上 下
10 / 41
小等部

おマヌケ誘拐犯?

しおりを挟む
 いやーどうもどうも~!簡単に、自己紹介をうさぎさんとかわしました!
 そして、思い出しました。
 この子。ゲームの攻略対象じゃないか!と。しかも、2人いた。

「あなたは、どなた?私はグループの令嬢よ!」
小笠原  姫華おがさわら  ひめか】女
 金髪で、長髪!そして、青い瞳!そう!王道中の王道!『金髪碧眼』だよ!しかも、お肌はフランス人形バリの白さ!もうヤバいよ!陶器人形だよ!触ったら壊れるよ!
 ここにも!ここにも王道様がいたー!
 将弥の[お嬢様枠]の攻略対象で、輝のほうでは、[悪役令嬢枠]だ。
 私より1歳年上で、今5歳じゃないかな?たしか5歳で婚約したってキャラ設定似合ったから、もう攻略対象の【蘭野  菊弥らんの  きくや】と婚約しているだろう。

「あ、あの。君って大友グループの令嬢さん?」
小笠原  創おがさわら  そう】男
 銀髪で、短髪。そして、瞳は、暁です。肌は、白い。そう!陶器人形のように白い!
 いや、もうウサギでしょ?怖いのかプルプル震えてるしさ?これうさぎ以外に何がある?もうなでたい!
 歳は、私のに2個下だったと思う。だから、2歳?いやにハッキリ言葉が言えて羨ましい~。
 とりあえず、ジト目を流すと、怯えられたのでやめる。
 姫華とは、姉弟していの関係で、たしかに顔つきが、どことなく似てることもなくもなくもない。
 将弥とは、関係がなくて、関係があるのは、輝だけだ。光の方では、[かわいい系後輩枠]で、輝とくっつけてもいいと思っている。

「はい。存じております。小笠原  姫華様と小笠原  創様。お二人は姉弟の関係だったと、記憶しております(ニコッ)」
 外行用の、笑顔を顔に貼り付けて、令嬢用の言葉遣いをする。
 すると、私がいやに落ち着いているからか、2人ともキョトンっとした。
 何この可愛さ!創にかんしては、首ちょっと傾げてるし!かわいい~!!
「あなたは?」
「え?」
「あなたの名前を教えなさい!私たちが名前を言ったのに、あなたが言わないなんて、失礼ですわ!」
 あ、そっか。ゲームのことに気をとられて、つい忘れてた。
わたくしは、大友  蘭夜です。大友グループの令嬢です。こんな格好で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします」
 私が頭を下げると、向こうも慌てて顔を下げてきた。
 もうかわいい~!前世の年齢あわせて、45歳を超えてるからか、周りの子供が可愛く見えてしょうがない。
 てか、誘拐犯は、先程を恨むように私に促していた。王道では、そういうのって、明桜さんが誘拐犯に何かしたってことでしょ?なら、誘拐されるのって、私だけでよくない?なんでこの2人まで‥‥まさか。
「あの。姫華様?」
「‥‥姫華」
「え?」
「姫華で、いいわ!私も蘭夜って呼ぶから!敬語もいらないわ!」
 お耳を真っ赤にして、姫華が投げやりに言ってきた。
 え?ツンデレ?この子ツンデレだったの!?か、かわいい~!!
「うん!姫華!よろしく!っで、聞きたいことが一つあるんだげど‥‥いい?」
「っ!‥‥な、何‥よ。ら‥‥蘭夜」
 ああ~!!もう顔赤くして私の名前を言ってくる姫華!悶絶ものだよ!
 こんなとこじゃなかったら、悶絶してたよ!
「コホン。誘拐犯なんだけどね?姫華達を誘拐する時に、何か言ってなかった?覚えてる範囲でいいの。それと、誘拐された日にちとか」
「え?えっと~‥‥『こいつらじゃない!』とか『早く見つけてやっちまえ!』とか言ってたわよ?ね?創」
「う、うん!そうだよ!それと、今日誘拐されたんだ。えっと‥‥蘭夜‥‥お姉ちゃん?」
「はぅ!」
 ヤバい!うさぎさんに名前を呼ばれて、『お姉ちゃん』呼びされた!ヤバい!とにかくヤバい!

 ま、これで分かった。たぶん、これは輝と将弥の過去イベントだ。
 たしか、主人公は、昔誘拐されたことがあって、それがトラウマになって、主人公のトラウマ使っての好感度アップストーリーがあったはず。
 今思い出すと、なかなか酷いよね~。それをめっちゃ楽しそうに見てた私も酷いけど‥‥
 ま、それは置いといて、誘拐犯は、最初は輝と将弥を狙った。でも、手違いで、小笠原姉弟をさらってしまった。そして、急遽標的を変えることにして、次の標的にしたのが、私だった‥‥うん。
 これ完全におマヌケ誘拐犯のせいで、小笠原姉弟が巻き込まれちゃったんだね。
「なら、私が解決しなくちゃね」
「「え?」」
 私は、部屋の中を見渡した。すると、尖っているもの見つけたよー!月明かりに照らされて、光ってた!
 いや~。前世で脱出ゲームもプレーしてて、もの探しとか得意になってて助かったよ。
「ほ!あらよっと!‥‥よいしょ(ズリ)よいしょ(ズリ)‥‥や!えいや!おとと‥‥えっと、背を向けて、おいしょ!」
「え!?何してるの!?蘭夜お姉ちゃん!」
「うん?私がしたいこと?ここにある尖ったもので、縄を切るの!」
 私がとった行動は、『まず、反動つけてのうつ伏せ→アオムシみたいに移動頑張って立つ!→尖ったものに背を向けて縄を切ろうと試みる!』だ!
 別に変な行動はしていない。いや、令嬢らしからぬ動きは、したけどね?

「‥‥あ、切れた!やりー!!待ってね!今足の縄切ってからそっちも助けるよ!」
 しばらく縄を切るために、集中すると、縄が切れた。すぐに足の縄も切ってから、2人の方へ行く。
「あれ?なんで足縛られてないの?」
「あ、それは、私が足を縛られる時に暴れまわったからですわ!」
「姉さんが暴れたことで、僕も暴れると思われて、僕の方も手だけ、縛られたよ!」
 ドヤ顔で、言い放った、姉弟。
 いや、誘拐犯相手に暴れるって‥‥スゴイネ姫華チャン。
「うし!切れた!さ!脱出しよう!」
「うん!」「はい!」
 さて、脱出口は、最初に確認した、あそこしかないかな?

 私たちは、階段みたいに物を積み上げて、窓までの登路を作る。今、1番小さいうさぎ‥‥コホン。創に窓の外の様子を見てもらっている。
 もし、窓の外が3階の窓とかだったら、すぐにこの脱出方法は、やめるつもりだ。
「どう?行けそう?」
「うん。そのは、茂みになってて、草がクッションがわりになってくれそうだよ」
「よし!行こう!そして、人呼べたら呼んでね?」
「うん!」
 そう言って、創は、窓の外に行ってしまった。
 よし、次は姫華だ。
「姫華。次‥‥ん?どうしたの?」
 私の後ろにいた姫華が、震えている。もしかして、高所恐怖症で、上に上がれないとか?やば!それ考えてなかった!
「ひ、姫華?大丈夫?」
 とりあえず、姫華の顔色を伺うように、顔をのぞき込む。
「ら蘭夜~。どうしましょう。外に行く勇気がありません。登れますが、1人で外に行けません~」
 あ、そっちか。よかった。それなら脱出出来る。
「大丈夫だよ?私もすぐに脱出して、姫華のとこ行くから‥‥だから、行って?外で待ってて?」
「‥‥絶対ですわよ?早く来てくださいよ?」
 あああぁぁぁあああぁぁあああ!誰か!この子をどうにか私から離して!襲う!このままじゃ、撫で回しててしまう!
 私が1人で悶絶しているあいだに、姫華は1人で窓のところまで登っていた。
 こちらを見て、不安げな顔をするので、手を振って、笑って頷いて見せた。

