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25.ただ一つの幸せ② ※

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「あ、熱い。レオン」
「フロル、すごい香りだ。……フロル!」

 甘い花の香りがフロルの全身からあふれ出る。後孔からはとろとろと蜜が滴り落ちて、たちまち敷布を濡らしていく。レオンはフロルの尻の間をするりと指で撫でた。

「んっ! あ、レオンっ」
「ああ、もうこんなにとろけてる」

 レオンの太い指が柔らかく綻んだ蕾の中にずぷりと入ると、まるで吸いつくように肉襞が震えた。
 擦り上げるように手前の一点に指が動かされ、甘い痺れがフロルの体を走った。ぐちゅぐちゅと水音が聞こえ、レオンの指がさらに奥深くまで忍び込む。フロルは堪らずレオンの背中に手を回した。

「レオン、あ、ああ……!」
「フロル、わかる? こんなに奥まで俺の指を飲み込んでる」

 ぐっと指で突き上げられれば、たちまち快感が生まれる。浅いところを擦られたかと思うと、今度は奥を突かれる。フロルの頭の中は真っ白になり、嬲られるままに体が溶けていく。

「フロル……フロル。もっと欲しがって」

 レオンは指を増やし、フロルの肉襞をゆっくりとかき回した。

「んッ……だめ、出ちゃう。……レオン、もう」
「ねえ、フロル。……フロルが欲しい」

 レオンの言葉が甘く響き、しなやかな肢体は蕾が花開くように蜜を零す。思わず頬を染めたフロルに、レオンは堪らず体を起こした。レオンの下半身を目にしたフロルは怯えた。幼い頃とは違う。成長したアルファの陰茎など、これまで見たことがない。太く長い陰茎は血管が浮き上がるほどに張りつめている。
 レオンはフロルの両足を開いて、柔らかな膝裏を持ち上げた。

「は、入らないよ」
「力を抜いて、フロル。大丈夫だから……だって」

 こんなに濡れてる、とレオンが言った途端に、雄々しい陰茎がフロルに突き刺さった。その瞬間、フロルの慎ましやかな陰茎からは白濁が飛び散った。

「あ! あああッ!」
「くッ」

 フロルの中は熱く湿ってうねっていた。レオンは堪らず腰を打ちつけた。目の前の白い肌には自分の付けた痕が花びらのように散って、紫水晶の瞳は涙を浮かべている。

「フロル?」
「……どうしよう、レオン。……きもちぃい」

 あどけない口調で、愛しい人が震えながら手を伸ばしてくる。レオンは堪えきれず、思い切り奥まで剛直を突き立てた。フロルの口からは甘い悲鳴が上がり、レオンの僅かに残った理性は焼き切れた。
 何度も中を穿ち腰を振り続けると、フロルは必死でレオンの体に足を絡めてくる。

「……レオン、レオン、……すき」

 快感で蕩けながら自分の名を呼ぶフロルの愛おしさに胸が震えた。

「もう二度と傷つけない。……フロル、俺の大事なフロル!」

 フロルの名を呼びながら、レオンは自分に縋りつく肉襞の奥に、熱い精を叩きつけた。
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