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魔導国家ヴェリス編
66話 腹黒従者のモニカさんとポールさん
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ブラウンはアンバーとアザレアをそれぞれ自室に軟禁状態のまま、結局処分についてはラファエルの話も聞いてから具体的に決める事とした。
あくまでも『暗殺未遂』なのだ。国家に混乱を招く危険性はあったが、幸いにもまだ大ごとにはなっておらず、今回の件を知っているのも極一部のみのため、やろうと思えば揉み消す事も出来る。
しかし、それではラファエルの為にも、アンバーとアザレアの為にもならない。
他の王子・王女達には、まだ何も発表はしていないが元々聡いヴァイオレットやヘリオトなどは薄々感づいている様子だ。
アンバーとアザレアの取り調べが終わった後、ブラウンはヴァーミリオンと話をし、ブラウン自身も憤り情けない気持ちとなっていた。
自分は間違っていたのか、と今更ながら問いかけてくる父王に対し、継承権放棄を却下していた理由や当時側室をたしなめなかった父王の気持ちがさっぱり分からないと、面と向かって指摘をし、その事をしっかりと責任を持って説明をしなかった陛下にも罪はあると遠回しに解答した所、「そうか…」と一言呟いたきり、また感情の読めない表情で黙ってしまったのだ。
こればかりは、ブラウンも我が父ながら、国王としての責務を放棄していると感じてしまった。
この場にいると、自分も王に対し感情的に問い詰めてしまいそうだと感じ、また後日、話し合う事を約束し席を立ったのである。
「…まだボケるには早いぞ…?前からあんな抜けた男だったか?…上手いこと隠されてきただけで、抜けた男だったんだろうな。情けない…。政策の失敗や、此度の采配ミス、双子からの訴え含め、責任に潰されているのか…?」
ヴァーミリオンの余りにも頼りない態度に、ブラウンは自分が主導権を握らなければ今回の件は国家を揺るがす事になる、国王はその事を理解していないという結論に達していた。
「…まずは、お待たせしているクリスティーナ殿を王宮へ招待し、今後の事を話し合わなければならないな…。また、先に宿で密談をしてからでないと、いきなり父上に合わせたら、クリスティーナ殿は父上を再起不能にするまで問い詰めそうだからなぁ。はぁ…それでも…いいような気がするな。もう。」
肩を落とし、トボトボと歩いているブラウンの背中は哀愁を漂わせ、まだ23歳という若さなのに既に疲れ切った様相を漂わせていた。
****
モニカとポールは、ヴェリスの城下町にある冒険者ギルドへ下見に来ていた。
特に依頼を受ける訳では無いのだが、街の様子やスウェントル王国との依頼の違いなどを調査する目的がある。
「ブラウン殿下、明日には来そうな感じよね。タイミング的には。」
「だな。ブラウン様はしっかりしたお方だが、クリス様を見てきてしまったせいか、甘いところが見受けられたから、双子殿下の件も処分保留でラファエル様の意見も参考に…って状態でやってくるのが関の山だろ。」
「それが妥当よね。ま、クリス様が主導権を握ってさっさと上手いことまとめそうだけど。自分の国の事なんだから、自分達でやれば良いのにって思うわ。」
「まぁな。でも事態はややこしそうだし、クリス様も第三者だから言える意見もあるって言ってたからな。」
「ほんと、超人よね。クリス様って。」
「光栄じゃん。そんな方に選んでもらって、俺たち幸せだよ。」
ギルドの掲示板の前で立ち話をしながら、どの様な依頼があるかを斜め読みしていく2人は、綺麗な従者服と整った容貌、またヴェリスでは珍しい獣人という事も相まって、知らない内に目立っていた。
「スウェントル王国とはあまり、違いはないわね。護衛依頼、外れの村の魔物討伐など。基本は変わらないわ。ただ王宮の魔導研究機関ってところの実験協力が怪しすぎる…。ランク不問、報酬抜群、ただし自己責任って…。」
「怖すぎて誰も受けてないんだろ?」
2人は苦笑いをして掲示板を見つつ、周囲の様子を伺っていた。
クリスやアクセルがいないと、モニカとポールは行儀のいい、お使いに来た従者にしか見えない為、元々ギルドにいたガラの悪い冒険者にどうやら目をつけられた様だ。
ニヤニヤしながらモニカ達に近づいてくる大柄な男3人組に、既に2人は気づいていたが、小さくため息を吐いて無視を決め込んでいた。
「よう、そこの獣人のお2人さん。小綺麗な格好しちゃって、おままごとでもしに来たのですかぁ~?」
「げヒャヒャヒャ!オメェーおままごとってなんだよ!しかし、ヴェリスに獣人って珍しいな?南の方からやって来たんか?」
「兄ちゃんも姉ちゃんも綺麗な顏しとるの?俺たちと一緒に遊んでくれねぇか?なぁ?」
精一杯凄んで見せて来ている3人だが、モニカもポールも(どこにでも居るんだな、この手の輩…。)と呆れた表情で3人を見据える。
「ねぇ、貴方達、冒険者ランクはいくつなの?」
「ほほ~、それ聞いちゃう?俺たち、Cランクだぜ。痛い目にあいたくなけりゃ…」
男が喋っている途中で、モニカが目にも止まらない蹴りを男の顔面に寸止めで放つ。
「…キャンキャン喚いてんじゃないよ。三下が。頭吹っ飛ばされたくなかったら、目の前からさっさと失せて?」
「ひっ!」
「なんだテメェ!やんのかコラァ!」
モニカの蹴りを目で追う事も出来なかった男たちは、実力差を見せつけられたにもかかわらずモニカに対して刃物を抜いた。
「おっと…刃物を抜いたね?これ、正当防衛が成り立つかなぁ?」
刃物を抜いた男は、いつのまにか自分の背後に現れ首筋にナイフをあてがうポールのセリフに、身動きができなくなってしまった。
「え、な…何者だよ、おめえら!」
「全く…喧嘩売る相手はキチンと見なきゃ…。」
「まぁ、俺たち、クリス様に比べると地味だしな。あまり風貌は知れ渡って無いのかも。」
そこまで話した時、モニカ達の喧騒を聞きつけた妙齢の女性ギルド職員がやって来て大声でモニカとポールに向かって謝罪をした。
「【殺戮うさぎ】モニカ様と【影の白猫】ポール様!申し訳ございません!ヴェリスの冒険者がご迷惑をお掛けしました!貴方達!この方達はスウェントルの英雄【クリスティーナ様御一行】の一員ですよ!実力ではSランク相当以上の方々に、貴方達程度が敵うわけ無いでしょ!早く離れて土下座なさい!」
「ひっ、あの英雄達だと?この2人が…?」
「…も…申し訳…ありませんでした…。許してください…。」
大声で叫ばれ、今話題の英雄の一員であるとバレた2人は「あーやっちゃった。」と視線を合わせて気まづい表情を浮かべた。
「いや、土下座だなんて、そんな大げさにしなくても結構ですよ。さて、気まづい空気が流れちゃったので、また出直しますね~。」
「すみませーん!また来ますね~!」
そう言って、そそくさとギルドを後にするモニカとポール。
その間、ギルド職員と絡んで来た冒険者はずっと頭を下げっぱなしであったのは言うまでも無い。
「なぁなぁ…この事、一応クリス様に報告しようぜ。ラファエル様を助けた我々が、ヴェリスでならず者に喧嘩売られたって…。」
「あぁ~、どうって事無いけど、なにか有利に使えそうかも?」
宿の帰路に着いている最中、すっかりクリスの腹黒さに毒された少年少女は、見事にクリスの従者としての勤めを果たしているのであった。
ーーーーーーー
今日で連載開始二ヶ月目☆
これからもよろしくお願いします!
あくまでも『暗殺未遂』なのだ。国家に混乱を招く危険性はあったが、幸いにもまだ大ごとにはなっておらず、今回の件を知っているのも極一部のみのため、やろうと思えば揉み消す事も出来る。
しかし、それではラファエルの為にも、アンバーとアザレアの為にもならない。
他の王子・王女達には、まだ何も発表はしていないが元々聡いヴァイオレットやヘリオトなどは薄々感づいている様子だ。
アンバーとアザレアの取り調べが終わった後、ブラウンはヴァーミリオンと話をし、ブラウン自身も憤り情けない気持ちとなっていた。
自分は間違っていたのか、と今更ながら問いかけてくる父王に対し、継承権放棄を却下していた理由や当時側室をたしなめなかった父王の気持ちがさっぱり分からないと、面と向かって指摘をし、その事をしっかりと責任を持って説明をしなかった陛下にも罪はあると遠回しに解答した所、「そうか…」と一言呟いたきり、また感情の読めない表情で黙ってしまったのだ。
こればかりは、ブラウンも我が父ながら、国王としての責務を放棄していると感じてしまった。
この場にいると、自分も王に対し感情的に問い詰めてしまいそうだと感じ、また後日、話し合う事を約束し席を立ったのである。
「…まだボケるには早いぞ…?前からあんな抜けた男だったか?…上手いこと隠されてきただけで、抜けた男だったんだろうな。情けない…。政策の失敗や、此度の采配ミス、双子からの訴え含め、責任に潰されているのか…?」
ヴァーミリオンの余りにも頼りない態度に、ブラウンは自分が主導権を握らなければ今回の件は国家を揺るがす事になる、国王はその事を理解していないという結論に達していた。
「…まずは、お待たせしているクリスティーナ殿を王宮へ招待し、今後の事を話し合わなければならないな…。また、先に宿で密談をしてからでないと、いきなり父上に合わせたら、クリスティーナ殿は父上を再起不能にするまで問い詰めそうだからなぁ。はぁ…それでも…いいような気がするな。もう。」
肩を落とし、トボトボと歩いているブラウンの背中は哀愁を漂わせ、まだ23歳という若さなのに既に疲れ切った様相を漂わせていた。
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モニカとポールは、ヴェリスの城下町にある冒険者ギルドへ下見に来ていた。
特に依頼を受ける訳では無いのだが、街の様子やスウェントル王国との依頼の違いなどを調査する目的がある。
「ブラウン殿下、明日には来そうな感じよね。タイミング的には。」
「だな。ブラウン様はしっかりしたお方だが、クリス様を見てきてしまったせいか、甘いところが見受けられたから、双子殿下の件も処分保留でラファエル様の意見も参考に…って状態でやってくるのが関の山だろ。」
「それが妥当よね。ま、クリス様が主導権を握ってさっさと上手いことまとめそうだけど。自分の国の事なんだから、自分達でやれば良いのにって思うわ。」
「まぁな。でも事態はややこしそうだし、クリス様も第三者だから言える意見もあるって言ってたからな。」
「ほんと、超人よね。クリス様って。」
「光栄じゃん。そんな方に選んでもらって、俺たち幸せだよ。」
ギルドの掲示板の前で立ち話をしながら、どの様な依頼があるかを斜め読みしていく2人は、綺麗な従者服と整った容貌、またヴェリスでは珍しい獣人という事も相まって、知らない内に目立っていた。
「スウェントル王国とはあまり、違いはないわね。護衛依頼、外れの村の魔物討伐など。基本は変わらないわ。ただ王宮の魔導研究機関ってところの実験協力が怪しすぎる…。ランク不問、報酬抜群、ただし自己責任って…。」
「怖すぎて誰も受けてないんだろ?」
2人は苦笑いをして掲示板を見つつ、周囲の様子を伺っていた。
クリスやアクセルがいないと、モニカとポールは行儀のいい、お使いに来た従者にしか見えない為、元々ギルドにいたガラの悪い冒険者にどうやら目をつけられた様だ。
ニヤニヤしながらモニカ達に近づいてくる大柄な男3人組に、既に2人は気づいていたが、小さくため息を吐いて無視を決め込んでいた。
「よう、そこの獣人のお2人さん。小綺麗な格好しちゃって、おままごとでもしに来たのですかぁ~?」
「げヒャヒャヒャ!オメェーおままごとってなんだよ!しかし、ヴェリスに獣人って珍しいな?南の方からやって来たんか?」
「兄ちゃんも姉ちゃんも綺麗な顏しとるの?俺たちと一緒に遊んでくれねぇか?なぁ?」
精一杯凄んで見せて来ている3人だが、モニカもポールも(どこにでも居るんだな、この手の輩…。)と呆れた表情で3人を見据える。
「ねぇ、貴方達、冒険者ランクはいくつなの?」
「ほほ~、それ聞いちゃう?俺たち、Cランクだぜ。痛い目にあいたくなけりゃ…」
男が喋っている途中で、モニカが目にも止まらない蹴りを男の顔面に寸止めで放つ。
「…キャンキャン喚いてんじゃないよ。三下が。頭吹っ飛ばされたくなかったら、目の前からさっさと失せて?」
「ひっ!」
「なんだテメェ!やんのかコラァ!」
モニカの蹴りを目で追う事も出来なかった男たちは、実力差を見せつけられたにもかかわらずモニカに対して刃物を抜いた。
「おっと…刃物を抜いたね?これ、正当防衛が成り立つかなぁ?」
刃物を抜いた男は、いつのまにか自分の背後に現れ首筋にナイフをあてがうポールのセリフに、身動きができなくなってしまった。
「え、な…何者だよ、おめえら!」
「全く…喧嘩売る相手はキチンと見なきゃ…。」
「まぁ、俺たち、クリス様に比べると地味だしな。あまり風貌は知れ渡って無いのかも。」
そこまで話した時、モニカ達の喧騒を聞きつけた妙齢の女性ギルド職員がやって来て大声でモニカとポールに向かって謝罪をした。
「【殺戮うさぎ】モニカ様と【影の白猫】ポール様!申し訳ございません!ヴェリスの冒険者がご迷惑をお掛けしました!貴方達!この方達はスウェントルの英雄【クリスティーナ様御一行】の一員ですよ!実力ではSランク相当以上の方々に、貴方達程度が敵うわけ無いでしょ!早く離れて土下座なさい!」
「ひっ、あの英雄達だと?この2人が…?」
「…も…申し訳…ありませんでした…。許してください…。」
大声で叫ばれ、今話題の英雄の一員であるとバレた2人は「あーやっちゃった。」と視線を合わせて気まづい表情を浮かべた。
「いや、土下座だなんて、そんな大げさにしなくても結構ですよ。さて、気まづい空気が流れちゃったので、また出直しますね~。」
「すみませーん!また来ますね~!」
そう言って、そそくさとギルドを後にするモニカとポール。
その間、ギルド職員と絡んで来た冒険者はずっと頭を下げっぱなしであったのは言うまでも無い。
「なぁなぁ…この事、一応クリス様に報告しようぜ。ラファエル様を助けた我々が、ヴェリスでならず者に喧嘩売られたって…。」
「あぁ~、どうって事無いけど、なにか有利に使えそうかも?」
宿の帰路に着いている最中、すっかりクリスの腹黒さに毒された少年少女は、見事にクリスの従者としての勤めを果たしているのであった。
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これからもよろしくお願いします!
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