81 / 89
6章~正義の制裁者~
磔台
しおりを挟む
ミシュリと共闘したのちハルトは、チカの元を訪ねた。
「ちょっとつきあって」
ハルトは何か日記のようなものを書いているチカの後ろから声をかけた。
「………」
チカの手はハルトの声で止まったがチカは何も答えなかった。
「忙しいのか、じゃあまた今度でいいよ」
ハルトが去ろうとした時にようやくチカは反応した。
「あーあーあー!待って!待って!行く!行きたい!てか行かせてください!」
ハルトはチカの突然のテンションの変わり様にビックリした。
「ごめん、嫌だったから、何も言わなかった訳じゃなくて。というかむしろ嬉しすぎて何も答えられなかったというか。ようやく弟になってくれたんだなって…」
「ちょっと待て!弟にはなってない断じてなってないからな。」
ハルトはチカを連れて人通りの少ない町の中を歩き回った。
「お姉ちゃんに話してみなさい」
チカはハルトが何かの相談に来ていることを見抜きハルトから聞き出そうとした。
「よく見てるな。」
「えっへん!これでも可愛い年下の男の子のことは見逃せないお姉さんですから。」
ハルトは、いろいろな事を話した。自分が今対峙すべき敵のどれだけをしっているのか。あまり知らないのに勝手に敵と決めつけてよいのか。
「それはいいんじゃないかな。全てを知ってる人間なんていないよ。仮にそれを知っていたとして、目の前で起きてることがハルトにとって許されないことならその相手が誰だろうが止めればいい。その行動が、世間から見たら悪でもハルトにとっての正義なら貫くべきだと思う。」
ハルトは、チカの言葉を聞いて少し悩みが晴れた気がした。
「ありがとう。あともうひとつだけお願いしてもいいかな。」
「チカは、ハルトのたのみなら断れないよ。」
ハルトは道場へと向かった。
「チカ、稽古をつけて。」
チカは、理由は分からなかったがハルトの覚悟のある真剣な目に押されて稽古をつけることにした。
「んーやっぱり何か違うな。」
「もっと具体的に教えて欲しい。」
「前も言ったけど、すごい違和感がある。むしろハルト自身はそれが気にならないのかなってくらいに。何か人の体を使って動いているみたい。普通は筋肉とかって人それぞれ違って得意不得意があるんだ。柔らかかったりとか、パワーがすごかったりとか。で、戦いってそれを理解してるやつが一番強い。ねぇ、一回本気で私を倒しに来て。もし私を殺してしまいそうなら寸止めでもいい。」
ハルトは、一度寸止めで組手を行った。すると驚くことに三回も転んでしまったのだ。
「分かった。ハルトは理想が高いんだよ。多分やろうとしてることと筋肉の相性はそんなに悪くないと思う。けど、その体だと負荷がかかりすぎて怪我をしてしまう。それで結果無意識に怪我をしないようにこけているんだと思う。」
ハルトは、チカにトレーニングメニューを書いたメモを貰い宿に戻った。
次の日、ハルト達は気持ちの良い朝を迎えたとは言えなかった。何故なら近くの広場で騒ぎがあったからだ。早朝だというのに数多くの人がその場に集まっていた。ハルト達も何があるのか確認しようと足を運んだ。
「なんだこれは。」
「磔台だよな。今から誰か殺されるのか?」
「いや、もう既に殺されたあとじゃないかな。木に血が染み込んでる。」
その張り付け台は奇妙で、木に血が染み込んでるもののそれはだいぶ前のことのように血が黒く変色していた。しばらくして、群衆は解散させられたが目に焼き付いたあの光景は頭から離れることがなかった。そして、それ以降町では1日中その話で持ちきりだった。
「なあ、あの台って王家を処刑した時のやつだよな。」
「これは、いよいよ都市伝説何かじゃなくて本当に王家の呪いかも知れないぞ。」
町の人々は口々に王家、王家と言っていた。あれは、サラディン・ジョーンズが王家を捕らえて、民衆の前で首を落とした時に使われていたものらしい。木に染み込んだ血もその時のものでまず間違いないだろう。しかし、こういう声もあがっていた。あの磔台は今でも王家を信じる誰かがあえて用意したものなのではないかと。精神的に恐怖を与えられた民衆達は呪いだと言う線が、頭から離れなかったが外からやって来たハルトたちの来訪者からすると人為的な事件以外の何者でもなかった。そして、どちらの意見にしろあることが予測されていた。今夜あの、磔台で誰かが命を落とすと。そして、実際にその日の夜その磔台はある人物の血で濡らされることとなった。
