凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ

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27.恋夜 ※

① ※

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 体を震わせると、宥めるように軽くヴァンテルが口づけてきた。
 指先は後孔を探り、入り口に優しく触れる。

「んッ……ぁ……」

 香油をまとった指で円を描くように丁寧に撫でられ、奥がわずかに疼く。

「……そんな……とこ」
「アルベルト様、力を抜いて……」

 つぷ、と指先が入ってくる。

「ひ! あッ!」

 異物の入る感覚は、今まで味わったことのないものだ。そのまま指が中に押し入り少しずつ進む感覚に、体が強張ってしまう。
 空いた手で優しく頬を撫でられ、安心させるように何度も口づけられる。
 探るように曲げられた指先が一点に触れた時、体を貫くような痺れが走った。

「ンッ! ……ぁんっ」

 自分の口から、聞いたこともないような甘い声が漏れて腰が浮く。
 異物感など瞬時にわからなくなるような凄まじい刺激だった。

「……ここですか?」
「やっ! さわ……らないで……」

 はあはあと息がこぼれ、背中が反りあがる。
 気が付けば首から鎖骨へとヴァンテルの舌が這い、しゃぶるように愛撫を繰り返している。

「クリス……んッ! クリス!」
「全部、塗り替えます」

 何を、と聞こうとしたのに。

 長く美しい指が後孔の同じところをこすると、途端にそれどころではなくなった。
 狭い場所が少しずつ開き、ぐちゅぐちゅと水音が聞こえる。時間をかけて指が増やされ、想像もしなかった快感ばかりが波のように押し寄せた。

「……あっ……あぁ……ん!」
「可愛い……アルベルト様。……もう、ここは三本も飲み込んでいる」

 ヴァンテルは、もっと声を出して、と囁きながら耳たぶをんでいる。うなだれていた芯は、肉襞をかき回されているうちに、緩く起ち上がりはじめた。

「……やっ、やだ。もう……」

 ──奥がおかしい。

 ……熱くなって、疼いて。
 
 こすられるたびに、自分のものじゃないような甘い声が出る。いつのまにか、話し方も子どもの頃に戻ったようになっている。

「貴方自身が蜜のようだ。とろけるように甘くて……引き寄せられるまま、口にしたくてたまらなくなる」

 耳孔に舌を差し込まれ舐められながら、ヴァンテルの指が内壁をさらに拡げるように、ばらばらに動く。
 口の端から零れる唾液を男の舌が舐め、硬く尖っている乳首を空いた手の指で捏ねる。どこに触れられても感じてしまって、どうすることもできない。

「クリス……クリス、おか……しい」
「……何がです?」

 体の中から、狂おしいほどの渇望が湧き上がる。

「あ……あ! そこ! ンッ、もっと……」

 自分が口にした言葉がわかった途端に、あまりの羞恥に唇を噛んだ。


 ──もっと、なんて。

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