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6章~正義の制裁者~
影の英雄
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ハルトは、余程の大物に対面できたことに少し高揚していた。しかし、その高揚もつかの間。すぐにその高ぶっていた気持ちは落ち着いた。別の人物を見かけたことによって。その者は、ネスコースト・ミシュリ。聖帝戒の幹部であり、テレポートの瞬間にハルトの足元を射ぬいたスナイパーである。ミシュリは、身を隠すことなく愛用の銃を肩にかけて堂々と道を歩いていた。ハルトは、慌てて隠れようとしたが見つかってしまった。
「待て貴様。今の私に敵対心などない。『次にあった時には殺す』と宣言しておきながらかなり恥ずかしいのだが、今は最優先で行わなければならない任務がある。貴様に構っている余裕もない。任務が終わったあと貴様を見つけたらそのときは覚悟しておけ。」
ハルトは、ミシュリの態度でさらに慌てた。必ず戦闘になると覚悟していたのに何も起こらないからだ。ミシュリの発言に付き添っていた者も反対した。
「なぜですか。今殺っておくべきです。対象は一人絶好のチャンスではないですか!」
その男の申し立てにもミシュリは首を縦には振らなかった。
「あの方は、聖帝戒の手を加えた国に仇なす存在を排除せよとの命令だ。そしてそれが何よりの最優先だと。そして、それはこいつではない。」
「しかし…」
「お前はまだ周りが見えていないのか?周囲には一般人が大勢いる。この男があえて巻き込もうとすることはないとは思うが思いがけず戦闘に巻き込んでしまう人々もいる可能性がある。それに、この国において我々聖帝戒は影の英雄なのだ。影のとはいえ、我々が助力したことはこの国のほとんどの人が知っている。その者たちの前で戦闘など行い巻き込んでみろ。聖帝戒の名に傷をつけることになるぞ。そうなったときに我々がどういう処分を下されるかはお前はもう知っているだろう」
「考えが及ばず申し訳ございませんでした。以後気を付けます。」
ミシュリはそのまま仲間を連れて去っていった。この出来事はハルトに一つの疑問を植え付けた。影の英雄とは何なのかと。アルビオンの差し入れを買うついでに店のおっちゃんに少し聞いてみた。
「なあ、おっちゃん。影の英雄って知ってる?」
そのおっちゃんは大きな口を開けて笑った。
「この国で知らん奴なんかいねぇよ。革命後に産まれた子供だって知ってる。知らないのはあんたみたいなよそ者だけだろうさ。」
「その話詳しく聞きたいんだけど時間ある?」
「んーそうだな。夕方頃でいいか?それなら時間を作ってやれる。今日は売れ行きがよくてなそれぐらいには今日の分は完売できるはずだから。」
「分かった。じゃあまた夕方に来るよ。」
ハルトは、一度アルビオンに差し入れを届けに宿に戻った。
「あの人誰だった?どんな話した?」
「この国の英雄だってさ。それにもう一人ある意味大物を見つけた。」
アルビオンはそれが誰なのかとハルトに聞いた。
「ネスコースト・ミシュリだ。けどこの国では誰もが知るもう一人の英雄らしい。その事について夕方に話を聞きに行くから少し帰えるのが遅くなる。」
そして、夕方ハルトはおっちゃんの元に向かった。
「まあ、そんなに言うこともないけど、とりあえず言えることとしてあの人が居なかったらこの国はまだ王国のままだ。」
おっちゃんはさらに話を続ける。
「サラディン・ジョーンズって人がいるんだけど、その人を団結のきっかけとするなら。あの人は勝利のきっかけとなった人だ。」
おっちゃんの話によると。まずはじめはサラディンによって革命の火だねとなる小規模の団体が生まれたそうだ。そして、その団体がデモを起こす度にその人数は増えていった。しかし、それがきっかけで王族の反感を買ってしまったのだ。それを知った王族、及び貴族は自らの私兵を仕向けてサラディンたちを弾圧した。それに感化されたデモに参加していない人たちが武器をとり立ち上がったが所詮寄せ集めの兵力では、日頃訓練している兵士とは比べ物になるはずもなく完敗した。しかし、勝てないとは分かっていても武器を一度手に取った人たちの覚悟は変わらなかった。人々はどうやって勝つのかを試行錯誤した。そのときにあの方は現れたのだ。突然現れて手を貸すと言ったものだからどうせ新たな貴族が王になるために連れ出した兵士だろうと気にも止めていなかった。しかしあまりに何度も提案してくるのである男がこういったのだ「隣にいるそいつを殺してみろ」って、そしたらあの方は躊躇なく殺しこう言った。「我々は見返りなど求めないあなたたちの勝利が確定次第私はこの地を去る」と。そして、あの方が王族の勢力を根こそぎ倒し回ったあと「人民による国家にするといい」と言い残して去っていったのだ。
