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平凡な僕と美形幼馴染
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僕は三人兄弟の真ん中だったんだけど、兄と弟は両親に似てとても整った顔立ちをしていた。
街中を歩けば必ずと言っていいほどモデルや芸能界のスカウトをされ、学校ではファンクラブが出来るくらいだった。
そんな兄弟に挟まれた僕は、至って平凡な顔立ちをしていた。普通なら良いだろと思うかもしれないけど、美形揃いの家族の中で、僕だけが浮いているのだ。気にしないわけがないだろう。両親は僕のことも可愛がってくれていたと思うけど、どうしても目立つ兄と弟の方に興味がいくからか、僕は忘れられがちだった。
「この子だけなんで地味なんだろう」
「本当に兄弟なのかな?」
「お兄さんと弟さん、すごくイケメンだね」
「次男さんは、目立たないね」
物心つく頃には、周囲からこんな風に言われて生きてきたのだ、自分の容姿がコンプレックスになるなんて当然だろう。
そんなコンプレックスを抱えながら、僕は容姿に似合った平凡な人生を送ろうと思っていた。
だけど、家族が美形だけではなく、幼馴染も美形だったため、日々は平凡ではなくいつも騒がしかった。
そして、幼馴染のストーカーに嫉妬をされ、刺されて死んだ。
それが、僕の前世の記憶だった。
前世の記憶を思い出したのは、僕が7歳の誕生日だった。
今度の人生は、中世ヨーロッパ風のファンタジーな世界に生まれたらしい。もしかしたら、流行りの異世界転生かもしれない。だけど、僕はゲームも漫画もあまり読まなかったから、もし異世界転生だったとしても、よくわからない。それに、僕の容姿は前世と同様に平凡だった。
異世界転生していたとしても、せいぜいモブといったところだろう。
そして、今回も両親は超絶美形だった。昨年生まれたばかりの弟も、赤ちゃんながら、将来絶対美形になること間違いないだろう顔立ちをしている。
(生まれる世界が変わっても、僕は平凡なんだなぁ)
もはや諦めの境地だ。
それにしても、幼馴染まで美形だなんて、前世とほとんど変わらない自分の境遇に笑いそうになったほどだ。
(もう刺されて死にたくはないから、必要以上に仲良くしないようにしよう)
嫉妬で刺されるなんて、一回で十分だ。そんな理由で死にたくない。今度こそ、平凡な人生を全うしたい。
僕は心に誓った。
(誓ったのに……)
僕の心の誓いを笑うように、美形幼馴染みイザヤは、僕にウザ絡みしてくる。
それは毎日毎日。
15歳になって貴族学園に入学してからは、隣にいるのが当たり前のような顔をしていつも一緒にいる。
定期的に席替えがあるのに、何故かいつも隣か前後は幼馴染の席だった。
「ルイは可愛いなぁ」
最近では、そんな血迷った発言を僕にするようになった。
「何言ってるの? 自分の姿、鏡でみたことある?」
どう見ても僕よりもイザヤの方が可愛いだろう。いや可愛いというより、カッコいい? まだ若干幼さは残っているが、切れ長の目を細めて微笑む姿は天使か神のようだった。周りの女の子たちが、そんなイザヤのことを顔を赤くさせて見ている。
そういえば前世の幼馴染も、僕によく「可愛い」だの「天使」だの意味の分からないことを言っていた気がする。それで、幼馴染のストーカーに嫉妬されて殺されたんだ。
「そういうこと言ってると、勘違いされて僕に迷惑がかかるからやめてよね」
本気でそう思う。
痛い思いはしたくない。
「大丈夫、大丈夫」
何を根拠にか、そんな軽く大丈夫というのか。
僕は大きく溜息を吐く。
このやりとり、もう何十回……いや何百回もしている。
僕から離れようと、休み時間に隠れてもすぐに見つかるし、登校時間をズラそうとしても、どういう訳か屋敷の外に出るとイザヤの馬車が迎えに来てる。下校は言わず物がな……。
「今度は大丈夫だよ。誰にもルイの事を傷つけさせないから」
イザヤがにっこりと天使みたいな微笑みで何か呟いたけど、小さな声だったから聞こえなかった。
「何?」
聞き返したけど、「何でもないよ」と有無を言わさぬ笑顔で返されたので、聞き返すのを諦めた。
とりあえず、この幼馴染からは逃げられないんだろうな……と心のどこかで、諦めの気持ちと、そんなイザヤの執着に安堵する僕がいた。
街中を歩けば必ずと言っていいほどモデルや芸能界のスカウトをされ、学校ではファンクラブが出来るくらいだった。
そんな兄弟に挟まれた僕は、至って平凡な顔立ちをしていた。普通なら良いだろと思うかもしれないけど、美形揃いの家族の中で、僕だけが浮いているのだ。気にしないわけがないだろう。両親は僕のことも可愛がってくれていたと思うけど、どうしても目立つ兄と弟の方に興味がいくからか、僕は忘れられがちだった。
「この子だけなんで地味なんだろう」
「本当に兄弟なのかな?」
「お兄さんと弟さん、すごくイケメンだね」
「次男さんは、目立たないね」
物心つく頃には、周囲からこんな風に言われて生きてきたのだ、自分の容姿がコンプレックスになるなんて当然だろう。
そんなコンプレックスを抱えながら、僕は容姿に似合った平凡な人生を送ろうと思っていた。
だけど、家族が美形だけではなく、幼馴染も美形だったため、日々は平凡ではなくいつも騒がしかった。
そして、幼馴染のストーカーに嫉妬をされ、刺されて死んだ。
それが、僕の前世の記憶だった。
前世の記憶を思い出したのは、僕が7歳の誕生日だった。
今度の人生は、中世ヨーロッパ風のファンタジーな世界に生まれたらしい。もしかしたら、流行りの異世界転生かもしれない。だけど、僕はゲームも漫画もあまり読まなかったから、もし異世界転生だったとしても、よくわからない。それに、僕の容姿は前世と同様に平凡だった。
異世界転生していたとしても、せいぜいモブといったところだろう。
そして、今回も両親は超絶美形だった。昨年生まれたばかりの弟も、赤ちゃんながら、将来絶対美形になること間違いないだろう顔立ちをしている。
(生まれる世界が変わっても、僕は平凡なんだなぁ)
もはや諦めの境地だ。
それにしても、幼馴染まで美形だなんて、前世とほとんど変わらない自分の境遇に笑いそうになったほどだ。
(もう刺されて死にたくはないから、必要以上に仲良くしないようにしよう)
嫉妬で刺されるなんて、一回で十分だ。そんな理由で死にたくない。今度こそ、平凡な人生を全うしたい。
僕は心に誓った。
(誓ったのに……)
僕の心の誓いを笑うように、美形幼馴染みイザヤは、僕にウザ絡みしてくる。
それは毎日毎日。
15歳になって貴族学園に入学してからは、隣にいるのが当たり前のような顔をしていつも一緒にいる。
定期的に席替えがあるのに、何故かいつも隣か前後は幼馴染の席だった。
「ルイは可愛いなぁ」
最近では、そんな血迷った発言を僕にするようになった。
「何言ってるの? 自分の姿、鏡でみたことある?」
どう見ても僕よりもイザヤの方が可愛いだろう。いや可愛いというより、カッコいい? まだ若干幼さは残っているが、切れ長の目を細めて微笑む姿は天使か神のようだった。周りの女の子たちが、そんなイザヤのことを顔を赤くさせて見ている。
そういえば前世の幼馴染も、僕によく「可愛い」だの「天使」だの意味の分からないことを言っていた気がする。それで、幼馴染のストーカーに嫉妬されて殺されたんだ。
「そういうこと言ってると、勘違いされて僕に迷惑がかかるからやめてよね」
本気でそう思う。
痛い思いはしたくない。
「大丈夫、大丈夫」
何を根拠にか、そんな軽く大丈夫というのか。
僕は大きく溜息を吐く。
このやりとり、もう何十回……いや何百回もしている。
僕から離れようと、休み時間に隠れてもすぐに見つかるし、登校時間をズラそうとしても、どういう訳か屋敷の外に出るとイザヤの馬車が迎えに来てる。下校は言わず物がな……。
「今度は大丈夫だよ。誰にもルイの事を傷つけさせないから」
イザヤがにっこりと天使みたいな微笑みで何か呟いたけど、小さな声だったから聞こえなかった。
「何?」
聞き返したけど、「何でもないよ」と有無を言わさぬ笑顔で返されたので、聞き返すのを諦めた。
とりあえず、この幼馴染からは逃げられないんだろうな……と心のどこかで、諦めの気持ちと、そんなイザヤの執着に安堵する僕がいた。
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