writerS

柊彩 藍

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繋がり

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 「ボス、少し休みを下さい。気がすんだらすぐに戻るので。」
 相川は、見つめていた書類から目をはなし、こう言った。
 「お前もか、まあ俺に人の人生を縛る権利なんてないから構わないがお願い位はさせてくれ。戻るつもりがあるならなるべく早く戻ってきて欲しい。」
 「それは、そのつもりなのですが。私の他に誰が?」
 志穂は、驚いた。自分だけが行動を起こしていたのではないと。
 「修だよ。何か調べたい謎が出来た。これはホームズの意思ではなく僕の意思でだ。とか言って、俺の返事も聞かずにこの部屋からも建物からも出ていったよ。」
 志穂は、自分の自由にさせてくれることに感謝の言葉を述べたあと。建物を後にした。writerSは、これで3人の本の所有者を失った。
 
 志穂がこれからの事について考えながら歩いていると、急に影から呼び止められた。
 「志穂、すこし話をしよう。」
 声をかけてきたのは修だった。憑依をしたホームズではない。修は、志穂を少し離れた街の小部屋に連れていかれた。
 「狭くて悪いな。ここが僕の本来の家なんだけど。あんまり片付ける余裕もなくてね。書類とかは積む一方さ。」
 修は、そう言いながらコーヒーを入れてきた。
 「ありがと。話って何?」
 「んー、ホームズみたいにうまくは喋れないから直球で聞くけど、つけてきたの?」
 「そんなわけないじゃない、さっきボスから聞いたんだから。それに今は修に微塵の興味もない。」
 修は、志穂の顔をしばらく覗きこんだ。
 「なら良かった。もういいよ。それが聞きたかっただけ。」
 志穂は、修が何かを企んでいる事に気がついた。しかしそれが何であるかが分からないため迂闊に聞くことも探ることも出来ず、そのまま修の家を後にした。
 
 志穂は、修のことが引っ掛けかるまま協力者を探した。するとやけに暗い女の子が赤信号に気づかず道路に出そうになっていたところを見つけた。志穂は迷うまもなくダッシュし、その女の子の方肩を掴み引き留めた。すると女の子はようやく我に帰ったようで、志穂にお礼を言った。
 「ありがとうございます。」
 「いいよ、それにしても大丈夫?ずいぶん元気無いみたいだけど。」
 「ついこの間、友人が無くなったんです。凶悪な殺人犯に体の見分けがつかないほどに切り分けられたって。仲良かったのに最近物凄く忙しかった見たいでなかなか喋る機会も無かったから。それだけが後悔で。それに…それに…」
 彼女は、志穂の元で泣き出した。泣き止んだ彼女は助けてくれたお礼に夜ご飯などどうかと聞き、常にwriterSで暮らしていた家のない志穂にとっては物凄くありがたい提案だった。
 女の子の家は、独り暮らしのように片付いていた。
 「独り暮らししてるの?」
 「一応、独り暮らしでは無いんだけどお父さんほとんど帰って来ないからみたいなものかな。今日も多分帰って来ないからゆっくりしていって。」
 女の子はキッチンに食材を広げて、料理を作り始めた。
 「手伝うよ」
 「お客さん何だから座ってて」
 言葉に甘えて料理が出来上がるのを待っていた。しばらくたって料理を一緒に食べた。すると志穂はある写真に目が釘付けになった。それは、女の子と二人の男の子の写真である。その内の一人が蒼太だったのだ。
 「あ、その写真気になった?」
 「ねぇ今からデリカシーの無いこと言うけど亡くなった友達ってこの子?」
 志穂は、蒼太を指差した。
 「知ってるの?」
 「ちょっと仕事で同じだったから。」
 「そう…ですか…」
 彼女は、表情が暗くなった。それを見て、志穂はそれが正解かを考える前に言葉に出した。
 「今から言うことを聞いて。優衣。もしかしたら蒼太は生きているかもしれない。」
 志穂は、本当の死因と、なぜ生きている可能性があるのかを蒼太の今までしてきたことを通して優衣に伝えた。
 「やっぱりそう言うことをしてたんですね。キメラが襲って来てからずっと忙しそうだったから何かあるんだなとは思っていましたが。じゃあコウちゃんもいますか?」
 「誰?」
 「赤松煌輔です。蒼太と同じ事をしてると思ったんですけど…」
 志穂は、接点が無いながら認識はしていた。防衛省の人だと。
 「その人は信頼出来る?」
 「出来ます。」
 志穂は、協力者を必要としていた。しかし何が敵なのか分からないため迂闊に協力を要請することが出来なかった。しかし、蒼太との繋がりが深い人物なら信頼出来ると二人に協力を仰ぐ事にした。
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