「待て貴様。今の私に敵対心などない。『次にあった時には殺す』と宣言しておきながらかなり恥ずかしいのだが、今は最優先で行わなければならない任務がある。貴様に構っている余裕もない。任務が終わったあと貴様を見つけたらそのときは覚悟しておけ。」
ハルトは、ミシュリの態度でさらに慌てた。必ず戦闘になると覚悟していたのに何も起こらないからだ。ミシュリの発言に付き添っていた者も反対した。
「なぜですか。今殺っておくべきです。対象は一人絶好のチャンスではないですか!」
その男の申し立てにもミシュリは首を縦には振らなかった。
「あの方は、聖帝戒の手を加えた国に仇なす存在を排除せよとの命令だ。そしてそれが何よりの最優先だと。そして、それはこいつではない。」
「しかし…」
「お前はまだ周りが見えていないのか?周囲には一般人が大勢いる。この男があえて巻き込もうとすることはないとは思うが思いがけず戦闘に巻き込んでしまう人々もいる可能性がある。それに、この国において我々聖帝戒は影の英雄なのだ。影のとはいえ、我々が助力したことはこの国のほとんどの人が知っている。その者たちの前で戦闘など行い巻き込んでみろ。聖帝戒の名に傷をつけることになるぞ。そうなったときに我々がどういう処分を下されるかはお前はもう知っているだろう」
「考えが及ばず申し訳ございませんでした。以後気を付けます。」
ミシュリはそのまま仲間を連れて去っていった。この出来事はハルトに一つの疑問を植え付けた。影の英雄とは何なのかと。アルビオンの差し入れを買うついでに店のおっちゃんに少し聞いてみた。
「なあ、おっちゃん。影の英雄って知ってる?」
そのおっちゃんは大きな口を開けて笑った。
「この国で知らん奴なんかいねぇよ。革命後に産まれた子供だって知ってる。知らないのはあんたみたいなよそ者だけだろうさ。」
「その話詳しく聞きたいんだけど時間ある?」
「んーそうだな。夕方頃でいいか?それなら時間を作ってやれる。今日は売れ行きがよくてなそれぐらいには今日の分は完売できるはずだから。」
「分かった。じゃあまた夕方に来るよ。」
ハルトは、一度アルビオンに差し入れを届けに宿に戻った。
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「この国の英雄だってさ。それにもう一人ある意味大物を見つけた。」
アルビオンはそれが誰なのかとハルトに聞いた。
「ネスコースト・ミシュリだ。けどこの国では誰もが知るもう一人の英雄らしい。その事について夕方に話を聞きに行くから少し帰えるのが遅くなる。」
そして、夕方ハルトはおっちゃんの元に向かった。
「まあ、そんなに言うこともないけど、とりあえず言えることとしてあの人が居なかったらこの国はまだ王国のままだ。」
おっちゃんはさらに話を続ける。
「サラディン・ジョーンズって人がいるんだけど、その人を団結のきっかけとするなら。あの人は勝利のきっかけとなった人だ。」
おっちゃんの話によると。まずはじめはサラディンによって革命の火だねとなる小規模の団体が生まれたそうだ。そして、その団体がデモを起こす度にその人数は増えていった。しかし、それがきっかけで王族の反感を買ってしまったのだ。それを知った王族、及び貴族は自らの私兵を仕向けてサラディンたちを弾圧した。それに感化されたデモに参加していない人たちが武器をとり立ち上がったが所詮寄せ集めの兵力では、日頃訓練している兵士とは比べ物になるはずもなく完敗した。しかし、勝てないとは分かっていても武器を一度手に取った人たちの覚悟は変わらなかった。人々はどうやって勝つのかを試行錯誤した。そのときにあの方は現れたのだ。突然現れて手を貸すと言ったものだからどうせ新たな貴族が王になるために連れ出した兵士だろうと気にも止めていなかった。しかしあまりに何度も提案してくるのである男がこういったのだ「隣にいるそいつを殺してみろ」って、そしたらあの方は躊躇なく殺しこう言った。「我々は見返りなど求めないあなたたちの勝利が確定次第私はこの地を去る」と。そして、あの方が王族の勢力を根こそぎ倒し回ったあと「人民による国家にするといい」と言い残して去っていったのだ。
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