81 / 84
魔導国家ヴェリス編
81話 己が罪
しおりを挟む
クリス達は自重することなく、アルヴィジョ王城跡地のダンジョンを突き進んでいた。
出てくる魔物も、高位アンデットがワラワラと湧いて来て、まさしく凄腕の冒険者でも進むのに苦労しそうな状況にも関わらず、クリスやアクセル、ラファエルの浄化魔法で全く気にすることなく先に進んでいる。
またこのダンジョンにも罠が大量に設置されているのだが、あらかじめポールが先陣を切って、罠の解除や回避に努めているため、一回も罠を発動させる事なく進めている。このダンジョンの罠は一度発動したら中々消えることがなく、下手をすれば閉じ込められる危険性もあったため、初心者ダンジョンの時のように力業で進めようとは流石にクリス親子も思わなかった。
ところどころで拾う事の出来る宝箱からは、魔力の込められた宝石や、高純度の魔石など、クリスにとって今後の研究に役に立ちそうなものが大量に出てきている。アンデットを倒したときに落とす魔石も、高ランクなだけあり、純度の高い魔石が多いのも僥倖であった。
こちらの世界のアイテムで、聖宝石に近い物を作成できればとも考えているのだが、スウェントル王国で一度、仕組みの開示や共同研究を断っているため、それをヴェリスに開示をするというのも道理に合わないとクリスは考えていた。
しかし、この世界で魔法の研究が進んでいるのは間違いなく魔道国家ヴェリスであり、自分たちの帰還についての研究をスウェントル王国に遠慮して遅れさせるのも勿体ない。さて、どうしたものかと少し頭を悩ませつつ、スウェントル王国には別途便宜を図る事も検討すべきかと思考していた。
ダンジョン探索に話を戻すが、通常の冒険者なら三日はかけて潜るダンジョンを、ほんの数時間でかなりの深層まで来てしまったクリス達。その後をただ着いてくるだけのジェンガ達のほうが、なぜか息切れを起こして極度の緊張状態に陥っている様子だ。
「ジェンガさん達、大丈夫ですか?あまり無理はなさらぬように…」
「いえ、大丈夫です。ここまで来たのですから…。」
「そうッスよ。クリスティーナ様達の後を着いて行っているだけッスけど、未踏破ダンジョンを見て回る。こんな機会、逃せませんて。」
ジェンガとスピナーは疲れた表情をしているが、目はキラキラと輝いていた。ウーノだけは無表情のままだが、内心興奮している様子なのが伝わってくる。
「そうですね。軽い気持ちで同行を提案してしまったので、迷惑になっていなければ宜しいのですが。」
「そんな滅相も無い!むしろ迷惑をかけているのは我々なのは自覚しております故に。」
そんな話をしながらも、一行はダンジョンを淡々と進む。道中、ジェンガがうっかり罠を発動し大量の酸が降ってきた所をクリスの結界で防いだり、ウーノがいつのまにか迷子になり半泣きになっていた所をポールが見つけ出し救出するなどのアクシデントはあったが、高難度未踏破ダンジョンの最下層とは思えない程のスムーズさでボス部屋と思われる大きな門の前へとたどり着いた。
「クリスティーナ殿…本当に迷惑をかけて申し訳ない…。」
ジェンガ達三人は、道中に自分たちが足手まといになっている事に申し訳なさで落ち込んでいた。
「いえいえ、同行提案をした者として、責任は私にございますので気になさらないでくださいな。ジェンガさん達が凄腕なのは理解しております故、このダンジョンでの失敗で自信を無くさないよう、お願いしますわね。」
クリスのその言葉は、自分達を気遣ってくれているのが理解出来るからこそ傷ついていた。ジェンガ達は自分達の不甲斐なさに腹を立て、今すぐにでは無理でも、必ずもう一度このダンジョンを自分たちの力で踏破する事を固く誓うのであった。
「さて、豪華で大きな門ですわね。もしかすると、最終ボスの可能性も考えられます。皆さま、準備はよろしいですか?」
「「「はい!」」」
クリス達が近づくと自動的に観音開きに扉が開いた。
