が落とされた。
会場がどよめく。
そうか、今からショーが始まるんだ。
ステージにスポットライトが当てられた。
ステージの下の床、最下部の座席と座席の間の扉から、真っ白なローブを着た、仮面の男が登場した。
観客から拍手と歓声と口笛が上がる。
白い顔面に、目元部分に逆さの三日型のスリットが二つ空いた仮面。
虚ろで不気味な、笑顔の仮面だ。
仮面男は床からステージ上への階段を上る。
ステージの上から両腕を掲げて、男のよく通る声が響いた。
「お集まりのみなさま、大変長らくお待たせいたしました!半年に一度のお楽しみ、背徳の街ラガド一番の目玉!これを見ずしてラガドは語れない!<転生者決壊>をとくとご覧いれ下さい!」
割れるような大歓声が、会場中に轟いた。
転生者決壊?
初めて聞く言葉に首を傾げ、僕は隣に座るレンを見た。
レンは明らかに動揺していた。
「ど、どうしたの?転生者決壊ってなに?」
レンの喉がごくりと鳴らされる。
「転生者を『飢餓』状態のままにして、極限まで体内の転生者液を溜め続けると……『決壊』って現象を引き起こして、そのまま転生者は廃人になっちまうんだ……」
「えっ……」
そ、それってつまり、どういうこと?
と僕が聞こうとしたら、突然ドラムロールの音がなり始めた。
仮面男の朗々とした声が、地下空間にこだまする。
「本日ぶっ壊れちゃうのはーーーーーーー、ジョアン君!はい、ご開帳ーーーー!!」
ステージ中央の箱に被せられた黒い布が、ばらりと降ろされた。
布の下から、黒い鉄格子の檻が出現した。
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