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小等部

修学旅行の死亡フラグ〜4日目〜

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 ‥‥‥おはようございます。皆様方。
 死亡フラグを折るためとはいえ、誘拐されてしまった、大友おおともグループの令嬢。大友   蘭夜おおとも   らんやです。
 さて、私の近況報告を聞いていただければ、とても嬉しく思いますわ。おほほほほほほほほほほほほ。

 ‥‥‥はい!元に戻そうか。
 今の私は、大きなお部屋のふかふかベッドの上です。
 言っちゃうと、家のベッドよりもフカフカしていると言ってもいいと思う。
 部屋の中は暗い。
 部屋には立派なタンスもあるし、絵もあって、これまた立派なテーブルには、水差しとコップ、それにお菓子もある。近くにはそれまたフカフカそうなソファーがある。
 部屋の中が暗いのは、カーテンが閉められていて、電気がひとつもついていないからだと判明した。
 ‥‥あれ?私って誘拐されたんだよね?
 ここはどこなの?
 なんでこんないい部屋にいるの?
 私を誘拐した人は誰なの?
 私は誰なの‥‥とは、なりませんがね。
 とりま。まだ眠いので寝ます。
 皆、おやすみなさい。

「‥‥なんて神経が図太い女なんだ」
 どれくらい寝たのかは、分からない。
 とりあえず、低く心地よい声が聞こえて、目が覚めた。
 うん。なかなか令嬢に対して失礼な言葉じゃないかな?
 私小学生だよ?体大きいけど小学生だよ?(中身はもうおばさんだけど)幼いんだよ?
  私はムカッとしたので、無視して眠り続けることにした。
 そんなことをしていると、男が近寄ってきたみたいで、すぐ近くに気配がした。
「‥‥‥ここまで近づいても起きないか‥‥本当に神経が図太い女‥‥‥いや、男か?てか、悠真ゆうまを体張って守るぐらいだから、ゴリラでいいんじゃね?」
「おいコラ。大人しく聞いてりゃ随分な言いようじゃないか?この子供ガキが」
 はい。起きました。
 てか、『ゴリラ』とか言われたら、起きて文句言うしかないだろ。
 私の女としてのプライドがズタボロになるだろうが。
 私のハートは、ガラスのハートなんだよ。
 私が起きていたなんて予想外だったのか(てか、起きてないと思っていた)、男は急に起きた私にビックリして、目を見開いたまま固まっていた。
 てか、起きて早々暴言吐いたから、固まったんだと思うけどね。
「‥‥‥起きて‥‥いた、のか」
 男は20代前半の感じがするが、服装が高校生なので、たぶん17かそこらだと思う。
「ええ。『なんて神経が図太い女なんだ』のところぐらいから」
「最初っからじゃないか!」
 WOW!鋭いツッコミ入りました!
 男はため息をついて、私が寝ているベッドから離れた場所にあるソファーにどかりと座った。
「で、ですけど。あなたはどなたですか?」
 私は起き上がって、ソファーに座る男を睨んだ。
「‥‥相手に名前を聞く時は、まずは自分からだと教えられなかったのか?大友   蘭夜くん」
 そう私の質問に返してきた男。
 なんだ。私の名前今言ったじゃないか。
「あら、失礼いたしましたわ。今私の名前をおっしゃったので、私が名のる必要は無いのでは、ないのですか?」
 わざと口に手を当てて、驚いたように振る舞い、男に返答する。
「‥‥‥水永  優雅みずなが   ゆうがだ」
 そっぽを向いてそう答えた男‥‥改め優雅。
 ん?
「‥‥とおっしゃいましたか?」
 私の聞き間違いでなければ、水永は、悠真と同じ苗字だ。
 まさかと思い、私は優雅に聞き直す。
「‥‥‥そうだ。俺の名前は水永   優雅。お前の知り合いの水永   悠真の不本意ながら、血の繋がった兄だ」
 優雅は本当に嫌そうに、顔をしかめながらそう言った。
 兄弟だと確認することもなく、優雅が悠真の兄だと判明した。
「‥そうですか。で、私は返していただけるのかしら?」
 私的にはこれが確認できたら、もうどうでもいい。
 早く帰って、皆を安心させてから、修学旅行を満喫したい。
 私の前世からの楽しみ。『修学旅行~in北海道~』を楽しみたいのだ。
 一刻も早く帰りたい。
 でも、そんな願いは優雅の言葉で砕け散った。
「‥‥‥返すことなんてできない。お前は、餌だからな。大友   蘭夜。しかもの餌だ」
 ‥‥あらやだ。私今なんて言われた?
「最高級だなんて、お世辞がうまいですわね♪」
「‥‥頭ん中全部お花畑なのか?この女は」
 ム。失礼な。
 ただたんに、『最高級』の単語に反応しただけなのに。
「‥‥冗談です。で、なんの餌なんですか?」
 私は、話を切って何に対しての餌なのか、優雅に質問した。
 あ、ちなみに名前の「優雅」であって、「優雅にお茶を飲む」とかの優雅じゃないかね?
「‥‥悠真に対しての、餌だよ。君は随分悠真に気に入られているね?いや、なつかれていると言った方がいいかな?」
 え、嘘だ。
 私は悠真に懐かれてないと思うよ?
「悠真は、君を探しにここに来る」
 いや、来ないと思うよ?
 てか、来なくていいと思っている自分がいるよ。
 てか、来たらきたで面倒いことになりそうなんだよね。
「‥‥‥そう思っていたんだがね」
 ‥‥‥‥ん?
「誘拐してから3日たってもここに来ない。君は餌としての魅力がたらなかったようだ」
 ‥‥‥‥‥。
 来なくていいとは言った。
 面倒いとも言った。
 でもさ?
 本当にこないなんて酷いよ悠真!
 てか、今重要な事言ってなかった!?
「‥‥今、なんと?」
 私の様子を見て、優雅がビクつくのが見えた。
「え、だから。餌としての魅力がたりーー」
「違う!もう少し前!!」
 私が大声を出したので、優雅が少し引いている。
 でもそんなの知るかって話だ。
「だから‥‥3日たってもここに来ないって‥‥‥ヒ!」
 ‥‥たぶん私の顔は酷い有様だと思う。
 これは、優雅の最後の声からもわかる。
 私は私が攫われたのは。残りの修学旅行は、
 ‥‥‥どう計算しても、修学旅行が終わっている。
「‥‥もう‥‥‥なんで誘拐なんてしたんだこのクソガキがぁぁあぁぁぁあ~!!!!」
「ぎゃぁぁああぁああ!!」
 ここで今、血の戦いが始まりそうでした。
 なんてね。
「3日!?私が攫われてから3日だったの!?修学旅行終わってるじゃないか!ふざけんな!前から楽しみにしてたのに、こんなくだらない兄弟誘拐事件に巻き込まれて、台無しだと!?ふざけんなゴラァァアァアアア!!」
 は!てか、それじゃあ、この話の題名タイトル変えなきゃじゃないか!
 うわ!めんどくせえ!
 何!?『修学旅行終わってた!?~終わってから1日後~』とかになるわけ!?
 ざけんな!!
 マジ卍だゴラァァァァアアア!!
 卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍!!!!
 卍攻撃するぞ!

  ~かれこれ数分後♥~

「はぁ、はぁ」
 私は暴れに暴れて、スッキリして、ソファーに座った。
「‥‥‥気が済んだのか?」
 私が暴れているあいだ、部屋の隅っこで縮こまっていた優雅。
 お前男だろ。女がヒステリーになってたら、人呼んで助けろよ!
 ‥‥‥いや、やっぱり人呼ばなくていいわ。
「ええ。気すみました」
 私の言葉に、ホッとした様子の優雅。
 てか、私が暴れた原因は、優雅。お前にあるんだぞ?
 私が優雅を睨んでいると、それに気がついだ優雅が、怯えたような様子を見せた。
 ‥‥‥でっかいハムスターが怯えてる。
 ま、許してやるか。
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