東京26時

柩 メト

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No.7

準備と職業

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時計を見ると10時45分
ソファーから立ち上がりカーテンを思い切り開けた

あいにくの曇り空。
天気予報を見ると土砂降りの警報が出ていた。
いつ降ってもおかしくない天気にまたため息。
梅雨の時期が近付いている。
雨は嫌いじゃないが梅雨は大嫌いだ。
ジメジメするし、洗濯物が乾かない。
おまけに蒸し暑くて耐えられない。
おまけにくせっ毛だから湿気は天敵。


テレビを消して浴室に向かう。
体の節々が痛くて頭が痛い。
全裸になった自分の体が姿見に映る。

(俺。。細いなぁ。。。)

食べても全く太らない体質もあるが、基本的に炭水化物が嫌いなのと酒があれば良いから太れない。
身長175センチで体重は57キロしか無い。
生まれ付き目の下も目立つ方だったから、あだ名は骸骨か死神だった。

そんな骸骨のような体には、友人とふざけ半分で彫った下手くそな汚い墨が数ヵ所・麻雀で負けて付けられた根性焼き。
若かりし頃の過ちというやつだ。


数々の素行の悪さや前科があったから、まともな職には就けなかった。
そんな就活中の俺に大阪に住んでいる友人から1本の電話。
就職で悩む俺に友人が勧めてきた仕事。

それが今の職である

【何でも屋】だった。

メールや電話・直接会って依頼を受ける。
金額はその相手と相談して決めるが、安い仕事はあまり入ってこない。
なぜならば、犯罪一歩手前の依頼が多いからだ。
自分の手を汚さずに金で解決しようとする人間からなんて、姑息で悪質で人の生活を狂わす依頼しか来ない。

先月は大手企業の社長からの依頼だった。

ライバル企業の個人情報を全て盗んで売り飛ばして欲しいと言う内容。
企業にとって個人情報がどれだけ大切であり、客の信用を失う事がどれだけ恐ろしい事かを理解している人間からの依頼。

ハッカーをしている友人にパソコンの知識を学び、技術を身に付けた。

その結果
1週間ほどで全ての個人情報を裏サイトに売り飛ばした。
罪悪感は全く無かったし、もはや作業。
社長の報酬と裏サイトからの金額を合わせると、2000万は稼いだ。

何でも屋を始めてから3年が経つが、いくら稼いだか自分で分かっていない。
大して欲しい物も無いし、キャバクラや風俗にも興味が無いから銀行に貯金してある。
5社くらいで通帳を作っているからいくら入ってるか分からない。
別に興味も無いし気にならない。

この時点で、俺がどれだけだらしない人間か分かると思う。


浴室内にある時計を見ると11時30分の表示。
ゆっくりし過ぎたと思い、風呂から上がって乱暴にタオルで頭を拭く。
お洒落に気を使わなくなったからか、髪の毛は首の下辺りまで伸びていた。
最近は忙しすぎて、髭もうっすら生えている。
タンスから服を引っ張り出して身支度を済ませる。


パソコンにメールが来ていないか確認。
3通のメールが来ていた。
やはり大手企業・ホステス・ホストなでの金持ちからの依頼だった。
一通り読み終えて、バイクのヘルメットを片手に外に出る。
さっきより外が暗くなっている。
渋滞していないことを祈り、バイクを走らせた。
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