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番外編 おこもりえっち1※
しおりを挟む釈放されたあとの三日間を振り返ると、アレックス史上一番爛れた日々だったと思う。
キアランの住まいは通常、入口に護衛がいる以外は一人二人の側仕えを連れていくこぢんまりとした家屋だ。それでもアレックスにとっては自身の家より数倍も広いが。その屋敷を二人だけで過ごすのだ。最大限利用するためにいつでもどこでも何度でも交わった。いや、交わらずにはいられなかったというのが正しいのかもしれない。愛しい、心が結ばれた人といつでも二人きり。そうならないほうがおかしいのではとアレックスは開き直った。
例えばベッドの上だけでなく色々な生活を営む場所──風呂場でも。
「あっ……触るなって」
「不快ですか?洗っているだけですよ」
目の前の恋人は遠慮なくアレックスに触れる。正面から手のひらを滑らせ胸の谷間をくすぐっていく。胸毛で石鹸を泡立たせて背中も綺麗にしようとする。行為は同じだが普段自分の体を洗うのとはまた違って胸がむず痒くなる。
「く……」
「私の好きなようにさせてくれるって言ってくれましたよね?」
「そうだけどよ……なんか恥ずかしいんだよ」
「大丈夫、だんだん気にならなくなりますよ……」
キアランにそう返されると胸を重点的に揉み込むように触れられる。初夜に散々いじられた乳首は赤く腫れて白い泡の上で目立つ。肩を動かし触れられないよう避けるがそんなことキアランには関係なかった。
赤い粒を両方とも捕まえると、こよりでひねるようにそれを肥大化させる。鼻にかかった低い声を抑える。
「声は我慢しないでくださいね?気持ちいいかどうかわかりませんから」
「洗ってるって言っただろうがっ……」
先ほどとは違う言い分に責めるようなキツイ口調になってしまったのは余裕がないからだ。キアランもきっとそれに気がついている。限界だと思われたのかシャワーで泡を流された。
「次はここですね……本当に嫌だったら避けてください」
上半身を洗われたと思ったら今度は下半身だ。油のような半透明のものをキアランは手に取ると下半身の特に毛の濃い部分、陰毛にまとわりつかせる。
「このトリートメントでアレックスさんの下の毛も艶々になりますよ」
ゆるく勃ち上がった陰茎にふれるか触れないかの距離で密集した茶色の縮れた毛をすいていく。腹につながっている毛まで辿ったらシャワーで流される。ぬるぬるとした感触が、昨夜使った潤滑剤とその激しい行為を思い起こさせていやでもペニスが反応してしまう。
「おや?触ってないのにおっきくなって……かっこいい息子さんですね」
焦らされ尽くしたアレックスの下半身は完全に勃起してしまっていた。
「当たり前だろ……俺だってやらせろよほらっ……」
アレックスはそう言うと、キアランが持っていたトリートメントを奪い取り、乱暴に手のひらに落とす。勢いよく出したため指の隙間から伝ってバスルームのタイルへとこぼれ落ちていく。視線をキアランの下半身に向けた。
アレックスの体を触っているだけだったのに、そこはもうみていて引いてしまうくらい我慢汁をダラダラとこぼしていた。
「ふふふ……どうぞ触ってください」
「臨むところだ」
恥ずかしくないのだろうか。そう思いつつもアレックスの目線はキアランの立派なものに釘付けになる。アレックスのものより大きい気がする。体格的にはアレックスの方が筋肉もついているはずなのに悔しい。
太く無骨な指が恋人の熱い逸物に絡まる。そのまま自身を慰める力加減で扱いていった。気持ちよくなって色っぽい声の一つも出せばいい。
「ん……上手ですね……きもちいい……」
「そうですかね」
恥ずかしがるどころか積極的に腰を振って自身を高めている。熱い。段々と扱く手のひらが麻痺していく。
「……このまま達するのもいいですが、アレックスさん……あなたの中に入りたい……」
「……いいよ……く、ぅ……」
「昨日抱いたばかりですから柔らかいですね……」
キアランの誘いの言葉とともに後孔への刺激を感じる。恋人の細く滑らかな指が、抵抗もなくアレックスの体内へ侵入してきたのだ。アレックスはそれに少なからずショックを受けた。たった一夜で自分の体が女のように作り変えられたように感じた。
「そんな、嘘だ……」
「昨日貴方が気絶をしてしまうくらいにじっくりしてたからでしょうね……はじめてなのに受け入れてくれてありがとうございます」
「当たり前だろっ……約束したんだからな……ん……」
「ああ……本当に夢のようです。好ましいと思っていた貴方の中に入れるなんて……夢じゃないですよね?」
