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スウェントル王国編
4話 息子が宿屋で受付をしますわ!
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クリスとアクセルは、貰った地図を片手に、宿屋を探すことにした。
街の住人複数に(意識はしていないが、笑顔の圧力をかけつつ)おススメの宿屋を聴き、冒険者ギルドにも商業ギルドにも交通の便が良い、ご飯が美味しいと評判の宿屋に突撃…もとい、宿屋に訪れた。
「!?い…いらっしゃい…マセ…」
赤毛で三つ編み、そばかすがチャーミングな15歳くらいの女の子が受付をしている。
元々女性が受付だったらアクセルが話をする様に言い含めていた為、アクセルが受付をしようと受付女子に近づいた。
人懐こい笑顔を貼り付けて、受付女子に会釈をする。
受付女子は顔を真っ赤にして両手を胸のあたりで祈る様なポーズをし、口をパクパクしながらアクセルを見つめていた。
アクセルは、(まるで餌を求める金魚みたいだなぁ…。)と、失礼な事を考えつつ、受付女子に話しかける。
「お姉さん、二人で一ヶ月程宿泊したいのですが、部屋は空いていますか?」
「こ、こんな宿屋に泊まって頂けるのですか?」
「街の人達から、ご飯が美味しい素敵な宿だと聞き及んでいます。」
アクセルがキラキラ王子様スマイルで首を傾げて、受付女子を見つめる。
「はうぅ!ま、眩しい!見たことないイケメンで目がぁぁぁ!」
アクセルから後光が射した様に錯覚した受付女子は、両手で顔を覆い、そのまま仰け反ってフリーズした。
「あらまぁ。この娘、ユニークなお嬢さんね…ぷっ」
クリスは受付女子を気に入った様子で、扇で顔を隠してはいるが、場の雰囲気がそうさせるのか、ポーカーフェイスは崩れ、笑いを堪えているのがわかる程度には肩が震えていた。
「あの?お姉さん?大丈夫ですか?」
「はい!大丈夫です!因みに、私はこの宿屋の娘でキャサリンと言います!恋人募集中、独身です!気軽にキャシーと呼んで下さい!」
「ぷふ!」
勢いしかない、下心満載の自己紹介を唐突にしだしたキャサリンに対して、はしたないと理解しつつもクリスは扇で顔を隠しながら吹き出してしまった。
アクセルは苦笑いしながらも、話を元に戻す。
「自己紹介ありがとうございます、キャシーさん「はうぅぅぅ、愛称で呼んでくれたぁぁ。ポッ。」…えっと、良いですか?」
「はい、どーぞ!喜んで!」
「くっ、ゴホン!二人で一ヶ月程宿泊希望、朝夕の食事有りでお願いしたいのですが。」
キャサリンのハイテンションは、貴族世界でお上品に生きてきたアクセルにとって異世界そのものであり、クリス同様笑いを堪えるのに必死になっている。
クリスに至っては、アクセルの後ろで、扇で完全に顔を隠し、プルプルと震えている次第だ。
「お二人一緒のお部屋に部屋になさいますか?別々のお部屋になさいますか?朝夕付きで二人一部屋で日額銀貨12枚。各々別室であれば、一部屋銀貨8枚となります。」
「では、別々のへ「二人一緒の部屋にしますわよ」…えっと、母上?」
「アクセルさん!?せっかくの初めての宿屋ですわよ。別々のお部屋なんてお母様は許しません。一緒のお部屋で親子水入らずで過ごします。お母様は決めました。今までだって、一緒のお部屋で寝たり過ごしたりしたこと、6歳を過ぎてからは殆どございませんでした。この機会に、お母様だってアクセルさんと一緒のお部屋で一緒に楽しく過ごしたいのです。縛りの無い親子二人旅、自由を求めても良いのですよ!?」
「は、はい!で、では…二人一部屋でお願いします!」
アクセルは、母がこんなにも感情露わに息子大好きと訴えてきたのに対して、今までだって愛情は感じていたが、ここまで子煩悩だったとは、驚きを感じていた。ただし、それでも嬉しいと思う程には隠れマザコンな13歳であった。
クリスは、公爵家宰相夫人として立派に勤め上げ、二人の息子にも愛情を与えつつもしっかりとした教育を施してきた。
貴族として恥ずかしく無い教育をする為に、本当はデロデロに甘やかして育てたかったが、家の為息子の為、一緒に寝るのは幼年期迄とし、時には厳しい躾も施してきたのだ。
だが、突然の異世界転移、自分達の事を知る人間は居ない。
『じゃあ、甘やかしたって良いじゃ無い、世界が違うし一緒にいる方が安全だもの』と、本音と建前を融合させ、自分達が大変な状況にも関わらず、前向きに自分と息子の為に素直に生きようと考える事が出来るのが、クリスティーナクオリティである。
そのまま30日分の金額を支払い、サインなどの手続きを終え、部屋の鍵を貰うも、未だハイテンションなキャサリンが話しかけてきて、クリスと盛り上がってしまう。
「お二人は親子だったんですね!?クリスティーナ様、すっごい若くて綺麗だからアクセル様のお姉さんかと思いました!」
「まぁ、素直な子ね。キャシーさん、気軽にクリスって呼んで下さいな。」
「はい!クリス様!アクセル様も宜しくお願いしますね!」
このキャサリンの何も考えておらず、底抜けに明るい性格で警戒する必要もない事に、クリスとアクセルは、市井の宿も悪くないなと評価を改めた。
本当は、キャサリンのメンタルが強すぎるだけなのだが、クリス達にとっては事実キャサリンの明るさに救われた所もあっただろう。
「ごゆっくりどうぞ~!朝食と夕食はカウンターで言って頂いたら、よっぽど早過ぎたり遅過ぎたりしない限り、作って部屋まで運びますので、宜しくお願いしますね!お昼も必要なら、別料金で作ります!」
「はい、ありがとうござます。」
アクセルが笑顔で会釈した瞬間、
「はぁぁ、やっぱりイケメンすぎて目が潰れそう…」
と呟きが聞こえたが、そのままスルーして二人はあてがわれた部屋へと入ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
宿屋の受付だけで1話潰れた…。
こんなつもり無かったのに(・ω・*)
街の住人複数に(意識はしていないが、笑顔の圧力をかけつつ)おススメの宿屋を聴き、冒険者ギルドにも商業ギルドにも交通の便が良い、ご飯が美味しいと評判の宿屋に突撃…もとい、宿屋に訪れた。
「!?い…いらっしゃい…マセ…」
赤毛で三つ編み、そばかすがチャーミングな15歳くらいの女の子が受付をしている。
元々女性が受付だったらアクセルが話をする様に言い含めていた為、アクセルが受付をしようと受付女子に近づいた。
人懐こい笑顔を貼り付けて、受付女子に会釈をする。
受付女子は顔を真っ赤にして両手を胸のあたりで祈る様なポーズをし、口をパクパクしながらアクセルを見つめていた。
アクセルは、(まるで餌を求める金魚みたいだなぁ…。)と、失礼な事を考えつつ、受付女子に話しかける。
「お姉さん、二人で一ヶ月程宿泊したいのですが、部屋は空いていますか?」
「こ、こんな宿屋に泊まって頂けるのですか?」
「街の人達から、ご飯が美味しい素敵な宿だと聞き及んでいます。」
アクセルがキラキラ王子様スマイルで首を傾げて、受付女子を見つめる。
「はうぅ!ま、眩しい!見たことないイケメンで目がぁぁぁ!」
アクセルから後光が射した様に錯覚した受付女子は、両手で顔を覆い、そのまま仰け反ってフリーズした。
「あらまぁ。この娘、ユニークなお嬢さんね…ぷっ」
クリスは受付女子を気に入った様子で、扇で顔を隠してはいるが、場の雰囲気がそうさせるのか、ポーカーフェイスは崩れ、笑いを堪えているのがわかる程度には肩が震えていた。
「あの?お姉さん?大丈夫ですか?」
「はい!大丈夫です!因みに、私はこの宿屋の娘でキャサリンと言います!恋人募集中、独身です!気軽にキャシーと呼んで下さい!」
「ぷふ!」
勢いしかない、下心満載の自己紹介を唐突にしだしたキャサリンに対して、はしたないと理解しつつもクリスは扇で顔を隠しながら吹き出してしまった。