中は大聖堂の様な装飾の壁面と柱、そして地下なのに不気味な光を放つステンドグラスが天井を彩り、荘厳な雰囲気かつ不気味な空気を漂わせていた。
そして中央に佇むのは二人の男女。美しい顔立ちをしており控えめながらも美しい装飾の入った服装は、元々高貴な身分の者達だと思わせる。
しかし、非常に青白い肌の色は生者のそれでは無く、またその瞳には虚無を感じさせ何も映してはいない。静かにお互いが寄り添って、ただただ佇んでいた。
「…亡霊ですか。話の出来るタイプだと厄介ですわね…。襲い掛かるしか能のない者であればよいのですが。」
クリスは美しい男女の亡霊を一瞥すると、ジェンガ達三人を結界で保護し、結界から外に出ないように注意をする。
そして、アクセルとラファエルに対象の亡霊を相手にするように指示をだした。
「良いですか?あれは、おそらくアルヴィジョダンジョン深部のボスです。それを、この国の第五王子であるラファエル様がメインとなって討伐した、という実績を作る事によって、ヴェリスの民に対する王家のアピールへとつながり、またそれだけの戦力が英雄と共にあるという我々の宣伝効果にもつながります。幸いにも、ジェンガさん達という目撃者もいますので、ダンジョン踏破の信ぴょう性も高まりましょう。」
「は、はい。でも、亡霊相手に、戦えるのでしょうか?」
「亡霊は基本的に聖属性と光属性魔法が弱点です。ラファエル様はまんべんなく属性魔法を使いこなせるようですが、特に聖属性魔法に秀でていると見受けられますので、問題はないでしょう。危険があれば、私がお手伝いいたしますわ。アクセルさん、ラファエル様のサポートをお願いしますわね。ここで私が手を出すと、ラファエル様の手柄にならないので、同年代の貴方が適任ですの。」
「はい!母上。任せてください。」
そうして、アクセルとラファエルは二人の美男美女の亡霊に一歩ずつ近づいていく。
その亡霊達は虚ろな瞳でアクセルとラファエルを見つめていた。
アクセルとラファエルは、警戒心をあらわに、一定の距離まで近づいてから攻撃姿勢へと移る。
アクセルは身体強化の術式を展開し、いつでも飛び出せるようにし、また薄くラファエルと自分に状態異常無効の結界を施していた。
亡霊系の魔物は混乱や毒などの状態異常をばらまくことが多い事を知識として知っている為の行動である。
アクセルの的確な行動を見ていたクリスは、(さすが私の息子だわ。)と満足気な顔をしてうなづいていた。
ラファエルは、杖の先に聖属性魔法を展開し、いつでも射出できるよう準備をしていた。
「ラファエル君、相手はどのような能力を持っているかわからない魔物だよ。様子見せず、先手を打とう。」
「わかった!聖なる花の刃!」
ラファエルの放った花の刃が、二人の亡霊に襲い掛かり、間違いなくダメージを与えている事を視認できた。
しかし、男女の亡霊は抵抗することなく、ただ悲し気な瞳でラファエルとアクセルを見つめていた。
『…』
「!?まって、ラファエル君、何か口を動かしている!」
アクセルが次の術式展開へと移行していたラファエルを止め、亡霊が何を話しようとしているか確認をする。
『…あぁ…やっと。解放…されるのか。』
『早く。私たちを浄化してくださいまし…。』
敵意なく、辛そうな声で自らの浄化を求める亡霊達を前に、アクセルとラファエルは意思のない亡霊だと思ったからこそ戸惑いなく攻撃できたが、しっかりと意思のある者と分かったとたんに攻撃に戸惑いを覚えてしまったのは致し方無い事だろう。
『…少年たちよ。早く、我々を解放してくれ。』
『永遠とも思える時間、私たちはこの部屋から出る事がかないませんでした。死してなお、この地に縫い付けられたるは己が罪。ようやく、この場へとたどり着ける者が現れたのです。我々に慈悲を…。』
--------------------
お久しぶりです。
約一か月振りの更新です。
これからも亀更新ですが、適度に更新していきますので、よろしくお願いします。
出てくる魔物も、高位アンデットがワラワラと湧いて来て、まさしく凄腕の冒険者でも進むのに苦労しそうな状況にも関わらず、クリスやアクセル、ラファエルの浄化魔法で全く気にすることなく先に進んでいる。
またこのダンジョンにも罠が大量に設置されているのだが、あらかじめポールが先陣を切って、罠の解除や回避に努めているため、一回も罠を発動させる事なく進めている。このダンジョンの罠は一度発動したら中々消えることがなく、下手をすれば閉じ込められる危険性もあったため、初心者ダンジョンの時のように力業で進めようとは流石にクリス親子も思わなかった。
ところどころで拾う事の出来る宝箱からは、魔力の込められた宝石や、高純度の魔石など、クリスにとって今後の研究に役に立ちそうなものが大量に出てきている。アンデットを倒したときに落とす魔石も、高ランクなだけあり、純度の高い魔石が多いのも僥倖であった。
こちらの世界のアイテムで、聖宝石に近い物を作成できればとも考えているのだが、スウェントル王国で一度、仕組みの開示や共同研究を断っているため、それをヴェリスに開示をするというのも道理に合わないとクリスは考えていた。
しかし、この世界で魔法の研究が進んでいるのは間違いなく魔道国家ヴェリスであり、自分たちの帰還についての研究をスウェントル王国に遠慮して遅れさせるのも勿体ない。さて、どうしたものかと少し頭を悩ませつつ、スウェントル王国には別途便宜を図る事も検討すべきかと思考していた。
ダンジョン探索に話を戻すが、通常の冒険者なら三日はかけて潜るダンジョンを、ほんの数時間でかなりの深層まで来てしまったクリス達。その後をただ着いてくるだけのジェンガ達のほうが、なぜか息切れを起こして極度の緊張状態に陥っている様子だ。
「ジェンガさん達、大丈夫ですか?あまり無理はなさらぬように…」
「いえ、大丈夫です。ここまで来たのですから…。」
「そうッスよ。クリスティーナ様達の後を着いて行っているだけッスけど、未踏破ダンジョンを見て回る。こんな機会、逃せませんて。」
ジェンガとスピナーは疲れた表情をしているが、目はキラキラと輝いていた。ウーノだけは無表情のままだが、内心興奮している様子なのが伝わってくる。
「そうですね。軽い気持ちで同行を提案してしまったので、迷惑になっていなければ宜しいのですが。」
「そんな滅相も無い!むしろ迷惑をかけているのは我々なのは自覚しております故に。」
そんな話をしながらも、一行はダンジョンを淡々と進む。道中、ジェンガがうっかり罠を発動し大量の酸が降ってきた所をクリスの結界で防いだり、ウーノがいつのまにか迷子になり半泣きになっていた所をポールが見つけ出し救出するなどのアクシデントはあったが、高難度未踏破ダンジョンの最下層とは思えない程のスムーズさでボス部屋と思われる大きな門の前へとたどり着いた。
「クリスティーナ殿…本当に迷惑をかけて申し訳ない…。」
ジェンガ達三人は、道中に自分たちが足手まといになっている事に申し訳なさで落ち込んでいた。
「いえいえ、同行提案をした者として、責任は私にございますので気になさらないでくださいな。ジェンガさん達が凄腕なのは理解しております故、このダンジョンでの失敗で自信を無くさないよう、お願いしますわね。」
クリスのその言葉は、自分達を気遣ってくれているのが理解出来るからこそ傷ついていた。ジェンガ達は自分達の不甲斐なさに腹を立て、今すぐにでは無理でも、必ずもう一度このダンジョンを自分たちの力で踏破する事を固く誓うのであった。
「さて、豪華で大きな門ですわね。もしかすると、最終ボスの可能性も考えられます。皆さま、準備はよろしいですか?」
「「「はい!」」」
クリス達が近づくと自動的に観音開きに扉が開いた。
中は大聖堂の様な装飾の壁面と柱、そして地下なのに不気味な光を放つステンドグラスが天井を彩り、荘厳な雰囲気かつ不気味な空気を漂わせていた。
そして中央に佇むのは二人の男女。美しい顔立ちをしており控えめながらも美しい装飾の入った服装は、元々高貴な身分の者達だと思わせる。