「ちょっとつきあって」
ハルトは何か日記のようなものを書いているチカの後ろから声をかけた。
「………」
チカの手はハルトの声で止まったがチカは何も答えなかった。
「忙しいのか、じゃあまた今度でいいよ」
ハルトが去ろうとした時にようやくチカは反応した。
「あーあーあー!待って!待って!行く!行きたい!てか行かせてください!」
ハルトはチカの突然のテンションの変わり様にビックリした。
「ごめん、嫌だったから、何も言わなかった訳じゃなくて。というかむしろ嬉しすぎて何も答えられなかったというか。ようやく弟になってくれたんだなって…」
「ちょっと待て!弟にはなってない断じてなってないからな。」
ハルトはチカを連れて人通りの少ない町の中を歩き回った。
「お姉ちゃんに話してみなさい」
チカはハルトが何かの相談に来ていることを見抜きハルトから聞き出そうとした。
「よく見てるな。」
「えっへん!これでも可愛い年下の男の子のことは見逃せないお姉さんですから。」
ハルトは、いろいろな事を話した。自分が今対峙すべき敵のどれだけをしっているのか。あまり知らないのに勝手に敵と決めつけてよいのか。
「それはいいんじゃないかな。全てを知ってる人間なんていないよ。仮にそれを知っていたとして、目の前で起きてることがハルトにとって許されないことならその相手が誰だろうが止めればいい。その行動が、世間から見たら悪でもハルトにとっての正義なら貫くべきだと思う。」
ハルトは、チカの言葉を聞いて少し悩みが晴れた気がした。
「ありがとう。あともうひとつだけお願いしてもいいかな。」
「チカは、ハルトのたのみなら断れないよ。」
ハルトは道場へと向かった。
「チカ、稽古をつけて。」
チカは、理由は分からなかったがハルトの覚悟のある真剣な目に押されて稽古をつけることにした。
「んーやっぱり何か違うな。」
「もっと具体的に教えて欲しい。」
「前も言ったけど、すごい違和感がある。むしろハルト自身はそれが気にならないのかなってくらいに。何か人の体を使って動いているみたい。普通は筋肉とかって人それぞれ違って得意不得意があるんだ。柔らかかったりとか、パワーがすごかったりとか。で、戦いってそれを理解してるやつが一番強い。ねぇ、一回本気で私を倒しに来て。もし私を殺してしまいそうなら寸止めでもいい。」
ハルトは、一度寸止めで組手を行った。すると驚くことに三回も転んでしまったのだ。
「分かった。ハルトは理想が高いんだよ。多分やろうとしてることと筋肉の相性はそんなに悪くないと思う。けど、その体だと負荷がかかりすぎて怪我をしてしまう。それで結果無意識に怪我をしないようにこけているんだと思う。」
ハルトは、チカにトレーニングメニューを書いたメモを貰い宿に戻った。
次の日、ハルト達は気持ちの良い朝を迎えたとは言えなかった。何故なら近くの広場で騒ぎがあったからだ。早朝だというのに数多くの人がその場に集まっていた。ハルト達も何があるのか確認しようと足を運んだ。
「なんだこれは。」
「磔台だよな。今から誰か殺されるのか?」
「いや、もう既に殺されたあとじゃないかな。木に血が染み込んでる。」
その張り付け台は奇妙で、木に血が染み込んでるもののそれはだいぶ前のことのように血が黒く変色していた。しばらくして、群衆は解散させられたが目に焼き付いたあの光景は頭から離れることがなかった。そして、それ以降町では1日中その話で持ちきりだった。
「なあ、あの台って王家を処刑した時のやつだよな。」
「これは、いよいよ都市伝説何かじゃなくて本当に王家の呪いかも知れないぞ。」
町の人々は口々に王家、王家と言っていた。あれは、サラディン・ジョーンズが王家を捕らえて、民衆の前で首を落とした時に使われていたものらしい。木に染み込んだ血もその時のものでまず間違いないだろう。しかし、こういう声もあがっていた。あの磔台は今でも王家を信じる誰かがあえて用意したものなのではないかと。精神的に恐怖を与えられた民衆達は呪いだと言う線が、頭から離れなかったが外からやって来たハルトたちの来訪者からすると人為的な事件以外の何者でもなかった。そして、どちらの意見にしろあることが予測されていた。今夜あの、磔台で誰かが命を落とすと。そして、実際にその日の夜その磔台はある人物の血で濡らされることとなった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる