8 / 21
本編
8.初めての巣作り② ※
しおりを挟む「もう、こんなになってる。何もしなくても入っちゃうね」
志堂がうっとりとした声で囁いて、指がくちゅりと入ってくる。
「ん! あ、ああっ!」
長い指が肉襞を進めば、自分がそれを求めているのがわかる。指が増やされて、ぼくの中で何本もバラバラに動く。
(気持ちいい。何これ、気持ちいい)
「ふ、ふふ、可愛い。指にきゅうきゅう吸いついてくる。ね、指でいい?」
耳朶をやわやわと食みながら志堂がぼくを誘う。必死で首に縋りつきながら体を震わせていると、指がぐり、と中の一点を捏ねた。
「んっ! あ、あ!」
ぼくの陰茎から、とろりと白濁がこぼれた。後ろの孔からも、くちゅくちゅと蜜液が溢れてくる。息が浅くなって、体が熱くなって、もうどうしたらいいのかわからない。
「うわ、すっごい大洪水。あ、泣かないで、ごめん」
……涙が勝手にぼろぼろ溢れてくる。恥ずかしい、恥ずかしい。でも、気持ちいい。
「ごめん、ごめん。ああ、でも、もう限界なんだ。こんなに可愛いの、反則……」
志堂はぼくの目尻にキスをして、涙を舐めた。ゆっくり指が引き抜かれ、ぼくの目からはさらに涙がこぼれる。何もなくなったそこが、急に寂しくなる。
「ああ、待って。今、あげるから」
両足が開かれ、志堂のそそり立つペニスが入り口に当てられた。ずん! と中に入ってくる。目の奥が一瞬、ちかちかと白くなる。
「ん! あっ!」
ぼくの蕩けきった後孔の中に、彼のペニスが深く突き刺さる。熱杭が肉襞を擦るたびに、熱くて、気持ちがよくて、体が震えた。体中がびりびりして、足の爪先まで電流が走る。
「あ、ああああっ!」
「あ! すご……こっちが、イかされそう」
「い、いっせ……! もっと」
「ちはる? 今、名前」
「……す、き。いっせい……」
意識が吹き飛びそうになりながら、必死で彼の名を呼ぶ。ぼくの腰を掴んだ手に力が入った。
「……もう! ほんとに……」
ずん! とさらに思いっきり奥まで、突き上げられる。ごりごりと擦られながら奥まで、何度も、何度も。部屋の中に、ぐちゅぐちゅと水音がたつ。
「あ! あああんッ! あっ! やっ」
たまらず陰茎から白濁が噴き出して、互いの腹を濡らす。同時に、ぼくは奥深くまで入った一星のペニスをぎゅっと締めつけた。
「くっ! 出るッ」
思いっきり奥まで突かれ、叩きつけるように中に出された。彼の灼熱が中に入ってくる。体中の血が逆流するような興奮と、悦び。体も心も全てが蕩けていく。お互いの体の境目なんてなければいいのにと思う。
「ちはる……千晴。好きだよ……好きだ。……俺の」
強く抱きしめられながら、大事な言葉を聞いた気がする。
──の番、と。
ぼくは、とても幸せな気持ちで一星の体を抱きしめた。一星がぎゅっとぼくを抱きしめる。何度も何度も、ぼくの名を呼ぶ。
ああ、そうか。君がぼくの……。
口に出す前に、意識は途切れた。
120
お気に入りに追加
620
あなたにおすすめの小説
【完結】何一つ僕のお願いを聞いてくれない彼に、別れてほしいとお願いした結果。
N2O
BL
好きすぎて一部倫理観に反することをしたα × 好きすぎて馬鹿なことしちゃったΩ
※オメガバース設定をお借りしています。
※素人作品です。温かな目でご覧ください。
表紙絵
⇨ 深浦裕 様 X(@yumiura221018)

【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。

孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる