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75.会えてよかった ※
しおりを挟むうわッと思った時には、ジードの腕の中にすぽっと入っていた。上を向けばジードの唇が額に当たる。抱きしめられたまま顔中にキスをされて、うわわわわと心が叫ぶ。
俺たちは身長差が20センチ以上ある。
こちらに来るまで、周りの人は大抵、俺より背が小さかった。それがここに来れば反対で、自分がまるで子どもみたいな扱いだ。騎士なんか皆、俺より圧倒的に背も厚みもあって、ついでに魔力もある。
……かなうとこなんか、ないんだよなあ。
「どうした? ユウ」
「なんだか、俺、子どもみたいだなと思って」
「子ども?」
「俺たちの世界では、俺の背でも十分デカいんだよ。でも、こっちでは女の人だって同じぐらいあるし、皆、たくましいよね。俺、魔力もないなって」
「……ユウには、十分、力があるだろう?」
それって、菓子を作る能力のことなんだろうか?
うーん、と思っていたら、唇をぺろっと舐められた。
「甘い。……菓子よりもずっと」
ジードが微笑んで、こちらの頬が熱くなる。いきなりそういうことするのやめてくれないかな。心構えってものがいるんだから。
「あ、あのさ。ジードは、もうちょっと考えた方がいいと思うよ」
「?」
「……心臓に悪いって言ってんの!」
「本当だ。すごく早くなってるな」
ジードが素早く俺の胸の上に大きな手を当てた。俺は腹が立って、思いっきり胸を叩いたけど、全然相手にならない。胸板の厚みも全然違うんだ。
くすくす笑いながら抱きしめられていると、すごく安心する。いつのまにか、ここが自分の大事な場所になってるんだなあと思う。俺はジードの膝の上に座って、体にもたれかかった。
ジードが俺を抱きしめてキスをする。いつの間にか、キスが深くなって互いの舌を絡めあう。
何で、キスだけでこんなに気持ちがいいのかな。角度を変えて互いの唇を何度も合わせていると、頭の中が段々ぼうっとしてくるんだ。ジードの大きな手が肌に触れると、ぞくぞくする感じがあっという間に背中に伝わっていく。
「ユウ、ここは気持ちいい?」
いつのまにか、ジードの指が服の裾から入って、俺の胸を撫でている。そして小さな乳首を摘まみ上げて、くりくりと弄る。そんなとこ気持ちいいはずないのに、摘まんでこねられると、声が出てしまう。
「やっ、あっ……」
「嫌って言ってるのに、気持ちよさそう」
「それ……は、ジードがいじる、から!」
こっちが睨みつけてるのに、何で嬉しそうな顔するんだよ!
胸はずっと、くすぐったいと思っていたはずなのに、弄られているうちにだんだん感じるようになっていた。気がついた時には、ジードの頭が下がってきて、片方の乳首を舐められ、ちゅっと吸い上げられる。軽く噛まれて、自分のペニスがすっかり上を向いてしまった。
「んっ! ジ、ジード。もぉ、ここじゃ、やだ」
「じゃ、どこならいい?」
俺が寝室を指差すと、ジードは俺を軽々と腕に抱えていく。寝室に置かれているベッドは、俺には広いけど、ジードにはちょうどいい。ジードが俺をベッドに横にして、じっと見下ろしている。
「……すごく嬉しい」
「えっ?」
「ユウの寝室に入れるなんて、夢みたいだ」
思わず黙り込んでいたら、やわやわと唇を食まれながら、服のボタンを外される。肩から鎖骨、胸を舐められて吸い上げられた。肌に甘い痛みが走って、うっすらと花のような痕が付いている。
「ユウには、赤がよく似合うな」
幾つも付けられたキスマークを指でなぞられて体が震えた。ジードは俺を抱きあげて、あっという間に服を脱がせていく。
「……そういえば」
「ん?」
「俺たち、ベッドでしたこと、ないね」
「……ほんとだ」
思わず二人で笑い出してしまった。長く二人きりで過ごしたことだってない。
素早く服を脱いだジードの首に手を回して、ゆっくり肌を重ねる。お互いの肌の温かさや、いつもより早い心臓の音。それから、とっくに硬くなっている存在が、恥ずかしいけど愛おしい。
「ユウに会えてよかった」
「俺も、ジードに会えてよかった」
小さく息をついて、もう一度キスをする。
俺はジードの立派なペニスに指で触れた。屈みこんで、そっと先端の雁首を口に含んで舌を這わせる。ジードの剛直は大きすぎて、舐めるのが難しい。気持ちよくなってほしいのに、うまくできない。一旦口を離してジードを見れば、眉を寄せて真っ赤になっていた。
「ごめ……。おおきくて……うまくできない」
「あ――! もう!」
しゅんとすれば、ジードは可愛いこと言って、と呟いた。いきなりベッドに転がして俺の両足を開いたかと思うと、むしゃぶりつくようにペニスを口に含む。熱い舌でねっとりと舐められて鈴口を啜られた。思わず腰が浮き上がってしまう。
「あっあ! やっ! 出ちゃうっ!」
やめてと言っても聞いてくれない。ジードの口の中で出してしまいそうになるのを必死で堪えた。
「ユウ、一緒に気持ちよくなろう」
ジードは自分の指を俺の後孔に当てる。ゆっくりと熱が奥まで一巡りして、洗浄魔法が伝わっていく。
「ジー……ド、これ」
俺はベッドの棚に置いた瓶を手で取った。花の香りを移した油だ。ジードが目を見開いて瓶を受け取り、手の中にたらして温めた。俺の体に塗りつけ、自分の指にもたっぷり纏わりつかせる。自分の中にジードの指が入り、ゆっくりと中を解していく。感じる場所をこすられるたびに、先端からは先走りが零れた。
「……もう挿れていいか、ユウ」
俺は堪らず頷いた。自分の中で、熱が放出されないままに燻っている。ジードが俺の膝裏を持ち上げて、剛直をぐんと押し進めていく。硬くて熱いものが、一気に俺の中を擦り上げる。
「ああああああ――!!」
剛直が貫くと同時に、俺の先端からは白濁が溢れ出た。ジードが奥まで突き上げて熱を放つと、つま先まで快感が走る。ジードの剛直に続けて突き上げられて、何度も甘い悲鳴を上げる。
ジードが俺を揺すぶり、ゆっくりとかき回す。体の中にうねるように快感が訪れて涙がボロボロと零れた。
「ジード、やぁ! だめ、これ以上はだめぇ!」
「……もっと欲しいんだ。ユウが、もっと」
何度ジードにイかされたのかわからない。気がついた時には、力が抜けたまま抱きしめられていた。
「ユウ……ユウ。大丈夫か?」
「ジード……」
「ごめん、無理をさせた」
温かい腕に包まれて、何度も優しいキスが降って来る。
何も怖くない。この腕の中にいれば。
この時の俺は、こんな時間が変わらずに、ずっとずっと続くんだと思っていた。
――永遠に、ジードの腕の中にいられると思っていたんだ。
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