しかし、非常に青白い肌の色は生者のそれでは無く、またその瞳には虚無を感じさせ何も映してはいない。静かにお互いが寄り添って、ただただ佇んでいた。
「…亡霊ですか。話の出来るタイプだと厄介ですわね…。襲い掛かるしか能のない者であればよいのですが。」
クリスは美しい男女の亡霊を一瞥すると、ジェンガ達三人を結界で保護し、結界から外に出ないように注意をする。
そして、アクセルとラファエルに対象の亡霊を相手にするように指示をだした。
「良いですか?あれは、おそらくアルヴィジョダンジョン深部のボスです。それを、この国の第五王子であるラファエル様がメインとなって討伐した、という実績を作る事によって、ヴェリスの民に対する王家のアピールへとつながり、またそれだけの戦力が英雄と共にあるという我々の宣伝効果にもつながります。幸いにも、ジェンガさん達という目撃者もいますので、ダンジョン踏破の信ぴょう性も高まりましょう。」
「は、はい。でも、亡霊相手に、戦えるのでしょうか?」
「亡霊は基本的に聖属性と光属性魔法が弱点です。ラファエル様はまんべんなく属性魔法を使いこなせるようですが、特に聖属性魔法に秀でていると見受けられますので、問題はないでしょう。危険があれば、私がお手伝いいたしますわ。アクセルさん、ラファエル様のサポートをお願いしますわね。ここで私が手を出すと、ラファエル様の手柄にならないので、同年代の貴方が適任ですの。」
「はい!母上。任せてください。」
そうして、アクセルとラファエルは二人の美男美女の亡霊に一歩ずつ近づいていく。
その亡霊達は虚ろな瞳でアクセルとラファエルを見つめていた。
アクセルとラファエルは、警戒心をあらわに、一定の距離まで近づいてから攻撃姿勢へと移る。
アクセルは身体強化の術式を展開し、いつでも飛び出せるようにし、また薄くラファエルと自分に状態異常無効の結界を施していた。
亡霊系の魔物は混乱や毒などの状態異常をばらまくことが多い事を知識として知っている為の行動である。
アクセルの的確な行動を見ていたクリスは、(さすが私の息子だわ。)と満足気な顔をしてうなづいていた。
ラファエルは、杖の先に聖属性魔法を展開し、いつでも射出できるよう準備をしていた。
「ラファエル君、相手はどのような能力を持っているかわからない魔物だよ。様子見せず、先手を打とう。」
「わかった!聖なる花の刃!」
ラファエルの放った花の刃が、二人の亡霊に襲い掛かり、間違いなくダメージを与えている事を視認できた。
しかし、男女の亡霊は抵抗することなく、ただ悲し気な瞳でラファエルとアクセルを見つめていた。
『…』
「!?まって、ラファエル君、何か口を動かしている!」
アクセルが次の術式展開へと移行していたラファエルを止め、亡霊が何を話しようとしているか確認をする。
『…あぁ…やっと。解放…されるのか。』
『早く。私たちを浄化してくださいまし…。』
敵意なく、辛そうな声で自らの浄化を求める亡霊達を前に、アクセルとラファエルは意思のない亡霊だと思ったからこそ戸惑いなく攻撃できたが、しっかりと意思のある者と分かったとたんに攻撃に戸惑いを覚えてしまったのは致し方無い事だろう。
『…少年たちよ。早く、我々を解放してくれ。』
『永遠とも思える時間、私たちはこの部屋から出る事がかないませんでした。死してなお、この地に縫い付けられたるは己が罪。ようやく、この場へとたどり着ける者が現れたのです。我々に慈悲を…。』
--------------------
お久しぶりです。
約一か月振りの更新です。
これからも亀更新ですが、適度に更新していきますので、よろしくお願いします。
10
お気に入りに追加
2,034
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
隠された第四皇女
山田ランチ
ファンタジー
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる