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小等部

クラスは天国?それとも地獄?

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「‥‥弘輝こうき?お願いだから手を離してくれない?」
「‥‥‥‥」
「弘輝さーん」
 ただいま、5組の前で立ち往生中。
 なんでって?それはね?弘輝が私の手を離してくれないのだよ。
 普通は自分から離れようとする男子を、女子が袖を引っ張って「行かないで」って言う胸キュンシチュエーションだと思うけど‥‥
 今はその逆。私(女)の手を弘輝(男)が握って離さない。
 てかこいつはこんな性格してたか?こんなに弱っちい性格はしていなかったはずだ。
 私はどこで間違えた。こいつの教育をどこで間違えたというのだ!
「‥‥‥はぁー」
 私も最初はしょうがないと思いながらそのままにしていたが、そろそろ時間がない。
 入学早々に遅刻とか本当に勘弁してほしい。
 しょうがないので、私は使いたくなかった最終手段を使うことにした。
「‥‥弘輝。私は依存してくる男は大っ嫌い。もう私に近づかないで」
「っ!」
 私は菊弥きくやといた時に覚えた睨みを使って、弘輝を睨んだ。
 弘輝はまさか私がこんなことをするとは思わなかったらしく、驚き?のあまりに手を離した。
 私はそのタイミングを見計らって、自分のクラスの2組に急いだ。
 ごめんね弘輝。本当は依存してくる弟みたいな子は大好きだよ!でもね?親離れ‥‥いや、友離れしよう。

 私が2組の教室へ入ると、もうすでに何人か集まったグループが出来ていた。
 早いな~。こんなので私友達できるかな~?
 まだ担任が来ていないので、教室内は騒がしい。その中を私は自分の席めがけて進み、自分の席に何事もなく座れた。

「さぁー!新しき人生最初の1日!みんな元気かー!?」
 教室にいきなりthe体育会系の男性が入ってきた。
 クラスの人全員が静まり、席に着き始める。
 どうやら今入ってきた人が担任らしく、何やら教壇で自己紹介し始めた。
「俺は【森沢  武湾もりざわ  ぶあん】!生徒から言われるアダ名は『』だ!担当教科は体育だ!みんなよろしく!」
 なんか暑い先生だった。私はこういうのはあまり苦手とはしていない。逆に面白くて、好きな方だ。
 ‥‥‥でも‥‥‥『モブ先生』。
 いや、ゲーム内では出てこないからモブだな~とかは思ってたよ?
 だけど、本人が自分で『モブ』って断言してるの見るとさ?こっちが悲しくなるよ。

 その後、みんな自己紹介を始める。
 順番は、何故か後からで私は最後の方になった。
 前世でもこういうのは経験済みだから、話す内容は決めていた。だけど、ひとつ予想外のことがあった。
「ーーわたくし婚約者フィアンセは、××会社の御曹司ですの」
「ーー俺の婚約者は、***の令嬢だ。あいつには手を出すなよ?」
 こんなふうに、みんな自分の婚約者を紹介してるんだよ。男の子の中には、さっきみたいにかっこつけてる子もいる。
 てか、みんな婚約してるの?早くない?ここは中世貴族の世界ですか?ファンタジー世界?
 私は婚約者がいない。どうすればいいのかわからず、頑張って考える。

「ーー俺は婚約者はいない。その前に俺は結婚する気がない」
 私が考えていると、男子のひとりがそう言い放った。
 周りは言った男子の方を向いて、ザワついている。よく聞くと、女子から『嘘。狙ってたのに‥‥』とか、男子からは『あいつ人生損してる』とか聞こえてくる。
 私も一応顔確認のためにそちらを向いた。
 そこには美形さんがいらっしゃった。さっきの声に私は肯定した。

 私は婚約者しなくていい宣言した男子には、少し見覚えがあった。

水永  悠真みずなが  ゆうま】男
 双恋のゲーム内に出てきていた。でも攻略対象ではなくて、ひかりの方の蘭野  菊弥らんの  きくやのルートで菊弥のの親友として出てくる。
 将弥しょうやの方では、攻略対象のの婚約者として出てくる。
 ん?さっきからなんで『過去』を強調してるか?
 感がいい人なら気づいているかもしれないけど、悠真は攻略対象の心の傷としてのキャラだ。
 世にゆう『捨て駒』というやつではないかと、私は思う。
 スチルでちらっとしか見たことないが、結構イケメンで覚えていた。

 まさか、まさかだよ?死亡フラグがある奴と一緒のクラスになるなんて‥‥思わないよね?
「はぁー‥‥これから忙しくなりそう」
 私は静かに呟いた。

*****

 一方その頃の弘輝クラス。
「俺は山笠  弘輝やまかさ  こうき。5組の大友  蘭夜おおとも  らんやの幼馴染だ‥‥あいつに手を出すやつは、容赦しねぇ」
 弘輝は先程までの弱気とはうって変わって、堂々とした態度で自己紹介をしていた。
 『蘭夜に変な虫がつかないように』っという、弘輝の心遣いだった。
 が、クラスメイトは、美形の弘輝にそこまで言わせる『大友  蘭夜』のことについて、ざわつき始めた。
 弘輝はそれを人睨みして黙らせた。
「‥‥ふぅ~ん‥‥‥大友  蘭夜‥か(ボソッ)」
 弘輝は『これで蘭夜に変な虫はつかない!』と、安心していた。
 まさか自分のせいで、蘭夜が大変なことになるとは思いもせずに‥‥。
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