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 アレックスはキアランの方を振り返り、片手で尻の割れ目を開く。ねちゃりとした粘度のある白濁が手についたが、構わず後孔を見せつける。それよりもキアランを誘う方が大切だったからだ。

「良いんですか?明日の動けなくなっても」
「俺はそんなやわにできてねぇよ。遠慮すんなよ……俺は、お前としたい……」

 それに、自分だって実は限界だ。外側の接触だけじゃなく中への侵入も期待してしまっている。それなのに生殺しは辛すぎる。

「ほら、素股だけで満足なのかよ?それとも一回出したらもう出な……」
「いいえ!貴方の中に入らせて、頂きます!」

 先ほどまで遠慮していたキアランはもう一度後ろからアレックスにのしかかると、挿入できるくらいまで硬くなったペニスを入れ始める。

「くっ、う……」
「……加減はしませんからね」
「んっ……望むところだ」

 体内の肉を分け入ってくるキアランの肉棒。圧迫感よりも、満たされたような充足感。やっと来てくれた。
 キアランは我慢できなかったのかすぐに腰を振ってきた。ぱんぱんと腰骨と臀部が当たる肉の音がする。さすがアレックスを抱くのに慣れているというか、すぐさま前立腺の場所を探し当てそこばかりを責める。

「あっ……ひ……くっ……」
「苦しく……ないですか?」
「俺は別に……あっ……そっちは、どうだ?」
「ん……気持ちが良くて……ふぅ……天国です」

 接合部はすぐに潤んで淫靡な光景になっているだろう。アレックス的にはそれで充分気持ちが良かったが、キアランは物足りなかったらしい。腰を上げさせられると、後ろ手を伸ばして萎びているアレックスのものをいじられる。

「ばかやろ……やめ……」
「ここも気持ち良くなってもらいたい……です……それに今日は一度も触れていません」

 ペニスが萎びているからと言って無理して受け入れて気持ちが良くないわけではない。アレックスの反応からわかるだろうに、これ以上の快感を与えようというのか。

「やっ、やめろ……ぐ……んぁっ、く──」

 的確にアレックスの弱いところをほじったり力を込めて擦ったり。強烈な尿意に近い何かが湧き出てくる。しかも前だけでなく後ろからの攻めが再開された。今度は前立腺だけでない、奥の方をノックする動き。キアランの完勃ちして思い切り広がったカリがこそげとるように内壁をする。アレックスは声にならない甘い声を出さざるを得なかった。

「変な……出るっ……」

 全てを伝える前に、より一層強く攻められ、高みに登らされた。尿道から透明の液体が飛沫のように迸り、汗で湿ったベッドシーツを濡らす。同時にキアランの屹立もひくひくと規則的に欲望を吐き出した。

「あっ……漏らしちまった……ばかやろ……」
「よくできました。これは潮ですからお漏らしではないですよ。後ろでたくさん気持ち良くなれた証です」
「全く……満足したか?こんな情けない姿を見て」

 快感の名残りで言葉がうまく紡げなくて舌足らずになってしまう。みっともない。だが、引く気配もなく優しく頬にキスされる。

「ええもちろん。アレックスさんのそんな姿も素敵です」
「ばか……」

 アレックスは呆れて軽く罵倒した。キアランはそれすらも嬉しそうで、いそいそと洗面台へ向かっていった。水が流れる音がして何やら作業している。横の温かったシーツが少し冷える頃、キアランはホットタオルと新しいシーツを手にやってきた。

「ありがとう。自分でやる」
「いえ、私にやらせてください。今日はとことん貴方を甘やかすと決めましたので」

 別に体がだるくて動かない訳ではないのに、ベッドの上に縫い付けられ温かく湿ったタオルが体を滑る。その手の動きに性的な意図は感じられなかったので純粋に世話をしたいのだなとわかった。キアランは今にも鼻歌を歌い出しそうだった。

「ご機嫌だな」
「ええもちろん。アレックスさんのお休みまで関わることができるので。一緒に暮らしたらこんなふうに時間を気にせず一緒にいられるのですね」

 そうか、キアランは同棲したいということをきちんと覚えてくれていたのか。だが、もし領地でキアランの家族と共に働くことになったら同じ部屋で寝て、起きて寝顔を見つめる事などできなくなるかもしれない。以前同じ職場だからと朝から夜まで共にいられると思っていたがそれは勘違いだった。むしろこの厳格な屋敷では主人と使用人や護衛は食事も共にできないし、別の部屋で寝る。恋愛など特に御法度のように思える。
 屋敷の一日を実際に過ごしてみて、ここでは一日中共にいられるなど幻想に過ぎなかったようだった。
 キアランと共にいるためには、自分たちの力で王都に住むという結果を勝ち取らなければならない。

「明日、頑張れるな?」
「どうでしょう」

 恋人はそう言って眉を下げている。何事も冷静に対処していたキアランが珍しく弱気だ。容疑者として拘留された時も背筋を伸ばし、常に自分が正しいと示すような態度だった男が。それだけ確執が深いのだろう。

「ついてってやるから……」
「でしたら、頑張ってみます」
「本当にダメなら駆け落ちしてやるよ」
「ふふかっこいい。プロポーズみたいですね」

 ぽつりぽつりとベッドの上で語り合いながら、ゆっくりと夜は更けていった。

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