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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮
ただいま
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「今、リノちゃんが焚き木を拾いに行っているから手伝ってあげて。あと、この邪魔な犬もどうにかして!」
セーレアが足の甲でぐいぐいと押しのけようとしているが、イヌガミが「肉、肉、肉も!」と激しく主張している。
イヌガミの口からヨダレが垂れているのは、セーレアの足技が激しいからではなく、単純に「肉肉」と自分で繰り返している間に食欲が刺激されて、ヨダレが溜まったせいだろう。なんてやっかいな忍犬なのか。
「わかった、リノを手伝ってくるよ。……それと肉も入れてやってくれ」
「了解」
セーレアが仕方なさそうに頷いた。
それを見て、イヌガミも俺の方に戻ってきた。
「では、焚き木拾いに行くであります!」
家の裏手の森に入ると、セーレアの言う通りリノがいた。
「フウマ!」
リノが俺とイヌガミに気づくと、焚き木を放り出して俺のもとに走ってきた。
「大丈夫だった!? 怪我とかしてない!?」
そうそうこういう反応を待っていたのだ。
こんな感じの対応を期待して帰ってきたのに、オゥバァもセーレアもあまりにも当たり前に返してきたので、戸惑ってしまった。
「ああ。大丈夫だ。怪我もしてないし、それに交易の話も上手くいった」
「よかったー……!」
「そうだ。……みんなのところに戻る前に、一つ聞いておきたいことがある」
俺の声が真剣なものに変化したことに、リノは気づいたらしく、真面目な表情になった。
「なに?」
「リノは知ってたのか?」
「……うん」
俺の質問は、かなりぼかしたものだ。
「何を」という部分が抜けている。
それでも、魔族領から帰ってきた俺が真っ先にした質問の内容に、リノは気づいたらしかった。
「ハイエルフにも会えたんだよね?」
俺は「ああ」と頷いた後、苦笑した。シャフィールとの「あの話し合い」がなければ、きっとリノに問い詰めていただろう。
どうして事前に魔族領のことやハイエルフのことを教えてくれなかったのかと。
(これは「不完全な問い」だったんだな……)
シャフィールに言わせれば、質問や行動によって情報を収集し、話し合うことこそがもっとも大事、とか言いそうだ。
実際その通りだった。
「問い」の内容を埋めていき、少しでも完全に近い「問い」にすることこそが大事だったのだ。
リノが知りうるすべてを話してくれたとして……それでも、やはり魔族領に行き、魔族やリザードマン、ドワーフやハイエルフたちに会う必要性はあったのだ。
リノは、俺に早合点してほしくなくて、予備知識なしでこの目で実際に見て、判断してほしかったのだろう。
「リノ」
「?」
「ただいま」
「おかえりなさい!」
「ただいまであります!」
セーレアが足の甲でぐいぐいと押しのけようとしているが、イヌガミが「肉、肉、肉も!」と激しく主張している。
イヌガミの口からヨダレが垂れているのは、セーレアの足技が激しいからではなく、単純に「肉肉」と自分で繰り返している間に食欲が刺激されて、ヨダレが溜まったせいだろう。なんてやっかいな忍犬なのか。
「わかった、リノを手伝ってくるよ。……それと肉も入れてやってくれ」
「了解」
セーレアが仕方なさそうに頷いた。
それを見て、イヌガミも俺の方に戻ってきた。
「では、焚き木拾いに行くであります!」
家の裏手の森に入ると、セーレアの言う通りリノがいた。
「フウマ!」
リノが俺とイヌガミに気づくと、焚き木を放り出して俺のもとに走ってきた。
「大丈夫だった!? 怪我とかしてない!?」
そうそうこういう反応を待っていたのだ。
こんな感じの対応を期待して帰ってきたのに、オゥバァもセーレアもあまりにも当たり前に返してきたので、戸惑ってしまった。
「ああ。大丈夫だ。怪我もしてないし、それに交易の話も上手くいった」
「よかったー……!」
「そうだ。……みんなのところに戻る前に、一つ聞いておきたいことがある」
俺の声が真剣なものに変化したことに、リノは気づいたらしく、真面目な表情になった。
「なに?」
「リノは知ってたのか?」
「……うん」
俺の質問は、かなりぼかしたものだ。
「何を」という部分が抜けている。
それでも、魔族領から帰ってきた俺が真っ先にした質問の内容に、リノは気づいたらしかった。
「ハイエルフにも会えたんだよね?」
俺は「ああ」と頷いた後、苦笑した。シャフィールとの「あの話し合い」がなければ、きっとリノに問い詰めていただろう。
どうして事前に魔族領のことやハイエルフのことを教えてくれなかったのかと。
(これは「不完全な問い」だったんだな……)
シャフィールに言わせれば、質問や行動によって情報を収集し、話し合うことこそがもっとも大事、とか言いそうだ。
実際その通りだった。
「問い」の内容を埋めていき、少しでも完全に近い「問い」にすることこそが大事だったのだ。
リノが知りうるすべてを話してくれたとして……それでも、やはり魔族領に行き、魔族やリザードマン、ドワーフやハイエルフたちに会う必要性はあったのだ。
リノは、俺に早合点してほしくなくて、予備知識なしでこの目で実際に見て、判断してほしかったのだろう。
「リノ」
「?」
「ただいま」
「おかえりなさい!」
「ただいまであります!」
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