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第Ⅲ章 王国の争い
元勇者パーティーの後日談その4――調査結果
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一言で言えば、居たたまれないという感想しか浮かばない。
かつてのパーティーメンバー?
元勇者パーティー?
そんなすべての言葉が白々しく聞こえる。
フェルノがいれてくれた口に含んだ白湯――ただ温めただけの井戸水のように、なんの味もしない。
(……俺は、いったい、何を期待してんだ……?)
10分、20分、30分と過ぎるにつれ、この4人きりの密集した狭い空間の空気がどんどん重く感じてきた。
リノは隅で小さくなっている。盗賊スキルの〈潜伏〉でも使っているんじゃないかと思えるほど気配がない。
居づらさを否が応でも上げているのはフェルノの高笑いだ。
「キャハハ! それでフウマ君ってばシノビノサト村の村長になったの? すっごーい! ねぇねぇ、特産物とかあるの? いくらくらい儲かるの? フェルノみたいな……可愛くて、キュートな愛人いらない?」
頭の悪いフェルノのセリフに、僕はくらくらした。
以前からフェルノは場の空気が読めなかったり、躁鬱の気があると思っていたが、それ以上だった。
彼女をここまで追い詰めたのが、金がないゆえの貧困なのか、食べ物がないゆえの飢餓なのか、なんなのか知らない。知りたくもない。
元勇者アレクサンダーはむっつりと押し黙っている。
最初はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべてこちらを挑発する仕草を見せていたが、まったくフェルノがアレクサンダーのことが眼中にない様子で、俺に向かって媚態を見せているのを見て、不快な表情さえ見せなくなった。
狭い納屋の中央には、白湯の入った水瓶がある。一応、盃に入れやすいような形状をしている。そいつをフェルノは温めたのだ。焚き火によって。火魔法ではない。もうフェルノは――俺の知る最高峰の赤魔道士だった女は魔法1つ満足に使えなくなっていた。
その煮沸された水瓶を傾けて、アレクサンダーとリノがかなりのペースで水を飲んでいる。俺も相当なペースだ。もうすでに5、6杯は空けている。もしこれが強い酒なら酔い始めている頃だ。
「キャハハハハ!」
フェルノの声が反響するように狭い室内に響く。
「キャハハハハハハハハハハハハハハ!」
アレクサンダーが、おもむろに杯を床に叩きつけた。ボロ小屋に机だのテーブルだの存在しない。
水がこぼれたのを見て、フェルノが唇をとがらせる。
「アレクー! ちょっとやめてよねぇ。床が染みになったらどうすんのよっ!」
「はっ! こんな虫食いだらけの床と雨漏りばかりする天井で、どうして床に水がこぼれた程度で不機嫌になれんだよ……けっ!」
アクレサンダーは舌打ちを激しくした。
舌打ち。
以前に何度もされたことがあるから、わかる。
アレクサンダーの舌打ちは、もっと高度なものだった。
聞かせたい相手にのみ聞こえ、そして著しく相手を不快にさせるのだ。
ただ感情任せに舌打ちをしたアレクサンダーの様子は、もうかつてとは別ものだった。
「俺は、仕事に行って来る。でかいモンスターでも倒して、その素材を冒険者組合に売りつけてきてやるぜ」
「アハハ……ばっかじゃないのー、アレク? 今の糞みたいなアンタが、野犬1匹満足に狩れるわけないじゃん? 馬鹿なの? 死ぬの? 死ねば?」
俺は全身が総毛立つ感覚を覚えた。
以前のアレクサンダー相手にこんなことを言えば、確実に誰かが血を見ることになった。
だが、青い双眸でフェルノを睨んだアレクサンダーは視線をそらし、俺とリノをちらりと見るとすぐさま去っていった。
「……ふん」
フェルノは睨まれたことをすぐ忘れたかのように自分の空になった杯に白湯をつぐ――と、その手が止まった。
「あ、そうそう。へそくりがあるんだった。……これこれ」
フェルノが自慢げに取り出したのは、賤小銅貨数枚だった。
「この辺ってね、物価が安くてこれでお酒を2、3杯は買えるんだぁ!」
すごく嬉しそうな満面の笑みで、ぼさぼさした赤毛の女が微笑む。黄ばんだ歯、垢じみた肌、汚い服……。
「そ……そうなんだ」
「アレクもいないし、飲もうよ。おごるよ? おごるよ?」
「そ、そっか……でも、俺、酒……苦手で……」
そういうや否や、フェルノが俺の肩に腕を回し、顔をすり寄せてきた。
「だ、い、じょ、う、ぶ……。あたし、介抱してあげるからさ……」
何とも言えない、生ごみと海藻を混ぜ合わせたような吐息を俺の耳に吹きかけてきた。
「……うっぷ」
「ん?」
「ご――ごめん!」
俺は叫んで、納屋を飛び出す――フェルノとアレクサンダーの今の住まいを。
リノが後ろを駆けてくる音が聞こえるが、それどころじゃない。
「うっ。……おぼぇぇぇ……」
口から水が噴水のように出る。会話が続かず飲んでいた、半分腐った井戸水が逆流する。煮沸したとしても胃が受けつけなかったのだ。
(あ……あぁ……もう今のあいつらは違う……)
そう心から実感した。
美食をメイドに口移しで食べさせられていたアレクサンダーもいなければ、気に入らない苦手な野菜が欠片でもまじっていたからといって料理のたくさんのったテーブルをひっくり返すフェルノもいないのだ。
「はぁ……はぁ……ごめん、リノ」
背後から全速力で駆けてくるリノに謝る。振り向く余裕もなく、俺は貧民窟の薄汚い壁に片手をつき、肩で息をする。
「……ん」
リノがポケットからハンカチを取り出してくれる。
「あ、ありがと……」
俺の調査は終わった。
もう、フェルノも、元勇者アレクサンダーも、改心したエリーゼも、危険はない。
それが俺の判断だった。
――――だが、俺がどれだけお人好しで、人間の内面を見る眼力にかけているのか思い知るのに、たいして時間はかからなかった。
エリーゼ率いる魔族とエルフと獣人の元奴隷集団による、人間の女子供老人の大虐殺で思い知ることになるのだ。
かつてのパーティーメンバー?
元勇者パーティー?
そんなすべての言葉が白々しく聞こえる。
フェルノがいれてくれた口に含んだ白湯――ただ温めただけの井戸水のように、なんの味もしない。
(……俺は、いったい、何を期待してんだ……?)
10分、20分、30分と過ぎるにつれ、この4人きりの密集した狭い空間の空気がどんどん重く感じてきた。
リノは隅で小さくなっている。盗賊スキルの〈潜伏〉でも使っているんじゃないかと思えるほど気配がない。
居づらさを否が応でも上げているのはフェルノの高笑いだ。
「キャハハ! それでフウマ君ってばシノビノサト村の村長になったの? すっごーい! ねぇねぇ、特産物とかあるの? いくらくらい儲かるの? フェルノみたいな……可愛くて、キュートな愛人いらない?」
頭の悪いフェルノのセリフに、僕はくらくらした。
以前からフェルノは場の空気が読めなかったり、躁鬱の気があると思っていたが、それ以上だった。
彼女をここまで追い詰めたのが、金がないゆえの貧困なのか、食べ物がないゆえの飢餓なのか、なんなのか知らない。知りたくもない。
元勇者アレクサンダーはむっつりと押し黙っている。
最初はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべてこちらを挑発する仕草を見せていたが、まったくフェルノがアレクサンダーのことが眼中にない様子で、俺に向かって媚態を見せているのを見て、不快な表情さえ見せなくなった。
狭い納屋の中央には、白湯の入った水瓶がある。一応、盃に入れやすいような形状をしている。そいつをフェルノは温めたのだ。焚き火によって。火魔法ではない。もうフェルノは――俺の知る最高峰の赤魔道士だった女は魔法1つ満足に使えなくなっていた。
その煮沸された水瓶を傾けて、アレクサンダーとリノがかなりのペースで水を飲んでいる。俺も相当なペースだ。もうすでに5、6杯は空けている。もしこれが強い酒なら酔い始めている頃だ。
「キャハハハハ!」
フェルノの声が反響するように狭い室内に響く。
「キャハハハハハハハハハハハハハハ!」
アレクサンダーが、おもむろに杯を床に叩きつけた。ボロ小屋に机だのテーブルだの存在しない。
水がこぼれたのを見て、フェルノが唇をとがらせる。
「アレクー! ちょっとやめてよねぇ。床が染みになったらどうすんのよっ!」
「はっ! こんな虫食いだらけの床と雨漏りばかりする天井で、どうして床に水がこぼれた程度で不機嫌になれんだよ……けっ!」
アクレサンダーは舌打ちを激しくした。
舌打ち。
以前に何度もされたことがあるから、わかる。
アレクサンダーの舌打ちは、もっと高度なものだった。
聞かせたい相手にのみ聞こえ、そして著しく相手を不快にさせるのだ。
ただ感情任せに舌打ちをしたアレクサンダーの様子は、もうかつてとは別ものだった。
「俺は、仕事に行って来る。でかいモンスターでも倒して、その素材を冒険者組合に売りつけてきてやるぜ」
「アハハ……ばっかじゃないのー、アレク? 今の糞みたいなアンタが、野犬1匹満足に狩れるわけないじゃん? 馬鹿なの? 死ぬの? 死ねば?」
俺は全身が総毛立つ感覚を覚えた。
以前のアレクサンダー相手にこんなことを言えば、確実に誰かが血を見ることになった。
だが、青い双眸でフェルノを睨んだアレクサンダーは視線をそらし、俺とリノをちらりと見るとすぐさま去っていった。
「……ふん」
フェルノは睨まれたことをすぐ忘れたかのように自分の空になった杯に白湯をつぐ――と、その手が止まった。
「あ、そうそう。へそくりがあるんだった。……これこれ」
フェルノが自慢げに取り出したのは、賤小銅貨数枚だった。
「この辺ってね、物価が安くてこれでお酒を2、3杯は買えるんだぁ!」
すごく嬉しそうな満面の笑みで、ぼさぼさした赤毛の女が微笑む。黄ばんだ歯、垢じみた肌、汚い服……。
「そ……そうなんだ」
「アレクもいないし、飲もうよ。おごるよ? おごるよ?」
「そ、そっか……でも、俺、酒……苦手で……」
そういうや否や、フェルノが俺の肩に腕を回し、顔をすり寄せてきた。
「だ、い、じょ、う、ぶ……。あたし、介抱してあげるからさ……」
何とも言えない、生ごみと海藻を混ぜ合わせたような吐息を俺の耳に吹きかけてきた。
「……うっぷ」
「ん?」
「ご――ごめん!」
俺は叫んで、納屋を飛び出す――フェルノとアレクサンダーの今の住まいを。
リノが後ろを駆けてくる音が聞こえるが、それどころじゃない。
「うっ。……おぼぇぇぇ……」
口から水が噴水のように出る。会話が続かず飲んでいた、半分腐った井戸水が逆流する。煮沸したとしても胃が受けつけなかったのだ。
(あ……あぁ……もう今のあいつらは違う……)
そう心から実感した。
美食をメイドに口移しで食べさせられていたアレクサンダーもいなければ、気に入らない苦手な野菜が欠片でもまじっていたからといって料理のたくさんのったテーブルをひっくり返すフェルノもいないのだ。
「はぁ……はぁ……ごめん、リノ」
背後から全速力で駆けてくるリノに謝る。振り向く余裕もなく、俺は貧民窟の薄汚い壁に片手をつき、肩で息をする。
「……ん」
リノがポケットからハンカチを取り出してくれる。
「あ、ありがと……」
俺の調査は終わった。
もう、フェルノも、元勇者アレクサンダーも、改心したエリーゼも、危険はない。
それが俺の判断だった。
――――だが、俺がどれだけお人好しで、人間の内面を見る眼力にかけているのか思い知るのに、たいして時間はかからなかった。
エリーゼ率いる魔族とエルフと獣人の元奴隷集団による、人間の女子供老人の大虐殺で思い知ることになるのだ。
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