「さて、行く(ドンドン!ドンドン!)っ!‥‥ヤバいな~」
 姫華がゆっくり外に行ったのを見届けて、私も外にいくために登り始めた時だった。扉を強く叩く音がしてしまったのだ。
 どうする。どうする。
 姫華は、無事にいるだろうか。創は、無事に人を呼びに行けただろうか。不安が一気に頭を駆け巡った。
「‥‥‥よし。反撃するしかない」
 近くにあった、木のバットを持つ。前世の剣道の容量でいけば、大丈夫だ。私の体はまだ小さくて、バットが重いが、持てないほどでは、ない。
「‥‥来い」
 バットを握りしめる。来るなら来い。相手してやる!
「(ガチャガチャ)‥‥」
 やばい。冷や汗が酷すぎる。やっぱり、命がかかってるから?どうなのかは、分からないが、とにかく汗がやばい!
 ‥‥‥来る!
「お嬢さ「やぁあああぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」っ!!(パシッ)」
 私は、入ってきた人物に、思いっきりバットを振り下ろした。
 だが、手で受け止められたらしく、軽い音がでただけだった。
 ダメだ。やっちゃった。
 絶望に覆われて、顔を上げる。すると、そこには、ありえない人物がいた。

「お嬢様‥‥助けに来ましたよ?」
「か‥わ‥‥かみ、さん。あ!手!手は大丈夫!?ごめんなさい!」

 バットを受け止めた人物は、川上さんだった。私は慌てて謝りながら、川上さんの手を見る。赤くなっている。
「うわ~!ごめんなさい!運転手なのに、手が赤くなっちゃった!骨とかにヒビ入ってないよね!?」
「お嬢様‥‥そこなのですか?」
 え?他に何かあった?だって、運転手は、手を使うんだよ?それなのに、手を怪我したらダメじゃん。
 あ、もしかして!
「あ、私の他に捕まってた子がい「蘭夜お姉ちゃん!姉さんを保護したよ!」‥‥無事だったのね」
 私が言い終わらないうちに、創が来て、姫華の保護を報告してくれた。
 よかった~!陶器人形みたいだったから、落ちた時に壊れちゃったんじゃないかと心配したんだよね。
「お嬢様‥‥違います。もっと他にあるでしょ!」
「うぇ!?えっと‥‥どうしてここに川上さんがいるのか?とか?」
「違います!‥‥はぁー」
 え!?ため息疲れたよ!?どうして!?思ったことちゃんと言ったのに!

「‥‥怖くありませんでしたか?よく、1人で頑張りましたね?」

 そう言って、川上さんは、私を抱きしめて、頭を撫でてくれた。
「え?何言ってるの?私は大丈夫だよ?怖くなんてな「蘭夜お姉ちゃん。涙」え?」
 創に指摘されて、自分の頬を触ってみたら、たしかに濡れていた。
 一旦自覚すると、顔の笑顔が崩れて、泣くしかできなくなった。
「う、うわぁぁぁぁあああん!頑張って‥ヒック‥‥怖く‥うわぁああああぁあぁ」
 私は、この世界に来て、初めて人前で思いっきり泣いた。私は甘えるように、川上さんに抱きついて、そのまま眠ってしまった。
 川上さんは、私が寝るまで、背中や頭を撫でてくれた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。 沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。 だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。 モブなのに魔法チート。 転生者なのにモブのド素人。 ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。 異世界転生書いてみたくて書いてみました。 投稿はゆっくりになると思います。 本当のタイトルは 乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜 文字数オーバーで少しだけ変えています。 なろう様、ツギクル様にも掲載しています。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています

平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。 自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です> 【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】 今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

処理中です...