魔王転生に巻き込まれた!?ならば、私は騎士になる!

レラン

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本編

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「‥‥ハ!俺の饅頭!」

「おはようレクター‥‥どんな夢見てたんだ?」

 現在私達は、王都へ向かうための荷馬車に乗っている。
 あの後レクターは気絶してしまい、私が頑張って家へと連れ帰り、レクターのお母さんにレクターの身支度をしてもらい、また頑張って騎士団試験に合格した者達が集まる場所へと、荷物を持って合流した。
 私とレクターの身長は170センチ以上はあるので、そこそこ疲れるんだよな。

「‥‥どこここ」

「王都へ向かうための荷馬車の中だよ」

 寝ぼけ眼のレクターは目を擦りながら立ち上がり、荷馬車の外を覗いた。

「いつの間に‥‥」

「レクターが寝ている間にな」

 私はレクターを気絶させてしまった責任として、レクターが起きるまで看病することになっていたので、ずっとそばにいた。そのせいで、何故か他の合格者たちから『あいつは内気な子』というイメージをもたれてしまったらしい。いい迷惑だ。

「俺はちょっとサレス団長のとこに行ってくるけど‥‥1人で大丈夫か?」

「大丈夫だよ!俺はまだここでゆっくりておくから、行ってこい‥‥‥でも出来るだけ早く帰ってこいよ?」

「はいはい」

 私は少し涙目になっているレクターを置いて、先頭の方にいるサレスの元へと向かった。
 自分が乗っていた荷馬車をおりて、走ってヤレガの元へと向かった。
 サレスは先頭の荷馬車の中で、自身の剣を磨いていた。

「サレス団長今いいですか?」

「ん?ああ、大丈夫だ」

 愛剣を鞘にしまい、私が座る場所を作ってくれるサレスは、やはり貴族なのだなと私に思わせた。だってさ?こんなことするのって、紳士なやつか女ったらし。もしくは根っからのイケメンだけだろ。
 私はサレスにお礼を言って、遠慮なく座らせてもらった。

「で、なんだ?」

「今しがたレクターが目を覚ましました。その報告です」

「そうか。‥‥よかったな」

 ‥‥‥何故かサレスに暖かい目を向けられた。何故?もしかしてだけど、まだ誤解してるとかないよね?そんなのやだよ?
 確かに、レクターはイケメンだ。地球に戻って女性100人にレクターがイケメンか聞けば、100人全員がイケメンと答えるぐらいにはイケメンだと思う。私も正直言って顔タイプだ。でも、いかせん性格に難アリ!だね。私はあんな腑抜けはゴメンだ。もっと自分より強い人がいいもん。

「それでは俺は戻ります」

「ああ。早く戻ってやれ。目が覚めてすぐだから、レクターも心細いだろ」

「‥‥‥では失礼します‥‥あ、それとサレス団長。俺達2人は、あなたが想像しているような関係ではないと思いますよ?では」

「え」

 私は荷馬車から出る時に、サレスにそう言うと、サレスは驚いたような顔をしていたから、やはり俺とレクターとの関係を誤解していたのだろう。
 ‥‥はぁー。

「ただいま~」

「おかえり!遅かったな!」

 私がレクターがいる荷馬車に戻ると、レクターがとってもいい笑顔でそう言ってきた。
 誰のせいだと思ってんだこいつ。誰のせいだと。とりあえずデコピンかましとくか。

「ムカつく」

「ぃ!なんでだよ!」

 お?そこまでレクターが痛がってないのを見ると、今回は力加減をちゃんと出来たらしい。良かった。

「俺ちょっと眠いから後で起こしてくれないか?」

「ん?ああ~‥‥別にいいけど‥‥‥起こすときに怒ったりしない?」

「‥‥‥おやすみ~」

「え!ちょ!ちゃんと返事してくれよ~!!」

 たく失礼な奴。私はちゃんと寝起きはいい方だし。








 ‥‥‥‥多分。
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