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スウェントル王国編
39話 白金騎士団の見習い騎士達
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王城 ~騎士団訓練場にて~
アクセルとポールは、騎士団長ブレイズに連れられ、騎士団訓練場に足を運んだ。ブレイズから色々と説明を受けながら、移動している最中だ。
「あちらの建物が、我々白金騎士団の訓練場となります。騎士団は3つの部隊に分かれておりまして、民草を守る【白金騎士団】、諜報や市井の情報を集める【黒狼騎士団】、女性で構成されている【赤薔薇騎士団】となっています。」
「へー、女性だけの騎士団なんてあるんだー。面白いね。」
ブレイズは、丁寧にアクセル達に説明を続けている。興味津々に周りを見渡すアクセルは、常に笑顔でブレイズの後をついて行っている。
「赤薔薇騎士団は、お茶会に侍女として潜入したり、女性貴族を守る役目を持った、どちらかと言うと戦える侍女養成所のようなものですね。一般的には白金騎士団が前面に立って、黒狼と赤薔薇は補佐の役割をしています。私が案内出来るのは、白金騎士団の訓練場のみですが、ご理解くださいね。」
「はい、ブレイズ騎士団長。」
まだ小柄な少年だが妙に様になっていいて、美しい敬礼をするアクセル。やはりクリスと親子だなと、ポールはしみじみ感じていた。
ブレイズは、アクセルから天真爛漫な瞳で敬礼され、気恥ずかしさに襲われていた。明らかな高貴な身分の子息にしか見えないアクセルにそのような視線を受けて悪い気はしないが、どうにも落ち着かない。
「…や、やめて下さい、アクセル様。 主君より、貴賓として扱うように言われております。どうぞ、呼び捨てでお願いします。」
「えー、僕が気を使うよそれ。じゃあブレイズさん、で良いかな?」
「はい、それでお願いします。ポール様も、そのようにお願いできますか?」
「かしこまりました。ブレイズさんも、俺の事は呼び捨てで構いませんよ。堅苦しい口調も無しでお願いします。」
「では、ポール君、で良いかな?」
「はい!」
ブレイズは、ポールに対しては妙な親近感を覚えていた。アクセルの従者たる姿勢を崩さず、主君を守るべく常に背後に控えて大人しくしているその様子は、ブレイズにとって非常に好感が持てる姿勢であった。
「えー!ポールだけずるい!僕もアクセル君って呼んで下さいよう。」
「いえ、アクセル様。それは恐れ多いので、出来ません。」
「もー!頑固者…。」
そう言って、頬を膨らませるアクセルは年相応で、この小さな体に先日のグレートオーガの討伐の際に見せた脅威の強さを秘めているとは今でもブレイズは信じられない気持ちだ。
3人で並んで騎士団の訓練場に到着し、アクセル達の目に飛び込んできたのは、沢山の騎士達が各々訓練に励んでいる、中々に壮観な光景だった。
「おぉー、すごい広い訓練場なのですね。何人が訓練に励んでいるんですか?」
「そうですね、白金騎士団員だけで500名いますが、今の時間にこの場で現在訓練をしているのは見習い騎士達で、約100名ほどですかね。ポール君と同年代の者も多くいますよ。この中で1番若いのは、アクセル様ですが、同年代なので、気軽に話しかけてあげてください。」
感嘆の声を上げたアクセルに、ブレイズは微笑ましさを感じていた。
ちょうど訓練場の利用時間が見習い騎士の時間で良かったとも思う。変にプライドの高い中級騎士達がアクセル様を見た場合、自分がいるため悪い事にはならないだろうが、王から直接褒賞をもらった少年達にやや複雑な感情を抱いている事も理解しているのだ。
その点、見習い騎士達はアクセルやポールの同年代のAランク冒険者に憧れの気持ちを抱いている事も理解しており、彼らのモチベーションに繋がればとも思ったのだ。
「アクセル様、ポール君、見習い騎士達と手合わせをして稽古をつけてくれませんか?」
「え?良いですけど、手加減して、どこが悪いかとか指摘した方がいいのですか?」
「お任せします。実力者からのアドバイスは、真摯に受け止めるよう教育しておりますし、圧倒的な力を見せつけ、自分に何が足りないのかを考えるのも、勉強です。」
そう言うと、アクセルは凄く良い笑顔になって頷いた。
ポールは、訓練大好きアクセル君が、ポールやモニカに術式指導を実施していた時も、天使な笑顔で鬼教官になっていたのを思い出し、これからアクセルの遠慮ない指導に合うであろう見習い騎士達に同情を覚えたのだった。
「おーい!皆、一旦稽古を中止してくれ!」
ブレイズが大声で稽古の中止を呼びかけると、まだ少年と言える見習い騎士達がワラワラとこちらに向かって集まってきた。
「すまんな、突然稽古を中断してしまって。今日は、皆にこちらの方々を紹介しようと思う。先日、Aランク冒険者になった、【黄金の精霊】アクセル様と、【影の白猫】ポール君だ!」
(やっぱり、黄金の精霊は恥ずかしいなぁ…)
(アクセル様はお似合いですよ。俺なんて、ただ、物陰に控えてる白猫なイメージなんですから…。地味すぎて泣けます。)
アクセルとポールはお互いの耳元で自分たちの二つ名について恥ずかしがっていた。
そして、ブレイズが2人を紹介した途端に、「「「うぉー!!」」」と突然歓声が上がった。
『すげー!本物だ!』
『俺、この前の教会で魔王役やったアクセル様見てさ、憧れてたんだー。』
『ポールさんもカッコいいなぁ…オッドアイって、すげー魅力的に感じる。』
ブレイズは見習い騎士達がはしゃぎ出したのを見て、アクセルとポールに詫びた。
「すみません、予想以上に人気者でしたね、お2人共。」
そう言われたアクセルとポールは、少年らしい照れ笑いを浮かべたが、その表情を見た見習い騎士の少年達から、妙な視線が増えた気がしたのは、気のせいだと感じたい次第だった。
「こんにちは!僕は、Aランク冒険者のアクセルです。今日は、リアム宰相とブレイズ騎士団長の勧めで騎士団の見学に来ています。よろしくね!」
「初めまして。アクセル様の従者、使用人をしています、ポールと申します。本日はよろしくお願いします。」
自己紹介をした2人に対して、拍手と歓声が起きる。なぜか教会で演じた舞台の時の雰囲気に似ていて、アクセルとポールは視線を合わせ少し苦笑いをした。
ーーーーーーーーーー
次回もアクセルとポールの話です。
男しか出てなくてごめんなさい。
は!アップしてから追記。今日で丁度、【宰相夫人の異世界転移】が連載開始1ヵ月です!
稚拙な文章ですが、これからもよろしくお願いします!
アクセルとポールは、騎士団長ブレイズに連れられ、騎士団訓練場に足を運んだ。ブレイズから色々と説明を受けながら、移動している最中だ。
「あちらの建物が、我々白金騎士団の訓練場となります。騎士団は3つの部隊に分かれておりまして、民草を守る【白金騎士団】、諜報や市井の情報を集める【黒狼騎士団】、女性で構成されている【赤薔薇騎士団】となっています。」
「へー、女性だけの騎士団なんてあるんだー。面白いね。」
ブレイズは、丁寧にアクセル達に説明を続けている。興味津々に周りを見渡すアクセルは、常に笑顔でブレイズの後をついて行っている。
「赤薔薇騎士団は、お茶会に侍女として潜入したり、女性貴族を守る役目を持った、どちらかと言うと戦える侍女養成所のようなものですね。一般的には白金騎士団が前面に立って、黒狼と赤薔薇は補佐の役割をしています。私が案内出来るのは、白金騎士団の訓練場のみですが、ご理解くださいね。」
「はい、ブレイズ騎士団長。」
まだ小柄な少年だが妙に様になっていいて、美しい敬礼をするアクセル。やはりクリスと親子だなと、ポールはしみじみ感じていた。
ブレイズは、アクセルから天真爛漫な瞳で敬礼され、気恥ずかしさに襲われていた。明らかな高貴な身分の子息にしか見えないアクセルにそのような視線を受けて悪い気はしないが、どうにも落ち着かない。
「…や、やめて下さい、アクセル様。 主君より、貴賓として扱うように言われております。どうぞ、呼び捨てでお願いします。」
「えー、僕が気を使うよそれ。じゃあブレイズさん、で良いかな?」
「はい、それでお願いします。ポール様も、そのようにお願いできますか?」
「かしこまりました。ブレイズさんも、俺の事は呼び捨てで構いませんよ。堅苦しい口調も無しでお願いします。」
「では、ポール君、で良いかな?」
「はい!」
ブレイズは、ポールに対しては妙な親近感を覚えていた。アクセルの従者たる姿勢を崩さず、主君を守るべく常に背後に控えて大人しくしているその様子は、ブレイズにとって非常に好感が持てる姿勢であった。
「えー!ポールだけずるい!僕もアクセル君って呼んで下さいよう。」
「いえ、アクセル様。それは恐れ多いので、出来ません。」
「もー!頑固者…。」
そう言って、頬を膨らませるアクセルは年相応で、この小さな体に先日のグレートオーガの討伐の際に見せた脅威の強さを秘めているとは今でもブレイズは信じられない気持ちだ。
3人で並んで騎士団の訓練場に到着し、アクセル達の目に飛び込んできたのは、沢山の騎士達が各々訓練に励んでいる、中々に壮観な光景だった。
「おぉー、すごい広い訓練場なのですね。何人が訓練に励んでいるんですか?」
「そうですね、白金騎士団員だけで500名いますが、今の時間にこの場で現在訓練をしているのは見習い騎士達で、約100名ほどですかね。ポール君と同年代の者も多くいますよ。この中で1番若いのは、アクセル様ですが、同年代なので、気軽に話しかけてあげてください。」
感嘆の声を上げたアクセルに、ブレイズは微笑ましさを感じていた。
ちょうど訓練場の利用時間が見習い騎士の時間で良かったとも思う。変にプライドの高い中級騎士達がアクセル様を見た場合、自分がいるため悪い事にはならないだろうが、王から直接褒賞をもらった少年達にやや複雑な感情を抱いている事も理解しているのだ。
その点、見習い騎士達はアクセルやポールの同年代のAランク冒険者に憧れの気持ちを抱いている事も理解しており、彼らのモチベーションに繋がればとも思ったのだ。
「アクセル様、ポール君、見習い騎士達と手合わせをして稽古をつけてくれませんか?」
「え?良いですけど、手加減して、どこが悪いかとか指摘した方がいいのですか?」
「お任せします。実力者からのアドバイスは、真摯に受け止めるよう教育しておりますし、圧倒的な力を見せつけ、自分に何が足りないのかを考えるのも、勉強です。」
そう言うと、アクセルは凄く良い笑顔になって頷いた。
ポールは、訓練大好きアクセル君が、ポールやモニカに術式指導を実施していた時も、天使な笑顔で鬼教官になっていたのを思い出し、これからアクセルの遠慮ない指導に合うであろう見習い騎士達に同情を覚えたのだった。
「おーい!皆、一旦稽古を中止してくれ!」
ブレイズが大声で稽古の中止を呼びかけると、まだ少年と言える見習い騎士達がワラワラとこちらに向かって集まってきた。
「すまんな、突然稽古を中断してしまって。今日は、皆にこちらの方々を紹介しようと思う。先日、Aランク冒険者になった、【黄金の精霊】アクセル様と、【影の白猫】ポール君だ!」
(やっぱり、黄金の精霊は恥ずかしいなぁ…)
(アクセル様はお似合いですよ。俺なんて、ただ、物陰に控えてる白猫なイメージなんですから…。地味すぎて泣けます。)
アクセルとポールはお互いの耳元で自分たちの二つ名について恥ずかしがっていた。
そして、ブレイズが2人を紹介した途端に、「「「うぉー!!」」」と突然歓声が上がった。
『すげー!本物だ!』
『俺、この前の教会で魔王役やったアクセル様見てさ、憧れてたんだー。』
『ポールさんもカッコいいなぁ…オッドアイって、すげー魅力的に感じる。』
ブレイズは見習い騎士達がはしゃぎ出したのを見て、アクセルとポールに詫びた。
「すみません、予想以上に人気者でしたね、お2人共。」
そう言われたアクセルとポールは、少年らしい照れ笑いを浮かべたが、その表情を見た見習い騎士の少年達から、妙な視線が増えた気がしたのは、気のせいだと感じたい次第だった。
「こんにちは!僕は、Aランク冒険者のアクセルです。今日は、リアム宰相とブレイズ騎士団長の勧めで騎士団の見学に来ています。よろしくね!」
「初めまして。アクセル様の従者、使用人をしています、ポールと申します。本日はよろしくお願いします。」
自己紹介をした2人に対して、拍手と歓声が起きる。なぜか教会で演じた舞台の時の雰囲気に似ていて、アクセルとポールは視線を合わせ少し苦笑いをした。
ーーーーーーーーーー
次回もアクセルとポールの話です。
男しか出てなくてごめんなさい。
は!アップしてから追記。今日で丁度、【宰相夫人の異世界転移】が連載開始1ヵ月です!
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