アクセルは苦笑いしながらも、話を元に戻す。
「自己紹介ありがとうございます、キャシーさん「はうぅぅぅ、愛称で呼んでくれたぁぁ。ポッ。」…えっと、良いですか?」
「はい、どーぞ!喜んで!」
「くっ、ゴホン!二人で一ヶ月程宿泊希望、朝夕の食事有りでお願いしたいのですが。」
キャサリンのハイテンションは、貴族世界でお上品に生きてきたアクセルにとって異世界そのものであり、クリス同様笑いを堪えるのに必死になっている。
クリスに至っては、アクセルの後ろで、扇で完全に顔を隠し、プルプルと震えている次第だ。
「お二人一緒のお部屋に部屋になさいますか?別々のお部屋になさいますか?朝夕付きで二人一部屋で日額銀貨12枚。各々別室であれば、一部屋銀貨8枚となります。」
「では、別々のへ「二人一緒の部屋にしますわよ」…えっと、母上?」
「アクセルさん!?せっかくの初めての宿屋ですわよ。別々のお部屋なんてお母様は許しません。一緒のお部屋で親子水入らずで過ごします。お母様は決めました。今までだって、一緒のお部屋で寝たり過ごしたりしたこと、6歳を過ぎてからは殆どございませんでした。この機会に、お母様だってアクセルさんと一緒のお部屋で一緒に楽しく過ごしたいのです。縛りの無い親子二人旅、自由を求めても良いのですよ!?」
「は、はい!で、では…二人一部屋でお願いします!」
アクセルは、母がこんなにも感情露わに息子大好きと訴えてきたのに対して、今までだって愛情は感じていたが、ここまで子煩悩だったとは、驚きを感じていた。ただし、それでも嬉しいと思う程には隠れマザコンな13歳であった。
クリスは、公爵家宰相夫人として立派に勤め上げ、二人の息子にも愛情を与えつつもしっかりとした教育を施してきた。
貴族として恥ずかしく無い教育をする為に、本当はデロデロに甘やかして育てたかったが、家の為息子の為、一緒に寝るのは幼年期迄とし、時には厳しい躾も施してきたのだ。
だが、突然の異世界転移、自分達の事を知る人間は居ない。
『じゃあ、甘やかしたって良いじゃ無い、世界が違うし一緒にいる方が安全だもの』と、本音と建前を融合させ、自分達が大変な状況にも関わらず、前向きに自分と息子の為に素直に生きようと考える事が出来るのが、クリスティーナクオリティである。
そのまま30日分の金額を支払い、サインなどの手続きを終え、部屋の鍵を貰うも、未だハイテンションなキャサリンが話しかけてきて、クリスと盛り上がってしまう。
「お二人は親子だったんですね!?クリスティーナ様、すっごい若くて綺麗だからアクセル様のお姉さんかと思いました!」
「まぁ、素直な子ね。キャシーさん、気軽にクリスって呼んで下さいな。」
「はい!クリス様!アクセル様も宜しくお願いしますね!」
このキャサリンの何も考えておらず、底抜けに明るい性格で警戒する必要もない事に、クリスとアクセルは、市井の宿も悪くないなと評価を改めた。
本当は、キャサリンのメンタルが強すぎるだけなのだが、クリス達にとっては事実キャサリンの明るさに救われた所もあっただろう。
「ごゆっくりどうぞ~!朝食と夕食はカウンターで言って頂いたら、よっぽど早過ぎたり遅過ぎたりしない限り、作って部屋まで運びますので、宜しくお願いしますね!お昼も必要なら、別料金で作ります!」
「はい、ありがとうござます。」
アクセルが笑顔で会釈した瞬間、
「はぁぁ、やっぱりイケメンすぎて目が潰れそう…」
と呟きが聞こえたが、そのままスルーして二人はあてがわれた部屋へと入ったのだった。
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宿屋の受付だけで1話潰れた…。
こんなつもり無かったのに(・ω・*)
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