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登場人物等・書籍化関連

書籍版のウリ その1

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近況ボードの文字数の制限で、変なところで区切れて読みづらかったので、こちらにまとめました。内容はほぼ同じです。
(ちなみに調べてみたら、本文は一度に10万文字以内まで投稿できました。近況ボードの100倍の文字数までOKなんですね)




近況ボードの「書籍化のお知らせ」で、文字数が書籍にするのに全然足りていないと書いたのですが、具体的にはアルファポリス様で書籍化するには12万文字必要とのことでした。

それで、7万文字くらいしかなかったので、5万文字ほど加筆することになりました。

加筆というと、「序章と第Ⅰ章」の後に「第Ⅱ章」を加えただけ、などと思う人がいるかもしれませんが、世の中そんなに甘くありません。

個人的には、Web小説の書籍化というと、大部分をコピペしているイメージがあったのですが、良い意味でまったく違いました。

まずプロットの提出がありました。(実際はプロットを書く前に、かなり質問のやり取りがありました)

当時「元勇者パーティーの後日談」を書き上げたばかりだったので、そういう話のプロットを書くんだと思い込んでいた私を、編集様が正気に戻してくださらなければ、書籍版はきっと序盤からフウマ君にとって地獄の展開になっていたと思います。

実際は、序盤のイメージを、さらに肉付けして、さまざまな要素を足していった内容です。

さまざまってどんな? って思う人もいると思いますが、ホントにさまざまです。

いくつか例を挙げると、編集様のアイデアで、主人公の相棒としてもふもふキャラが登場します。忍犬です。
書くまでは猫派だったのに、書き終わった頃には犬派に変わるくらい個人的にはイチオシのキャラクターです。アホかわいいです。

また、編集様のアイデアで、忍者飯でみんなでわいわい食事するシーンが加わることになりました。
主な食材は、崇高な名を持つモンスターです。Web版を読んだ人はニヤリとすると思います。漫画「ダンジョン飯」のように調理します。

他にも、感想欄で不評だった、やたらと視点変更を使いまくる悪癖は……改善……はされなかったのですが、読みやすさは格段に上がったと思います。
文章に修正を加えた効果もありますが、編集様がフウマ視点とそれ以外視点でフォントを変えてくださったので、一目でわかります。物理的に。

なんか編集様に頼ってばっかじゃないか、と思われるといけないので、新緑なりに努力したことを書くと、作品の独特さを失わずに、読後感を良くすることに尽力しました。

ネタバレになるので詳しくは書けませんが、Web版は辛口カレー単品だったのに対し、書籍版は辛口カレーはそのままに、甘口のコールスローやちょっとしたデザート、爽やかなドリンクなどをつけてセットにしたような形です。

Web版で賛否両論あったシーンなどもすべて書籍版に収録されていますが、おそらく読んだ印象はだいぶ変わると思います。

書籍版は、プロローグ、第1章から第4章、エピローグという構成なのですが、第1章には回想として、フウマの旅立ちの日が収録されています。

(もし書籍版から入った読者が、アイリーンという可愛らしい少女に萌えていたら、そっとしておいてあげてください)

また、連載時に自分でも気になっていたオゥバァの掘り下げを行いました。特に倉庫での再登場シーンは謎めいているのを通り越して、意味不明だったため、編集様からかなり初期に修正するようにいわれたほどです。話が無茶苦茶になってて、すみません。

基本的に、主人公の活躍が増え、勇者パーティーの受難のエピソードが増え、新キャラが増え、〈天雷の塔〉まで大活躍し、本来は「元勇者パーティーの後日談」で登場するキャラが第1巻に登場していたりと、さまざまな具がマシマシになっています。

そんなの統一感がなくなるんじゃないか、と思った方…………正解です。

プロットを全面改稿し、ボツになり、全面改稿し、一部修正し、作品を書き上げた後にもエピソードごと丸々削って、別のエピソードを付け足し……という作業を気が遠くなるほどやっていました。
5回くらい過去類を見ないほどの壁にぶち当たりました。それなりにネガティブな感想でダメージを負う性格だったのですが、終わった頃には笑って流せるくらいに成長(?)しました。

同時期に連載されていた作者さんが次々に書籍化され、2巻目もすでに発売されている方もいるので、焦りというよりも、「本当に書籍化されるんだろうか……?」という不安もありました。

連載再開した時のあとがきに「無事」に書籍が刊行されそうと書いた時の思いは、結構重いです。

読みやすさだけでなく、わかりづらい説明や設定の矛盾まで細かくチェックして、編集様と相談して、修正しました。

特に終盤の展開は、相談して何度も書き直しました。

私はどうも辛口カレーのセットに、激辛キムチなどを用意する癖があるようで、編集様がいなかったら、大変なことになっていたと思います。



次回はイラストを担当してくださった方について紹介します。
もったい振らずにさっさと言え、といわれそうですが、まさしく書籍版のウリとしてはっきりと申し上げられるほど素晴らしい方です。

小説のイラストや漫画、画集などで有名な方というのもありますが、本作の独特の雰囲気やモンスターの格好良さなどを美麗なイラストで表現してくださいました。

モンスターの格好良いイラスト、と聞いてピンと来た人は、正解かもしれません。

長くなったので、イラストや装丁に関するウリは次回に回します。



追伸
忍犬の登場はネタバレになるかと思って削ろうとしたのですが、表紙イラストのど真ん中(裏表紙にも)に描かれていますので、そのままにしておきます。 
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