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二人のギャル

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「なあ、F男。そこの二人のギャルをナンパしてみないか?」

 唐突にC太が言い出した。

「んー、急にそんなこと言われてもなあ。というか二人共後ろ姿で顔見えないじゃないか」

 F男は反論したがC太は自信満々で返事をした。

「絶対可愛いって。俺が保証する。特に金髪のほうは可愛いオーラが出まくってる」

 二人から少し離れた席に、金髪と黒髪の女性が座って飲み物を飲んでいる。男たちからは後ろ姿しか見ることができない状態だ。

「なんでそんなことわかるんだ」

 F男はC太の言うことを信用していない。

「そりゃ髪の毛サラサラでまっすぐだし、服のセンスといい脚も細くてスタイル良さそうだしどう考えても可愛いでしょ」

「そうかなー、俺は黒髪のコのほうが良いかなー」

「マジかよ、金髪のコより足太いじゃん。絶対ダサいって」

「いやいや、案外顔は可愛いかもよ?」

「お前の推理力には呆れるよ、オーラが見えてなさすぎる。まあ、ナンパするからそれならそれで助かるんだけど」

 C太はF男を散々批判しておきながら一人の女性の取り合いにならなかったことを喜んでいるようだった。

「なら俺が金髪のコで、お前は黒髪のコをそれぞれナンパしようか」

「どういう話題で声をかけるんだ?」

「そりゃ、この後メシ食ってカラオケでもどう?って言えばいいでしょ」

 F男は水を飲みながらしばらく考えていた。

「おいはやくしろよ。ギャル達が帰っちゃうだろ」

 C太はF男の長考に対して少しイライラしはじめていた。右手の人差し指でテーブルの上をトントンし始めた。C太はようやく重い口を開いた。

「よし、なら俺が先に黒髪のコに声をかけるからお前は後から金髪のコに声をかけてくれ」

「なんだよそれ。せっかくなんだから2人で一緒に声かけようぜ」

「いや、もし金髪のコが可愛くなかったらお前黒髪のコにのりかえるかもしれないだろ。それは困るから俺が先に行く」

「なんだよそれ。まあ、ナンパできるならいいけど失敗するなよ」

 F男は親指と人差し指でマルを作ると席を立って、2人のギャルの座っているテーブルへ向かって行った。

 F男は少しの間2人のギャルと話をするとなぜか金髪のギャルに向かってお辞儀をして黒髪のギャルと2人で店の外へと消えて行ってしまった。

「マジかよ、F男のヤツやるなぁ。ならオレも頑張らないとな」

 そう意気込むとC太は勇気を振り絞って金髪のギャルの元へと向かった。

「さっきの黒髪のコと出て行ったヤツ、オレの友達なんだけどなんて言って声かけてきたの?」

 そう言うと金髪のギャルは振り返ってこう言った。

「あなたがワタシを口説きたいからと少しデートしても良いですかって言ってたわよ。だからワタシはよ。って言ったらお若く見えたので娘さんかと思ってしまいましたですって。あなたのお友達なかなか上手な子ね。ならワタシたちもそろそろどこかに行きましょうか」



 1週間後ーー

 C太とF男はまた同じ店に来ていた。

「先週はマジで苦い経験したわー。まさかお婆ちゃんとデートすることになるなんて……」

「お前の目が曇っていたんだよ」

 F男はC太に返事しながら笑っていた。C太はF男の頭をゲンコツでグリグリしに行った。

「痛いからやめろよ……」

「お前が1人で行かずに2人でナンパしに行けばこんなことにならなかったのに……あれ?この席って先週と同じ席か」

「そうだけどどうかしたのか?」

 F男はニヤニヤしながら聞き返した。

「お前の席からだとガラスが反射してギャル達のテーブル席の顔が丸見えじゃないか」
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