つねってくださいと言わんばかりに頬を近づけてきたので両頬とも全力でつねってやる。セックスの時に子供みたいなことを言う男だ。
「痛い……でもこれで現実だってわかりました。目の前にいる色っぽい姿をしたアレックスさんも本物だってことも」
「おわっ……なんででっかくなってんだよ」
「つい」
「全く……」
そういえばいつの間にかアナルから指が抜かれていた。もしかしてリラックスさせるためにこんな馬鹿みたいなことを言ったのかと思い至る。
「……ほら、こいよ。風呂でしたいんだろ?」
なんだかもう胸がどうしようもなく甘く苦しくてアレックスは両手を広げキアランがくっついてくるのを待った。キアランは作られた笑みではない、本物の笑みでアレックスを抱きしめた。
「………んっ、ん……」
「苦しいですか?全部入りましたからね」
背中をさすられながら、湯船の中で二人交わる。対面で座って致して大人二人分でも余裕のある広さだ。
圧迫感はあるが、先ほど入念にほぐしたおかげでピリついたような痛みはない。深く挿入され、アレックスの労られた陰毛がキアランのつるりとした腹筋にあたる。
先ほどはち切れんばかりに大きかったキアランのペニス。限界だったろうに今も動かないように我慢してくれている。それなら動き始めるのは自分からの方がいい。ちゃんと平気だと証明しないと。
「んっ、く……ふ、うっ……」
太ももの筋肉をかりて上下に腰を振る。ちゃぷちゃぷとお湯の音がなってバスタブがかすかに揺れる。アレックスはあえて感じるところを避けて動かしていた。前立腺にあたったらすぐに腰が崩れてしまうことは分かっていたからだ。そしてそれはすぐにキアランの知るところとなった。
「……アレックスさん、私も動かしていいですか?」
「ん?んん……ああ、いいぞっ!……あっ──」
ふとましい腰を掴まれ一気に奥まで突き立てられる。その際遠慮なく前立腺をカリで擦られたことでアレックスの口から空気が抜けたような声しか出なかった。
「あっあっあっああっ……なんっでっ……!」
「アレックスさんがもっと気持ちよくなるところがわからなかったのかなと思いまして」
「湯が入るっ……意地が悪いっ……なっ……」
「そうでしょうか?」
罵っても嬉しそうな顔でこちらを見るだけで入れたまま攻めは止めない。勢いはないにせよ、的確にアレックスの弱点を突かれてしまう。
くるみ大のしこりを突かれる度腰にビリビリとした快感が走る。お湯の中で重さを感じないのか早さは遠慮ない。その速さでキアランの腹筋にアレックスのペニスの裏筋も擦り付けられる。両方の刺激がたまらない。
「あ……キア……さ……あっあっ……」
「どうしました?」
「あっお腹、変だ……」
「それは大変。お腹が痛いとかですか?」
キアランはそう言うと動きを止め、探るような腰つきになった。ずるりと全部抜いたかと思うとゆっくりと挿入される。そのもどかしい刺激はまるで体内を診察しているかのようだった。
「おかしいのは、ここですか?……それともここ?」
硬い入り口を広げるように円を描くように動かされたり、肉壁を触診するようにトントンとゆっくりつついたり。とろとろに解かれた体内は気持ちよさを拾う。
「はぁうっ……うん……全部だ……ああ……」
「そうですか……それはですね」
「──ぁ…………」
ゆるゆるとした挿入が続くと思った瞬間、一気に奥に突き立てられる。声のない叫びが出て、アレックスはキアランに構わずしがみついた。
キアランがそれをわかっていたようにアレックスの背中に手を回し同じように強く抱きしめる。全体重を受け止めてくれた。
「貴方の体が雌になってきているからですよ……私だけの愛しい愛しい人……ふふ」
「あっ、あ……あーー……」
丸みを帯びた先端が最奥を突く。違和感を感じたのは最初だけで、もう粘ついた体内がキアランの剛直をすんなり受け入れる。
「ほらアレックスさんの中、ちゅっちゅって私に口付けしてくれています。本当に淫乱でっ……私も、大好きですよ」
「淫乱とか、いうなっ……」
相手が淫語を発していたのに気がつかないくらいアレックスは目の前の行為に夢中になる。筋肉で豊満な体は揺れ、キアランのなすがままだ。恋人の腰の動きと共に胸筋も揺れる。
「もっと……もっと……」
「ふふ……かわいい人」
唇を塞がれそこからも甘い心地よさを感じる。キアランに翻弄され、局部の快楽しか気にすることしかできない。
「あーー………」
アレックスが自覚なく達したら、追うようにキアランも達する。体内で生暖かい感触を味わいながら息を切らした。
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