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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮
ガチンコ漁 二
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「よーし! どんだけ岩がいるか分からないから、二十個ほど集めてきたけど、これで十分だろ」
「いや、フウマ。アンタ岩を集めすぎでしょ……この川を塞き止める気?」
「なるほど! 若様は上流と下流を塞き止めて、手掴みされるつもりなのですな! 我も手伝うであります!」
「いや。お前ら、全然人の話聞いてないだろ。『ガチンコ漁』って言ってるだろ」
確かに張り切りすぎて、俺達の背後に城の生け垣のようなものが出来上がっているが、別に塞き止めるつもりなどない。
俺は昨日決めたのだ。
イヌガミのように、とりあえず突進してみると。
これまでガチンコ漁って面白い名前だよな。一度やってみたいな。
と、そんなふうにずっと思っていたのだ。子供の頃に聞いた時から。なのに、まあ、必要ないし、と思ってしていなかったのだ。
(つまり、この一石は、俺が今後少しずつ生まれ変わるための重要な一石なのだ!)
「ねぇ……フウマ、ヘンじゃない?」
「若様はもともとヘンな御方なのであります」
なにかこそこそ話が俺の背後からしている。
誰が「ヘン」だ、誰が!
というか、ヘンな忍犬とヘンなダークエルフに言われたくはない。
「どうするー? いっせーのでみんなで岩を放り込んでみる?」
俺がこそこそ話に割り込もうとすると、オゥバァはそれを察知したらしく話を振ってきた。
「いや。とりあえず俺だけでやりたい。――この一石は。子供っぽいけど、大事なことなんだ!」
ぐっと拳を作る俺を見て、オゥバァとイヌガミが生暖かい目つきになった。「リノちゃんを連れてきたら面白がったかも」とオゥバァがよくわからないことを言ったが、とりあえず放っておく。
俺は、セーレアとイヌガミの脇を抜け、岩を肩に担ぐ。
川を塞き止めるいけないので、米俵の五分の一くらいのサイズだ。
「フウマーがんばってー」
「若様ーフレーフレーでありますー」
気のない返事が聞こえてくる。
二人共このくらいの岩を担いで放り込むくらいはできるし、なんなら魚くらい別の方法で捕まえられる。なので、あまりガチンコ漁に興味がないらしい。
(いいさ。これは俺が俺自身のためにやることなのだから――とうっ!)
岩を川の真ん中に狙いをつけて放り込む。
寸分違わず、岩が川の真ん中に着水した。
それなりに盛大な水飛沫が上がり、俺の顔を少し濡らす。その水飛沫さえも清々しく感じられた。
袖口で顔をぬぐい、「さて、どうかな?」と期待を込めて川面を見つめた。
「いや、フウマ。アンタ岩を集めすぎでしょ……この川を塞き止める気?」
「なるほど! 若様は上流と下流を塞き止めて、手掴みされるつもりなのですな! 我も手伝うであります!」
「いや。お前ら、全然人の話聞いてないだろ。『ガチンコ漁』って言ってるだろ」
確かに張り切りすぎて、俺達の背後に城の生け垣のようなものが出来上がっているが、別に塞き止めるつもりなどない。
俺は昨日決めたのだ。
イヌガミのように、とりあえず突進してみると。
これまでガチンコ漁って面白い名前だよな。一度やってみたいな。
と、そんなふうにずっと思っていたのだ。子供の頃に聞いた時から。なのに、まあ、必要ないし、と思ってしていなかったのだ。
(つまり、この一石は、俺が今後少しずつ生まれ変わるための重要な一石なのだ!)
「ねぇ……フウマ、ヘンじゃない?」
「若様はもともとヘンな御方なのであります」
なにかこそこそ話が俺の背後からしている。
誰が「ヘン」だ、誰が!
というか、ヘンな忍犬とヘンなダークエルフに言われたくはない。
「どうするー? いっせーのでみんなで岩を放り込んでみる?」
俺がこそこそ話に割り込もうとすると、オゥバァはそれを察知したらしく話を振ってきた。
「いや。とりあえず俺だけでやりたい。――この一石は。子供っぽいけど、大事なことなんだ!」
ぐっと拳を作る俺を見て、オゥバァとイヌガミが生暖かい目つきになった。「リノちゃんを連れてきたら面白がったかも」とオゥバァがよくわからないことを言ったが、とりあえず放っておく。
俺は、セーレアとイヌガミの脇を抜け、岩を肩に担ぐ。
川を塞き止めるいけないので、米俵の五分の一くらいのサイズだ。
「フウマーがんばってー」
「若様ーフレーフレーでありますー」
気のない返事が聞こえてくる。
二人共このくらいの岩を担いで放り込むくらいはできるし、なんなら魚くらい別の方法で捕まえられる。なので、あまりガチンコ漁に興味がないらしい。
(いいさ。これは俺が俺自身のためにやることなのだから――とうっ!)
岩を川の真ん中に狙いをつけて放り込む。
寸分違わず、岩が川の真ん中に着水した。
それなりに盛大な水飛沫が上がり、俺の顔を少し濡らす。その水飛沫さえも清々しく感じられた。
袖口で顔をぬぐい、「さて、どうかな?」と期待を込めて川面を見つめた。
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